
レビュー
欲しい機能をもらさず備えた「ちょうどいい」ヘッドセット
Logicool G522 LIGHTSPEED Wireless Gaming Headset
Logitech Internationalの日本法人であるロジクールのゲーマー向けブランド「Logicool G」から,新型ヘッドセット「G522 LIGHTSPEED Wireless Gaming Headset」(国内ではG522 LIGHTSPEEDワイヤレスゲーミングヘッドセット,以下 G522 LIGHTSPEED)が登場した。
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Logicool Gが販売するヘッドセットの中で,価格やスペック面ではミドルハイ市場向けに位置付けられるG522 LIGHTSPEEDは,既存の「G733 LIGHTSPEED ワイヤレス RGB ゲーミングヘッドセット」(以下,G733 LIGHTSPEED)の上位モデル的な存在である。
最大の特徴は,高音質を謳うブームマイクだ。Discordの普及でボイスチャットも定着し,気楽にゲーム実況を始められるようになった昨今,明瞭に声を伝えられるマイクの重要性は,ゲーマーにとっても大きく増していると言っていい。
そんなG522 LIGHTSPEEDを,ゲーマー目線でチェックしていこう。
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●目次
G522 LIGHTSPEEDの仕様と特徴
G522 LIGHTSPEEDは,ブラック(G522-BK,G522-BKd)とホワイト(G522-WH)の2色のカラーバリエーションを用意している。今回,筆者が試用したのは,ホワイトモデルだ。
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ちなみにブラックのみ型番が2つ存在するが,違いは保証期間の差だけで,G522-BKは2年,G522-BKdが1年となる。その分,保証期間1年モデルは,税込直販価格が2万2800円と,やや安価だ。ホワイトモデルは,2年保証のみである。
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既存のG733 LIGHTSPEEDは,LIGHTSPEED接続しか使えなかったので,こうした点でも本機は強化されているわけだ。
音を鳴らす要の存在となるスピーカードライバーには,G733 LIGHTSPEEDと同じ「40mm PRO-G」を採用する。ただ,ドライバーをエンクロージャ内の独立した区画に内蔵する構造に変更したことで,音の歪みを軽減して複数の音をクリアに再生できると,ロジクールは主張している。
ゲームをプレイ中は,さまざまな環境音やボイスチャットなど,複数の音源が一斉に鳴ることが多いので,音を適切に分離できないと,聞き分けにくくなるわけだ。この点は,後で実際に試してみよう。
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G522 LIGHTSPEEDの特徴であるブームマイクは,無指向性(オムニディレクショナル)タイプだ。とくに目を引くのが周波数特性で,一般的なUSB接続やワイヤレス接続のヘッドセットが100Hz〜10kHz程度をカバーするのに対して,本機は70Hz〜20kHzとより広域をカバーする。サンプリングレートも,16bit/48kHzと高い。
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マイクのカタログスペックは,直販価格は5万5000円近い「ASTRO A50(Gen 5)」に匹敵するものだ。それに加えて,PC向け統合設定アプリ「G HUB」か,スマートフォン向け設定アプリ「Logicool G」を必要とするが,Logicool G独自のマイク用リアルタイムエフェクト機能である「Blue VO!CE」(ブルー ボイス)を利用できるのもポイントである。
G522 LIGHTSPEEDの外観
G522 LIGHTSPEEDの外観を確認していこう。
まず目を引くのは,Logicool G製品らしいスタイリッシュなデザインだ。一昔前の「ザ・ゲーミング製品」という雰囲気ではないものの,一般的なヘッドフォンほどシンプルなデザインでもなく,クールなカルチャーとしてのゲーマー層を想定した,とでも言うべきデザインだろうか。近未来っぽさも感じる。
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単純な楕円形ではないのだが,エンクロージャ全体のサイズは,実測で約80(W)×105(D)×55(H)mmといったところ。イヤーパッドの厚みは約25mmだ。
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ヘッドバンドは,樹脂性のアームと,頭に触れる布部分(ストラップ)で構成されている。G733 LIGHTSPEEDや,「G535 LIGHTSPEED Wireless Gaming Headset」のヘッドバンドと同じ作りだ。
