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[gamescom]Microsoftが手掛けた初のFree-to-Playゲーム「Age of Empires Online」が,失敗した理由とは
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印刷2013/08/20 14:38

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[gamescom]Microsoftが手掛けた初のFree-to-Playゲーム「Age of Empires Online」が,失敗した理由とは

画像集#006のサムネイル/[gamescom]Microsoftが手掛けた初のFree-to-Playゲーム「Age of Empires Online」が,失敗した理由とは
Microsoft Game Studios ケヴィン・ペリー氏
 現地時間の2013年8月19日,ドイツ・ケルンでgamescom 2013に先駆けてゲーム開発者会議「GDC Europe 2013」が開幕した。Microsoft Game Studiosでプロデューサーとして,同社タイトルの運営面を担当するケヴィン・ペリー(Kevin Perry)氏は,「F2P: The Wrong Way」(基本無料ゲームの誤った方向性)と題したセッションで壇上に立ち,2011年8月にローンチされたオンラインRTS「Age of Empires Online」に関する事後分析を語った。

 ペリー氏がMicrosoft Game Studiosに入社したのは,すでにAge of Empires Onlineがローンチされた後となる2012年春。そもそも同作は,人気RTS「エイジ・オブ・エンパイアーズ(AoE)」シリーズを生んだEnsemble Studiosの中核メンバーにより設立されたRobot Entertainmentのプロジェクトとして制作がスタートしたものの,ローンチ直前にはGas Powered Gamesが開発に参加するなど,極めて難航したことで知られる作品だ。

画像集#010のサムネイル/[gamescom]Microsoftが手掛けた初のFree-to-Playゲーム「Age of Empires Online」が,失敗した理由とは

 Microsoft Game Studiosとして初のFree-to-Playゲームであり,同社のPCゲーム部門の将来を担う重要な位置づけだったはずだが,残念ながら2013年1月にはペリー氏自身によって「今後,アップデートは行わない」と発表されている。DAU(日間アクティブユーザー数)は1万2000人程度で横ばいのまま,サーバーの運営と管理だけが行われているという状態だ。

 ペリー氏によると,Age of Empires Onlineは2011年8月時点では約10万人のアクティブユーザーを獲得して,約8万5000ドルの収益を得ていたという。しかし,10月にはアクティブユーザーは約2万5000人になり,収益は約9000ドルまで落ち込んだ。さらに12月になると,それぞれ約1万5000人と約3000ドルにまで減少してしまったとのこと。3000ドルと言えば,コミュニティマネージャーの平均給与に足りるかどうかというような金額だ。

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ローンチから4か月でアクティブユーザー数が約1/7に,収益は約1/28にまで減少してしまった

 こうした落ち込みの大きな理由として,ペリー氏は3つのポイントを挙げている。それは「コンテンツの少なさ」「間違ったビジネスモデル」,そして「確立されたブランドが持つ弱点」だという。

 コンテンツに関しては,ローンチ直後は2つの文明(ギリシャとエジプト)しかアンロックされておらず,13の文明が用意されていた「Age of Empires II」などと比較しても明らかに内容不足だった。
 ほかの文明は追加コンテンツとして登場したが,1つの文明につき20ドルと非常に高額で,ミッションやクエストといったPvE向けのコンテンツが収録されたブースターパックも10ドルと高めの価格に設定されていた。熱心なAoEファンが十分なゲームプレイを楽しむためには何十ドルも必要になるという,F2Pゲームとして「間違ったビジネスモデル」になっていたのだ。
 さらに,AoEが世界的に知られたフランチャイズだったために,ローンチ後にコンテンツを追加したり,ビジネスモデルを調整するという,従来のオンラインゲームの手法が通用しなかったことも大きい。ファンの期待が高かったがゆえに,未完成の状態では失望させることになってしまった。これが「確立されたブランドが持つ弱点」ということだろう。

画像集#007のサムネイル/[gamescom]Microsoftが手掛けた初のFree-to-Playゲーム「Age of Empires Online」が,失敗した理由とは 画像集#008のサムネイル/[gamescom]Microsoftが手掛けた初のFree-to-Playゲーム「Age of Empires Online」が,失敗した理由とは

 ペリー氏が本作のプロデューサーに就任して最初に行ったのは,「Vanity」と呼ばれるユニットなどのカスタマイズアイテムを用意してコンテンツを増やすとともに,価格を半額に再設定することだった。そのコンテンツも,ゲームプレイにより獲得できる「Empire Point」と引き換えにして入手するシステムに変更(Empire Pointはリアルマネーでも購入可)。このように課金システムを改善してビジネスモデルを見直した結果,メディアやファンの評価も良くなり,収益はローンチ直後の水準にまで回復したという。
 もっともペリー氏は,コンテンツの価格を半額に再設定したことについて,従来のプレイヤーに「これまでの価格が高過ぎた」と印象付けることになったと振り返っている。このような場合,セールを繰り返し実施しながら徐々に価格を下げていくという,F2Pビジネスの王道を選択するべきだったという。

画像集#004のサムネイル/[gamescom]Microsoftが手掛けた初のFree-to-Playゲーム「Age of Empires Online」が,失敗した理由とは
2012年6月に“真のF2Pゲーム”に生まれ変わったことで,その後,5週間はローンチ当初の勢いを取り返した

 ビジネスモデルの見直しで一旦は回復した収益は,その後に急激に落ち込んでいる。ゲームデザインの修正や新しい文明の追加などを実施するたびに,一時的にプレイヤー数は増えるものの,短期間で再び休眠状態になってしまうプレイヤーが多く,2012年末にはアクティブユーザー数は1万2000人程度で固定されることになったのだ。

画像集#011のサムネイル/[gamescom]Microsoftが手掛けた初のFree-to-Playゲーム「Age of Empires Online」が,失敗した理由とは
定期的なイベント実施やコンテンツの追加といったアップデートのたびにプレイヤー数は増えるものの,ある時点から何をやっても変化がない状況になったという

 この時点で新しいコンテンツやゲームプレイの調整するための制作コストが,もはやアクティブユーザーから得られる収益がそれを上回ることがなくなったと判断され,前述したように「今後,アップデートは行わない」との発表につながったわけだ。

 その後もAge of Empires Onlineのアクティブユーザー数は変わることなく,熱狂的なファンによって遊ばれるだけになっているという。今回,このような体験談やデータが大手パブリッシャから発表されるというのは非常に興味深く,GDC Europeの会場に集まった業界関係者は熱心に耳を傾けていた。
  • 関連タイトル:

    Age of Empires Online

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