Taipei Nangang Exbition Centerの4階にあった,COUGARブランドブース
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正直なところ,COUGARというブランドを,筆者はこれまでほとんど評価してこなかった。昨年も一昨年もCOMPUTEX TAIPEI 2017の会場で取材はしたが,記事にはしていないと記憶している。
他社のデザインをコピーしただけでなく,センスのない製品デザインで劣化させた実績を持つブランドが並べる“新製品”は,どれもどこかで見たような,オリジナリティの欠片もないものに,ブランドのカラーである橙をあしらって,「ドイツ発のブランドでございます」と言い張っていたものがほとんどだったからだ。
だが,COMPUTEX TAIPEI 2017におけるCOUGARブースからは,そんなCOUGARが変わった可能性を感じることができた。まずは,並んでいたゲーマー向け周辺機器のうち,いくつかを紹介してみたい。
Puri&Puri TKL
「
Puri」(ピューリ)とその10キーレスモデルである「
Puri TKL」は,e-Sportsシーンに向けたキーボードという扱いの製品だ。搭載するメカニカルキースイッチは「Cherry MX」で,COUGARとしては「Red」「Brown」「Black」「Silver」の4ラインナップを用意する(=実際にどれを選ぶかは各地の販売代理店次第)という。
いずれも世界市場においては2017年8月発売予定で,メーカー想定売価は順に79ドル,69ドル(いずれも税別)となっている。
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Puri。10キー部の奥にサウンド出力ミュートの有効/無効や音量調整などを利用できる追加キーを搭載する一方,ゲーム操作に悪影響を与えそうなキーはない |
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Puri TKL。こちらは追加キーすらない,非常にシンプルな仕様になっている。各種機能のショートカットは[Fn]キーと一部キーの組み合わせで利用するタイプだ |
どちらもすっきりした外観だが,外観上の特徴としてはもう1つ,標準で付属するカバーの存在が挙げられる。
COUGARロゴ入りで半透明の灰色をしたこのカバーは,自宅で使うときは埃(ほこり)避け,e-Sportsの大会やLANパーティへ持ち出すときはキースイッチ保護材として機能するという。
Puri TKLのカバー装着状態(左)と取り外したところ(右)。大きさ以外はPuriも同じ仕様だ
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また,持ち運ぶときケーブルの根本に負荷がかかることがないよう,USBケーブルは着脱式になっている。ケーブルの接続部は筐体の奥まったところにあるが,これはケーブルを接続した状態でケーブル自体に必要以上のテンションがかかってもUSBインタフェースに過度の負荷がかからないようにする配慮だそうだ。
Revenger S
2016年8月に国内発売となった右手用ワイヤードマウス「
Revenger」。「Revenger S」は,その後継という扱いの製品だ。
センサーは従来製品から変わらず,PixArt Imaging製の光学モデルとなる「PMW3360」で,また左メインボタンの下あたりにケーブルの付け根が来るデザインや,左右メインボタンとセンタークリック機能付きホイール,ホイール手前と2個の左サイドボタンからなる6ボタン仕様といった基本デザインは変わらない。
Revenger S
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しかしRevenger Sでは,Revengerで天板と一体になっていた左右メインボタンが独立した。これは最近のゲーマーが支持する仕様だ。
さらに両ボタン用として採用するオムロン スイッチアンドデバイス製スイッチは,従来だと耐久性に関する言及がなかったのに対し,今回は5000万回のクリックに耐えるというスペック情報の提示がある。また,「独自のファームウェア設定により」(COUGAR)通常スペックだと最大1000HzのUSBポーリングレート(=レポートレート)を最大2000Hzにまで引き上げてあるのも,数字の上ではあるものの,目を惹くところである。
天板部はマグネットによる固定式
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Revenger Sではさらに,天板のカバーを交換できるようにしてあるのだが,これはチームで共通のカバーを採用するといったことを想定しているとのこと。COUGARとしては交換用カバー単品販売や,3Dプリント用のCADデータ配布を考えているそうだ。
世界市場では2017年8月発売予定で,税込のメーカー想定売価は59ドル(税別)となっている。
Minos X5
Revenger Sとデザインは異なるものの,やはり天板カバーは交換できる
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Revenger Sの小型版といった扱いになるのが「
