テストレポート
DLSS 4.5の新機能「ダイナミックマルチフレーム生成」は高フレームレートと高画質を両立するのに効果あり
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新バージョンにおける大きな見どころは,NVIDIA独自の超解像&フレーム生成技術「DLSS 4.5」で,GeForce RTX 50シリーズ限定の新機能として,指定するフレームレートに合わせてフレーム生成倍率を最大6倍まで動的に変化させる「ダイナミックマルチフレーム生成」が利用可能となったことだ(関連記事)。
この機能により,ゲームのフレームレートはどれくらい向上するかを,「サイバーパンク2077」と「ホグワーツ・レガシー」を使用して検証した。
ダイナミックマルチフレーム生成はNVIDIA Appによるオーバーライドで実現
まずは,最大6倍のマルチフレーム生成とダイナミックマルチフレーム生成の使いかたを説明しよう。いずれはゲーム内にこれらの設定が実装されるだろうが,本稿執筆時点では,NVIDIA Appの「DLSSオーバーライド」(上書き)から利用する。
グラフィックスタブでは,インストール済みのゲームに対して,ドライバ側からDLSSのオーバーライドを設定できる。
グラフィックスタブの「グローバル設定」にあるのは,以下の3項目だ。
- DLSSオーバーライド ― モデルプリセット
- DLSSオーバーライド ― フレーム生成モード
- DLSSオーバーライド ― Super Resolutionモード
まずDLSSオーバーライドのモデルプリセットでは,「フレーム生成」「Super Resolution」「レイの再構成」の3つを変更できる。
フレーム生成は「推奨」「プリセットA」「プリセットB」から選ぶ。NVIDIAによると,プリセットBは,Zバッファを使用しているゲームでのみ効果を発揮し,フレーム生成時のUI表示がぼやける不具合を軽減するとのこと。
ただ,対応タイトルは今のところ。「モンスターハンター ワイルズ」など約20本にとどまっており,今後の拡充が期待される(関連リンク)。
「推奨」を選んだ場合,プリセットB非対応のゲームには,これまでどおりプリセットAが適用されるそうだ。
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次にSuper Resolutionでは,DLSS 4.5で追加された第2世代Transformerモデルの「プリセットL」と「プリセットM」が加わった。
プリセットLは,DLSSの「ウルトラパフォーマンスモード」向け,プリセットMは「パフォーマンスモード」向けにそれぞれ最適化されており,フレーム生成併用時の画質向上が図られている。
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レイの再構成は,AIを利用したレイトレーシングのノイズ除去機能で,現時点で選べるのは「推奨」のみ。
なお,Super ResolutionではDLSSライブラリを,レイの再構成(Ray Reconstruction)ではDLSS-Dライブラリをそれぞれ読み込むため,これらは排他の関係にある。そのため,ゲーム側でレイの再構成を有効にしている場合,プリセットLやプリセットMによるSuper Resolutionのオーバーライドは,適用されない点に注意してほしい。
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DLSSオーバーライドのフレーム生成モードでは,「修正済み」を選択するとマルチプライヤ(※フレーム生成倍率)から「5x」や「6x」を指定でき,5倍や6倍のフレーム生成が利用可能となる。
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一方,「動的」を選択すると,ダイナミックマルチフレーム生成が有効になる仕組みだ。
「ターゲットFPS」では,「最大リフレッシュレート」と「カスタム」を選べる。「カスタム」は60〜500Hz(=fps)の範囲で,1Hz刻みで目標のフレームレートを指定する。
「最大リフレッシュレート」は,使用しているディスプレイのリフレッシュレートに合わせる設定だ。
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動的を選択した状態では,マルチプライヤは「最大3x」から「最大6x」の範囲で設定できる。たとえば,カスタムで500Hz,マルチプライヤを最大6xに設定した場合,フレームレートが500Hzになるように,フレーム生成の倍率がシーンに応じて1〜6倍のあいだで自動的に変化する。
最大リフレッシュレートを選択した場合は,ディスプレイのリフレッシュレートが120Hzであれば120Hz,240Hzであれば240Hzを指定したのと同じ動作だ。
