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GeForce GTX 200
  • NVIDIA
  • 発表日:2008/06/16
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ASUSオリジナルデザインのGeForce GTX 275搭載カードを試す。リファレンスカードから約10W低下した消費電力に注目
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印刷2009/04/22 10:30

レビュー

信頼性の向上と発熱の低減を図ったオリジナルデザインの効果検証

ASUS ENGTX275/HTDI/896MD3

Text by Jo_Kubota

»  公称スペックの時点で,上位モデル「GeForce GTX 285」より36Wも消費電力が高い「GeForce GTX 275」は,先のレビューでも実際に高いスコアを示していた。そんななか,ASUSから発表された搭載カードは,同社オリジナルデザインとのことで,“最大の懸案事項”への対策も期待できそうだが,実際のところはどうだろうか。


ENGTX275/HTDI/896MD3
メーカー:ASUSTeK Computer
問い合わせ先:ユニティ(販売代理店) news@unitycorp.co.jp
予想実売価格:3万6000円前後(2009年4月22日現在)
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 2009年4月2日のレビュー記事でお伝えしたとおり,「ATI Radeon HD 4890」キラーとして登場したGPU,「GeForce GTX 275」(以下,GTX 275)は,期待どおりの3D性能を発揮する一方,上位モデルを超える消費電力が,マイナスポイントとして存在していた。「GeForce GTX 285」より36Wも高い公称消費電力は,実際のテストでも,暗い影を落としてしまっていたわけだ。
 そんななか,ASUSTeK Computer(以下,ASUS)は,同社独自のカードデザインを採用し,配線や回路の最適化を行ったというGTX 275搭載グラフィックスカード「ENGTX275/HTDI/896MD3」(以下,ENGTX275)を発表してきた(関連記事)。ASUSによれば,22〜23日ごろから広く店頭販売も始まる見込みだが,「最適化」によって,気になる消費電力はどう変わっているだろうか。パフォーマンスともども,検証してみたいと思う。


サイズは同じながらデザインを一新した新基板

搭載部品の高品質化も謳われる


 ENGTX275の見た目は,NVIDIAによるGTX 275リファレンスカードと,ほとんど変わらない。実測約266mm(※突起部除く)というカード長に,2スロット仕様の外排気GPUクーラーを搭載する外観は,そっくりといっていいだろう。

ENGTX275を別の角度から。外部電源コネクタが6ピン2系統になっている点など,基本的にはGTX 275リファレンスカードと同じ外観だ。ぱっと見て分かる違いは,基板の色と,GPUクーラーに貼られたシールくらいか
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ENGTX275の製品ボックスでは,オリジナルデザインについて,「究極の装備」(Ultimate Armaments)であると謳われている
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 しかし,GPUクーラーを外すと,基本的なレイアウトこそ共通ながら,電源周りの印象はずいぶん異なるものになっているのが見て取れる。ENGTX275では,EMI(≒電磁波)シールドが強化されたほか,過電流保護回路「Fuse Protection」や,耐久性の高い固体コンデンサ,オン抵抗の低い(≒大電流を効率よく整流できる)MOS-FET,省電力なコイルを搭載することで,カード全体の信頼性と耐久性を向上させ,発熱量を低下させたとアピールされているが,確かに,手はそれなりに入っている印象だ。
 カード裏面のシルク印刷から推測するに,リファレンスカードは「P897」という基板を採用しているようだが,ENGTX275ではこれが「C897P」となっていたことも付記しておきたい。

上段がENGTX275,下段がGTX 275リファレンスカード。GPUパッケージ周辺に大きな違いは見られない一方,電源周りから受ける印象はずいぶん違う。よく見るとGPUクーラーの設計もわずかに異なっている。なお,ENGTX275で,6ピンの電源コネクタ,そしてビープ音用スピーカーの近くに置かれた,金とクリーム色の部品がFuse Protectionのようだ
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 一方,搭載するメモリチップはSamsung Electronics製のGDDR3「K4J52324QH-HJ08」(0.8ns品)で,これはリファレンスカードと同じ。GPU情報表示ツール,「GPU-Z」(Version 0.3.3)で確認したところ,動作クロックはコア633MHz,シェーダ1404MHz,メモリ2268MHz相当(実クロック1134MHz)で,これもリファレンスカードと変わらなかった。

入手したENGTX275が搭載するGeForce GTX 275 GPU(左)。リファレンスカードとは異なり,ENGTX275が搭載するGPUパッケージには「G200-105-B3」というコードを確認できた。右は搭載するGDDR3メモリチップで,動作電圧2.05Vの品
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GPU-Z実行結果。グラフィックスカードのBIOS「VBIOS」のバージョンが異なったりはしているが,動作クロックに違いはない(※いずれも,サムネイルをクリックすると,別ウインドウで全体を表示します)
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 以上を踏まえて,テストのセットアップに入っていくが,まずシステムはのとおり。ENGTX275とGTX 275リファレンスカードを1対1――俗にいうApple-to-apple――で比較する。
 テストスケジュールの都合により,4Gamerのベンチマークレギュレーション6.0に完全準拠することは難しかったため,今回は「3DMark06 Build 1.1.0」(以下,3DMark06)「Crysis Warhead」「Company of Heroes」のみ採用。ただし,これだけではさすがに数が少ないため,今回は「ラスト レムナント」から,ベンチマークツールも実行することにした。
 なお,ラスト レムナントはUnreal Engine 3.0ベースのタイトルで,基本的にアンチエイリアシングが正しく機能しないため,本タイトルで「高負荷設定」のテストは省略し,アンチエイリアシング&テクスチャフィルタリング無効の「標準設定」でのみ,テストを行うこととしている。

