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男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ:第589回「『デスマッチラブコメ!』で考える,商品になる文章とは?」
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印刷2020/07/09 11:00

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男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ:第589回「『デスマッチラブコメ!』で考える,商品になる文章とは?」

画像集#001のサムネイル/男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ:第589回「『デスマッチラブコメ!』で考える,商品になる文章とは?」

著者近影
画像集#002のサムネイル/男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ:第589回「『デスマッチラブコメ!』で考える,商品になる文章とは?」
 最近,本業のプロレスのほうで,珍しく専門誌からのインタビューを受けまして。私,あまり本業で評価されることがないのよね。まあ,評価されたくてこの仕事をヤっているわけじゃないからいいんだけど。ただ久しぶりにインタビューを受けて,思い出すことが多かったの。
 そういえば私,文章を書く職業に就きたかったのよ。昔から。具体的には高校生くらいから。で,印税生活で働かなくても生活できるようになりたかった。そう思って生きていたら,縁あってたまたま大学で学生プロレスを始めてしまった。そして大学を6年かけて卒業したんだけど,そのタイミングで思ったのよ。このまま大阪にいたらプロレスを続けちゃうなって。だから,一度人間関係をリセットするために身寄りのない東京にやってきたのよね。
 そしたら,ある雑誌の編集の人が小さなプロレス団体の関係者で,「学生プロレスをヤっていたなら,練習に出てみない?」って誘われて。少し運動でもするかぐらいの気持ちで練習に出てみたところ,気付けばその団体の大会でカードが組まれていたっていう。
 結局,そのままプロでヤっていくことになるんだけど,その時期に考えたのよね。夢の印税生活をするには,文筆の世界で一から積み上げていくよりも,プロレスである程度有名になってから文章を書くほうが,むしろ近道なのではないか,と。そんなこんなで今に至るんだけど,結局東京に来て20年近く経って,別の部分で気付いちゃうわよね。私には才能がない,という事実に。
 おかげさまで,こうやって長らくプロレスラーという立場で4Gamerで文章を書かせてもらっているから,ある種物書きで生活するということはできているんだけど,これって結局いわゆるコラムサイズの文章なわけで。印税生活に必要なのは本一冊分の文章を書く力。その力が私には圧倒的に足りていない。なので,私は“商品となる文章”にすごく憧れを抱いているのよね。では,商品となる文章とは何か。

画像集#003のサムネイル/男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ:第589回「『デスマッチラブコメ!』で考える,商品になる文章とは?」
 ……という前置きのうえで今週紹介するのは「デスマッチラブコメ!」PC / PlayStation 4 / Nintendo Switch)。文章を読んでいくタイプのアドベンチャーゲイムね。この手のゲイムで一番好きなものを問われたら,「428 〜封鎖された渋谷で〜」「レイジングループ」「インフィニットループ 〜古城が見せた夢〜」,そして「かまいたちの夜」を挙げるわ。一番と言いながら絞り切れていないあたり,優柔不断で可愛いわね私。
 で,今回紹介するデスマッチラブコメ!は,レイジングループの作者が以前手掛けた「D.M.L.C.-デスマッチラブコメ-」iOS / Android / Wii U)をリメイクしたものらしいのよ。そりゃまあプレイしてみるわよね。
 まだ序盤もいいところだから内容の良し悪しまで触れられないんだけど,少なくとも「ああ,商品になる文章ってこういうものなんだな」とは思ったわ。どういうことかと言うと。この手のテキストアドベンチャーって,一つの画面ですんなり読める文字量ってせいぜい3行くらいなのよ。テキストとサウンドを重視した作品の場合は,その限りではないんだけど。
 映像を見せながら読ませていくタイプの作品の場合は,その3行で今の状況を伝えないといけない。もちろん長文になると行送りもできるんだけど,逆に言うと行を進めてしまうと今度は前に出していた3行が消えてしまうわけだから,すぐ忘れられちゃう。なので,できるだけ3行を細かくつないでいって物語を展開しなければならない
 それでいて,あまりにも意味のありすぎる文章が続くと,これまたプレイヤーの集中力がもたなくなってしまう。だから,読み流させるべきところは読み流させる必要がある。結局のところ“商品になる文章”って,読まれてナンボではありつつも,一番伝えたいところを伝えなければならないという難度の高い文章のことなのですよ。まあ,これにはターゲット層という要素もあって,一概には言えないところではあるんだけど。
 例えば,好きなアイドルが書いた文章って,どんなに読みづらくても集中して読むでしょ? それはそれで“商品になる文章”なのですよ。ファンに向けて書いている目的であればね。

画像集#004のサムネイル/男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ:第589回「『デスマッチラブコメ!』で考える,商品になる文章とは?」 画像集#005のサムネイル/男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ:第589回「『デスマッチラブコメ!』で考える,商品になる文章とは?」

画像集#008のサムネイル/男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ:第589回「『デスマッチラブコメ!』で考える,商品になる文章とは?」
 ただ,テキストアドベンチャーゲイムの場合,とくにファンでもない人が読んでも最後まで読めるか,伝えたいことが伝わるか,そもそも感情移入して興味深く読めるかを意識して書かれている。デスマッチラブコメ!は,もともとラブコメというジャンルに興味がない私でも,今のところは興味を持って読めているし,三行単位でこんな文章が書けるのは羨ましいなと思ったりもしているわ。
 ゲイムについて触れていない気がするけども,テキストアドベンチャーって目玉焼きみたいなもんで,卵の品質こそがおいしさのほとんどなのですよ。もちろん,まずくすることはいくらでもできるけども,逆においしいと思わせるポイントはシンプルなのよね。ズバリ,その卵がおいしいかどうか。テキストアドベンチャーで言うところのテキストが面白いかどうか。
 なので,最後までプレイできるかどうかがこのゲイムが面白かったかどうかの基準になるんだろうなと思うわけです。今のところ,私は引き込まれているという情報はお伝えしておきます。

画像集#006のサムネイル/男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ:第589回「『デスマッチラブコメ!』で考える,商品になる文章とは?」 画像集#007のサムネイル/男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ:第589回「『デスマッチラブコメ!』で考える,商品になる文章とは?」

 というわけで,今週はデスマッチラブコメ!を紹介しつつも,テキストアドベンチャーにおける文章について考えてみました。あと,本も買いました。読書したい気分なのかしら? 一人になりたいのかな? もともと一人だけども。そんな感じで,読むという行為に興味があるならば,ぜひ試してほしい作品だと思います。そんな感じでまた来週。

今週のハマりゲイム
PlayStation 4:「ドアズ・アンド・ルームズ
Nintendo Switch:「デスマッチラブコメ!
iOS:「龍が如く ONLINE
iOS:「ハンドレッドソウル
iOS:「ウイニングイレブン カードコレクション

■■男色ディーノ(プロレスラー)■■
ディーノ選手が所属するDDTプロレスは,7月12日に東京・板橋グリーンホール大会「サマーイタバシリーズ」を開催します(動画配信サービス「WRESTLE UNIVERSE」では7月15日18:00より配信予定)。ディーノ選手は大鷲 透選手とのタッグで,大石真翔選手&渡瀬瑞基選手,勝俣瞬馬選手&飯野雄貴選手と3WAYタッグマッチで対戦予定。やっぱり「敵味方関係なく全員ぶっ潰す」そうです。
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