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Supercell流のゲーム開発における考え方とは。開発者のコントロールは最小に,リスクは最大に
Supercellといえば,「Clash of Clans」や「クラッシュ・ロワイヤル」でおなじみの開発会社である。同社はそのほかに,「ヘイ・デイ」「Boom Beach」を加えた4タイトルを世界的に展開している。そして,4タイトルすべてがヒット作となっているのだ。
今回の講演では,同社のゲーム開発における考え方が紹介された。その要となっているのは「開発者のコントロールは最小に,そして開発者にとってのリスクは最大に」という,モットーだそうだ。
開発者のコントロールは最小に。役職ごとのヒエラルキーをなくし,開発チームに独立した権限を持たせる
Timur氏は,昔ながらのゲームメーカーは規模が大きくなればなるほど,リスクを避けるべく“工場”のようなオペレーションにならざるを得ないと語る。たとえば,ゲームの開発前には社内の上層部を説得するために膨大な資料を作成し,その後もスケジュール通りに行動するなど,何から何までをきっちりコントロールすることが良しとされている。
ゲーム開発ではクリエイティビティが大事だと思うかもしれないが,実はそうとは限らないと氏は言及する。というのも,仮にクリエイティビティが高すぎると,社内の意思決定を持つ人物に理解してもらえない可能性が出てくるからだ。こうなってしまうと,どんなに優れたアイデアも実現できないわけだ。
もちろん,きっちりとコントロールを行うことで会社にとってのリスクは減り,安定してリリースできる可能性が高まるため,単純に善し悪しで語れるような問題でもない。しかし,“工場”ライクなオペレーションが行き過ぎてしまうと,安全パイ以外のタイトル開発は行い難くなるのは事実で,これに対し窮屈に感じてしまう人が出てくるのも無理はないだろう。
氏によると,ゲーム業界ではこういった風潮が長らく続いていたが,Facebookアプリの登場によって小さなコストでもリリースできるようになり,それにより業界全体が大きく変わっていったとのこと。また,この点に可能性を見いだしたことで,氏はSupercellへの入社を決断したそうだ。
氏は昔ながらのゲーム開発を振り返り,さまざまなデメリットがあったと語る。何よりも,ゲーム文化に対する貢献度の違いを実感しており,現在の開発環境には強いやりがいを感じているそうだ。
ちなみに,Supercellにもリーダーや管理職は存在しているが,最終的な意思決定は2〜16名前後で構成されるチームがそれぞれ行っているという。そして,チームの意思は何よりも尊重されており,この点において組織のヒエラルキーは介在していない。それがたとえ経営者であってもだ。
実際,「クラッシュ・ロワイヤル」のプロトタイプ版をSupercellのCEOが最初に見たときは,「スマホアプリでリアルタイム形式のPvPなんて受け入れられるわけない。メタゲームなんて無理!」と一蹴したそうだが,開発チームはかまわず開発を続けたという。
開発者にとってのリスクは最大に。独立は自由になれるだけでなく責任も伴う
ここまでの話を聞く限り,開発者に自由を与えるのは良いことづくめに思えるかもしれないが,自由は同時に責任を伴う。氏によると,ここでいう責任とはゲームのクオリティであり,この点においてSupercellという会社はとことん貪欲だそうだ。
たとえば,Supercellがグローバルローンチを行ったのは先に紹介した4タイトルだけだが,そこに辿り着く前に開発を中断したアプリも多いという。しかもその大半が,βテストにすら辿り着いていないとのことだ。
Supercellの社内では,ゲーム開発が立ち上がると「企画」「プロトタイプを作成」「社内でテストプレイ」「結果の分析」を行い,そこでチェック(Greenlight)を通過できないと開発は中止になるという。
意思決定が自分たちに委ねられている環境で,いったいどのようなチェック体制が敷かれているのか。またリスクに関しても,もう少し詳しく聞きたかったところではあるが,講演はここで終了となった。
ちなみに氏によると,昨年のスマホアプリ業界では「クラッシュ・ロワイヤル」や「Pokémon GO」が成功を収めているので,今後の業界全体としてはイノベーティブなタイトルの開発も決して難しくはない,とのことであったが,さて。
「クラッシュ・ロワイヤル」公式サイト
「クラッシュ・ロワイヤル」ダウンロードページ
「クラッシュ・ロワイヤル」ダウンロードページ
「Clash of Clans」ダウンロードページ
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「ヘイ・デイ」ダウンロードページ
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「Boom Beach」ダウンロードページ
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