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印刷2008/09/08 18:40

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剣と魔法の博物館 モンスター編 / 第100回:コロポックル(Koropokkur)

剣と魔法の博物館 〜モンスター編〜
第100回:コロポックル(Koropokkur)
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 アイヌの人々の伝承の中には,ユニークな種族やモンスターが多数登場する。その中でもとくに有名なのは,コロポックル(コロボックルと呼ばれることも多い)だろう。
 コロポックルは人間型の種族で,非常に小柄なことで知られている。身長は,小さいものでは3センチ,大きいものでは120センチくらいと諸説ある。彼らは,葉の下や縦穴を住居としており,温厚で漁や狩猟を得意としている。人間のように社会を営んでおり,族長などの役職もあるようだ。
 なおコロポックルという名は,アイヌの言葉で「ふきの葉の下に住む者」という意味で,彼らの小ささを表したネーミングとなっている。またアイヌの伝承には,トイチセウンクル(土の家に住む者),トイチセコッチャカムイ(土の家のそばにいる者)というものも登場するが,これらはコロボックルの別名であるらしい。ちなみにトイチセコッチャカムイという呼び名に含まれる「カムイ」は神格を表す言葉でもある。

 コロポックルがゲームに登場することはほとんどなく,プレイヤーキャラクターとしても,また敵としても,出会う機会はあまりない。いわゆる剣と魔法のファンタジー世界のファンはターゲットではないだろうが,「コロボックル」を前面に押し出したタイトルとしては,ニンテンドーDS用ソフトの「牧場物語 コロボックルステーション」が挙げられる。興味のある人はチェックしてみるといいだろう。

 

 ここで北海道に伝わる伝承を紹介しよう。昔々のこと,北海道のある地域では人間とコロポックルが共存していた。コロポックルは,本当に信頼した人の前にしか姿を見せないというシャイ(?)な性格をしており,めったに現れることはなかったが,それでもこっそりと,魚などを人間に贈っていた。
 ところがある日,人間に贈り物を届けていた女性のコロポックルが,心ない人間によって捕まってしまったのである。普段は温厚なコロポックル達だったが,さすがにこれには怒り,人間の集落に襲撃をかけたのである。そして人間たちに罰を与えると,「トカプチ」という呪いの言葉を残していずこかへと立ち去ってしまった。ちなみにトカプチとはアイヌ語で,(土地が)枯れ果ててしまうといった意味の言葉であり,大地にかけた呪いの一種と見ていいだろう。その後,このトカプチがなまってトカチとなり,十勝地方の由来になったという説がある。
 最後に,コロポックルの眷属と思われる種族も紹介しておきたい。北海道の伝承にはコロポックルによく似た種族として,「パウチ」という小人が登場する。こちらは優れた着物などを作ることで知られているのだが,コロポックルのように温和ではなく,人々をだましたり誘惑したりするという。北海道上川町にある層雲峡(そううんきょう)という峡谷は,パウチの作った要塞として伝わっており,近くを通りかかった船がパウチの被害にあったという記録も,多数残されているという。

 

次回予告:コボルト

 

■■Murayama(ライター)■■
 ファンタジーテーマのゲーム,とくにMythic EntertainmentのMMORPG「Dark Age of Camelot」が大好きだというMurayama。当然,同社の新作MMORPG「Warhammer Online: Age of Reckoning」にも大注目しており,Collector's Editionを複数購入するほどの入れ込みようである。しかし,残念ながら仕事が忙しく,予約者特典のβテストにも,オープンβテストにもろくに接続できない状況だという。今回の原稿は比較的早いタイミングで送られてきたので,その言葉に偽りはなさそうだ。
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