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「FFXIV ORCHESTRA CONCERT 2022 Eorzean Symphony」レポート。10年の旅路をオーケストラで追体験した光の戦士の胸に去来するものは
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印刷2022/12/19 19:35

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「FFXIV ORCHESTRA CONCERT 2022 Eorzean Symphony」レポート。10年の旅路をオーケストラで追体験した光の戦士の胸に去来するものは

 スクウェア・エニックスがサービス中のMMORPG「ファイナルファンタジーXIV」PC / PC / PS5 / PS4 / Mac。以下,FFXIV)のオーケストラコンサート「FFXIV ORCHESTRA CONCERT 2022 -Eorzean Symphony-」が,東京ガーデンシアターで2022年12月17日,18日に開催された。公演は,それぞれ昼と夜の合計4回行われており,本稿では17日夜の公演をレポートしよう。

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会場に入ると,ロビーに飾られた関係各者から贈られたフラワースタンドや,巨大なパネルが来場者をお出迎え。パネルには出演者のサインも
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会場内では,歴代の「Eorzean Symphony」イメージアートの複製原画が展示されていた。第一回と第三回の複製原画は12月16日に販売がスタートしたものだ
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会場と少し離れたエリアに設けられたオフィシャルグッズ販売ブースには長蛇の列が。今回は事前に通販も行われており,コンサートのギミックとして使う「エルピスの花」を持って会場を訪れる光の戦士も多かった
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 日本での公演は3年ぶりで,3回めの開催となるEorzean Symphony。今回の公演は,前回と同様に2部構成で,第一部「新生 / 蒼天 / 紅蓮編」,第二部「漆黒 / 暁月編」と分かれ,それぞれの楽曲が奏でられた。

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 開幕の曲として選ばれたのは,なんと「天より降りし力」。第一回めのアンコール以来で,これを聞いてテンションが上がらない光の戦士はいないだろうという曲だ。2曲めにプロデューサーレターLIVEなどでもお馴染みの「希望の都」が演奏されたあと,FFXIVプロデューサー兼ディレクターの吉田直樹氏のMCを挟んで「静穏の森」,アルテマウェポンの戦いを描いた「究極幻想」が奏でられた。「究極幻想」は,以前コンサートで聞いたものと少し違う印象を受けたが,同じ楽曲でも違う聞こえ方がするというのも生のコンサートならではだろう。

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 「究極幻想」のあと,吉田氏とともステージに登壇したFFXIVサウンドディレクターの祖堅正慶氏は「3年ぶりのコンサートで,今回も5000人規模かと思ったら8000人のホールで,(会場が)オーケストラに向いてないんじゃないか」と思ったそうだ。それでも来場者が感動できる音楽を届けられるよう調整したので最後まで楽しんでいただければと続け,会場からは大きな拍手が降り注いだ。
 そして祖堅氏からは,今回のコンサートを指揮する栗田博文氏を始め,演奏する東京フィルハーモニー交響楽団GLORY CHORUS TOKYOといった出演者が紹介された。

 コンサートのテーマは「新生エオルゼア」から「蒼天のイシュガルド」に移り,最初の曲となったのは「Dragonsong」。歌うのは「Tomorrow and Tomorrow」「Flow」で光の戦士の心を掴んだアマンダ・エイケンさんだ。先のMCで祖堅氏は,「今回はアマンダさんが歌うDragonsongということで,弦楽四重奏に仕立てたつもりが,人数が増えてカルテットじゃなくなってしまった」と明かし,吉田氏が「じゃあ今回はスペシャルバージョンをお届けする」とまとめた。Eorzean Symphonyで弦楽四重奏というと第一回の「忘却の彼方〜蛮神シヴァ討滅戦〜」が忘れられない筆者としては,「蒼天」に深く関わる曲にはカルテットをしたくなる,何かがあるのだろうかと思ってしまった。

