2024年の1月から4月まで行われていた,韓国のリーグ・オブ・レジェンド公式eスポーツリーグである「League of Legends Champions Korea」(以下,LCK)が,危機を迎えている。
Riot Gamesが2024年1月に開催した「2024 LCK Spring」は,開始前から大きな注目を集めていた。2023年の国際大会ではLCKの選手が相次いで大きな成果を上げており,グローバルレベルでLeague of Legends(LoL)ファンの視線が集まっていたのだ。しかし,2月末からリーグを狙ったDDoS攻撃で試合は遅れ,最終的には録画放送に切り替えられたのだ。
LCKに対する最初のDDoS攻撃は,2月25日のLCK Spring第5週49試合目の「DRX vs. DK」の試合で初めて発生した 。当時は単純な技術的なエラーと思われていたが,後日にはリーグそのものを狙った悪意のある攻撃であることが判明し,対抗措置が続いた。
最初のDDoS攻撃の後,十分な対策を行ったが,6週目に入っても対抗措置は効果を発揮できず,結局リーグは録画中継に切り替えられた。DDoS攻撃の犯人達に詳細な試合時間を知らせないための措置だったのだが,無観客の録画放送は,ファンにも選手たちにも大きな影響を与えた。
その後,LCKとRiot Games Koreaは試合時間を公開せず,オフラインサーバーを導入して防御態勢に入ったのだが,幸いにもその防御策は効果を発揮し,選手たちは再び観客と時間を共にし,残りのSpringレギュラーシーズンを終えることができた。
LCK Springプレーオフ第2ラウンドの試合で,強力な優勝候補だったT1はHanwha Lifeに0:3で敗れた。チームの主軸であり,レジェンドプロゲーマーであるFaker(イ・サンヒョク)は,その後のインタビューで不公平感を口にした。継続的なDDoS攻撃で,個人の練習環境が完全に破壊されたのだ。
Fakerは「League of Legends」最高のスタープレイヤーであり,2023年「League of Legendsワールドチャンピオンシップ 」優勝者でもある。LCK優勝は通算10回,ワールドチャンピオンシップで優勝4回など,「League of Legends」のeスポーツにおける,生きた伝説のような選手だ。
その彼による「DDoS攻撃のために練習ができなかったので不公平を感じる」という趣旨の発言は,大きな波紋を呼んだ。個人アカウントでプレイが不可能なほどのDDoS攻撃を受けたので,Riot Games KoreaとLCKは仮アカウントを付与したが,それはやはり試合に影響を与えてしまったのだ。