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DLSSオーバーライドのSuper Resolutionモードは,アップスケーリングの倍率を指定する,従来からある設定だ。
「ウルトラパフォーマンス」では,実際にゲームがレンダリングする解像度の「入力解像度」が,表示解像度の33%になり,「パフォーマンス」では50%,「クオリティ」では67%となる。入力解像度が高いほど画質は向上するが,その分GPUへの負荷は増す。
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さて,これらのオーバーライドが正しく適用されているかは,NVIDIA Appの「NVIDIAオーバーレイ」で確認できる。有効にすると,画面右上にフレームレート,1パーセンタイルフレームレート,遅延がリアルタイムで表示されるものだ。
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以下に示すオーバーライドの状態も表示できる。ダイナミックマルチフレーム生成や6倍のマルチフレーム生成が効いているかどうかは,FG OVRを見れば一目瞭然だ。
- FG OVR:フレーム生成のプリセットと倍率
- SR OVR:Super Resolutionのプリセットとモード
- RR OVR:レイの再構成のプリセット
6倍によるフレームレートの伸びやダイナミックマルチフレーム生成の挙動を確認
DLSS 4.5のテスト環境は表のとおり。
| CPU | Core i9-14900K(P-core 定格クロック3.2GHz, |
|---|---|
| マザーボード | ASRock Z790 Steel Legend Wi-Fi |
| メインメモリ | Corsair VENGEANCE RGB DDR5 |
| グラフィックスカード | GeForce RTX 5090 Founders Edition |
| ストレージ | CFD CSSD-M2M1TEG1VNE(PCIe 3.0 x4,1TB) |
| 電源ユニット | CoolerMaster V1200 Platinum(定格1200W) |
| OS | Windows 11 Pro 25H2 |
| チップセットドライバ | Intel チップセットINFユーティリティ |
| グラフィックスドライバ | GeForce |
使用したグラフィックスドライバは,NVIDIAがダイナミックマルチフレーム生成のテスト用としてレビュワー向けに配布した「GeForce 595.99 Driver」で,NVIDIA Appは,本稿執筆時点で最新のVersion 11.0.7.228だ。
テストに用いたゲームは,冒頭でも触れたサイバーパンク2077とホグワーツ・レガシーの2本で,いずれもNVIDIAがテスト用に用意したセーブデータを使用している。
マルチフレーム生成は,6倍,5倍,4倍,およびフレーム生成なしの4条件で計測して,追加された6倍や5倍が,4倍と比べてどの程度フレームレートを高めているかを確認する。
ダイナミックマルチフレーム生成のテストでは,マルチプライヤを最大6xに固定したうえで,ターゲットFPSを500fps,360fps,240fpsの3パターンに設定した。
さらにSuper Resolutionモードでは,両タイトルとも「クオリティ」で統一し,テスト解像度は3840×2160ドット,2560×1440ドット,1920×1080ドットの3段階とした。
具体的なテスト方法だが,サイバーパンク2077では,拡張パック「仮初めの自由」のミッション「Dog Eat Dog」(以下,DED)で訪れるドッグタウンのブラックマーケットを,一定のルートで移動した。NVIDIAによると,このシーンはダイナミックマルチフレーム生成のテストに適しているそうだ。
フレームレートの計測にはNVIDIA製の計測アプリ「FrameView」(Version 1.6.10930.35470227)を使用し,1分間のテストを2回実施して,その平均を結果として採用した。
グラフィックス設定は,「レイトレーシング:オーバードライブ」プリセットを使用している。
また,サイバーパンク2077にはベンチマークモードがあるので,同条件でそちらも実施した。ベンチマークモードのテストでは,平均フレームレートと最小フレームレートをまとめている。
一方のホグワーツ・レガシーでは,「魔法薬学の教室」から「玄関ホール」を経て階段を上がり,「メインホール」を抜けて「中庭」へ出るルートを移動した。所要時間がちょうど1分間のため,移動中のフレームレートをFrameViewで計測し,2回実施した平均を結果として採用している。
グラフィックス設定は「最高」プリセットだ。