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 そんな「Dragonsong」はすべての弦楽器が一体となった演奏を聴かせてくれたが,それに負けないアマンダさんの声量に会場の光の戦士も魅了されたことだろう。弦楽器主体というだけでなく,ゲームや過去のEorzean Symphonyでスーザン・キャロウェイさんが歌っていたDragonsongを,アマンダさんが歌うというだけでもすでにスペシャルな演目で,まさに“耳福”と言える。

 続いて「蒼天のイシュガルド」のトレイラーに使われた楽曲「Heavensward」,そして「英傑〜ナイツ・オブ・ラウンド討滅戦〜」が演奏された。何度聞いても「英傑」は,男性コーラスが主体で迫力と緊張感があり,FFXIVでもっとも男気あふれる一曲ではなかろうかとしみじみ思う。

 第一部最後のパートとなる「紅蓮のリベレーター」では,吉田氏いわく,みんな大好き「鬨の声」と,吉田氏が紅蓮にリベレーターで一番思い入れのある「塩と苦難の歌〜ギラバニア湖畔地帯:昼〜」を演奏。疾走感のある「鬨の声」は,この日一番,栗田氏の指揮が激しかった曲だ。一方の「塩と苦難の歌」は荒涼としながらも雄大なギラバニアのフィールドを表した力強い曲だ。

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 第一部のラストとなる「空より現れし者〜次元の狭間オメガ:アルファ編〜」は,テンポの速いスピード感のある演奏が小気味よく,そこにコーラスが融合した曲で,ゲーム内の同曲の超豪華オーケストラ版といったところではないだろうか。大きく違うのは終盤のもの悲しさが,スクリーンのアルファやプチオメガの姿も相まって,オメガの旅の終わりを曲で表しているようでもあった。

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 第二部は,「漆黒のヴィランズ」のメインテーマである「Shadowbringers」でスタート。初来日となるジェイソン・チャールズ・ミラーさんによる生のShadowbringersは,弦楽器の印象が耳に残ったためかゲームで聞いたものよりもゆったりとしたテンポでありながら,緊張感があった。続く「To the Edge」もジェイソンさんのヴォーカルが響く一曲で,こちらはゲームで受けた切迫感や悲壮感よりも暖かみが感じられたのは,生ヴォーカルの力,そしてエリディブスの経緯や想いを筆者が知ったからなのかもしれない。

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 2曲を立て続けに歌い上げたジェイソンさんは日本語で挨拶したあと,「ここに来られてとても嬉しい。皆さんの愛を感じます。FFXIVのコミュニティは,世界中で一番のコミュニティだと思います」とコメント。さらに「ここにいる祖堅さんは天才で,私に素晴らしい音楽を歌わせてくれる機会をくれました」と感謝を述べた。祖堅氏も素晴らしい歌を披露してくれて嬉しいと返答する。
 そんなジェイソンさん,実は6月のThe PRIMALSのライブにも来たいと言っていたそうだが,新型コロナウィルス感染症の入国規制で断念したとふり返る。実はそのとき,ジェイソンさんから「貨物船に紛れ込んで3か月ぐらいすれば日本に辿り着けるはずだから,なんとかならないか!」という連絡があったと吉田氏が暴露。ジェイソンさんは「僕はデカすぎてカバンに入らないんだよ」と話して,会場を笑わせた。

 MCに続いて「漆黒のヴィランズ」屈指の人気キャラであるエメトセルクとの激闘を描いた「砕けぬ想い〜ハーデス討滅戦〜」を演奏。前回のコンサートではアンコールで演奏された曲で,以前感じたもの悲しさだけでなく,さらに迫力が増したように思えた。映像もバトル周りのカットシーンだけではなくアーモロートから始まるなど,エメトセルクそのものを描いたような演出が嬉しかったファンもいたのではないだろうか。
 「漆黒編」ラストの一曲は,アマンダさんが歌う「Tomorrow and Tomorrow」。「漆黒のヴィランズ」全編をふり返るような映像に合わせた歌声は会場を包み,会場すべてを照らすライトの明るさに,闇を乗り越えた世界を幻視したのは筆者だけではないだろう。

