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[SIGGRAPH]CG映像の祭典「エレクトロニックシアター」公開〜見応えある入選作をムービー中心で紹介(前編)
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印刷2010/07/31 16:41

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[SIGGRAPH]CG映像の祭典「エレクトロニックシアター」公開〜見応えある入選作をムービー中心で紹介(前編)

ETの会場
画像集#002のサムネイル/[SIGGRAPH]CG映像の祭典「エレクトロニックシアター」公開〜見応えある入選作をムービー中心で紹介(前編)
 SIGGRAPHでは毎年,CGムービーのコンテストおよび上映会「Computer Animation Festival」(コンピュータアニメーションフェスティバル,以下 CAF)が開催される。
 CAFには,ショートショート作品やリアルタイムレンダリング作品,商業映画作品のメイキング映像,学生制作のアマチュア作品など,さまざまな作品が出展されている。そしてそれらをSIGGRAPHのCAF審査委員会が選定し,ジャンルごとの入選作をシアターで公開するのが慣わしだ。
 数ある入選作品のうち,さらに選りすぐりの作品については,SIGGRAPH看板イベントの1つである「Electronic Theater」(エレクトロニックシアター,以下 ET)で上映されるのも通例である。

 ただ,2年前にロサンゼルスで開催されたSIGGRAPH 2008のときは,当時オープンしたばかりの「NOKIA Theatre L.A.LIVE」を利用した豪華な開催だったのだが,世界規模で生じた経済危機の影響で来場者が減ったためかどうか,SIGGRAPH 2010では,本会場である「Los Angeles Convention Center」内カンファレンスルームの開催となってしまった。

上映に使われたプロジェクタ。とくに説明やアピールはなされなかった
画像集#003のサムネイル/[SIGGRAPH]CG映像の祭典「エレクトロニックシアター」公開〜見応えある入選作をムービー中心で紹介(前編)
 ETは例年,ソニーをはじめとする大手映像機器メーカーから業務用プロジェクタの最上位機種を借り受けて上映される。イベント開催時には,その機材についての説明もあるのだが,今年は一般的なイベント業者からのレンタル機材だったようで,そういったアピールもなし。しかも,ちゃんとしたシアター設備での開催ではなかったため,座席数の割にスクリーンが小さいとか,座席に傾きがないため,後ろのほうだと見づらいとかいった残念な点があった。2011年の加バンクーバー市開催では改善を期待したいところだ。

 さて,今年のETだが,入選作の多くは映画のメイキング作品だった。これは昨今の立体視映画ブームの影響と無関係ではないだろう。
 日本の作家やスタジオの作品からは,「HANABEAM」「The Light of Life」「Suiren」の3作品が入選。いずれも,独特の世界観を見せつける力強い作品だった。

 以下,入選作の中から,なかでもとくにユニークな作品をピックアップして紹介しみたい。


Upgrades

〜Anya Belkina/Emerson College


画像集#004のサムネイル/[SIGGRAPH]CG映像の祭典「エレクトロニックシアター」公開〜見応えある入選作をムービー中心で紹介(前編)
 ペイントソフトの“進化”を皮肉たっぷりに描いたコメディショート。
 最初はまじめに進化の様子が語られるが,最後のほうはもう嘘だらけ。とはいえ,ソフトウェアの“アップグレード”の真意,あり方を考えさせられると同時に,痛快な笑いも誘われる良作だ。上映時,最も拍手が起こった作品の1つである。

Upgrades from Anya Belkina on Vimeo.



2012-Escape from L.A.

〜Timothy Enstice/Digital Domain


画像集#005のサムネイル/[SIGGRAPH]CG映像の祭典「エレクトロニックシアター」公開〜見応えある入選作をムービー中心で紹介(前編)
 パニック映画「2012」の特殊効果解説映像。ロサンゼルス市の地盤が地震によって崩壊し,海に飲み込まれていくシーケンスには,Digital Domain Productionsが新開発したシミュレーションシステム「Drop」が利用されている。
 版権の都合で,ムービーが公開されていないのは残念だ。


2012-Escape from L.A.