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G522 LIGHTSPEEDに,ヘッドバンドの長さを調整する仕組みはないが,ストラップがその役割を果たす。布自体がかなりの伸縮性を持っているほか,2段階の取り付け位置で調整することもできるのだ。
デフォルトではストラップで頭を支える感じだが,1段階緩くすると一般的なヘッドセットに近い装着感になった。いずれにせよ,よほど頭が大きいとか小さいといったことがなければ,問題なく使用できるはずだ。
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布製ストラップと軽さによって,全体の締めつけ感や,頭上に乗っかってる感覚は少ない。長時間のゲームプレイでも快適だ。
余談だが,ストラップはリバーシブル仕様になっている。表裏でカラーが違うので,配信映えなどを意識する場合は,変えてみるのもいいだろう。
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完全な楕円形ではなく,耳の形に合わせた形状のイヤーパッドなので,耳の収まりは非常に良好。耳が大きめの筆者でも問題なく使えたので,ほとんどの人で問題はないと思われる。
イヤーパッドを取り外すと,エンクロージャと一体成型のスピーカーグリルが現れる。グリルの上部には黒いツルっとした素材が貼られた空気孔のようなものがあったが,おそらくスピーカー全体の音響に微調整を加える目的のもののはずだ。
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エンクロージャの可動範囲は狭く,装着時の微調整できる程度である。また,収納用にエンクロージャを開きにする機構はない。とはいえ,アームと一体成型のヘッドバンドはよくしなるので,装着はしやすいほうだ。
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本体側の操作系はシンプルで,左エンクロージャ後方にすべてまとめられている。上から電源ボタン,Bluetoothワイヤレスボタン,音量調整ダイヤル,マイクミュートボタン,USB Type-Cポートという並びだ。
電源ボタンやマイクミュートボタンは,明確なクリック感があって判別しやすいし,音量調整ダイヤルは適度な重さがあって,非常に扱いやすい
ちなみに,先述したとおり,G522 LIGHTSPEEDでは異なる接続方式の併用はできない。どの接続方式でも,Bluetoothワイヤレスボタンを押すと,ほかの接続はオフになり,Bluetooth接続のみになる。Bluetooth接続中に,Bluetoothワイヤレスボタンを押すと,もとの接続方式に戻る形だ。
着脱可能なブームマイクは,長さが実測約135mm(※端子部含む)。柔軟性があるビニール系の素材で,ある程度曲がる。ただ,水平方向にはよく曲がるものの,垂直方向にはあまり曲がらない。
これが少々くせ者で,可動域が狭いエンクロージャと相まって,マイクを適切な位置まで持って来れない場合がある。
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マイク部分のサイズは,実測約33×12×8mm程度。内部のマイクカプセル自体は無指向性だが,実測約16×3mmの空気孔が,口側にのみ開口している。外側に空気孔があると,キーボードやマウスのクリック音をより拾うことになるので,こうした設計になっているのだろう。
ロジクールいわく「業界最高レベル」と称するG522 LIGHTSPEEDのマイクは,16bit/48kHzでの録音が可能となっており,周波数特性も70Hz〜20kHzと,標準的なヘッドセットのマイクよりも,とくに高音域に強い。
なお,左エンクロージャにあるマイクミュートボタンを押すと,マイクのオン,オフを切り替えられる。ミュート時には,空気孔内部にある赤色LEDが点灯して,ミュート状態を示すようになっている。
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●G522 LIGHTSPEEDの主なスペック
- 基本仕様:2.4GHz帯独自方式ワイヤレス接続,Bluetooth接続,USBワイヤード接続対応,密閉型エンクロージャ採用
- 公称本体サイズ:201.1(W)×81(D)×184.4(H)mm
- 公称本体重量:約290g(ブームマイク含む)
- 公称ケーブル長:1.8m
- 接続インタフェース:USB Type-C×1(PC接続および充電用),USB Type-A(USBワイヤレスアダプタ)
- 搭載ボタン/スイッチ:電源ボタン,Bluetoothワイヤレスボタン,音量調整ダイヤル,マイクミュートボタン
- バッテリー駆動時間:最大約80時間(消灯時),最大約35時間(デフォルト照明) 《ヘッドフォン部》
- スピーカードライバー:PRO-G 40mmドライバー
- 周波数特性:20Hz〜20kHz
- インピーダンス:38Ω(パッシブ)
- 出力音圧レベル:95.3dBA 《マイク部》
- 方式:未公開
- 周波数特性:70Hz〜20kHz
- 感度:未公開
- インピーダンス:未公開
- S/N比:未公開
- 指向性:無指向性
- ノイズキャンセリング機能:なし
G522 LIGHTSPEEDと設定ソフトをチェック。スマホからもカスタマイズできる
