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「メタルマックス」の25周年メモリアルトークイベントが開催。シリーズの生みの親,“ミヤ王”こと宮岡 寛氏ら往年のスタッフが開発秘話を披露
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印刷2018/01/30 16:00

イベント

「メタルマックス」の25周年メモリアルトークイベントが開催。シリーズの生みの親,“ミヤ王”こと宮岡 寛氏ら往年のスタッフが開発秘話を披露

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 2018年1月26日,「『メタルマックス』25周年メモリアルトークイベント 〜お一人様、10Gだよ! 犬は…5Gでいいよ!〜」が東京・LOFT9 Shibuyaで開催された。

 本イベントは「メタルマックス」シリーズ25周年と,最新作「METAL MAX Xeno」PS4 / PS Vita)の発売決定を記念して企画されたもの。会場では「メタルマックス」の生みの親である“ミヤ王”こと宮岡 寛氏を筆頭とする開発陣が登壇し,初代「メタルマックス」や歴代タイトルの開発にまつわる思い出話や開発資料などを披露した。

「METAL MAX Xeno」公式サイト


 イベントは3部構成となっており,イベント第1部「Episode I 誕生」では,宮岡氏と「メタルマックス」シリーズのデザイナーである山本貴嗣氏,サウンドコンポーザーの門倉 聡氏が初代「メタルマックス」が生み出された当時のエピソードを披露した。

イベントのレギュラー・メンバー(登壇者)。前列左から,門倉 聡氏宮岡 寛氏,「METAL MAX Xeno」でマリアのボイスを演じる声優のたかはし智秋さん山本貴嗣氏。後列左から,イベントのMCを務めたDDTプロレスの男色ディーノ選手,「METAL MAX Xeno」プロデューサー 河野順太郎氏
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 話は,宮岡氏と山本氏が出会った小学校5年生の頃までさかのぼる。当時の山本氏は“神童”と呼ばれるほど優秀で,校内でもちょっとした有名人。一方,宮岡氏は,文化祭で劇の脚本と演出を担当したことから,山本氏に顔を覚えられていたという。

 その後,中学校で文芸部に入った両氏は,合作小説を書くこととなる。といってもこの小説は,きちんとした起承転結のあるプロットを考えてから書いたわけではなく,リレー小説のようなものだったとのこと。
 さらに高校生になると,“キム皇”こと木村 初氏が合流。高校でも文芸部に入った3人は,小説や漫画などを書いていたほか,フォークバンドを組んでオリジナルソングを作ったりもしたそうだ。

会場には,120名の「メタルマックス」ファンが集まった
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 そして1977年,大学に進学した宮岡氏と山本氏は,漫画原作者などとして知られる小池一夫氏の劇画村塾の1期生となる。作家を目指していた宮岡氏は劇画村塾ではあまり熱心な生徒ではなかったが,数年後,同じく1期生だったさくまあきら氏との縁でフリーライターとしてデビュー。その初仕事で出会ったのが,あの堀井雄二氏である。

 木村氏らライター仲間とともに週刊少年ジャンプで「ファミコン神拳」の連載などを手がけていた宮岡氏だったが,やがて堀井氏から「ゲームを作るから手伝わないか」と誘われることに。もちろん,このゲームとは「ドラゴンクエスト」のことだが,「ドラゴンクエストIII」を開発していた頃には,宮岡氏自身,「万人に親しまれる」という堀井氏の方向性とは違うチャレンジへの欲求を抱いていたという。

 そこで宮岡氏は新プロジェクトを手がけることになったわけだが,そのとき音楽担当として起用されたのが門倉氏である。このプロジェクトでは,ダンジョンをメインに据えたゲームを開発していたそうだが,残念ながらに世に出なかったとのこと。

 そうこうしているうちに,宮岡氏はデータイーストでゲームを手がけることとなる。当初はシンプルなボードゲームタイプのゲームを企画していたが,会社の事情でヒットを狙わざるを得なくなったため,RPGに方向転換。それが初代「メタルマックス」の始まりである。

