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「ウルティマ オンライン 甦りし王国」のファーストインプレッションを掲載
2007/04/24 17:22
 すでにお伝えしているとおり,エレクトロニック・アーツは,MMORPG「ウルティマ オンライン」の新クライアント,「ウルティマ オンライン 甦りし王国」(Ultima Online: Kingdom Reborn,以下,UOKR)を2007年中にリリースする。UOKRではグラフィックスおよびインタフェースに大幅な変更が加えられ,これは2005年9月に発売された拡張パック「宝珠の守人」以来,久しぶりの大規模アップデートとなる。とはいえ,ティザーサイトで現在チェックできるのは,ごく一部のダンジョンや街の景観のみとちょっと寂しい状況。UO世界が劇的に生まれ変わるとされるだけに,気になる読者も多いだろう。というわけで,一足早くテストサーバで体験プレイを行ってきたのだ。うふふ。
 テストプレイをした段階(4月12日〜16日)では,未実装部分も多く,すべてをお見せできるわけではないのだが,まずは観光気分で新しいUOKRを味わっていただければ幸いである。現役UOプレイヤーはもちろんのこと,かつてブリタニアに降り立ったことのある読者なら,その変貌ぶりにきっと目を見張ることだろう。

■キャラクターメイキング



 新規キャラクターの作成では,カスタマイズ可能な内容にとくに変更は見られず,最初に種族(人間かエルフ),性別を選択。髪型や肌,初期装備の色のバリエーション,職業のテンプレートなどもそのままだ。キャラクターのボディや顔つきは,確かにリアルになっているが,髪型以外をいじれないのは相変わらず。
 以前の2Dクライアントで暗く地味だった,グレーバックのキャラメイキング画面はご覧のとおり明るくなり,種族/職業/容姿をタブで手軽に切り替えられるようになっている。


■ヘイブンの街

新しい姿を現したヘイブンには銀行,鍛冶屋,宿屋,港と,一通り必要な建物とNPCが揃っている。どこにあるのかはまだ秘密


 「ヘイブン」と聞いて,初めてUOをプレイした頃を懐かしく思い出す人も多いのではないだろうか。「Young」の称号をつけてここを初めて訪れたとき,周囲の人々が何かと声をかけてくれたり,温かく迎え入れてくれたことを思い出す。
 新規キャラクターが必ず訪れる,初心者向けの街としてプレイヤーに知られるヘイブンだが,なんとなく様子が違うみたい。
 さて,UOKRから操作系のチュートリアルも追加されるためか,新しい街並みが姿を見せているようだ。そんなわけで,ヘイブン以外にもいくつかの街をぶらつき,それと同じ景色を現行クライアントでも撮影してみたので,ぜひ見比べてほしい。

●じっくり見比べよう

アンブラの街中の比較。右が現行クライアントだ。スクリーンショットでは伝わりにくいかもしれないが,ちらつく炎のグラフィックスが暗いアンブラによく映える。食べ物や家具もだいぶ描写が細かくなった
こちらも右の画像が現行クライアントだが,テイマーの聖地「ムーングロウ」は相変わらず動物王国。いずれ紹介する予定だが,騎乗生物の「ラマ」はかなりラブリーな生き物になっていた


■最大の変更点はやはりインタフェース
モンスターがうろつく廃墟を発見。モンスターもなかなか綺麗(?)になって嬉しい限りだ

 スクリーンショットを見て気がついた人も多いはずだが,UOKR最大の注目ポイントは,やはりインタフェースの変更だ。画面最下部に並ぶアイコン類を見てみよう。一番左の「クロスした剣」が,戦闘/非戦闘モードを切り替えるボタン,中央の1〜=が各種スキルやアイテムをボタン一つで使用できるショートカット。下部右端のバックパックの横に並んだ小さなアイコンを使えば,スキル一覧,キャラクターステータス,クエストジャーナル,ギルド情報などのウィンドウをボタン一つで呼び出せる,といった感じだ。
 とくにショートカットには魔法や生産といったスキルはもちろんのこと,包帯,ルーンブック,ポーションといった各種アイテムもセッティングできる。従来は自分でマクロを組むか,毎回ペーパードールを開いて行っていたことが,アイコン一つで済むのは確かに簡単で非常に便利だ。もっともUOではしばしば,プレイヤースキルの一つに「優秀なマクロの組み合わせを考え出す能力」が挙げられる。キー配置も含め,試行錯誤しながら各キャラクター用に最適なマクロを考えるのも腕のうち,という古き時代を知る古参プレイヤーとしては,UOKRの体験プレイをしながら複雑な気持ちに……。
 とはいえ,新しいインタフェースは現在主流となっているMMORPGのそれに近く,これまでにUOを体験したことのない世代でも直感的に操作できるように,という開発側の配慮が感じられる。マクロ編集機能に関しても,時期は未定ながら実装されるという情報もあり,どうやら期待していても良さそうだ。また,一番下のホットバーを消すことはできないものの,バックパックの使用感など,基本的に以前のインタフェースを選択できるところも多く,ベテランUOプレイヤーも違和感を感じずにプレイできるだろう。