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アプリ実行時に消費電力は10W前後低く

ASUSの謳う「発熱の低減」も確認


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 というわけで,さっそく,気になる消費電力から見てみよう。
 テストには,消費電力推移のログを取得できる「Watts up? PRO」を利用。OS起動後,30分放置した時点を「アイドル時」,各アプリケーションを実行したとき,最も消費電力の高かった時点を,それぞれ実行時として,スコアをまとめたのがグラフ1である。

 ご覧のとおり,アプリケーション実行時におけるENGTX275の消費電力は,リファレンスカード(※グラフ中「GTX 275」,以下同)と比べて,平均で約10W低い。4月2日のレビュー記事で,アプリケーション実行時におけるGTX 275の消費電力値はGTX 285と比べて(1〜20Wとやや荒れ気味だったのを)平均すると約9W高かったので,単純計算すれば,ENGTX275の消費電力は,GTX 285リファレンスカードと同等レベルに落ち着いたことになる。
 もちろんこれはあくまで計算上のものだが,平均で10Wという違いに,相応の意義を認めることはできそうだ。

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 この理由を探るべく,xtremethemeのBIOS編集ツール「NiBiTor」(Version 5.0)を使って,GPUコアの電圧設定をチェックしてみたのが下のスクリーンショットだ。アプリケーション実行時に相当する「Voltage 4」で,ENGTX275のほうが,リファレンスカードより0.01V低い1.17Vを示しているが,いくらなんでも,10Wもの違いを生むにしては,差が小さすぎる。ASUSが謳うとおり,独自のカードデザインと部材の選定が,大きく影響しているのだろう。

NiBiTor実行結果。左がENGTX275,右が入手したGTX 275リファレンスカードのもので,アプリケーション実行時のVID設定のみ,微妙に異なっていた(※いずれも,サムネイルをクリックすると,別ウインドウで全体を表示します)
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 続いてグラフ2は,22℃の室内において,3DMark06の30分連続実行時点を「高負荷時」とし,アイドル時ともども,GPU温度を計測した結果だ。温度は「HWMonitor Pro」(Version 1.05)から取得しているが,ここでは,高負荷時のGPU温度が若干下がっていることに注目したい。
 筆者の主観になることをお断りしつつ書き進めると,GPUクーラーの動作音は両製品で大きく変わらないため,ENGTX275で,たしかにASUSが主張するとおりの発熱量低減は実現されていると評してよさそうだ。まあ,6℃というスコアからして,こちらは部材の最適化というより,動作電圧が0.01V下がった影響のほうが要因としては大きそうだが。

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 パフォーマンスもチェックしておこう。グラフ3,4は3DMark06のテスト結果で,標準設定,高負荷設定とも,ENGTX275のほうが,GTX 275リファレンスカードよりもスコアはわずかに上だ。ほとんど測定誤差のような違いしか出ていないので,これをことさら騒ぎ立てるつもりはないが,動作クロックが同じである以上,「カードデザイン最適化の効果が多少なりとも出ている」,とはいえるかもしれない。少なくとも,省電力化を図った結果,パフォーマンスが低下したりといった心配は無用だ。

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 実際のアプリケーションにおける結果だが,Crysis Warheadのスコアはグラフ5,6のとおり。高負荷設定時はまったく変わらないが,標準設定ではすべての解像度でENGTX275のほうが1fpsだけ高い。

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 グラフ7〜9は,Crysis Warheadと比べると描画負荷の低い,Company of Heroesとラスト レムナントのテスト結果。Company of Heroesの1024×768ドットでは,CPUボトルネックに起因すると思われるスコアのブレが見られるものの,それ以外では同じか,(体感には影響しないレベルで)多少高めのスコアが出ている。

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オリジナル基板のメリットは確実にあるENGTX275

価格が下がってくれば有力な選択肢に


製品ボックス
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 以上,ENGTX275には,ASUSオリジナル設計の基板を採用したメリットが確実にある印象だ。動作クロックが同じこともあって,パフォーマンスはリファレンスカードとほとんど変わらないが,それだけに,アプリケーション実行時の消費電力とGPU温度が確実に改善しているのは魅力といえる。

 4月下旬時点において,リファレンスデザインを採用したGTX 275搭載カードの実勢価格はだいたい3万〜3万2000円程度で推移中。さらに,下位モデルとなるStreaming Processor 216基版「GeForce GTX 260」搭載カードの価格は下落傾向にある。そんな状況にあって,ENGTX275の3万6000円前後という予想実売価格には,さすがに多少の割高感が否めない。
 ただ,価格がこなれてくれば話は別だ。今すぐは難しいかもしれないが,3万円前後,あるいはそれ以下で販売されるようになると,一味違ったGTX 275カードとして,ENGTX275は面白い存在になってくるだろう。

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