［G★2005＃054］ソロプレイ重視のMMORPG？「ZerA」開発者インタビュー

　NEXONが開発を行うMMORPG「ZerA：Imperian Intrigue」（以下，ZerA）は，G★ 2005でも特別シアターが設置されるなど，同社がかける意気込みは相当なもの。しかし，ZerA自体の情報があまり公開されていないことに加えて，G★に出展されていたデモ機でも機能制限バージョンとなっていたため，本作がどのようなゲームシステムかはまだ十分に見えてこない。
　G★会期2日の11月11日に，ZerAのプロデューサーに話を聞くことができた。まだ最終決定されていない部分，情報規制されている部分があるので，本稿では公開可能な部分について深く掘り下げて聞いてみることにした。


4Gamer：
　はじめまして，本日はよろしくお願いします。

Youtaeg Jeon氏（以下，Jeon氏）：
　よろしくお願いします。

4Gamer：
　2005年6月1日の発表会で，ZerAのコンセプトとして，「気軽に楽しめるゲーム」「総合的なゲームの経験を提供」という二つが挙げられていましたが，具体的にどのようなものなのですか？

Jeon氏：
　MMORPG経験者へのものと，オンラインゲームを遊んだことのない人へのものの二つがあります。経験者向けのコンセプトとしては，“普通”にプレイできること，既存のMMORPGでよく取り入れられている要素を実装することとなります。一方未経験者へのコンセプトとしては，一般的にMMORPGのプレイは時間がかかるというイメージを払拭して，気軽にプレイできることとなります。

4Gamer：
　なるほど。幅広い層をターゲットとするということですね。

Jeon氏：
　ええ。しかし言葉で言うのは簡単ですが，この二つのMixingが難しかったですね。経験者向けには，明確な目標とクリア時の報酬を提示することや，長くプレイしたときの結果をはっきり見せるという要素を取り入れてます。未経験者向けには，ソロプレイ可能なゲームシステムを用意すること，短時間でも達成感を得られるレベルのプレイができるようにすることが具体的な要素となります。

4Gamer：
　短時間というのは実際どのくらいになるのですか？

Jeon氏：
　ZerAには，Demi-Plane（デミプレーン）と，ソロプレイ向けのインスタンスダンジョンがあって，そこをクリアするのが区切りのよい最も短時間のプレイですね。クリア目標はいくつか用意してありますが，大体10分から長くても1時間ほどでクリアできるでしょう。

4Gamer：
　ほうほう。それはプレイ時間があまり取れない人にもアピールできそうですね。Demi-Planeでのプレイ時間は，プレイ全体の何割くらいを占めると予想してバランシングしてますか？

Jeon氏：
　ええと，プレイヤーのプレイスタイルによっても変化すると思いますが，大体60％くらいをターゲット値としてバランシングしています。ZerAはつい先日第3次クローズドβテストを終了したところなのですが，テスターから要望が多かったのもDemi-Planeの増加でした。

4Gamer：
　そのほかに，クローズドβテストを終了して，テスターからの意見で何か取り入れたものはありますか？

Jeon氏：
　MMORPGプレイヤーのプレイスタイルには，情報交換を活発に行って多人数で攻略やPvPを楽しむ人，ソロでこつこつと楽しむ人の大きく2種類に分けられると思います。情報交換をするコミュニティのためのチャットシステムなど，機能強化もやっています。

4Gamer：
　Demi-Planeは，ZerAの人気に直結する重要な要素のようですね。



Jeon氏：
　ええ，ソロプレイを楽しくすることと，パーティを組まなくても単調でなく戦略的にモンスターを倒していけるようにすることが重要だと思っています。

4Gamer：
　ZerAには4種類の職業がありますが，ソロプレイ重視のゲームバランスということだと，各職業の特徴が出にくいような気がします。先ほどブースのほうでプレイしてみたのですが，Wizardが回復魔法を使えるなど，どの職業もオールマイティ的な能力を持ってしまうのではと懸念してしまうのですが……。

Jeon氏：
　序盤ではある程度オールマイティ的な部分もあるかと思いますが，一次転職，二次転職と2段階で職業が変化しますので，上位職へと成長するうちに特徴がはっきり出てくるようになります。クローズドβテストでは，転職を自由に選択させていたのですが，現在の仕様ではなくしました。そのクラスの上位クラスへ転職するというスタイルですね。

