そうだ アニメ，見よう：第229回は10年ぶりの劇場版「アルドノア・ゼロ（Re+）」。戦争終結から約9か月後を描いた「雨の断章」とは？

　「魔法少女まどか☆マギカ」の虚淵 玄氏がストーリー原案，「Fate/Zero」のあおきえい氏が監督を務め，キャラクター原案として「放浪息子」の志村貴子氏が参加したオリジナルTVアニメ「アルドノア・ゼロ」。2014年から2015年にかけて放送された，本作の劇場版「アルドノア・ゼロ（Re+）」が現在公開されている。
　というわけで，「そうだ アニメ，見よう」第229回のタイトルは，劇場アニメ「アルドノア・ゼロ（Re+）」。制作はTROYCA，シリーズ構成を「君が望む永遠」や「マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝」の高山カツヒコ氏が担当している。ストーリーのネタバレを含む内容となっているので，未鑑賞の人は注意してほしい。

「アルドノア・ゼロ（Re+）」

　西暦2014年。火星に移住した人類「ヴァース帝国」と地球との間で起きた戦争から15年後，和平交渉の一環として地球を訪れた帝国の皇女アセイラム・ヴァース・アリューシア（CV：雨宮 天）は親善パレードの最中，テロリストによる襲撃で生死不明となってしまう。
　帝国側は，これを地球による宣戦布告として休戦協定を破棄し，地球の衛星軌道上に駐屯していた火星騎士の軍勢を地球へと降下，世界各国に攻撃を開始する。

　地球の高校生である界塚伊奈帆（CV：花江夏樹）は，襲い来る火星の人型機動兵器「カタフラクト」を，持ち前の冷静さと戦略で仲間と共に撃退していく。そんな中，伊奈帆は不思議な少女と出会う。彼女こそ侍女のエデルリッゾ（CV：水瀬いのり）と共に民間人に変装し，避難先を探していたアセイラムだった。


　アセイラムを保護することになった伊奈帆は，火星騎士たちを迎撃しつつ，彼女と共に地球連合本部が置かれているロシアのノヴォスタリスクを目指す。

　一方，地球出身で火星騎士に仕える少年スレイン・トロイヤード（CV：小野賢章）は，アセイラム暗殺事件の真相を知り，行動を開始する。スレインはかつて彼女に命を救われ，それ以来彼女に忠誠を誓っているのだった。
　アセイラムの生存を知ったスレインは，そのことを皇帝に報告して戦争を止めようとするが，皇帝一族の抹殺を目論む火星騎士の一人，ザーツバルム（CV：大川 透）に妨害されてしまう。


　そしてザーツバルムは，スレインの行動を受けて休戦を申し入れようとした火星騎士クルーテオ（CV：速水 奨）を始末し，自身の揚陸城をノヴォスタリスクへと降下させ，地球連合軍との決戦に打って出るのだった。

火星と地球の戦いに巻き込まれた高校生たち

　本作は，古代文明のテクノロジー「アルドノア」を手に入れた火星の人々と地球の戦争を舞台にしたSFオリジナルアニメだ。物語は，地球側の主人公・界塚伊奈帆と火星側の主人公・スレインを中心に，ヒロインのアセイラムをめぐる“謀略“と“恋“，そして地球サイドと火星サイドの群像劇が描かれている。


　虚淵 玄氏×あおきえい氏のタッグに加え，戦争の再開を目論む火星騎士一派の謀略や，火星のスーパーロボットに創意工夫で挑む高校生たちの活躍など，メリハリの効いた展開が話題を呼び，スマッシュヒットを飛ばした。

　2014年7月から9月まで放送された第1クールのラストでは，アセイラムと伊奈帆が銃で撃たれるというショッキングなシーンで終わり，半年後の第2クールまでヤキモキして待たされたものだ。


　その劇場版となる「アルドノア・ゼロ（Re+）」では，TVシリーズ全24話の総集編に加え，TV版のその後の世界を描いた新作「EP24.5：雨の断章 -The Penultimate Truth-」が追加されている。放送当時に物議を醸した最終回のアフターストーリーとはどんなものなのか？　不安と期待を抱きつつ，劇場へ足を運んだ筆者の雑感をお届けしたい。

新作アニメ「雨の断章」とは？

　まずは総集編の部分だが，さすがに全24話のダイジェストとなると，ある程度内容を知らないと初見でストーリーを把握するのは難しそう。しかし，再構成された内容自体は，アクションやドラマのハイライトシーンを押さえた見応えのあるものだと感じた。
　ヴァース帝国の中で成り上がっていくスレインや，火星騎士を仕留めていく伊奈帆，アセイラムの身代わりとなるレムリナ（CV：夏川椎菜）の葛藤など，シナリオの山場をきちんと収録している。


　肝心の「雨の断章」は，地球と火星の戦争終結から約9か月後が舞台。収容施設のスレインと対面した伊奈帆は「どうして鳥は飛ぶのか？」と問いを投げかける。この言葉にはどんな意味があるのか？　ここはぜひ自分の目で確かめてほしい。10年ぶりにモヤモヤが晴れた短編だった。

