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[GDC 2013]他人の物を奪うのは人間の自然な感情だ。過酷なサバイバルが体験できる「DayZ」開発意図を,制作者Dean Hall氏が語る
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印刷2013/03/30 19:28

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[GDC 2013]他人の物を奪うのは人間の自然な感情だ。過酷なサバイバルが体験できる「DayZ」開発意図を,制作者Dean Hall氏が語る

 現在,約170万人のプレイヤー数を誇り,ピーク時の同時接続者数が約8万人という「ARMA2」の大人気MOD「DayZ」。2012年4月の公開以来,本作をプレイしたさに,2010年に発売されたARMA2がSteamのトップ10ランキングに10か月にわたって返り咲くという現象を引き起こしたことで話題になったタイトルだ。
 ゲームの詳細については,2012年9月15日に掲載したレビュー記事を参照してほしいが,そんなDayZの制作者であるDean Hall氏が,Game Developers Conference 2013で「Designing DayZ: Lessons from Cherno」(DayZの設計:Chernoからの教訓)と題したレクチャーを行った。

画像集#003のサムネイル/[GDC 2013]他人の物を奪うのは人間の自然な感情だ。過酷なサバイバルが体験できる「DayZ」開発意図を,制作者Dean Hall氏が語る

Dean Hall氏
画像集#004のサムネイル/[GDC 2013]他人の物を奪うのは人間の自然な感情だ。過酷なサバイバルが体験できる「DayZ」開発意図を,制作者Dean Hall氏が語る
 自己紹介によると,Hall氏はニュージーランド生まれで,空軍や陸軍に所属していたこともあり,ブルネイのジャングルでサバイバルトレーニングを受けた経験を持つという。
 DayZはもともと,そんなHall氏がゲームを通じて兵士の訓練をするために制作したものだという。といっても,銃を撃つとか立ち回りを覚えるといった実技レベルの話ではなく,兵士が戦場でどのような感情を持つのかを体験/訓練するのが目的だったそうだ。そのために必要なのは正確性(Authenticity)であり,リアルさではない。
 しかし,軍は彼のプログラムに興味を示さず,そのため彼は「ゾンビ」という新たな要素を加えて,独自にゲームを制作することにしたという。

 Hall氏はサバイバルトレーニングの経験から,DayZではプレイヤーがどのように感じるかが重要であり,何をするかではないと述べた。さらに,重要なのは状況であり,ゲームフィーチャーではないとのこと。彼のDayZは,プレイヤーに状況だけを提供するゲームであり,プレイヤーはそれをただ体験するだけなのである。問題とその解決のための道具を与え,プレイした人に達成感を覚えてもらおうという普通のゲームとは,基本的に異なるアプローチなのだ。

 感情に訴える方法として,Hall氏は「物の喪失」を挙げた。DayZでは,プレイヤーが死ぬと,持っていた物すべてを失う。ゲームの舞台となる架空の国は極端に物資が少なく,それらの価値は非常に高い。そのため,物の喪失はプレイヤーの感情に強く訴えるというわけだ。さらに,せっぱ詰まったときに他人の物を奪いたくなることや,物を独占したくなるのは人間の持って生まれた感情であり,プレイヤーはそのことをよく知っているからこそ,さらに緊張感が高まる。感情は理屈を上回ると,Hall氏は述べた。

画像集#005のサムネイル/[GDC 2013]他人の物を奪うのは人間の自然な感情だ。過酷なサバイバルが体験できる「DayZ」開発意図を,制作者Dean Hall氏が語る 画像集#006のサムネイル/[GDC 2013]他人の物を奪うのは人間の自然な感情だ。過酷なサバイバルが体験できる「DayZ」開発意図を,制作者Dean Hall氏が語る

 Hall氏は続けて,ゲームはしばしば,プレイのしやすさのために複雑な部分を省略することがあるが,DayZではそういったことをしていないと語った。複雑さは複雑なまま,プレイヤーの元に届けられる。
 しかし,基本となっているのは誰でも知っていること――例えば食事や水を摂らなければ死ぬ,寒い夜は風邪をひきやすい,出血したときは包帯を巻く,といった常識がベースになっている。だからといって,DayZが“リアル”ではないのは上記のとおり。モルヒネは本来,骨折の治療に効果はないが,DayZの中では特効薬として設定されている。重要なのは「骨折したら治療が必要である」というプロセスであり,リアリティを追求するつもりはないとHall氏は言う。

 英語圏の掲示板である4chanを読んだHall氏は,彼自身よりもプレイヤーのほうがDayZのことを知り尽くしているのが分かって驚いたという。Hall氏は,プレイヤーがゲームの中でさまざまな感情的経験をし,自分自身の物語を体験していると語り,書き込みをいくつか紹介した。ある人は他人を見つけ次第殺すようになり,ある人は自分のやったことを後悔しているというのである。

英語の掲示板,4chanのDayZについての書き込み
画像集#002のサムネイル/[GDC 2013]他人の物を奪うのは人間の自然な感情だ。過酷なサバイバルが体験できる「DayZ」開発意図を,制作者Dean Hall氏が語る

 DayZの今後については,プレイヤーの体験を増幅するようにはするが,干渉はしないという姿勢だ。これは彼らのゲームであり,DayZはその状況を提供しているだけなのだ。プレイヤーからの意見には,バランスを考えて対応するが,もともとのビジョンを失うようなことはしたくないとも語った。

 一見すると,ARMA2のシンプルなマルチプレイMOD,しかもありふれたゾンビ物かという雰囲気のDayZだが,その背後には十分な計算があることが分かる講演だった。もっとも,Hall氏自身は偶然うまくいったところもあると言っていたが。
 ただし,同作にはインストールの難しさなど,いくつかの問題が残されているのは,Hall氏も認めているところ。開発中のスタンドアロン版「DayZ」の情報にも今後,注目していきたいところだ。

スタンドアロン版「DayZ」の発売時期については「完成したとき」となっている。無料で製品版にアップデートできるα版が,有償で販売される予定
画像集#001のサムネイル/[GDC 2013]他人の物を奪うのは人間の自然な感情だ。過酷なサバイバルが体験できる「DayZ」開発意図を,制作者Dean Hall氏が語る

「DayZ」公式サイト

Game Developers Conference公式サイト(英語)

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