4Gamer：
　なるほど。その部分の調整も難しそうですね。では，職業を今後増やす予定はありますか？　また，レベルの上限はいくつですか？

Jeon氏：
　レベル上限は50レベルです。職業については，短期的には追加しませんが，長期的には未定です。

4Gamer：
　転職は，キャラクターのレベルで自動的に変化するタイプですか？

Jeon氏：
　いえ，クエストをクリアして，「Garden」と呼ばれる4種のモノ（アイテムかどうかは未定とのこと）を得る必要があります。まだこのあたりのシステムは，最終決定ではないので，変わるかもしれません。

4Gamer：
　MMORPGプレイヤーにはおなじみの要素を取り入れると同時に，オリジナルの要素も加えているのですね。話は変わりますが，ZerAには「Grand Line」と呼ばれるスキル連携システムがあるとのことですが，詳しく教えてください。

Jeon氏：
　Grand Lineは，厳密にはシステムではなくスキル同士の連携を表します。ゲーム中にスキルパネルと呼ばれるカード状のものを入手するのですが，そのカードには最大10個の穴が円形状に開いています。その穴のいくつかは，他の穴とを繋ぐラインが引かれていて，これがGrand Lineです。Grand Lineとなっているスキルを連続で使用して繋げることで，特殊な効果が発生します。

4Gamer：
　ふむふむ。ソロプレイでの単調さをなくす要素ともいえますね。例えば，どのような効果がありますか？

Jeon氏：
　追加ダメージを与えたり，回復したりします。スキルパネルは一般的なものから，入手率は低いがGrand Lineがたくさん引かれているものまで多数用意します。自分の職業やプレイスタイルに合ったスキルパネルを探し出すのも，プレイのモチベーションに繋がると思います。あ，ちなみに最も簡単に入手できるパネルのラインは，2本です。

4Gamer：
　スキルパネル集めにハマる人も多いかと思います。ショートカットバーにあるスキルアイコンには，IとかCといったアルファベットが付いていたのですが，これは何を表しているのでしょうか。

Jeon氏：
　それは，スキルの特性です。スキル特性は4種類あって，IはInstantで即時発動スキル，CはCastingで詠唱時間が必要なスキル，KはKnock-Backでヒットすると転倒させられるスキル，GはGuardで特定の攻撃から身を守るスキル，RはRageでまぁ必殺技みたいなものですね。この複合効果を持つスキルもあって，それらには二つのアルファベットが付きます。

4Gamer：
　なるほど。その「Rage」はどのように発動させるのですか？

Jeon氏：
　戦闘を繰り返すと，Rageポイントが溜まってバーが伸びていきます。Rageスキルの発動は，このバーが100％のときにしかできません。また，Rageポイント10％を消費する回復スキル，50％を消費するガードスキルなどがあります。

4Gamer：
　……結構複雑なシステムなのですね。また話は少し変わりますが，実際のゲームの流れはどのようになっていますか？　Demi-Planeが多いということは，通常のMMORPGのような一般フィールドは少ない，もしくは皆無で，Guild Warsのように街の外はすべてインスタンスエリアとか……？

Jeon氏：
　そこは通常のMMORPGと大差ありません。街から一般フィールドへ移動します。現在その一般フィールドは8エリアあり，そのフィールドにDemi-Planeへ繋がるポータルが設置されているという感じです。

4Gamer：
　ふむふむ，そういう流れとなっていたのですね。そういえば，Demi-Planeへ突入したときに，ムービーが流れたのですが，あのようなムービーはほかのシーンにもあるのですか？

Jeon氏：
　まだ全てが決定してはいないのですが，Demi-Plane突入時，ボスモンスターとの対決前，特定のクエスト時などを予定しています。エンターテイメント性とプレイヤーの緊張感を高めるために要所要所で使っていきます。

4Gamer：
　あのようなムービーが流れると，気分が高まりますよね。最後に，2005年末から2006年にかけてリリース予定となっているMMORPG期待作にZerAの名前を挙げる人が多いのですが，どのように考えていますか？

Jeon氏：
　競争相手がいることは幸せなことです。今はカジュアルゲームがトレンドといわれてますが，MMORPGタイトルは今後も発表されていくと思いますし，それらのMMORPGタイトルに勝つ自信もあります。

4Gamer：
　期待しています。本日はありがとうございました。




　今回のインタビューでは，ZerAに，今までのMMORPGとは異なる要素がふんだんに盛り込まれていることが分かった。オンラインゲームのタイトル数が増加し，またカジュアルゲームに人気が集まっていることを考えると，いままで膨大な時間を費やさなければならなかったMMORPGジャンルも，そのスタイルを変えているといったところだろう。
　なんにせよ，本作は期待作の一つとして数えられるのは間違いない。2005年12月から開始予定のオープンβテストで全貌が明らかになるとは思うが，機会があり次第，情報を掲載していきたいと思う。（Seal）