そうだ アニメ，見よう：第248回はP.A.WORKS制作のオリジナルアニメ「永久のユウグレ」。世界崩壊後の日本を旅する，少年とアンドロイドの物語

　富山県に本社を置くアニメスタジオ「P.A.WORKS」は，丁寧な作品作りでファンも多く，アニメ制作の現場をコミカルに描いた「SHIROBAKO」や，温泉旅館を舞台にした「花咲くいろは」といった“お仕事シリーズ”をはじめ，数々のオリジナル作品を世に送り出してきた。そんな同スタジオの最新作が9月にスタートしている。

　というわけで，「そうだ アニメ，見よう」第248回のタイトルは，P.A.WORKSのオリジナルアニメ最新作「永久（トワ）のユウグレ」（毎週木曜日24：26〜MBS/TBS系28局ほか）。制作はP.A.WORKS，シリーズ構成・監督は「妖狐×僕SS」や「planetarian〜星の人〜」の津田尚克氏が担当。キャラクター原案として，アニメ化も決定した「ガールクラッシュ」（リンク）の漫画家・タヤマ碧氏が参加している。

「永久のユウグレ」

　幼い頃に両親を亡くした高校生・姫神アキラ（CV：梅田修一朗）は，父親の親友に引き取られ，AI研究家である王真樹トワサ（CV：茅野愛衣）と家族同然に暮らしていた。アキラはトワサに思いを寄せるが，長年の共同生活ゆえに関係を進展させられずに悩んでいた。

　そんな折，トワサが考案した，人間にAIを組み込みアップグレードする「LC計画」の発表会で事件が起きる。反対派の襲撃を受けたトワサをかばい，アキラは銃で撃たれてしまう。


　アキラはコールドスリープによって命をつなぎ，目覚めた時には200年が経過していた。世界は戦争によって荒廃し，国家は解体。「OWEL」と呼ばれる統一機構が人々を管理する社会へと変貌していた。結婚とは異なる新制度「エルシー」によって家族が構成されるなど，価値観も激変している。　

　混乱するアキラの前に，トワサそっくりのアンドロイド「ユウグレ」が現われた。
　「アキラ……。私と結婚してください」


　突然の求婚に戸惑いながらも，トワサの行方を知るためアキラはユウグレとともに旅に出る。北の地「ハコダテ」から「トーキョー」を目指す2人の旅路が始まった。

　途中，絵本作家を夢見る少女・アモル（CV：富田美憂）と出会い，「オソレザン」への道案内を申し出た彼女と行動を共にするが，行く先で「OWEL」の衛兵に取り囲まれてしまうのだった。

「AI戦争」で崩壊した日本が舞台

　本作は，「AI戦争」と呼ばれる大規模戦闘で荒廃した地球，いわゆる“ポストアポカリプス世界”を舞台にしたSF作品だ。この戦争では数十億人が犠牲となり，日本も北海道と東北，関東，北陸などを残して大部分が消滅している。
　文明は「OWEL」によって管理され，大幅に後退。同性同士や多人数，兄弟姉妹でも関係を結べる制度「エルシー」によって，家族が構成されていた。

　そんな世界で，前時代に生きていたアキラとアンドロイドのユウグレが，トーキョーを目指して旅を続ける物語が描かれるのが本作「永久のユウグレ」だ。


　旅の途中では，女性同士のエルシーであるアジサイ（CV：白石晴香）とハニヤマ（CV：河瀬茉希），姉弟で思いを寄せ合うフィーデス（CV：小清水亜美）とカルクラム（CV：坂 泰斗）らと出会い，多様な愛の形に触れることになる。また，アモルや，元「OWEL」職員のヨクラータ（CV：阿座上洋平）も加わり，一行は次第ににぎやかになっていく。


　しかし，アキラとユウグレは「OWEL」に目を付けられ，行く先々で妨害を受けることになる。果たして無事にトーキョーへたどり着けるのか。そしてユウグレとは何者なのか。200年前に何があったのか。さまざまな謎をはらんで物語は展開していく。

トワサをモデルにした「アウトサイドシリーズ」

　人間同然の外観で，しかもトワサとそっくりなユウグレが，“トワサの行方”の手がかりを持っているのは間違いない。だが，アキラが何を聞いても「禁則事項です」の一点張りで，自分から打ち明ける気はない模様だ。

　ユウグレは，どうやらAI戦争を終わらせるためにトワサが作った12体の女性型アンドロイド「アウトサイドシリーズ」の1体らしい。その戦闘力は絶大で，第1話「星の海に魂の帆をかけた女」では「OWEL」の衛兵たちを一瞬で薙ぎ払っていた。
　彼女の後を追って，同型機のヨイヤミ（CV：沢城みゆき）とハクボ（CV：楠木ともり）も登場しており，みなトワサと同じ顔なのが特徴だ。


　ユウグレたちのキャラクター原案を担当したタヤマ碧氏は，アニメ作品に携わるのは今回が初めてなのだとか。「少し未来から遠い未来の世界，でもどこか懐かしいような，そんなイメージで自分なりの王道なデザインを目指しました」とキャラクター作成のコンセプトについて語っている。
　可愛らしくも凛々しい「アウトサイドシリーズ」の残る9体の登場にも期待したいところだ。