〜Stephan Trojansky/Scanline VFX


画像集#006のサムネイル/[SIGGRAPH]CG映像の祭典「エレクトロニックシアター」公開〜見応えある入選作をムービー中心で紹介(前編)
 2012から,もう一作入選。
 大洪水がヒマラヤ山脈に流れ込むシーン,米海軍空母JFケネディがひっくり返りながらホワイトハウスに激突するシーンでは,ScanlineVFXが開発した流体物理シミュレーションが応用されている。


AMF“The Caterpillar”

〜Melissa Knight/The Mill


画像集#007のサムネイル/[SIGGRAPH]CG映像の祭典「エレクトロニックシアター」公開〜見応えある入選作をムービー中心で紹介(前編)
 毛虫が蝶になるまでを,ややコミカル気味に描いたTVCF映像。毛虫,アリ,カエル,植物,水といったあらゆる要素がCGにて超リアリズムタッチで描かれている。
 Motionographer.comで全編を鑑賞可能だ。

Motionographer.com


Assassin's Creed II

〜Szilvia Aszmann/Digic Pictures


画像集#008のサムネイル/[SIGGRAPH]CG映像の祭典「エレクトロニックシアター」公開〜見応えある入選作をムービー中心で紹介(前編)
 15世紀のルネッサンス時代。敵対勢力の罠によって破滅させられた元貴族・エツィオの復讐劇を描いた人気作「Assassin's Creed II」(邦題 アサシン クリードII PC/PlayStation 3/Xbox 360)のプロモーション映像。SIGGRAPH Asia 2009では最優秀技賞を獲得した作品だが,今回は本家SIGGRAPHのETに入選したわけだ。
 映像はインゲームエンジンによるものではなく,ハンガリーのCGプロダクションであるDigic Picturesによって,オフラインレンダリングされたものになる。



Audi Intelligently Combined

〜Timothy Enstice/Digital Domain


画像集#009のサムネイル/[SIGGRAPH]CG映像の祭典「エレクトロニックシアター」公開〜見応えある入選作をムービー中心で紹介(前編)
 Audi A4のTVCF作品。クルマの外装から内装,機関パーツまでを等分分割してモデリングして,カプセル化して配列し,ルービックキューブよろしくカプセルを回しながら作り上げていくという,CGならではのビジュアル表現を駆使した意欲作品だ。先ほど紹介した映画,2012で特殊効果を担当したDigital Domainの作品である。



Barclaycard Rollercoaster

〜Shelly Jeske/The Mill


画像集#010のサムネイル/[SIGGRAPH]CG映像の祭典「エレクトロニックシアター」公開〜見応えある入選作をムービー中心で紹介(前編)
 クレジットカード会社BarclaycardのTVCF作品。あるオフィスワーカーの“通勤模様”が描かれる。
 「支払いがスムーズでまるでジェットコースターのよう」というのを,実写とCGの組み合わせで構成したコメディだ。



Day And Night

〜Chris Wiggum/Pixar


画像集#011のサムネイル/[SIGGRAPH]CG映像の祭典「エレクトロニックシアター」公開〜見応えある入選作をムービー中心で紹介(前編)
 擬人化された昼と夜が互いにどちらが優れているかを競い合うほほえましいアニメーション作品。制作はPixarだ。イメージとしては童話「北風と太陽」にも似た感じ。技術的にどうというよりは,Pixarらしいストーリーテリングの見事さを再確認できる一作である。
 ビデオはGamaniak.comで閲覧可能。

Gamaniak.com


Dog Fish

〜Julia Tagger/BITT


 魚と犬が合体した合成動物「Dog Dish」が,飼い主と仲良く戯れる様子を描いた,不思議な作品。飼い主の青年は人間で,一方の“魚犬”はCGで描かれているわけだが,実写映像と巧妙に合成され,飼い主とのインタラクションも自然なため,思わず普通に見入ってしまう。赤塚不二夫の「ウナギイヌ」を実写化したらこんな感じか。
 ちなみに,この作品はとある製品のTVCFだ。一体何のTVCFかは見てのお楽しみ。



