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「エースコンバット」シリーズの30年の軌跡をバンダイナムコ河野氏が語る。「3つの柱」を守り続ける開発哲学と技術進化の融合[G-STAR 2025]
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印刷2025/11/14 13:02

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「エースコンバット」シリーズの30年の軌跡をバンダイナムコ河野氏が語る。「3つの柱」を守り続ける開発哲学と技術進化の融合[G-STAR 2025]

 2025年11月13日,韓国のゲームイベント「G-STAR 2025」で講演「エースコンバットシリーズの30年の軌跡」が開催された。講演には,バンダイナムコエンターテインメントの河野一聡氏が登壇し,IGN JAPANのダニエル・ロブソン氏が聞き手を務めた。

左が河野一聡氏,右がダニエル・ロブソン氏
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 河野氏は,1994年にナムコに入社し,デビュー作となるテニスゲーム「スマッシュコート」を経て,レースゲーム「レイジレーサー」「R4 -RIDGE RACER TYPE 4」を手がけた。
 フライトシューティングゲーム「エースコンバット」シリーズには,1997年に発売された「エースコンバット2」から,2019年に発売された最新作「エースコンバット7 スカイズ・アンノウン」まで長期にわたって関わっており,現在は同シリーズのブランドディレクターを務めている。

累計販売本数2000万本を超える人気シリーズだ
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30年間変わらない「あなたが主人公」というコンセプト


 シリーズが愛され続ける理由について,河野氏は「30年間ずっと,プレイするあなたが主人公です。あなたがエースパイロットになりますということを体験してもらってきた。そこを変えていないのが愛された理由」だと語る。

 ビジュアルは劇的に進化したが,一人称の主人公視点というスタイルは変わっていない。プレイヤー自身がコックピットの中にいて,架空の世界「ストレンジリアル」でエースパイロットとなる――この体験の本質は守られてきた。

初代エースコンバット
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 河野氏は,エースコンバットには3つの柱があると説明した。

 1つ目は,360度ハイクオリティのビジュアル空間を,自由自在に飛び回る開放感。
 2つ目は,自身の判断(どの距離でも,どの武器でも,どのタイミングでも)に従って敵を狙い撃ち,次々に撃破していく爽快感。
 3つ目は,数々のミッションをクリアしてエースパイロットになるシナリオによる,困難を乗り越えて英雄になる達成感だ。

青と赤の色分けで,それぞれの柱がアイデアとベネフィットで構成されることも説明された
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 「この3つの柱は,30年間ほぼ変わっていない」と河野氏は語る。ただし,技術の進歩によって実現できる表現が変わった場合,それを「手段」として取り入れ,「体験」を飛躍的に向上させてきたという。

 例えば,次世代機でよりリアルな空間が表現できるようになれば,自由自在に飛び回る開放感というベネフィットが大きくなる。新しい技術が出てきたときは,それがベネフィットにどう貢献するかを常に考えて,シリーズは進化してきたそうだ。

左がエースコンバット4の雲,右がエースコンバット7の雲
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 一方で,河野氏はシリーズの「最大の危機」として,「エースコンバット アサルト・ホライゾン」と「エースコンバット インフィニティ」の2作を挙げた。
 前者は主人公をプレイヤー自身ではなく特定のキャラクターに設定し,後者は基本プレイ無料のタイトルでナラティブがほとんどない作品だった。いずれもシリーズコンセプトを変えてしまったことで,プレイヤーからは賛否両論だったという。

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 こうした経験から河野氏が得た教訓は,「作り手は必ずお客様より先に飽きる」ということだ。「お客様はまだナラティブ主体のエースコンバットを求めているのに,作り手としては同じことを繰り返しているように感じ,シリーズのアイデンティティを変えてしまった」と振り返り,これはエースコンバットに限らず,よくあるパターンだと河野氏は指摘した。


ストレンジリアルという世界設定の構築


 エースコンバットシリーズの世界設定は,ファンの間で「ストレンジリアル」と呼ばれている。河野氏によれば,フライトシミュレータと勘違いされることが多いが,実際はフライトシューティングであり,シミュレータではないという。

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 「ビリーバビリティ――どれだけストレンジリアルの世界をお客様に信じていただけるか」に力を入れていると河野氏は語る。手前に本物に見える戦闘機を置き,奥に近未来SFの要素を置くことで,後者を信じてもらえるように世界を構築しているのだ。

 また,近未来SFの要素は徹底的に考証されており,大手建設会社である大林組に軌道エレベーターの計画を聞きにいったこともあるという。


グローバルに通じる普遍的なテーマ


 シリーズが全世界で愛される理由について,河野氏は「ゲームって人生だと思っている」と語る。人生には成功と失敗があり,ゲームにもクリアとゲームオーバーがある。成功と失敗を繰り返して何かを勝ち取るという体験は人生に似ており,ゲームというメディアは人生を体験するのに向いているという。

 「エースパイロットになれる確率はものすごく低いが,ゲームならば失敗を繰り返し,だんだんと上達して,最終的にはナラティブの応援もあって成功者になる体験ができる」。この感覚は,グローバルであり,国の事情とも関係なく根源的なものだと河野氏は考えている。

プレイヤーがライバルを倒すストーリーや,空への憧れも万国共通のニーズだという
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 講演の終盤,ロブソン氏から新作について問われた河野氏は,「作っています」と明言した。数年前に新作を作ることを発表し,バンダイナムコエイセス(関連記事)というデベロッパを立ち上げたことにも触れ,「昨日も韓国からオンライン会議に参加し,新作をディレクションしている」と現状を説明した。しかし,まだ詳細を明かすことはできないとして,白紙のスライドを映し出した。

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 また,あくまで妄想としたうえで,ストレンジリアルの世界を使った別作品にも興味があると語った。
 ただし,スピンオフ感が強くなることは避けたいとし,「ちゃんとしたアクションやアドベンチャーの企画があって,それがすごく面白そうだとなって,よくよく調べてみたらエースコンバットの世界でやってるゲームだ,みたいな打ち出し方で新規IPをやってみたい」と構想を明かした。

 30年間変わらぬコンセプトを守りながら,技術の進化とともに体験を向上させ続けてきたエースコンバットシリーズ。河野氏の語る開発哲学からは,長く愛されるフランチャイズを育てる上での重要な教訓が見えてくる。開発中の新作がリリースされる日を楽しみに待ちたい。

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