［CJ 2006＃45］ゲームを続けると給料がもらえる？　MMORPG「征途」

　「征途 − 風雨同舟」は，征途客服網站が制作している，2Dグラフィックス仕様の俯瞰視点によるMMORPGだ。2Dなので画面スタイルに派手さはないものの，2D仕様では最高の画質を目指したというゲームだ。社名およびタイトルになっている「征途」は，征服への道の途中という意だそうで，とくに故事成語や架空戦記とは関係ないようだが，割と広く使われている単語らしい。

　このゲームの最大のウリは，大規模PvPである。売り文句によれば「1万人規模の戦いができる」という。通常のMMORPGでは，数十人単位の戦闘がせいぜいで，大規模戦闘をウリにしているものでも数百人程度だったりすることが多いが，中国の人にはまだもの足りないようだ。征途では「万人国戦」がサポートされており，現在の仕様では，1エリアで2万人の戦い（1万人対1万人？）まで動作保証されている。「1万人」という売り文句には，なにやら白髪三千丈的な臭いが漂うが，中国であれば，あながちありえない数字でもないのが怖いところだ。

　中国では，オンラインゲームのプレイヤー数が半端ではない。それを捌くサーバーの構成にも工夫はあるのだろうが，基本的にはとにかく台数でなんとかするという力業がとられる。サーバー（ワールド）を数十に分けて処理しているゲームも珍しくないのだ。
　しかし，それであれば1ワールドあたりの収容人員は少なくなる。同時接続数が50万人でもワールドが100個では，1ワールドあたりには5000人平均でしかプレイヤーがいないので，1万人規模のPvPなどは不可能ということになる。また，1ワールドが数台のサーバーで構成されている場合も，1か所に多大なプレイヤーが集中した場合に無事に動作するかどうかは保証の限りではないだろう。当然ながら，大規模PvPが行われる場合は，1か所にもの凄い人数が集中することになる。これを「動作保証」することは，なかなかできるものではない。

　そのほかの特徴としては，「ゲームを続けていくと給料がもらえる」というのが挙げられる。本作は基本無料のアイテム課金制でサービスされる予定だが，レベル69以上に達したキャラクターには毎月10両が支給され，有料アイテムの購入に使用できるようになる。
　また，クイズ形式の「智力答題」が搭載されており，ゲームの操作がうまいだけではダメで，文武両道を極める必要がある点も面白い特色といえるだろう。
　そのほか，特別なアイテム（人形っぽいものらしい）を使うと，オフラインの友達のキャラクターにも5％の経験値を送り込むことができるシステムが搭載されていたりする。

　征途は，現在クローズドβテストを終え，8月15日からはいよいよ正式サービスが開始される。ゲームで給料を払うシステムがどのように機能するのか，1万人規模の大戦闘は果たしてどんな具合になるのか？　いろいろと興味深いゲームである。（aueki）