Fenrir

〜Annabel Sebag/Premium Films Distribution


画像集#012のサムネイル/[SIGGRAPH]CG映像の祭典「エレクトロニックシアター」公開〜見応えある入選作をムービー中心で紹介(前編)
 「太陽に長い眠りを邪魔されて腹を立てた魔獣Fenrirは太陽を食べてしまう。世界は闇に包まれ,光を取り戻すために謎の勇者が立ち上がる」というシリアス系ショートショート。Annecy国際映画祭のオープニング・アニメーション作品だ。



Ford Pop-up

〜Shelly Jeske/The Mill


 Ford FocusのTVCF作品。CGで精巧に再現された飛び出す絵本の中をFocusが走り回るというものだ。
 最初は“いかにも飛び出す絵本”といった風情のページ内を走るFocusだが,いつしか絵本を飛び出し,“飛び出す絵本調”で再現された外の世界を走り出す。



Harmonix The Beatles: Rock Band Intro Cinematic

〜Yolande Clerke/Passion Pictures


画像集#013のサムネイル/[SIGGRAPH]CG映像の祭典「エレクトロニックシアター」公開〜見応えある入選作をムービー中心で紹介(前編)
 Harmonix Music Systemsが開発した音楽ゲーム「The Beatles: Rock Band」のプロモーション作品。アニメ化されたビートルズのメンバーが,ヒット曲のメロディに乗せて,曲にちなんだ幻想的な世界を駆け巡っていく。

The Beatles Rockband Intro from Stephane coedel on Vimeo.




Iron Man 2

〜Greg Grusby/Industrial Light & Magic


画像集#014のサムネイル/[SIGGRAPH]CG映像の祭典「エレクトロニックシアター」公開〜見応えある入選作をムービー中心で紹介(前編)
 日本でも公開中のSFアクション映画「Iron Man 2」メイキング映像。特殊効果はジョージ・ルーカス率いるILMが担当している。
 主役級ロボットの2体の激闘は,合成用スーツを着込んだ実際の俳優がライブアクションで行い,これに対してCGのロボットや背景の破壊描写を合成していくという様子が上映された。残念ながらこれも公開されていないが,バーチャルセットと現実セットとをシームレスに合成させていく技術の確かさは,さすがILMといったところだ。


HANABEAM

〜W+K東京LAB&Polygon Pictures


 日本のブレイクビーツユニット「HIFANA」(ハイファナ)のニューアルバム「24H」。そのプロモーション映像だ。冒頭で紹介したとおり,日本のスタジオの作品である。
 CGとしてポップなタッチで描かれた日本の妖怪達が,花火の打ち上げ音に合わせて陽気に踊りまくる。サイケでどことなく和風テイストが入り交じった独特なイマジネーションはまさに唯一無二といった感じ。



Loom

〜Ilija Brunck/Polynoid


画像集#015のサムネイル/[SIGGRAPH]CG映像の祭典「エレクトロニックシアター」公開〜見応えある入選作をムービー中心で紹介(前編)
 ドイツにある映像製作専門学校「Filmakademie Baden Wurttemberg」出身のプロダクショングループ「Polynoid」による作品。ETでは最優秀作品に選出された。
 「蜘蛛の巣に引っかかってしまった蛾は,蜘蛛の糸が体に絡みついた状態で懸命にもがく。一方,蛾を捕食するために蜘蛛は動き出す」という,自然界では日常茶飯事に繰り広げられる,捕食者とその犠牲者との戦いを,ハイスピードカメラで捕らえたようなスローモーションタッチで描いている。

 蜘蛛の毒々しい表情,蛾の鱗粉の質感,そして両者のリアルすぎるほどリアルな動きがCGであることを忘れさせてしまうが,本作は紛れもないデジタル作品。時折介入するデジタル的な特殊効果と,ノイズともBGMともおぼつかない独特なサウンドトラックとのマッチングも見事だ。

Polynoid Loom Teaser from Polynoid on Vimeo.




 後編では学生最優秀作品や審査員特別賞を含む残りのET注目作品を紹介していく。
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