Minox X5」(ミノスX5)で,独立型左右メインボタンを含むボタン構成や搭載するセンサーおよび左右メインボタン用スイッチ,交換式天板カバー,発売時期,そして59ドル(税別)というメーカー想定売価はRevenger Sと同じ。サイズと,USBケーブルの根本が左右メインボタンの中央部へ移動しているのが,大きな違いといったところだ。
Minox X5
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いずれの写真でも左がRevenger S,右がMinox X5。会場でサイズの正確な数字は出ていなかったが,違いは見てとれよう
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Surpassion
追加のドライバソフトをインストールする必要なしに,本体底面のモノクロ液晶パネルと2連ボタンでDPIおよびUSBポーリングレート,リフトオフディスタンスを変更できるという右手用ワイヤードマウスが「
Surpassion」(サーパッション)だ。底面のモノクロ液晶パネルは「どこかで見たようなデザイン」感が漂うものの,この機能を採用しつつ,北米市場におけるメーカー想定売価が49ドル(税別)という設定は評価したい。世界市場における発売は9月予定という。
Surpassion
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底面のモノクロ液晶パネルとCOMPUTEX TAIPEI 2017版のサンプルだと,設定できるのはDPIおよびポーリングレートのみだったが,発売までにはリフトオフディスタンス調整機能を実装予定だそうだ
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搭載するセンサーはPixArt Imaging製の光学モデルとなる「PMW3330」と,比較的マイナーだが,その実力は気になるところである。
ゲーマーが求めているものをちゃんと調べ始めたCOUGAR
「これまでのCOUGAR製マウス」の代表格的な製品も,もちろん置いてあった((※写真は「700M Superior」)
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以上,これから発売予定となっている新製品からいくつかピックアップしてお届けしてみたが,よく言えば最近のゲーマーが持つニーズに沿った,悪く言えば突出したところのない印象を受けた読者も少なくないと思う。いずれにせよ,つい最近まで右に示したようなマウスをフラグシップだと言っていたブランドからすると,大幅な方針転換である。
4Gamerはブースで,Compucase Enterpriseのゲームデバイス部門におけるディレクターを務めるLio Huang(リオ・フアン)氏に,「ずいぶんと製品の方向性が変わって,手堅い製品が増えたように感じられるのだが,なぜか」と直球で質問を投げてみたのだが,Huang氏からは「この1年,COUGARブランドとして世界中のゲームイベントに参加し,ゲーマーに『どんなデバイスを求めているのか』を,真剣に聞いて回った」という答えが返ってきた。
ブース内には「COUGARはこんなに多くのイベントでゲーマーから生の声を聞いてきました」とアピールするボードがあった
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「たとえばマウスについて言えば,プロゲーマーやコアゲーマーが求めているのは,エルゴノミクスデザインと操作への正確な追従性,軽さだと言うことが分かった。私達はそれを踏まえ,『Real Gear for Real Gamers』というコンセプトで,製品の(再)設計を行った」(Huang氏)。
もちろん,「今までそんな,最低限のヒアリングもしてなかったのかよ」と切り捨てることは簡単だ。だが,COMPUTEX TAIPEI 2017では,誰が求めているかすら分からないようなギミックを搭載する“ゲーマー向け製品”が溢れていた。その中で,見た目という大きなインパクトを捨ててまで,COUGARが「そのほかのゲーマー向け製品ブランド」の1つから,本気で脱却しようと製品開発を行いだしたこと,それ自体は歓迎されて然るべきだと感じている。
デザインの方針を明確に変更したCOUGARが,ゲーマー向け製品市場の最前線で戦えるようになるのかを判断するには,正直,まだ時間が必要だろう。それこそマウスであれば,仕様以上に実際の操作感のほうが大事なわけで,Compucase Enterpriseの持つ総合的な製品デザイン能力が,業界のトップブランドと比較できるものになっているかは,製品が出てきて,テストしてみるまでは分からない。
ただ,自戒を込めて書いておくと,この夏以降に出てくるCOUGARの新製品は,色眼鏡抜きに善し悪しをチェックする必要があるはずだ。
ちなみにこちらは吸盤を採用したヘッドセットおよびヘッドフォンスタンド。付属するアームを付け替えることで,PCケースの前面や側面に取り付けたり,机上で一般的なスタンドとして使ったりできる
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