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PCIe 5.0対応で熱的にも使いやすくなったSSD「WD_BLACK SN8100 NVMe SSD」の実力を検証してみた[レビュー]
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印刷2025/08/30 12:00

レビュー

PCIe 5.0対応で熱的にも使いやすくなったSSDの実力を検証してみた

SanDisk WD_BLACK SN8100 NVMe SSD

Text by 米田 聡

 PCゲーマーにとって,SSDのアップグレードは,GPUやCPUについでゲームの高速化に役立つ可能性が高いPCパーツだ。採用しているタイトルは,まだほとんどないが,GPUからSSDにダイレクトにアクセスする「DirectStorage」技術が普及すれば,SSDのゲームにおける重要性はさらに高まるだろう。

 今回,SanDisk製でPCI Express(以下,PCIe) 5.0接続に対応する最新のゲーマーおよびワークステーション向け高性能SSDシリーズ「WD_BLACK SN8100 NVMe SSD」(以下,WD_BLACK SN8100)の2TBモデルを試用する機会を得た。

WD_BLACK SN8100 NVMe SSD
メーカー:SanDisk
税込実勢価格:4万5000円前後(2025年9月★日現在)
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※SanDiskは,2025年2月にWestern Digitalから分社化した。一般消費者向けSSD製品やmicroSDメモリカードなどは,SanDiskが継承している。

 最新のPCIe 5.0世代の実力を,PCIe 4.0対応の「WD_BLACK SN850X NVMe SSD」(以下,WD_BLACK SN850X)と比較,検証してみよう。

●目次


WD_BLACK SN8100の主な仕様と特徴


 AMDプラットフォームは,Ryzen 7000世代から,Intelプラットフォームは第14世代Core世代から,PCIe 5.0に対応しており,おおよそ2年前から,CPUとマザーボードは環境が整っていた。
 それにも関わらず,PCIe 5.0対応SSDの普及があまり進んでいないようなのは,容量あたりの価格が高いことに加えて,いわゆる爆熱の問題があったからだ。大かかりな冷却システムを使用しないと,十分な性能が発揮できないPCIe 5.0対応SSDも多かった。

 だが,2025年に入って登場してきた新世代のPCIe 5.0対応SSDは,発熱と消費電力の問題が大幅に改善された。それにより,PCIe 5.0対応SSDが普及が進み始めた。本稿で取り上げるWD_BLACK SN8100も,そうした新世代のPCIe 5.0対応SSD製品だ。
 WD_BLACK SN8100は,逐次読み出し速度が最大14900MB/sと,ほぼPCIe 5.0 x4接続の上限に達するカタログスペックを誇る。そのうえ,アクティブ時平均消費電力が7W以下となっているので,スペックどおりなら,一般的なSSD用ヒートシンクで十分に対応できるだろう。

 そんなWD_BLACK SN8100のラインナップは,表1のとおりである。容量は4TB,2TB,1TBの3種類。それぞれにヒートシンク搭載モデルと非搭載モデルがラインナップされているので,合計6モデルになる。
 今回,試用したのは2TBのヒートシンク非搭載モデルだ。

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 WD_BLACK SN8100は,写真のとおりごく一般的なM.2 2280フォームファクタのSSDだ。

WD_BLACK SN8100の表面(上)と裏面(下)。裏面には何もない
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 部品面側のシールは,陽極酸化アルミニウム(アルマイト)を使用した「デュアルTIM(Thermal Interface Material)パッド」になっているそうで,剥がすと十分な性能が保証できなくなる。
 そのため,シールの上から触った感触になるが,M.2コネクタの近くにある金属製のヒートスプレッダで覆われたものがSSDコントローラで,その隣にキャッシュ用DRAMがある。M.2コネクタの反対側には,フラッシュメモリ2枚が実装されているという構成だ。

 SSDコントローラは非公開だが,SanDiskのWD_BLACKシリーズ向けSSDツール「WD_BLACK Dashboard」を使ってPCI Vendor IDを確認すると,SanDiskの「0x15B7」となっていた。
 Vendor IDがSanDiskだからといって,SanDisk独自のSSDコントローラと断言はできない。だが,同社は歴代のSSDに独自開発コントローラを搭載してきたので,WD_BLACK SN8100も独自開発と見るのが妥当だろう。

コントローラのPCI Vendor IDは,SanDiskのIDだ
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 最近は,DRAMキャッシュレスのSSDが主流になっている中で,WD_BLACK SN8100はDRAMキャッシュを搭載している。
 DRAMキャッシュ容量は非公開なので,あくまで参考になるが,正確な情報を提供していることで知られるWebサイト「TechPowerUp」のデータベースによると,4TBモデルのキャッシュメモリ容量が4GB,2TBモデルが2GB,1TBモデルが1GBであるようだ。