Windows側からG522 LIGHTSPEEDがどのように認識されているかも確認してみよう。主にゲームで使用するのは,USB接続かLIGHTSPEED接続だと思うのでこれらを調べてみた。
まず,昔からあるコントロールパネルの「サウンド」のプロパティでは,USB(USB Mode),LIGHTSPEED(Wireless Mode)のどちらも,「ヘッドホン」として認識されている。詳細タブを確認すると,サンプリングレートと周波数は16bit/48kHzか,24bit/48kHzのいずれかを選択できた。
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録音プロパティの「詳細」タブで,本機のマイク仕様を確認すると,1チャネル/16bit/48kHzとの表示がある。これは変更できず,どちらの接続方式でも共通だ。
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PCで使用する場合,Logicool Gの統合設定アプリ「Logicool G HUB」(以下,G HUB)を用いて音質面や動作のカスタマイズが行える。G522 LIGHTSPEEDに重要なポイントに絞って,順に解説していこう。
G HUB上で,G522 LIGHTSPEEDを選択している状態で,画面左端のヘッドフォンアイコンをクリックすると,「EQ」タブが表示されてイコライザを設定できる。
イコライザ設定では,「デフォルト」を含めてあらかじめ5種類のプリセットが用意されており,これらをコピーして調整したり,完全に自分好みのセッティングを追加したりすることも可能だ。
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カスタムで作成したプリセットの場合,イコライザ調整部分の右上に「詳細」という項目があり,こちらにチェックを入れると,特定の周波数のゲインを調整するだけでなく,「Q値」(品質係数)の設定を行うことができるようになる。
次の画像は1kHz部分のゲインを+6dBした状態で,それぞれQ値を最高と最低に設定したものだ。なお,あくまでも設定の効果を説明するための画像で,実際にこのとおりの設定をすることはない。
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見てのとおり,Q値が低ければ低いほど,広い周波数帯域に影響し,高ければその逆の結果が得られる。通常のゲイン調整でも十分だが,より専門的な微調整を行いたい場合には詳細項目を活用するといい。
EQタブの右にある「空間オーディオ」タブは,サウンド技術企業であるDTSのサウンドソフトウェア「DTS Sound Unbound」のダウンロードを促すページになっていた。DTS Sound Unboundは,本来有料のソフトウェアだが,G522 LIGHTSPEEDユーザーであれば,無料で利用できる。なお,本稿執筆時点では,G HUB内でDTS Sound Unboundに関する設定はできない。
DTS Sound Unboundアプリのダウンロードとインストールの後で,Windowsの設定アプリにある「システム」→「サウンド」→ヘッドフォン「G522 LIGHTSPEED」をクリックしてプロパティを開くと,立体音響の項目でDTSのバーチャルサラウンドサウンド技術「DTS Headphone:X」を選択することで利用できる。
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つまり,G522 LIGHTSPEEDでバーチャルサラウンドサウンドを利用する場合,イコライザはG HUBで,サラウンドの定位やプリセットはDTS Sound Unboundで,バーチャルサラウンドのオン,オフはWindowsの設定アプリでと,管理が非常にややこしい。
過去のLogicool G製品では,G HUB側で立体音響のオン/オフを切り替えられたので,この点に関しては少々扱いにくいと言わざるをえない。
G HUBのG522 LIGHTSPEEDページで,マイクアイコンをクリックするとマイク設定に切り替わる。
ここでLogicool G独自の音声技術「Blue VO!CE」をオンにすると,こちらもイコライザと同じく複数のプリセットを選んで適用できるほか,細やかなカスタマイズが行える。
G HUBらしく,イジれる部分は大いにあるが,基本的には好みのプリセットを選択し,入力ゲインを調整すればOKだ。
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スマートフォン/タブレット向けアプリと侮るなかれ。Logicool Gアプリは,基本的にG HUBと同等の機能を備えており,ヘッドセットのファームウェア更新まで行える代物だ。
また本アプリによって,従来のG HUBを用いることができない環境でも,イコライザ設定などが行える。主にスマートフォンやゲーム機との接続時に大きく役立つ機能だが,PCとの接続でも,ゲーム画面から別画面に切り替えることなく,手元のスマートフォンでサッと設定を変えられるのは,非常にありがたい。
ただ,G HUBとLogicool Gアプリは,排他仕様になっていて併用はできない。実用上で困ることは,まったくないだろう。
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「Logicool G」アプリダウンロードページ