 しかし初代「メタルマックス」も,最初からあの形だったわけではない。宮岡氏によると,最初は主人公が自分自身をサイボーグ化していくという内容で,身体が次第に金属になっていく設定から「メタルマックス」という名称を考えついたそうだ。

 ここで会場では,エピソード・メンバー(ゲスト)として,初代「メタルマックス」のプランナー・とみさわ昭仁氏と,「メタルマックス」シリーズのプログラム・企画・ディレクションを担当した田内智樹氏が登壇。とみさわ氏が保管していた初代「メタルマックス」の企画書とともに,開発当時のエピソードが披露された。

とみさわ昭仁氏(右から3人め)と,田内智樹氏(右から2人め)
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 宮岡氏によると,初代「メタルマックス」は従来のRPGと差別化するために「何かに乗って戦う」ことを目指したという。そのとき頭に思い浮かんだのがアーケードゲーム「フロントライン」だったことから,戦車に乗るRPGとなったそうだ。さらに宮岡氏が西部劇のファンだったことから,賞金首を倒すという内容になった。ストーリーや攻略手順に決められた道筋がない点も,宮岡氏の意向によるものだったそうだ。

この企画書は,社内の稟議を通すために作成されたとのこと。「ドラゴンクエスト」とは異なる方向性のRPGであることなどが記されている
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 また宮岡氏は,本作の世界にモンスターがいる理由を作ることに苦心したそうだ。頭を悩ませた結果,マザーコンピュータ「ノア」がモンスターを作り出したという設定を考えついたとき,すべてがつながったように感じたという。

 話題は,ゲームの仕様にも及んだ。田内氏によると,バトルモードのうち敵味方が同時に行動する「モードC/モードD」は,宮岡氏の「こうすると面白いよね」という一言で,仕様書もないまま追加する羽目になったとのこと。それでも,わずか1週間で完成させたというから,田内氏の手腕は相当のものである。そうやって宮岡氏に「何でも作ってもらえる」と認識された田内氏は,のちのちさまざまな無茶振りに悩まされたそうだが,その一方で「開発中は楽しくて仕方なかった」とも語っていた。

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会場では,初代「メタルマックス」の仕様書も公開された。ラフデザインのイメージは,世界観同様,当時のSF作品にインスパイアされていたという
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 そして1991年5月,初代「メタルマックス」はついにリリースされることとなった。宮岡氏によると本来はスーパーファミコンが世に出る前にリリースする予定だったとのことで,「(1世代前にあたるファミコン用ソフトは)心配していたとおり売れなかった」と話していた。

初代「メタルマックス」のパッケージも披露された
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 それでは,なぜそれほど売れなかったゲームの続編を作るという話になったのか。何でも,初代「メタルマックス」のパッケージに同梱されていたユーザー葉書の投函率が類を見ないほど高かったそうで,その事実に着目した当時のデータイーストの営業部長が直々に,宮岡氏に「メタルマックス2」開発を打診してきたという。

 「メタルマックス2」は,前作よりも売れることを目指して開発された。テーマは“復讐”で,そのために女ソルジャー・マリアが序盤で倒され,要所で彼女を思い返す演出こそあるものの,生き返ることなくストーリーが進行していく。宮岡氏はマリアの扱いについて,「復讐のモチベーションを保つには,目の前で大事な人が殺されることが一番ではないか」と説明。さらに,発売直前までマリアが黒焦げになる演出が入っていたことも明かした。
 これに関連して,宮岡氏は「メタルマックス2」のもう一つのテーマとして“生と死”を挙げた。これは,あまりにも死を軽く扱っているゲームが多かったことに端を発しているという。

 なお,「メタルマックス」シリーズの音楽に関しては,ゲームの開発に着手する前に宮岡氏から門倉氏に「こういう感じの曲を作ってほしい」という何曲分かのオーダーがあるとのこと。宮岡氏は,門倉氏が仕上げた楽曲を聴きながらゲームの世界観や仕様などを詰めていくそうだ。