 採用しているフラッシュメモリチップは,「TLC 3D CBA NANDテクノロジー」となっているので,キオクシアとSanDiskが共同で製造する「第8世代BiCS Flash」で間違いないだろう。
 キオクシアの第8世代BiCS Flashは,メモリセルアレイと制御用のCMOS回路を別々のシリコンウェハに作り込み,それぞれを張り合わせてひとつのシリコンダイとする「CMOS directly Bonded to Array」(CBA)という,キオクシア独自の技術を採用しているのが特徴だ。
 ちなみに,第8世代BiCS Flashのメモリセルアレイは,218層でシリコンダイあたり1Tbit(=128GB)の容量を実現する。試用したWD_BLACK SN8100には,8枚のシリコンダイをスタックすることで,1チップあたり容量を8Tbit(=1TB)としたフラッシュメモリを使用しているはずだ。

 そのほかにもWD_BLACKシリーズでは,独自の技術として「nCache 4.0」を採用している。
 nCacheは,およそ10年前に登場した「SanDisk Ultra II」シリーズSSDが搭載していた「nCache 2.0」の疑似SLCキャッシュ技術が原点だ。TLCフラッシュメモリ以降でSSD各社が採用した,メモリセルの一部を疑似SLCとして高速化を図るキャッシュ技術のSanDisk版が,nCache 2.0である。

 nCache 2.0を含めた初期の疑似SLCキャッシュ技術は,疑似SLC領域が満杯になったとき,極端に性能が低下する欠点があった。そこでSanDiskは,「nCache 3.0」において,SLC領域が使えないときはTLC領域への直接書き込みを実行する,階層型キャッシュ技術を採用した。
 nCache 4.0は,その改良版で,PCIe 4.0に対応した疑似SLCキャッシュ技術だ。2023年登場の「WD Blue SN 580 NVMe SSD」に初めて採用されたものだ。
 キャッシュの制御方法は,nCache 3.0と基本的に同じで,ユーザーの使用状況に応じてTLC領域への直接書き込みも利用することで,性能を悪化させる疑似SLC領域のキャッシュフラッシュ動作を抑えて,連続書き込み時の性能低下を防いでいる。

 また,WD_BLACKシリーズの特徴になっている「ゲームモード」にも,WD_BLACK SN8100は対応する。ゲームモードは,SSDの消費電力の上限を引き上げ,パフォーマンスを向上させるモードだ。発熱や消費電力と引き換えに若干の性能向上が期待できるわけだ。

ゲームモードはWD_BLACK Dashboardで設定
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 ゲームモードには,「オン」「オフ」「自動」の3種類の設定がある。オンだと,消費電力の上限が常に引き上げられ,自動は「ゲームフォルダ」からアプリが起動すると,自動的にオンへと切り替わる仕組みだ。ゲームフォルダは,WD_BLACK Dashboardで設定できる。

 ゲームモードを有効化したからといって,SSDの消費電力上限が外されるわけではないので,SSDが壊れる心配はない。性能を重視するなら,ゲームモードは常にオンで使ったほうがいいだろう。
 一方で,ノートPCやミニPCのような,放熱に制限があるPCに搭載するなら,自動を選択するのも悪くなさそうだ。


ベンチマークでWD_BLACK SN8100の性能をチェック


WD_BLACK SN850X
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 それでは,いくつかのベンチマークでWD_BLACK SN8100の性能を確かめてみよう。比較対象として用意したのは,冒頭で述べたとおりPCIe 4.0対応のWD_BLACK SN850Xの2TBモデルだ。
 SanDiskオリジナルのSSDコントローラを搭載し,DRAMキャッシュも備える。逐次読み出し最大7300MB/sのスペックを誇り,こちらもゲームモードに対応するなど,WD_BLACK SN8100の前世代といえる製品だ。
 ちなみに,WD_BLACK SN8100の電力効率は,WD_BLACK SN850Xの2倍とのこと。

 なお,PCIe 5.0対応のSSDを利用する場合,若干の注意点として,マザーボードによっては,特別な設定を行わないとPCIe 5.0が有効にならない点が挙げられる。
 設定方法は,マザーボードにより異なるが,たとえば今回のテストに利用したASUSTeK Computer製の「TUF GAMING X670E-PLUS」の場合,UEFIでPCIeスロットを「GPU+M.2 SSD」に設定しないと,M.2スロットがPCIe 5.0に切り替わらない仕様だった。