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 「Tomorrow and Tomorrow」を終えたアマンダさんは,「ジェイソンさんが言ったように,このコミュニティに私も迎え入れてもらっている気持ちがして,すごく感謝しています」と挨拶し,「皆さんの前で歌わせていただいて,すごくサポートを感じています。自分のキャリアのなかでもすごく大きな瞬間です」とコメント。「初めて海外でオーケストラコンサートをやったときに,リハーサルで歌声を聞いたのが始まり」と吉田氏がアマンダさんとの出会いを語り,そのときに祖堅氏が興奮気味に「あの人(アマンダさん)に仕事してもらうから,ビジネスカードを渡してきていいかな?」と相談してきたそうだ。「ナンパしにいくつもりか!?」と思いつつも,祖堅氏は無事カードを渡してきたそうで,そのときの様子をアマンダさんは「可愛いですね,ちょっと赤面しちゃいます」と会場をどよめかせた後,「すごくわくわくして,(祖堅氏が)名刺を渡してくれたとき,自分のパフォーマンスがうまくいったんだな」と確信したという。

 MCを終えて,いよいよ「暁月編」の最初の曲「迷宮 〜ラヴィリンソス:昼〜」への演奏に入るかと思いきや,すっと現れた祖堅氏が,栗田氏と一緒になってガムテープでダンボール箱を床に固定。そして手にはお馴染みのオタマトーン,右足にハンドベルを付けて,オーケストラとともに演奏し始める。ダンボール箱を足で蹴ってドラムのように使い,同時に右足を振って鈴を鳴らし,オタマトーンを操る祖堅氏の姿が何ともコミカルだ。ただ,鈴が足から外れたり,ダンボールがうまく蹴れなかったりと,演出なのかトラブルなのか……まあどっちでもいいか,とも思えるエンターテイメント性の高いライブ感あふれる一曲だった。

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 続く「Your Answer〜ハイデリン討滅戦〜」は,シリアスで雄大なハイデリンのバトル曲でありながら,ぬくもりを感じさせる印象があった。しかし,後半はスクリーンに投影された世界の崩壊に沿ったかのように厳しさもあり,2面性のある曲のように感じられる。

 MCを挟んだ17曲めは,エルピスの花を使った演出があった「Close in the Distance」。ゲームではウルティマ・トゥーレを歩くキャラクターの姿とジェイソンさんの歌がロードムービーを彷彿させたが,コンサートでは生のヴォーカルのおかげで,それがさらに際だっていた。
 そして終盤,栗田氏が曲を止めて観客席に光るエルピスの花を掲げると,最前列から後列,さらに上層のバルコニーまで,ゲームの1シーンのようにエルピスの花が会場一面に咲き誇る。

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 いよいよコンサートも佳境に入り,アマンダさんが再びステージに現れ,「Flow」を熱唱。ピアノの独奏から始まった曲にアマンダさんの声が被さり,徐々にほかの楽器の音が重なっていく。中盤から終盤に掛けてコーラスも合流しての重厚さは今回のコンサートでも随一だが,アマンダさんの歌声はこの日,一番胸にくるものだった。

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 コンサート最後となる一曲を前にステージに現れた吉田氏は「FFXIVを担当してからまる12年経ちました。祖堅も最初から,一緒になって建て直しからやっていますが,こんなに遠くまでこられるとは思ってませんでした。ここまで歩ませてくれたのは,光の戦士の皆さんのおかげです」と述べ,「皆さんもプレイを振り返りながら聞いていただけたんじゃないかなと思ってます。3年ぶり3回目のオーケストラコンサートですが,本当に素晴らしい内容になったと思っています」と締めくくった。
 祖堅氏も「ゲームが盛り上がってるからこそ,今回のコンサートも開催できました。皆さんと一緒に音楽を通じてゲームやコミュニティを続けていき,また次にこういったコンサートをできるよう,ぜひ皆さんもゲームを楽しんでいただければと思います」とコメントし,最後の楽曲「ENDCALLER〜ゾディアーク討滅戦〜」へ引き継いだ。

