そうだ アニメ，見よう：第167回は10年ぶりのTVシリーズ「BLEACH 千年血戦篇」。星十字騎士団と黒崎一護たちの死闘が描かれる

　10年ぶりに「BLEACH」のTVアニメが再始動した。同作は，「週刊少年ジャンプ」で2001年から2016年まで連載していた久保帯人氏の漫画作品（全74巻）。シリーズ累計発行部数は1億3000万部を超え，実写映画や小説，ゲームなどさまざまなメディアに進出した大ヒット作品だ。TVアニメ化は2004年から2012年までの8年間，オリジナルを含む全366話により，「死神代行消失篇」でシリーズが終了していた。
　というわけで，「そうだ アニメ，見よう」第167回のタイトルは，待望の新シリーズ「BLEACH 千年血戦篇」。制作はstudioぴえろ，キャラクターデザインは工藤昌史氏が担当。監督とシリーズ構成を「Persona4 the Golden ANIMATION」や「アクダマドライブ」（関連記事）の田口智久氏が務めている。

「BLEACH 千年血戦篇」

　とある出会いから死神の力を手にし，《死神代行》となった黒崎一護（CV：森田成一）は，現世で死した魂魄が集う場所・尸魂界（ソウル・ソサエティ）の動乱に巻き込まれ，熾烈な戦いの中，仲間と共に大きく成長を遂げてきた。

　そんな一護の暮らす「空座町」で異変が起こる。新任の担当死神・行木竜ノ介（CV：山下大輝）と斑目志乃（CV：瀬戸麻沙美）が到着早々，虚（ホロウ）と遭遇。突然の襲撃になす術もない二人の窮地を助けたのは，一護と仲間たちだった。翌々日，意識を取り戻した竜ノ介たちと交流する一護たちの前に，仮面をつけた一人の男が現れる。

　一方，尸魂界では，現世における突然の虚の連続消失が観測され，この地へ導かれた魂が暮らす「流魂街」での住民達の失踪が発生。さらには死神たちの住む霊屋「瀞霊廷」が賊軍に襲撃される。


　賊軍の正体は，滅却師（クインシー）の始祖・ユーハバッハ（CV：菅生隆之）が率いる《見えざる帝国（ヴァンデンライヒ）》。彼らは，死神たちに宣戦布告する。
「5日後，尸魂界は《見えざる帝国》により殲滅される」
　千年の長きにわたり死神たちが背負っていた因縁。その宿業と秘められた真実がついに紐解かれる。黒崎一護の，最後の戦いが始まる――。

全4クールで描かれる最終章

　スタイリッシュな作風と“卍解（ばんかい）”や“十刃（エスパーダ）”といった魅力的なネーミングセンスで好評を博し，連載完結後も根強い人気を誇る「BLEACH」。言わずと知れた人気作で，TVアニメシリーズが8年間続いたこともあり，未アニメ化だった原作最終章制作の知らせを待ち望んでいたファンも多いのではないだろうか。
　そんなファンの声に応えるように，アニメ「BLEACH 千年血戦篇」がついにスタートした。しかも放送スケジュールは分割で全4クールの大ボリュームになることもアナウンスされているので，筆者の期待感はいやがうえにも高まった。


　そして，第1話「THE BLOOD WARFARE」をTVの前で正座して視聴したところ，とにかくいろいろと驚かされた。原作の画風に可能な限り近づけたキャラクターデザインに，躍動感のあるバトルシーン，完成度の高い美術など，すべてが劇場版にも勝るクオリティに仕上がっていたのだ。

　TVアニメ「鬼滅の刃」以降，ジャンプ系のアニメは「呪術廻戦」や「SPY×FAMILY」といった高レベルのアニメが制作され，ことごとく大ヒットを飛ばしている。日曜朝の「ONE PIECE」も目が覚めるほどのハイクオリティのシーンの続出で，数年ほど前とは隔世の感を禁じ得ない。歳も取るはずである。
　本作もかなりの出来に違いないと期待していたが，長年「BLEACH」に携わり続けてきたstudioぴえろの本気がうかがえる，久保氏の絵がそのまま動いているかのようなアニメーションには脱帽せざるえなかった。


　第2話「FOUNDATION STONES」以降も，その勢いは衰えることなく，「どれほどの時間をかけたのだろう……」と心配になるほどの映像だった。この高水準を維持するのは大変だと思うが，それでも期待に胸が膨らむものだ。