3月26日にBlu-ray Disc BOXが発売

　あおきえい氏の作り上げた美しい映像や，未来予測機能や次元バリアといった超兵器を搭載した火星カタクラフト，アルドノアドライブをはじめとするSF設定，軽快な澤野弘之氏の劇伴曲など，さまざまな魅力が詰め込まれた本作。10年ぶりに観ても，まったく色褪せない作品だと気づかされた。
　今回の上映は期間限定となっており，3月27日まで公開される。3月26日にはTVアニメ全24話と「雨の断章」を収録したBlu-ray Disc BOXも発売されるが，大画面で観たいという人は劇場に足を運んでみよう。

「アルドノア・ゼロ（Re+）」公式サイト

「アルドノア・ゼロ（Re+）」公式X

放映データ
2025年2月28日〜3月27日まで/全国32館で上映

キャスト
界塚伊奈帆：花江夏樹
スレイン・トロイヤード：小野賢章
アセイラム・ヴァース・アリューシア：雨宮 天
ライエ・アリアーシュ：三澤紗千香
網文韻子：小松未可子
カーム・クラフトマン：村田太志
ニーナ・クライン：加隈亜衣／箕国起助：山谷祥生
界塚ユキ：大原さやか
鞠戸孝一郎：中井和哉
耶賀頼蒼真：鳥海浩輔
ダルザナ・マグバレッジ：茅野愛衣
不見咲カオル：嶋村 侑
エデルリッゾ：水瀬いのり
クルーテオ：速水 奨
ザーツバルム：大川 透
ウォルフ・アリアーシュ：木下浩之
トリルラン：櫻井孝宏
祭陽希咲：河西健吾
詰城祐太朗：斉藤壮馬
筧 至剛：古川 慎
フェミーアン：甲斐田ゆき
レイレガリア・ヴァース・レイヴァース：小川真司・菅生隆之
ハークライト：平川大輔
レムリナ・ヴァース・エンヴァース：夏川椎菜
ヤーコイム：興津和幸
マリルシャン：千葉進歩
バルークルス：竹内良太
マズゥールカ：豊永利行
ゼブリン：木島隆一
ラフィア：生天目仁美
オルガ：三宅健太
クランカイン：逢坂良太
ハッキネン：やまむらいさと

スタッフ
原作：Olympus Knights
監督：あおきえい
ストーリー原案：虚淵 玄（ニトロプラス）
シリーズ構成：高山カツヒコ
キャラクター原案：志村貴子
キャラクターデザイン・総作画監督：松本昌子
メカニックデザイン：I-IV・寺岡賢司
メカ・エフェクトアニメーション：橋本敬史
メインアニメーター：斉藤敦史・サトウミチオ
美術監督：伊藤 聖（雨の断章）永吉幸樹・坂東宏美
美術設定：児玉陽平・藤井祐太
色彩設計：大内 綾
CGディレクター：（1クール）那須信司（2クール）町田政彌（雨の断章）井口光隆
ビジュアルエフェクト：津田涼介
撮影監督：加藤友宜
編集：右山章太
音響監督：明田川仁
音響制作：マジックカプセル
音楽：澤野弘之
制作：A-1 Pictures + TROYCA
アニメーション制作：TROYCA
製作：Project AZ
配給：アニプレックス

■関連情報

Blu-ray Disc BOX予約受付中！
タイトル：アルドノア・ゼロ　Blu-ray Disc BOX
発売日：2025年3月26日（水）／価格： 38,500円（税込）／品番：ANZX- 17801〜17811
収録話：TVアニメ全24話、新作アニメ『EP24.5:雨の断章 -The Penultimate Truth-』

◆新作アニメ『EP24.5:雨の断章 -The Penultimate Truth-』あらすじ
地球と火星の戦争終結から約9ヶ月後。伊奈帆は収容施設のスレインと再び対面する。その言葉に耳を貸そうとしないスレインに、伊奈帆は投げかける。「どうして鳥は飛ぶのか？」

特典：・LPサイズBOX
・キャラクター原案 志村貴子描き下ろしデジジャケット
・特製ブックレット：設定資料集再録（志村貴子キャラ原案＆I-?メカ原案）、新規インタビュー他収録
・再録コミック：スレインの過去エピソード、伊奈帆やユキたち地球側のエピソード
・再録小説：伊奈帆やユキたち地球側のエピソード、第一次惑星間戦争のエピソード
・原画集：「雨の断章」原画を収録
・再録CD1：澤野弘之による劇伴リアレンジを再録
・再録CD2：澤野弘之による追加サウンドトラックを再録
・再録CD3：“IF”の学園生活を描いたスペシャルドラマCD第1弾＆第2弾、イベント「ALDNOAH.ZERO EXTRA DAY」パンフレット特典ドラマCDを再録
・特典映像：ノンクレジットOP＆ED映像、「アルドノア・ゼロ」特番“COUNT TO A/Z”＆「アルドノア・ゼロ」特番“ALDONOAH.ZERO EXTRA ARCHIVES”、WEB予告、PV&CM集
※仕様・特典は予告なく変更となる可能性がございます。