「Logicool G」アプリダウンロードページ
ゲームサウンドはイコライザ設定で印象がかなり変わる
以上の特徴を踏まえたうえで,G522 LIGHTSPEEDのサウンドとマイクをテストしていこう。なお今回は,測定機器を用いての検証ではなく,あくまでも筆者の主観による評価になることをお断りしておく。
ゲームで使用する前に,全体的な特性を理解するために,LIGHTSPEED接続で各種設定はデフォルトのままのG522 LIGHTSPEEDを使用して,音楽やポッドキャストを2日間ほど試聴した。第一印象は,いわゆるドンシャリ型なのだが,正確には「ドンというほどではなく,ちょっとシャリ型」とでも表現すべきものだろうか。
イヤーパッドが合皮ではなく,低域が抜けやすい布製ということもあり,低域の主張が激しいという感じはしない。
一方,どういった曲を聞いても,ハイハットの聞こえ方には少々違和感を覚えた。ハイハットを構成する音の一部が抜けているというか,音が伸びずに詰まっている印象を受ける。
これはおそらく,高域の4〜8kHzあたりのどこかに,意図的に強い減衰が設けられているのだろう。いわゆる刺さる音を減衰させることで,長時間のゲームプレイ時に,聞き疲れにくくする狙いがあるのかもしれない。
これを踏まえたうえで,実際にゲームプレイで試聴していこう。接続はLIGHTSPEEDのままで,特別なサウンドデバイスはとくに使用せず,ワイヤレスレシーバーは,PCやゲーム機のUSBポートに直挿している。また,ゲームタイトルとの相性や個人の好みが表れやすい空間オーディオ機能は,一部を除いて使用していない。
まず,デフォルトのイコライザ設定を用いて,PCで「レインボーシックス シージ エックス」や「Apex Legends」といった,いくつかのeスポーツ系FPSタイトルをプレイした。
音は全体的に素直で,聞き取りやすかった。複数の音源が同時に鳴ったときの分離感もそれなりにある。Logicool Gのグラフェン素材ドライバーを採用する上位モデルほどは,音の粒立ち,解像感はなかったが,なにかの音が明確に埋もれてしまうこともなかった。
個人的に興味深いのは,G522 LIGHTSPEEDは,いわゆる低域&高域特化のゲーム特化な音作りではなく,かといってフラットな特性のモニターヘッドフォン風な音作りもしていない。とはいえ,音楽を聞かせるためのエンターテインメント志向な音作りでもないこと。
デフォルト設定では,少々人工的とでも言うべきか,アンバランスな聞こえ方をするものの,ゲームプレイに必要な音を満遍なく拾うような方向性になっている。しかし,中高域(1.4〜4kHz)あたりが少々刺さる印象で,とくに銃撃音が耳に刺さるように聞こえるのが気になった。
そこで,筆者が作成してみたのが,こちらの設定である。詳細設定では,調整する周波数バンドを数字で設定できるのだが,ひとまず標準のバンドを使用してみた。
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このイコライザの狙いは,近距離の足音と遠距離の足音の輪郭を掴みやすくすることと,銃撃時に刺さる音を軽減させること。
5kHzを大きめに盛っているが,これは,先述した4〜10kHzあたりの意図的な減衰が5kHz前後にあるようで,設定をいじくっていたら「あ,ここが谷だ!」と発見したためだ。どうりで機械系のカシャカシャとした高音が,デフォルトだと聞き取りにくかったわけである。
結果としては少々盛ったが,もともと少ない音域を補う程度のイメージなので,そこまで耳障りになることもない。
次は,競技性のない,エンターテインメント重視の娯楽作品としてのゲームや映画を目的にした,派手めなイコライザを作成してみよう。設定の参考にしたのは「FINAL FANTASY XIV」「ディビジョン2」「ペルソナ5 ザ・ロイヤル」などだ。
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エンターテインメント重視のゲームでは,場を盛り上げる音楽が欠かせない。そこで,この設定で重視したのは,まず楽しく音楽を聞けること。5kHzと10kHzをさらに大きく盛っているが,これはハイハットの音を,鳴っているのが分かる程度ではなく,しっかりと鳴って聞こえるものにしたかったためだ。
正直,もともと用意されているプリセットの大半は,人によって好みがはっきり分かれると思う。筆者の場合,2つのプリセットで大抵の場合は楽しめるようになった。
最後にもうひとつ,PlayStation 5の「Tempest 3Dオーディオ」機能もテストしてみた。機能の個人チューニングを済ませた状態で,サウンドにこだわりのあるタイトルとしても有名な「グランツーリスモ7」をプレイしたのだが,かなり相性は良好だった。
レース中に周囲を走る車両の把握は容易だ。それだけでなく,少々専門的な話になるが,前方にモーター,後方にエンジンをマウントした「LMP1」と呼ばれるカテゴリの車両を走らせてみると,ドライバー視点で響く後方からのエンジン音と,前方で甲高い音を上げるモーターの表現には驚いた。
今どきのバーチャルサラウンドサウンド技術の完成度が高いことは当然としても,それに応える,G522 LIGHTSPEEDの音場と,定位感を備えたサウンドづくりを体験できたのではないだろうか。
上位モデルキラーなマイクの実力は?
