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印刷2015/10/30 18:26

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gloopsの新作「LAPLACE LINK」はどのようにして企画開発されたのか。ディー・エヌ・エーとgloopsによる合同セミナー「ブラウザゲームの革新」をレポート

 ディー・エヌ・エーとgloopsは2015年10月29日,スマートフォンゲーム開発者を対象とした合同セミナー「ブラウザゲームの革新 〜先進技術とマルチデバイス展開〜」を開催した。このセミナーでは,Mobageのプラットフォーム技術「Next Browser Platform」(以下,NBPF)の概要と今後の展開などが紹介された。
 本稿では,会場で行われたセッションの中から,gloopsの新作ブラウザゲーム「LAPLACE LINK」の開発事例に関するものを中心にレポートしよう。

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セミナー冒頭の挨拶では,ディー・エヌ・エー オープンプラットフォーム事業本部 ビジネス開発部 部長 風早 亮氏(写真左)が,NBPFによりスマートフォンにおけるブラウザゲームの表現力が高まったことや通信速度が向上したこと,またスマートフォンゲームをPCでも遊べるようにする取り組みを推進していくことなどを紹介した
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ディー・エヌ・エー オープンプラットフォーム事業本部 副事業本部長 シニアアーキテクト 山口 徹氏(写真左)は,NBPFに使われている技術の概要と,新たな市場獲得のためにNBPFをPCを含めたマルチデバイス展開をしていくという今後の構想などを紹介した
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ネイティブゲーム隆盛の今,gloopsがブラウザゲームを手がける理由


gloops ソーシャルゲーム事業本部 Webアプリケーション部 プロデューサー 上田朋宏氏
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 gloops ソーシャルゲーム事業本部 Webアプリケーション部 プロデューサー 上田朋宏氏によるセッション「なぜ今ブラウザゲームを作るのか 〜gloopsの想い〜」では,現在開発中のLAPLACE LINKをブラウザゲームとして企画した経緯が紹介された。

 上田氏は,LAPLACE LINKをブラウザゲームとして企画した理由として,「自社の強み」「市場」「危機感」「開発環境の変化」の4つを紹介した。

 まず自社の強みとしては,gloopsがこれまで「大進撃!!ドラゴン騎士団」「大連携!!オーディンバトル」「大戦乱!!三国志バトル」「スカイロック」など,ブラウザゲームをリリースしてきたことが挙げられた。
 そのためgloopsの社内には,ブラウザゲームの運営開発ノウハウが蓄積しているのはもちろんのこと,朝に計測されたデータを使ってその日の午後には改善が図られる迅速なPDCAサイクルが存在するとのこと。またこれまでのマルチプラットフォーム展開により,各プラットフォームの顧客特性が把握できているのも強みだという。
 上田氏は,gloopsのこうした強みを発揮できるのは,やはりブラウザゲームであるとした。

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 市場については,まず現在のネイティブゲーム市場がレッドオーシャン化しており,ゲームをリッチにするために開発費が高騰している反面,ヒット作が生まれにくくなっている状況が説明された。

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 その一方,ブラウザゲームのスマートフォンゲームにおける市場規模は,gloopsの調べによると約25%となっており,今なお存在感を示している。上田氏はその要因を「グランブルーファンタジー」などユーザーの支持が厚いタイトルの存在にあると分析し,「顧客はブラウザゲームかネイティブかを気にしていない。面白いブラウザゲームを作ればチャンスはある」とした。

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 危機感に関しては,各社が当然のようにネイティブゲームに取り組む中,ビジネス的に失敗しないようにすると,成功事例のトレースになったり,IPに頼ったりしがちになってしまうという現状があると説明した。また上記のとおりネイティブゲーム市場はレッドオーシャン化しており,体力のない企業は脱落していくこととなり,そこでもコンテンツの多様化は望めなくなる。
 そうした中,gloopsは全世界30億人が利用するWebに注目し,そこで展開するブラウザゲームにて革新的な挑戦をしていくという。