 ENDCALLERでは,赤や紫のライトも含め,危険,危うさといった感情を強く印象付ける激しく迫力のある演奏で,最後には「暁月」,夜明けの月明かりを思わせる強烈なライトアップ。ゾディアークが封印されていた月と,ラスボスでこそないがFFXIVのストーリーを象徴するゾディアークの撃破による希望の灯を演出した,今回のコンサートに相応しい締め括りだった。

 アンコールでは,これまでのコンサートでも欠かさず,しかしアンコールでのみ演奏されてきた“国歌”こと「そして世界へ」。そして,暁月のフィナーレのラストバトルとなる「終焉の戦い」の2曲を演奏。「終焉の戦い」は歴代の拡張パッケージを象徴するボス曲メドレーのような楽曲だが,それをイメージさせるかのようにスクリーンの映像も「新生エオルゼア」から「暁月のフィナーレ」までをダイジェストで振り返るものだった。「ENDCALLER〜ゾディアーク討滅戦〜」を超える凄みのある演奏に会場は圧倒され,演奏後にはいつまでも拍手が鳴り続けるほどだった。

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 セットリスト,そして会場ロビーのパネルに吉田氏が記した(と思われる)「A Realm Reborn to Endwalker」から汲み取れるように,今回のコンサートは9年,「天より降りし力」のお披露目となったリミットブレイクトレイラーも含めれば10年にもおよぶFFXIVの軌跡をふり返るものだ。
 メインストーリーをなぞるかのような楽曲を聴いて,去来する想いは光の戦士それぞれで異なるだろうが,駆け抜けた旅路,当時の思い出や感動をもう一度喚起させるに相応しいコンサートだったのではないかと思う。

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 このコンサートの模様を収録した「Eorzean Symphony: FINAL FANTASY XIV Orchestral Album Vol. 3」は,2023年4月26日に発売されることが決定している。今回,さまざまな事情でコンサートに来られなかったファンも,そして今回のコンサートを改めてふり返りたいと考えるファンも,購入を検討してみてはいかがだろうか。

 最後に全4公演を終えた吉田氏と祖堅氏のメッセージが届いたので,それを本稿の締めとしたい。

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ファイナルファンタジーXIV プロデューサー兼ディレクター 吉田直樹


Q. 公演を終えての感想を教えてください。

 まずは「ほっとした」というのが大きいです。今回は曲数をかなり詰め込ませてもらったのですが,時間には限りがあるのでMCの時間を延ばせないと厳密に言われていました。一方で,オーケストラコンサートが初めてで緊張している方も多くいらっしゃるので,そこを「いつものFFXIV,いつものエオルゼアだよ。リラックスして聴いて,思い思い楽しめばいいんだよ」というところにつなげられるようにしたい。僕は司会業が本業ではないし,そこが難しいところで……終わった直後の感想はというと「ほっとしました」という一言です。

Q. 久々の有観客でのオーケストラコンサートでしたが,いかがでしたか?

 各公演の開演前にちょっと舞台袖から顔を出して,来場者の皆さんとアイコンタクトしたり手を振ったりして,変な話,お互いが実在するというのを確認しながらオケコンに臨めたというのはすごくよかったと思います。多くのスタッフもコンサートを聴きながら自分たちがやってきたことの足跡や歩みみたいなものを,「新生エオルゼア」から改めて振り返ることができたと思います。そこは僕も含めて開発・運営チームにとって物凄くよかったですし,これほど多くの光の戦士を見られたことは明日からの活力になったと思います。