 SSDの接続状態は,WD_BLACK Dashboardのトップ画面で確認できる。翻訳の関係か少し分かりにくいが,「インタフェーススピード」欄の「機能」が,SSDが対応するインタフェース仕様で,「一般情報」はPCIeのバージョン,「接続」が実際の接続状態を示す。
 以下に示す画面例のように,「接続」欄が「一般情報5(4レーン)」になっていれば,WD_BLACK SN8100のフルスペックで接続できている。利用する前にチェックしよう。

WD_BLACK Dashboardで接続状態をチェック
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 4Gamerでは,SSDに対するベンチマークレギュレーションがないので,今回は,次のベンチマークで性能を確認した。


 ゲーム用途で最重視したいのは,3DMarkのStorage Benchmarkだろう。ゲーム実行時のストレージアクセスパターンを再現してストレージ性能を測定するので,ゲーマーの実感に近いスコアが得られるはずだ。
 そのほかのベンチマークは,SSDの傾向を見る程度と考えてもらって構わない。

 テストに利用した機材は,表2のとおり。今回はSSDのみの評価だったので,GPUにはRyzen 9 9950Xの統合GPUを利用した。また,両SSDともに,ゲームモードを「オン」の設定で計測している。

表2 テスト環境
CPU AMD Ryzen 9 9950X(16C32T,定格クロック4.3GHz,共有L3キャッシュ64MB)
マザーボード ASUSTeK Computer TUF GAMING X670E-PLUS(AMD X670E,BIOS 3278)
メインメモリ G.Skill International Enterprise TRIDENT Z5 NEO RGB DDR5-6000 16GB×2(DDR5-6000の28-36-36-96設定で利用)
グラフィックスカード CPU内蔵
ストレージ SanDisk WD_BLACK SN8100 NVMe SSD 2TB
SanDisk WD_BLACK SN850X NVMe SSD 2TB
電源ユニット SilverStone Technology SST-ST1200-G Evolution(定格1200W)
OS Windows 11 Pro 24H2(Build 26100.4969)
チップセットドライバ AMD Chipset Software 7.06.02.123
グラフィックスドライバ AMD Software 25.8.1

 テスト結果を見ていこう。グラフ1は,3DMark Storage Benchmarkの総合スコアで,グラフ2が個別スコアだ。

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 グラフ1のとおり,WD_BLACK SN8100のスコアは,WD_BLACK SN850Xの約1.5倍となった。
 個別スコアを見ていくと,とくに差がついているのは「Battlefield V」「Call of Duty: Black Ops 4」「Overwatch」のロード時間で,1.5〜1.7倍程度のストレージ帯域幅が得られている。3タイトルとも,起動からメインメニューが表示されるまでのストレージアクセスパターンを再現しているので,これだけ違えば,秒単位で体感できる程度には,起動時間の差があるはずだ。

 一方,Save game(ゲームの保存)は約1.2倍,Record game(ゲーム映像の録画)は約1.4倍と,比較的,差が小さい結果となっている。
 Record gameは,Overwatchのプレイを,「OBS Studio」を使って60fpsで録画するというワークロードのストレージアクセスパターンを再現するテストだ。録画データの書き込み帯域幅は,おおむね一定なので,Overwatchと録画が並行することによるランダムアクセスになるため,ロードのような逐次アクセスほどは大きな差が出ないのだろう。
 とはいえ,平均すれば約1.5倍の結果となったのは,さすがPCIe 5.0といったところだろうか。

 続いて定番のストレージベンチマークCrystalDiskMarkで測定してみた。今回は,テスト回数9回,テストサイズ64GiBとしてテストを実行した。グラフ3が読み出し,グラフ4が書き込みの結果である。

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 WD_BLACK SN8100の逐次読み出しは約14956MB/s,逐次書き込みも約14076MB/sと,おおむねカタログどおりの値が得られている。WD_BLACK SN850Xとの比較では,どちらも2倍以上速く,接続インタフェースの帯域幅の差が,そのままスコアに出た印象だ。

 一方で,ランダムアクセスの性能はあまり変わらない。たとえばランダム読み出しの「RND 4KiB(Q=32,T=1)」は,ほぼ誤差範囲内で,ランダム書き込み「RND 4KiB(Q=32,T=1)」に至ってはWD_BLACK SN850Xのほうが1割ほど速かった。
 深いキューを使ったランダムアクセス性能は,インタフェースの帯域幅よりも,コントローラやキャッシュメモリの影響が大きい。WD_BLACK SN8100とWD_BLACK SN850Xは,その点は差があまりない可能性をうかがわせる結果といえる。

 続いて,ATTO Disk Benchmarkでストレージ性能の変化を測定してみた。「I/O Size」と「File Size」はデフォルト値のままで,「Queue Depth」を「32」としてテストした結果を,スクリーンショットで示す。