以下では,文中とグラフ中ともにマルチフレーム生成を6倍,5倍,4倍に設定したものを「MFG 6x」「MFG 5x」「MFG 4x」と表記。さらに,ダイナミックマルチフレーム生成でターゲットFPSを500fps,360fps,240fpsに設定したものを「ダイナミック500fps」「ダイナミック360fps」「ダイナミック240fps」,フレーム生成を利用していない状態を「フレーム生成off」と表記する。
ダイナミックマルチフレーム生成でも描画負荷次第でフレームレートは変わる
それではサイバーパンク2077から結果を見ていこう。グラフ1〜3は,DEDでのテスト結果だ。
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MFG 6xの平均フレームレートは,1920×1080ドットで500fpsを超え,これはフレーム生成off時の5.9倍に達している。
解像度が上がると,2560×1440ドットで5.7倍の約490fps,3840×2160ドットになると約330fpsで,フレーム生成off時の4.7倍程度に留まる。
MFG 6xの1パーセンタイルフレームレートは,1920×1080ドットと2560×1440ドットでフレーム生成offの約3.3倍,3840×2160ドットで約3.9倍で,平均フレームレートほどは伸びてはいない。
それでも,MFG 4xに比べるとかなり高く,6倍マルチフレーム生成の恩恵を確認できる。
MFG 5xの平均フレームレートは,1920×1080ドットと2560×1440ドットでフレーム生成offの4.9〜5.0倍程度だが,3840×2160ドットで約4.1倍と,MFG 6xと同様に伸びは若干低下している。MFG 4xでも同じ傾向が見られるので,利用したシーンの描画負荷によるものなのだろう。
ダイナミックマルチフレーム生成の結果だが,ダイナミック500fpsの平均フレームレートは,1920×1080ドットで約480fpsと,500fpsには届かなかった。
2560×1440ドットも480fps弱と同程度だが,MFG 6xでも500fpsに届いていないことを考えると,描画負荷が大きいためフレームレートを伸ばし切れなかったのだろう。
それは3840×2160ドットで顕著となり,平均フレームレートは約340fpsしか出ていない。
いくらダイナミックマルチフレーム生成でターゲットFPSの値を大きくしても,描画負荷に見合う性能がなければ,500fpsにまったく届かないのは当然のことだろう。1パーセンタイルフレームレートも同じ傾向で,描画負荷が大きい場合には,ターゲットFPSを高い数値に設定してもあまり意味はない。
ダイナミック360fpsの平均フレームレートは,1920×1080ドットと2560×1440ドットで360fpsをやや上回る程度だ。3840×2160ドットでは若干低下するが,これはMFG 6xなどと同じ傾向である。
この結果から,ターゲットFPSの設定値は平均フレームレートの目標値として機能しているようだ。つまり,ターゲットFPSを360fpsに設定すると,平均フレームレートが360fpsに近づくようマルチプライヤが動的に制御されるということになる。
ダイナミック240fpsの結果を見ても同様で,1920×1080ドットと2560×1440ドットの平均フレームレートは240fps前後となっている。
次に,サイバーパンク2077のベンチマークモードの結果を見ていこう(グラフ4〜6)。
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MFG 6xの平均フレームレートは,フレーム生成offの4.4〜5.6倍程度で,解像度が上がるほど伸びが低下する傾向にある。高解像度ではフレーム生成自体の処理負荷も無視できなくなるためだろう。
一方,最小フレームレートはフレーム生成offの4.5〜5.8倍程度で,1920×1080ドットでは6倍に迫る伸びを示している。
MFG 5xの平均フレームレートは,フレーム生成offの3.8〜5.0倍程度と,傾向はMFG 6xに近い。最小フレームレートも3.9〜4.9倍程度で,1920×1080ドットでは5倍に迫る結果だ。
ダイナミック500fpsの場合,3840×2160ドットは描画負荷が大きいため,500fpsには遠く及ばない。しかし2560×1440ドット以下であれば,500fps近くに達しており,ダイナミックマルチフレーム生成が有効に機能していることが分かる。
ダイナミック360fpsの平均フレームレートは,すべての解像度でほぼ360fps前後だ。DEDのテストと同様に,ターゲットFPSの値がそのまま平均フレームレートの目標として機能している。
最小フレームレートも,全解像度で300fpsを超えており,ダイナミックマルチフレーム生成の恩恵は大きい。