 ちなみに,基本的に外部ツールの使用が規約違反となるUOだが,数少ない公認サポートツールとして,有料の「UOAssist(UOA)」がある。新しいクライアントでUOAとの連携がきちんと取れているかどうかも,ちょっと気になるところである。

(左)ペーパードールとスキル一覧ウィンドウ
(中央)キャラクターにカーソルを合わせると、PK回数などの情報が表示される
(右)ペーパードールと魔法本のウィンドウ


■バックパックアート愛好家も安心
3パターンの表示方法。左から既存タイプ,リストタイプ,マス目タイプを並べてみた。これで自分の死体から荷物を回収したあと,小さなアイテムが見つからなくて慌てることはなくなるだろう

 便利になったのがバックパック,つまり所持しているアイテムの表示についてだ。2D/3Dクライアント問わず,バックパックの中身といえばまさに混沌と同義語だった従来のUO。整理整頓したところであまり意味はなく,アイテム同士が重なり合って見つからないなんてこともしばしば起きる。ずぼらな筆者など,バックパックを点検したら,なくしたと思っていたハサミが三つも出てきて驚いた経験があるのだ。自慢にはならないが。
 UOKRにおけるアイテム表示方法としては,既存のタイプに加えて「リスト」と「マス目」の3パターンが用意されている。マス目タイプは,とりあえずバックパックの中に何が入っているのか一度に把握でき,リストタイプはアイテム名と個数まで詳細表示してくれるので,魔法触媒である「秘薬」の残数などを確認するときに便利だ。なお,ウィンドウ左上の小さなボタンによって,表示の切り替えを簡単に行える。
 自分でお店を開いているプレイヤーには,バックパックの中に金貨で“Welcomeメッセージ”を描いたり,花や食べ物を使って綺麗に商品区分を行ったりする,いわゆる「バックパックアート愛好家」も多い。便利だからといってすべてを新しいインタフェースに変えてしまうのではなく,UOプレイヤーが独自に育ててきたゲーム内文化を尊重してくれるという姿勢は非常に嬉しい。




近所のベンダーを覗いてみた。取り扱いアイテムが多いお店でオプション付きアクセサリといった小さいものを探す際,この表示方法は便利かもしれない
 「何をしてもいい。何もしなくてもいい」という自由度の高いUO。その大きな魅力として,カスタマイズハウスとガーデニングがある。とくに家の建築は土地持ちプレイヤー最大のお楽しみだが,残念ながらカスタマイズ画面などは確認できなかった。プレイヤーハウジングの新たなデザイン,さらにはアイテム生産などを含むかなりの機能追加/強化も予定されているとのことなので,これらについてはテストサーバーのオープンを待ちたいところだ。

 今さら言うまでもないことかもしれないが,UOはまもなくサービス10周年を迎える,MMORPGの草分け的存在。UOでMMORPGを始めたというベテランプレイヤーも多いはずだ。
 過去,拡張パックの発売がアナウンスされるたびに,「グラフィックスの変更はないのか?」という質問が必ず開発陣に投げかけられていたわけだが,10年目にしてようやくそれが実現されたことになる。「宝珠の守人」で開発者インタビューを行ったとき,Electronic Artsのプロデューサーであるジェシカ・ルイス氏は,「どんな場合でも,何か大きな変化があるときには,それを嫌う人が必ずいるものです。これは仕方がないでしょう」と述べたのが強く印象に残っている。果たしてこの「甦りし王国」の新しいグラフィックスやインタフェースがプレイヤーにどう受け止められるのか,今から気になるところだ。(ライター・麻生ちはや)

※掲載した画面はすべてβ版のものです。サービス開始時には変更になる可能性があります


ウルティマ オンライン 甦りし王国
■開発元:Electronic Arts
■発売元:エレクトロニック・アーツ
■発売日:2007/06/28
■価格:N/A
→公式サイトは「こちら」

【この記事へのリンクはこちら】

http://www.4gamer.net/news/history/2007.04/20070424172200detail.html