ファイナルファンタジーXIV サウンドディレクター 祖堅正慶


Q. コンサート,全4公演終えての感想をお願いします。

 「新生エオルゼア」発売からの約9年間,意外と光の戦士たちの心に刺さる音楽を作れていたかもしれないな,という実感がわきました。こういう興行はいいですね。
 ゲームは海外ではわりとエンターテインメントとしての地位を確立しているけど,日本ではまだ「ゲームなんかやって……」というような風潮があると思います。でも,僕はゲームというエンターテインメントは素晴らしいと思っていて,自信があるし自慢でもある。コミュニティも凄いですし。今回のオーケストラコンサートではゲームというエンターテインメントの無限の可能性を見ることができたし,そのなかでもサウンドが表現できることの素晴らしさも改めて感じました。
 あと,自分で言っちゃいけないかもしれませんが,自分たちが作った「FFXIV」はいいゲームなんじゃないか,という気がしました(笑)。もちろん,いいゲームを作っているつもりでいつも奮闘しているわけですが,改めてこうしてお客さんと対面できて,同じ空間を共有して,音楽を共通キーワードとしてやりとりしたつもりです。それで,光の戦士たちが心を動かして,感動して,泣いている姿を見て,「FFXIVのサウンドを作ってきてよかったな」と改めて思いました。


Q. 観客のリアクションは,どこからか見ていたのですか?

 公演が始まったら,最初に舞台袖からオーケストラ奏者や合唱,指揮の栗田さんたちをステージに送り出すのですが,その後にはダッシュでPAブースに行って音をチェックしていました。今回の会場は4階層あったので,演奏が始まったらそれぞれの階でチェックして,どこをどう調整したいかを逐次,PAさんにフィードバックする。そのときにお客さんの顔が見えるんですよね。そのお客さんの顔が,早くも2曲めから……1曲めはお客さんを見る余裕もないですが,2曲めから感極まって泣いている方がいらっしゃるのを見ると,心を動かせたのかな,という気持ちになりました。
 仕事として頑張るのは当たり前ですが,「ゲームサウンドを介して人の心を動かせた」という結果に,今度はこちらが感動する。そういった2日間でした。得るものがあったので,これをまたゲームサウンドに活かしていこうと思います。そしたらまたさらにいいゲームになるんじゃないかなと思いつつ,精進するしかないですね(笑)。これからも,いいゲームサウンドを届けられるよう頑張ります!

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■FFXIV ORCHESTRA CONCERT 2022 -Eorzean Symphony-
■セットリスト


<第一部>
1. 天より降りし力
2. 希望の都
3. 静穏の森
4. 究極幻想
5. Dragonsong
6. Heavensward
7. 英傑 〜ナイツ・オブ・ラウンド討滅戦〜
8. 鬨の声
9. 塩と苦難の歌 〜ギラバニア湖畔地帯:昼〜
10. 空より現れし者 〜次元の狭間オメガ:アルファ編〜

<第二部>
11. Shadowbringers
12. To the Edge
13. 砕けぬ想い 〜ハーデス討滅戦〜
14. Tomorrow and Tomorrow
15. 迷宮 〜ラヴィリンソス:昼〜
16. Your Answer 〜ハイデリン討滅戦〜
17. Close in the Distance
18. Flow
19. ENDCALLER 〜ゾディアーク討滅戦〜
<アンコール>
20. そして世界へ
21. 終焉の戦い

<出演者>
指揮:栗田博文
演奏:東京フィルハーモニー交響楽団
コーラス:GLORY CHORUS TOKYO
スペシャルゲスト:Jason Charles Miller/Amanda Achen

出演:
ファイナルファンタジーXIV プロデューサー兼ディレクター 吉田直樹
ファイナルファンタジーXIV サウンドディレクター,コンポーザー 祖堅正慶

司会:吉田直樹
※敬称略


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