OPテーマはUruさん，EDテーマはHana Hopeさんが担当

　本作の1990年代SF作品を思わせる空気感を強く印象づけているのが，Uruさんによるオープニングテーマ「プラットフォーム」と，Hana Hopeさんによるエンディングテーマ「Two Of Us」だ。
　第0話と第9話では，特殊エンディングとしてHana Hopeさんの「星紡ぎ」が使用されている。いずれも重要な転換点となるエピソードで，特別な演出として選曲されたとのこと。

　なお，「プラットフォーム」と「Two Of Us」のノンクレジット映像も公開済みだ。アウトサイドシリーズと思われるキャラクターの姿も確認できるのでチェックしてほしい。

衝撃の第9，10話がオンエア

　第9，10話では衝撃の事実が明かされた。ネタバレになるため詳細は伏せるが，ユウグレにまつわる秘密や200年前の真実が判明し，アキラの今後の行動にも大きな影響を与えそうだ。トーキョーを目指す旅の意味も，これまでとは大きく変わりつつある。

　独特の世界観やキャラクター設定，“愛”をテーマにしたシナリオなど，これまでのP.A.WORKS作品とは異なる路線を打ち出している本作。企画の出発点は「遠い未来で目を覚ました時，超絶綺麗で可愛いアンドロイドに結婚を迫られたらこりゃ堪らん」だったと津田監督は語っているが，オリジナル作品ならではの予想外の展開も，視聴者を引き付ける大きな要因となっているようだ。

　現時点では，全何話構成になるのかは明らかにされていない。あと何話楽しめるか分からないが，アキラとユウグレの物語の行方を最後まで見届けたい。


　なお，「週刊少年マガジン」の公式アプリ「マガポケ」ではコミカライズ版が連載されている（リンク）。漫画は濱田 一氏が担当し，毎週金曜日に更新される。アニメだけでは物足りないという人は，こちらもチェックしておきたい。

・‥…━━━━━━━━━■
?コミカライズ第?巻?
?12月9日発売?
□━━━━━━━━━…‥・

『#永久のユウグレ』コミカライズ版
第1巻の書影を大公開！

さらに、初版限定で
漫画・濱田一先生描き下ろしの
イラストカードも封入されております?

各書店・電子書店様でご予約受付中です? pic.twitter.com/JHpkJGN8hI

— TVアニメ『永久のユウグレ』公式 (@towanoyuugure) December 2, 2025

放映データ
毎週木曜日24：26〜MBS/TBS系28局ほか

キャスト
姫神アキラ：梅田修一朗
ユウグレ：石川由依
王真樹トワサ：茅野愛衣
アモル：富田美憂
ヨイヤミ：沢城みゆき
ハクボ：楠木ともり
ヨクラータ：阿座上洋平
イディ：小針彩希
オボロ：森川智之
カルクラム：坂 泰斗
フィーデス：小清水亜美
ハニヤマ：河瀬茉希
アジサイ：白石晴香
ヴァーレ：稲田 徹
キャスタ：佐藤利奈
カニス：鶴岡 聡
マールム：子安武人
ウルス：仲野 裕
セシャト：伊瀬茉莉也

スタッフ
原作：Project FT
監督・シリーズ構成：津田尚克
キャラクター原案：タヤマ碧
キャラクターデザイン：齊藤佳子
サブキャラクターデザイン：GONTA
美術デザイン：宮岡真弓、多田周平
メインアニメーター：鍋田香代子
総作画監督：齊藤佳子、長田好弘、さとう沙名栄
色彩設計：佐々木梓
美術監督：浅井唯奈、田辺浩子
2Dworks：向井吉秀
3D監督：市川元成
撮影監督：児玉純也
編集：高橋 歩
音楽：得田真裕
音響監督：吉田光平
録音：安齋 歩
音響効果：小山恭正
音響制作：dugout
オープニングテーマ「プラットフォーム」Uru
第1話〜第7話エンディングテーマ「Two Of Us」Hana Hope
第0話/第9話のエンディングテーマ「星紡ぎ」Hana Hope
アニメーション制作：P.A.WORKS

■Blu-ray情報

「永久のユウグレ」Blu-ray 第1巻
（初回生産限定版）


2026年2月4日(水)
HPXR-3201
価格：14,300円(税込)

収録内容
第0話〜第4話

仕様特典
キャラクターデザイン・齊藤佳子描き下ろし三方背ケース

封入特典
キャラクター原案・タヤマ碧描き下ろし透明PETイラストカード

特製ブックレット40P
・監督・シリーズ構成津田尚克書き下ろしオリジナルショートストーリー?
・キャストインタビュー（姫神アキラ役・梅田修一朗、ユウグレ役・石川由依、王真樹トワサ役・茅野愛衣）ほか

映像特典
・ノンクレジットOP・ED
・アフレコ収録直後キャストアフタートーク（第0話〜第4話）
(C)Project FT／永久のユウグレ製作委員会・MBS