敵は《見えざる帝国》の戦闘部隊「星十字騎士団」

　今回の一護たちの敵は，《見えざる帝国》の戦闘部隊「星十字騎士団（シュテルンリッター）」だ。彼らは，ユーハバッハが与えた聖文字（シュリフト）によって，アルファベット1文字の能力を持った戦士たち。それぞれが，護廷十三隊の隊長を圧倒する力を持つ強敵たちだ。
　そして，厄介なことに，彼らには卍解を奪う力が授けられている。護廷十三隊の隊長といえば，それぞれ卍解を会得した猛者だが，星十字騎士団が相手では分が悪いと言わざるを得ない。護廷十三隊の隊士たちの奮闘ぶりが，今回の見どころとなりそうだ。
　なお，卍解を奪取する力はなぜか一護には効かず，今回も《死神代行》黒崎一護の力が必要となりそう。

OP＆EDも熱い。澤野弘之氏もプロデュースで参加

　「BLEACH」といえばこれまで，ORANGE RANGEの「＊〜アスタリスク〜」やシドの「乱舞のメロディ」など数々の名曲を世に送り出してきたが，「千年血戦篇」も負けていない。オープニング曲はキタニタツヤさんの「スカー」，エンディング曲はSennaRinさんの「最果て」。どちらも原作を意識して作られており，本作にマッチした楽曲となっている。
　「最果て」は，プロデューサーとして「進撃の巨人」や「ガンダムUC」などでおなじみの作曲家・澤野弘之氏が参加しているので，ぜひチェックしておこう。

さまざまな秘密が明かされる「千年血戦篇」

　一護の出生の秘密や「瀞霊廷」の霊王の正体など，長い間謎とされていたものが，いろいろと明らかになる「千年血戦篇」。原作の数々の名シーンをこのクオリティで見られるというのは，なんともうれしい限り。
　さらに，「千年血戦篇」では「星十字騎士団」や「零番隊」など，登場が楽しみのキャラクターも多い。これから4クール，「BLEACH」の世界をたっぷり味わえそうだ。
　ともあれ，まずは10年ぶりの石田雨竜，井上織姫，茶渡泰虎らの活躍と，黒崎一護の「卍解」をご堪能あれ。

「BLEACH 千年血戦篇」公式サイト

「BLEACH 千年血戦篇」公式Twitter

放映データ
2022年10月〜

キャスト
黒崎一護：森田成一
朽木ルキア：折笠富美子
石田雨竜：杉山紀彰
井上織姫：松岡由貴
茶渡泰虎：安元洋貴
阿散井恋次：伊藤健太郎
浦原喜助：三木眞一郎
四楓院夜一：ゆきのさつき
山本元柳斎重國：高岡瓶々
砕蜂：桑島法子
鳳橋楼十郎：樫井笙人
卯ノ花烈：久川綾
平子真子：小野坂昌也
朽木白哉：置鮎龍太郎
狛村左陣：稲田徹
京楽春水：大塚明夫
六車拳西：杉田智和
日番谷冬獅郎：朴璐美
更木剣八：立木文彦
涅マユリ：中尾隆聖
浮竹十四郎：石川英郎
兵主部一兵衛：楠見尚己
二枚屋王悦：上田燿司
麒麟寺天示郎：志村知幸
修多羅千手丸：佐藤利奈
曳舟桐生：恒松あゆみ
ユーハバッハ：菅生隆之
ユーグラム・ハッシュヴァルト：梅原裕一郎
アスキン・ナックルヴァール：武内駿輔
バンビエッタ・バスターバイン：竹達彩奈
バズビー：小野友樹
キャンディス・キャットニップ：内山夕実
グレミィ・トゥミュー：花江夏樹
リジェ・バロ：日野 聡

スタッフ
原作・総監修 ：久保帯人「BLEACH」（集英社 ジャンプコミックス刊）
監督：田口智久
シリーズ構成：田口智久、平松正樹
チーフ演出：村田 光、サトウ光敏
キャラクターデザイン：工藤昌史
総作画監督：長谷川亨雄、小松原聖、高柳久美子
アクション・エフェクト作画監督 ：酒井智史、菅野芳弘、鄭泳勲
美術監督：谷岡善王
美術設定：天田俊貴
色彩設計：合田沙織
編集：三嶋章紀
撮影監督：山田和弘
CG監督：佐々木俊宏、後藤和史
音響監督：長崎行男
音響制作：ザック・プロモーション
音楽：鷺巣詩郎
アニメーション制作：studioぴえろ
(C)久保帯人／集英社・テレビ東京・dentsu・ぴえろ