 門倉氏によると,宮岡氏のオーダーは「えっ?」と思うようなものが多く,とくに音源の制約が大きかったファミコン/スーパーファミコン時代は相当な無理があったという。人気曲「Wanted!」も,3音しか使えない中「どうすればロックになるだろうか」と無理を重ねた末,あの形になったそうである。門倉氏は,「自由に作曲できる今だったら,あの曲は生まれなかった」と語っていた。

 イベント第2部「Episode II 再生」では,幻のドリームキャスト用ソフト「メタルマックス ワイルドアイズ」の開発バージョンの実機デモプレイが公開に。1999年に開発されていた本作は,今でいうオープンワールドタイプのゲームで,かなり時代を先取りした内容だが,宮岡氏は「自分の作りたいものを作っていただけ」と説明。

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 「メタルマックス ワイルドアイズ」の開発が中止された理由は,当時のパブリッシャの社内事情にあったという。宮岡氏から開発中止を告げられた開発チームのメンバーは,ショックのあまり全員無言だったそうだ。
 初代「メタルマックス」以来,久々に開発に参加していたとみさわ氏は「これで『メタルマックス』は終わりだ」と考えたこと,また山本氏も別件で関わっていたゲームのキャラクターが全ボツになったことが重なったため,しばらくゲーム開発に関わりたくないと思ったことを明かした。

 当時の宮岡氏は,「完成させさえすれば,『メタルマックス ワイルドアイズ』を発売する」とセガ(現セガゲームス)から打診されていたという。そこで宮岡氏は自らの資産を投じ,借金をしてまで開発を続けたが,結局資金が底をついてしまい,開発を断念せざるを得なくなった。宮岡氏は,この件に関して「人生最大の失敗」とコメントしていた。

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会場では,「メタルマックス ワイルドアイズ」の開発現場の写真や設定資料も公開された
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 イベント第3部「Episode III 新生」では,「METAL MAX Xeno」の最新情報が紹介された。会場にはエピソード・メンバーとして本作の開発ディレクターを務める友野祐介氏が登壇し,まず開発の進捗を報告。それによると,予定どおり4月19日の発売を目指して鋭意開発中とのことである。

友野祐介氏(右から2人め)
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 会場では「METAL MAX Xeno」の「Limited Edition」に同梱される特典もあらためて紹介された。特典のうち,サウンドトラックCDはレーベルデザインと収録曲のリストが公開に。このサントラには,新たなアレンジが施された初代「メタルマックス」の楽曲も収録されているとのこと。門倉氏によると,とくに「Wanted!」は「今だったらこうする」という,まったく異なるアレンジになっているそうだ。

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 また同じく特典の「破壊と創造の歴史書」には,会場で公開された設定資料などが収録される。現在製作中とのことで,詳細は続報に期待したい。

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 さらに,先日発表された「METAL MAX Xeno」とスマートフォンゲーム「メタルサーガ 〜荒野の方舟〜」PC/iOS/Android)のコラボレーションも紹介された。会場には同作のプロデューサー兼ディレクターを務めるサクセスのKAZ氏が登壇し,今回のコラボの経緯や概要などを説明。

KAZ氏(右から2人め)
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 本コラボの具体的な内容については掲載したスライドや「こちら」の記事にて確認してほしいが,KAZ氏によると,今回の企画を進めている途中で「METAL SAGA〜荒野の方舟〜」が2月28日にサービス終了となることが決定したそうである。
 そのため,当初は本コラボも実現するかどうかが危ぶまれたのだが,無事実施することが決まったという。

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「METAL MAX Xeno」のLINEスタンプの販売が開始されたこともアナウンスされた
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 イベントのエンディングにはすべての登壇者とともに,「METAL MAX Xeno」の制作総指揮を務める角川ゲームスの安田義巳氏が登壇した。安田氏は,会場に集まった「メタルマックス」ファンに感謝を述べるとともに,「METAL MAX Xeno」の全世界におけるリリースが決定したことを報告。こちらの詳細は追って発表される。

安田義巳氏(右から2人め)
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 安田氏は最後に「発売までの3か月,話題性のあるニュースを継続してお伝えしていく予定があるので,ぜひご期待ください」と述べて,イベントを締めくくった。

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