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 開発環境の変化については,Web技術の進化により,これまではブラウザ上では厳しいとされてきた仕様も動作可能となり,よりユーザーが面白いと感じるブラウザゲームを開発できる環境が整ったことが挙げられた。
 その中でもNBPFは会員登録せずともゲームのプレイが可能だったり,開発側としては自由な表現が可能になったりと,より簡単に,より深くゲームを体験できるようになっているという。

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 上田氏は,以上4つの理由により,gloopsではLAPLACE LINKをブラウザゲームとして企画開発することに決定したとまとめた。


ブラウザゲームの表現向上にあたって乗り越えた課題とNBPFの貢献


 「ブラウザゲームの表現の進化」と題したセッションでは,NBPFを使ったLAPLACE LINKの開発事例が,上田氏およびディー・エヌ・エー システム本部技術開発室 ソフトウェアエンジニア 坊野博範氏より紹介された。

ディー・エヌ・エー システム本部技術開発室 ソフトウェアエンジニア 坊野博範氏
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 上田氏はLAPLACE LINKの企画意図を,「従来のスマートフォンゲームでは考えられないほどの世界への没入感を実現したかった」と説明。つまり,これまでのスマートフォンゲームのように,リストの中からクエストを選択したり,イラストとテキストボックスを使って会話を表現したりするのではなく,コンシューマゲームのように世界を自由に冒険する感覚を出したかったという。

LAPLACE LINKのデモプレイでは,マップ上を自由に移動できることに加え,ゲーム中の会話がフキダシで表現されたり,その会話を通じてクエストがスタートしたりすることなどが紹介された
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 しかし,そうした上田氏をはじめとする開発スタッフのこだわりによって,開発初期のLAPLACE LINKの動作は非常に重くなっていたとのこと。その理由として坊野氏は,Canvas 2Dによる描画が遅いことと,使用メモリ量が多いことを挙げた。
 描画に関しては,WebGLを採用し高速描画を実現することに加え,総描画画素数を用途に応じて削減することで解決したという。また使用メモリ量は,画像の色数やサイズを変更するなどして最適化していったそうだ。

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 次に上田氏は,NBPFの採用により,LAPLACE LINKではスタート画面からログインすることなくオープニングムービーを鑑賞し,チュートリアルに移行して実際にゲームを始める流れになっていることを紹介。会員登録やログインによってゲームプレイが中断されることがないため,ユーザーの感情をコンシューマゲームのように自然に導入できるという。

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 またLAPLACE LINKでは,没入感を高めるために多彩なシーンを用意し,それらを高速で切り替えているが,その実現には乗り越えなければならない課題があったそうだ。
 坊野氏によれば,開発初期バージョンではファイル数が極めて多く,かつ一つのファイルのサイズが大きかったため,キャッシュの活用とファイルサイズの縮小といった改善を重ねたという。

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 さらにLAPLACE LINKでは,ショップのユーザーインタフェースをゲーム画面にオーバーレイすることにより,有料アイテムをMobageの画面に移行することなく購入できるようになっている。これにより,本作のセールスポイントの一つであるリアルタイムマルチバトルでゲームオーバーになったとき,没入感を損なうことなくコンティニューして復帰できると上田氏は説明した。なおこの仕組みは,NBPFの機能によって実現しているとのことだ。

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 上記のマルチバトルは,ユーザー4人が協力してボスを討伐するという内容だが,各ユーザーの動きがそれぞれの端末にリアルタイムで反映される。上田氏は,同じ戦場で敵味方の動きを把握し,戦況に応じてそれぞれが役割を変えていくという,いわば“息づかい”を感じるバトルを実現したかったと説明した。
 しかし,そのためには通信負荷という課題が生じ,坊野氏は画像やサウンドなどリソースの先読みと,スマートフォンやPCそれぞれのデバイスに応じたプロトコルの最適化によって改善を図ったことを紹介した。

 最後は上田氏が,Webの技術進化によって面白いブラウザゲームを作る環境が整っていることをあらためてアピール。あとは企画次第であるとし,会場に集まった聴講者に向けて「ぜひ一緒に盛り上げていきましょう」と呼びかけ,セッションを締めくくった。

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