ダイナミック240fpsも同じ傾向で,平均フレームレートは240fps前後,最小フレームレートは200fps強と,フレーム生成offの最小フレームレートより明確に高い。
続いてホグワーツ・レガシーのテスト結果がグラフ7〜9となる。
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MFG 6xの平均フレームレートは,フレーム生成offの3.9〜5.2倍程度。サイバーパンク2077と同様に,解像度が高くなるほど伸びが低下する傾向だ。
1パーセンタイルフレームレートは,フレーム生成offの3.0〜4.1倍程度で,平均フレームレートとの差が大きい。ただ,MFG 4xでは1920×1080ドットでも200fpsに届いていないことを踏まえると,6倍のマルチフレーム生成による底上げ効果は明確だ。
MFG 5xの平均フレームレートは,フレーム生成offの3.5〜4.5倍程度で,高解像度ほど伸びなくなる傾向は,MFG 6xと共通している。1パーセンタイルフレームレートが平均ほど伸びない点も同様だ。
ダイナミック500fpsの平均フレームレートは,483〜514fps程度と,500fps前後に収まった。サイバーパンク2077と同じく,ターゲットFPSの値が平均フレームレートの目標として機能していることが確認できる。1パーセンタイルフレームレートは,170fps前後で推移した。
ダイナミック360fpsでも,平均フレームレートは360fps前後だが,1920×1080ドットがやや高い。実際にキャラクターを操作してのテストであるため,誤差とみなすべきだろう。1パーセンタイルフレームレートは140fps前後にまとまっている。
低解像度ではベースとなるフレームレートが高いため,フレーム生成の倍率は低くても問題ない。一方,高解像度ではベースが低いため,倍率を上げる必要がある。結果として平均フレームレートは,解像度が異なってもターゲット付近に収束するわけだ。
ダイナミック240fpsもこれまでと同傾向で,解像度によらず平均フレームレートは240fps前後。1パーセンタイルフレームレートは,110fps前後に収まっている。
NVIDIA Appの録画でマルチフレーム生成利用時の画質をチェック
6倍のマルチフレーム生成やダイナミックマルチフレーム生成を利用したときの画質も確認してみた。
NVIDIAによると,NVIDIA Appの録画機能で,
- 解像度:インゲーム
- フレームレート:120fps
- コーデック:AV1
- ビットレート:100Mbps以上
に設定することで,生成フレームも録画できるそうだ。
そこで,サイバーパンク2077のドッグタウン・ブラックマーケットを移動するシーンを,フレーム生成オフ,MFG 6x,ダイナミック500fpsのそれぞれで録画した。ゲーム解像度は1920×1080ドットだ。
MFG 6xでは,画質が大きく乱れことはないが,遠くに見えるNPCの顔や服装がぼやけている。また道中の左側にちらりと,青背景のディスプレイに白い文字が並んでいる場面があり,MFG 6xでは文字がぼやけて読みにくい。ディテールの描画品質に関しては,MFG 6xで若干の低下があると言わざるをえない。
一方,ダイナミック500fpsに切り替えると,このぼやけがわずかに軽減される印象だ。劇的な改善とはいえないが,ダイナミックマルチフレーム生成がシーンに応じて倍率を抑えている分,画質面で有利に働いているのだろう。
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画質と高フレームレートを両立するダイナミックマルチフレーム生成
まとめると,6倍や5倍のマルチフレーム生成は,4倍でもフレームレートが足りないと感じていた人にとって,大きなメリットをもたらす。
マルチフレーム生成を使わない映像が,一番画質が良いのは当たり前だ。しかし,少しでもフレームレートを高めながら,ある程度の画質を維持したいという人にとって,ダイナミックマルチフレーム生成は,有用な手段のひとつといえよう。
ダイナミックマルチフレーム生成でターゲットFPSにディスプレイの最大リフレッシュレートを設定しておけば,自分のディスプレイに合わせて最大限のフレームレートと良好な画質が得られるあたりは,使い勝手にも優れている。
ただ,ダイナミックマルチフレーム生成はGeForce RTX 50シリーズでしか利用できない。そのため,ダイナミックマルチフレーム生成の利用をきっかけに,GeForce RTX 50シリーズへのアップグレードを検討してみてもいいのではなかろうか。
- 関連タイトル:
GeForce Driver
- 関連タイトル:
GeForce RTX 50 - この記事のURL:
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