先述したとおり,G522 LIGHTSPEEDの特徴といえば,Logicool Gのハイエンドヘッドセットに匹敵すると謳っているマイクだ。カタログスペックでは,周波数特性は70Hz〜20kHzと,一般的なゲーマー向けヘッドセットと比較しても,とくに高音域に強い。
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とくに訓練を受けていない人間が,20kHzまでの高音を出せるかはさておき,筆者も試用期間中,ほぼすべてのPCを使用する業務やゲームプレイでのマイクとして,G522 LIGHTSPEEDを使ってみた。
最初は,とくにイコライザを調整せず,自分の声を録音して再生してみた。すると,ヘッドセットのマイクと聞いてパッと連想するような代物ではなく,声の強弱や息遣いなどが,かなり明瞭かつ忠実に録音できている。
2万円台半ばで購入できるヘッドセットのマイクと考えると,たしかに,クラス最高峰のひとつといっても過言ではないだろう。
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ヘッドフォン側の調整と同じく,Blue VO!CEもイコライザなどを細く調整できるが,いくつかあるプリセットから好みのものを選ぶだけで,最初は十分だと思う。
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実際に,Discordを使ってフレンドとボイスチャットを行ったのだが,かなり好評だった。筆者は,普段の声が低めなのだが,ピンチの場面で唐突に裏声で叫んだり,悪魔的な笑い声をあげたりすることもある。そんなときでも,どの音域も安定して声を拾ってくれていたようだ。
なお,ボイスチャットツールや動画配信では,アプリ側の設定によるビットレートなどの問題もある。本機のマイクをしっかりと活用したい場合は,アプリ側の設定にも気を配る必要はあろう。
マイク自体が無指向性であることにも注意だ。構造上,多少は軽減されているとはいえ,やはり単一指向性のマイクと比べると,キーボードやマウスのクリック音を拾いがちである。
こうしたノイズを入れないためには,Blue VO!CEをオンにした状態で,入力ゲインを調整することをお勧めしたい。
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ほとんどの場合,G522 LIGHTSPEEDを使うときはLIGHTSPEED接続を利用すると思う。実際,ワイヤレスのヘッドセットというのは,素晴らしく快適なものだ。ただ,LIGHTSPEED接続とUSB接続で,音質の傾向に差が出るのかというのは気になるところ。
結論から述べると,音質に違いは出る。
リスニング面は明確に差が出るかというと,ブラインドテストでは分からないレベルのものだ。なんども交互に聞き続けて「あれ?」と気付く程度のもので,どちらが優れるというものでもない。
そうは言っても,接続の違いで,マイクはかなり差が出るように思う。接続方式を変えて,何度も自身の声を録音して聞き比べたのだが,LIGHTSPEED接続の録音は,どれも若干,声がやせている印象を受けるからだ。
ただ,ボイスチャット中にUSB接続とLIGHTSPEED接続を切り替えても,声の変化に気づいた人はいなかった。実際の使用時は,通信のビットレートにも影響されるので,明確な差が出るシチュエーションは少ないだろう。
とはいえ,マイクの性能をフルに発揮させたい状況であれば,少々面倒でもUSB接続を推奨したい。
何をするにも「ちょうどいい」ヘッドセット。多くのゲーマーの支持を集めそう
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一定の音質と高品質なマイクを備えつつ,税込直販価格が2万2800円からと,手を伸ばしやすい価格に収まっており,非常に現実的な選択肢のひとつだといえる。
Logicool G製品の多くは,G HUBを初めとするソフトウェアを活用することによって,真価を発揮するものが多い。G522 LIGHTSPEEDは,PC用のG HUBにくわえて,スマートフォン向けアプリからの設定も可能という点は,大きなポイントである。
予算と相談しながらゲーマー向けのヘッドセットを探している場合,G522 LIGHTSPEEDは,選択肢に入れて損はない製品だろう。
LogicoolのG522 LIGHTSPEED製品情報ページ
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- レビュー
- ライター:夏上シキ
- カメラマン:林 佑樹

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