ミュージック フロム ゲームワールド：Track 59 「ポケットモンスター 赤・緑」「DISSIDIA FINAL FANTASY」

※クリックで全体を表示します

　初代「ポケットモンスター 赤・緑」といえば，ゲーム誌でライター活動をしながら「クインティ」でゲームデザイナーデビューを果たした田尻 智氏が，6年以上の歳月をかけてこだわり抜いて制作したタイトル。
　そんな田尻氏は筆者にとって，まさに神のような存在で，「ポケモン」にも強い思い入れがあります。当時所属していたゲーム誌の編集部内でも，みんなで遊んでいたものです。今週は，そんな懐かしい記憶が蘇ってくるサントラも紹介しています。

Illustration by しなぷう

　さらに，今回からイラストレーターのしなぷうさんによるイラストコーナーもスタート！　ゲーム音楽好きな女子高生「四音（よつね）ちゃん」のほのぼの音楽ライフを，イラスト（と，ときどき4コマ）でお届けします。
　それでは，今週も「ミュージック フロム ゲームワールド」で，ゲーム音楽情報ゲットだぜ！

セピア色からカラーへ──思い出に浸りながら聴きたい

「ポケモン 赤・緑 スーパーミュージック・コレクション」

タイトル	ポケモン 赤・緑 スーパーミュージック・コレクション	→Amazon.co.jpで購入
発売日	2016年4月27日
価格	2500円（税抜）
発売元	オーバーラップ
コピーライト	（C）1995 Nintendo /Creatures inc. /GAME FREAK inc. （C）2016 Pokémon. （C）1995-2016 Nintendo/Creatures Inc./GAME　FREAK inc. ポケットモンスター・ポケモン・Pokémonは任天堂・クリーチャーズ・ゲームフリークの登録商標です。

　2016年2月に発売された，ニンテンドー3DSのバーチャルコンソール版「ポケットモンスター」。筆者も思わず，ニンテンドー2DSとセットになった限定パックを「赤」と「緑」の2種類買ってしまいました。懐かしさを感じながら，現在進行形で楽しんでいます。誰かポケモン交換しましょう！　というわけで，今週の1枚めは，こちらも嬉しいリリースとなった「ポケモン 赤・緑 スーパーミュージック・コレクション」を紹介します！

　本作では，増田順一氏が作・編曲を担当したゲームボーイ用ソフト「ポケットモンスター 赤・緑」と，一之瀬 剛氏と青木森一氏が旧曲の編曲および新曲の作・編曲を手掛けたゲームボーイアドバンス用ソフト「ポケットモンスター ファイアレッド・リーフグリーン」の楽曲，そしてポケモン151匹の鳴き声をCD4枚組で堪能できます。

　1曲めの「〜オープニング〜」を聴いた瞬間に，思わず「よっしゃ！」とこぶしに力が入ってしまうこのサントラ。2曲め以降も，PSG音源によるレトロなサウンドが，当時の記憶を次々と引き出してくれます。「マサラタウンのテーマ」や「サイクリング」といった楽曲に，思い出補正と相まって軽く眩暈がしそうになるのは筆者だけではないハズ。

　ゲームボーイアドバンスになって厚みが増した「ポケットモンスター ファイアレッド・リーフグリーン」の楽曲は，モノクロだったゲーム画面がカラーに切り替わったことに歩調を合わせるかのように，温かみのある音色を聴かせてくれます。また，同作で追加された新曲「ナナシマ4・5の島」「ナナシマ6・7の島」の，力のこもったメロディも特筆したいところです。

　ぶっ飛んだボーカル曲の「教えて！お兄さん」や，バックで鳴っているチープでキュートなサウンドとボーカルの取り合わせが面白い「memory P」等，サービス精神たっぷりのボーナストラックも合わせて全136曲を収録と聴きごたえも十分。思い出に浸りつつ，じっくり楽しみたい1枚（というか4枚）です。

「ポケモン 赤・緑 スーパーミュージック・コレクション」公式サイト

---

ゲーセンでカッコよく響き渡る「FF」楽曲が新鮮

「DISSIDIA FINAL FANTASY -Arcade- ORIGINAL SOUNDTRACK」

タイトル	DISSIDIA FINAL FANTASY -Arcade- ORIGINAL SOUNDTRACK	→Amazon.co.jpで購入
発売日	2016年4月27日
価格	2800円（税抜）
発売元	スクウェア・エニックス
コピーライト	（C）2015,2016 KOEI TECMO GAMES/SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved. CHARACTER DESIGN:TETSUYA NOMURA

　ゲームセンターで「DISSIDIA FINAL FANTASY」が遊べるようになるというニュースを目にしたときは驚きましたが，アーケードでの稼動開始から約半年が経過し，待望のサントラも登場しました。そこで，今週の2枚めは「DISSIDIA FINAL FANTASY -Arcade- ORIGINAL SOUNDTRACK」を紹介します。

　本作の作・編曲には，PSP版の「DISSIDIA FINAL FANTASY」シリーズを担当してきた石元丈晴氏，関戸 剛氏，河盛慶次氏が引き続き参加。シリーズファンにも安心のコンポーザー陣で固められているのが嬉しいところです。

　1曲めは混声コーラスが美しいオーケストラナンバー「DISSIDIA - opening -」。なんとも神々しい雰囲気は鳥肌ものです。そして，前半の盛り上がりポイントが6曲めの「Battle Medley」。なんと歴代の「FF」シリーズのバトル曲を，9分に及ぶロックアレンジのメドレーで聴かせてくれます。本気で息付く暇もないくらいアツい！
　そして聴きなれたメロディの「オープニング・テーマ - arrange -」は，踊れる四つ打ちのテクノアレンジに。どんなアレンジにしても似合うと改めて実感させられる，本当に素敵な曲です。また，ヘヴィな演奏でアドレナリン全開の「妖星乱舞 - arrange -」は，個人的にイチオシの曲です。

　DISC2後半に収録されたアグレッシブなオーケストラボーカルナンバー「Explosion」は，ロンドン交響楽団による演奏を，ビートルズのアルバム「アビイ・ロード」で知られるアビー・ロード・スタジオで新規録音した曲の1つ。なんとなくLONDON PRIDEでも飲みながら英国紳士気分で聴きたくなる，渇いた響きのホーンセクションと力強い女性ボーカルが印象的な曲です。

　そしてラストは，サントラのみで聴けるボーナストラック「Massive Explosion -Novoiski Remix-」。原曲とはガラリと雰囲気を変えたクラブサウンド風のリミックスバージョンとなっており，ハードロック調なオリジナル版との対比が楽しめます。
　騒がしいゲームセンターでもしっかりと耳に届く，迫力のアレンジとサウンドがたっぷり詰め込まれたこのサントラ。ハードで荒削りな「FF」の“漢”らしい側面をぜひ堪能してください。

「ディシディア ファイナルファンタジー」公式サイト

---

■■風のイオナ■■ マーベルランドで産まれ，フェアリーランドで育ち，さざなみの島で一攫千金を夢見るも，バビリム王国に連れ去られて塔建設の奴隷として働く。巨大宇宙船に密航して惑星あくあへ逃亡後，仕事の都合でモタビア星に移住し，ハンターとして惑星ラグオルの調査をして生計を立てていたが，現在はNEO TOKYOを拠点に活動中。ゲーム＆ゲーム音楽に加えて邦楽インディーロック＆サブカルアイドル追跡，自転車旅行，広島東洋カープの応援などが趣味。2016年で編集＆ライター生活20周年を迎えてしまいました。