動作クロック1GHzの壁を破ったOC版「ATI Radeon HD 4890」が出荷開始に

　北米時間2009年5月13日，AMDは，動作クロック1GHzを実現する「ATI Radeon HD 4890」搭載カードの出荷が始まったと発表した。

→AMDによる英文ニュースリリース

HD 4890リファレンスカード。AMDはクロックアップ版HD 4890を「世界で初めて，空冷で1GHzの壁を破ったGPU」と位置づけるが，NVIDIAはMulti-Clock Domain Design（マルチクロックドメインデザイン）により，コアよりも高いクロックでシェーダユニットが動作する仕様になっており，シェーダクロック1GHz超えのGPUはけっこう当たり前に存在している

　これは，コアクロック850MHzの「ATI Radeon HD 4890」（以下，HD 4890）を，カードメーカー各社がクロックアップ（＝Factory Overclock）することで実現されるもの。150MHzというコアクロックの引き上げにより，演算性能はリファレンスの1.36TFLOPSから，1.6TFLOPSへと向上したという。
　発表当初からAMDは，「HD 4890は，オーバークロックによって動作クロック1GHz超えが可能」とアピールしていたが，今後は，コアクロック1GHz版の搭載カードが動作保証付きで流通することになる。リリースによれば，動作クロック1GHz版HD 4890を搭載したグラフィックスカードは，ASUSTeK Computer，PINE Technology（XFX），Sapphire Technology，Tul（PowerColor）から登場する見込みだ。

　なお，AIB（Add-In-Board）パートナー関係者によると，2009年春にリリースされたもう一つの新型GPU，「ATI Radeon HD 4770」については，メーカーレベルのクロックアップモデルを出荷することが（少なくとも現時点では）AMDによって禁止されているという。いずれ解禁されるのか，上位モデルが投入されたりするための措置なのかは分からないが，“高クロック版ATI Radeon HD 4770”に期待していたという人は注意が必要かもしれない。