WD_BLACK SN8100での計測結果
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WD_BLACK SN850Xでの計測結果
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 I/O Sizeが大きいほど,インタフェースの最大帯域幅に近い結果になる。WD_BLACK SN8100は,I/O Size 128KB以上で読み出し,書き込みともほぼ一定となり,ほとんど差がなくなる。安定したI/O性能が得られるというわけだ。

 一方のWD_BLACK SN850Xも,64KB以上のI/O Sizeでおおむね一定の帯域幅となった。ただ,12MBや64MBに,若干だが有意な落ち込みが見られる点が異なる。おそらく,キャッシュメモリのフラッシュ動作のような,コントローラに何らかの負荷が生じるような状況が生じたのだろう。
 いずれにしても,WD_BLACK SN8100のほうが,安定したI/O性能を発揮できそうな結果になっている。

 続いて,HD Tune Proで「Benchmark」を実行した。
 HD Tune ProのBenchmarkは,ストレージの先頭セクタから最終セクタまで,連続して読み出しまたは書き込みを行い,ストレージ全域の帯域幅を見るという,SSDにとってはやや過酷なテストだ。
 SSDによっては,疑似SLCキャッシュの制御や,DRAMキャッシュの制御が帯域幅の変化として現れるので,そこからSSDの特徴を読み取れる。今回は,書き込みを両SSDで実行してみた。
 テスト結果を,スクリーンショットで掲載しよう。

WD_BLACK SN8100での計測結果
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WD_BLACK SN850Xでの計測結果
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 グラフを見ると,WD_BLACK SN8100は,先頭から約1.4TBまでは,約4200MB/s前後の安定した帯域幅が得られている。約1.4TBでグラフがやや落ち込み始め,1.5TBを超えたところで約3600MB/s,1.9TBを超えると安定した転送速度を維持できなくなるのが見て取れる。
 1.5TBと1.9TBに,何らかの境界があるようだ。空き領域がほぼなくなる1.9TBの境界は,データ再配置などが発生するためだろうと推測できるが,1.5TBでの落ち込みは,原因の推測が難しい。
 フラッシュメモリの仕様から推測すると,TLC領域の帯域幅は3200MB/s以上と推測できるので,1.5TBを超えてもTLC領域への書き込みは行えているのではないかと思う。

 一方のWD_BLACK SN850Xは,3000MB/s前後で安定していて,明らかな落ち込みが見られるのは1.9TB弱に達してからだった。安定した帯域幅が得られるSSDといえる。
 ただ,グラフ下側にある黄色の点が示す「Access Time」を見ると,WD_BLACK SN850Xのほうがばらつき気味で,平均Access Timeもやや遅い。WD_BLACK SN8100は,連続使用時にストレージへのアクセスがときおり遅くなるといった状況が起こりにくいだろう。

 WD_BLACK SN8100は1.5TB以上,WD_BLACK SN850Xならば1.8TB以上の連続書き込みを行わない限り,明確な書き込み速度の落ち込みがないので,実用上はどちらも極めて安定したSSDといえる。
 HD Tune Proの結果を見る限り,どちらもSSDに起因する瞬間的なフリーズ(いわゆるプチフリ)が起きることは,まずないと見ていい。


動作時の温度は高いが,許容できる範囲


 最後に,気になるSSDの温度を見ておきたい。今回はシステム情報取得ツール「HWiNFO64」を使って,3DMarkのStorage Benchmark実行中のSmart情報をログとして記録する方法で,SSDの温度を調べてみた。
 ただし,WD_BLACK SN8100とWD_BLACK SN850Xでは,Smartから得られる温度情報には,若干の違いがある。WD_BLACK SN850Xでは,温度は1項目しかないのに対して,WD_BLACK SN8100では3項目あるのだ。そのうち2つは,同じ温度を示すので,結果としては2種類の温度が得られる。
 Smartの温度として何を計測するかは,SSDメーカーが決めるものだ。公開情報がないので,WD_BLACK SN8100のSmartから得られる2種類の温度が,それぞれ何を意味するかは分からない。

 ただ,温度(1)より温度(2)のほうが高く推移するうえ,負荷に応じた変化も大きい。おそらくは,温度(2)のほうがSSDコントローラの温度で,変化が少ない温度(1)は,基板の温度センサーの情報ではないだろうか。
 一方,WD_BLACK SN850Xのほうは,温度の変化が小さいので,基板の温度センサーの値をSmartに出力している可能性が高い。

 なお,SSDの温度は利用するヒートシンクにも大きな影響を受けるが,今回はマザーボード標準のヒートシンクを,ヒートシンク付属の熱伝導パッドで貼り付けた状態で測定した。
 以上を押さえたうえで,3DMark Storage Benchmark実行中の最大およびアイドル時の温度をまとめたのがグラフ5だ。

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 コントローラの温度と思われるWD_BLACK SN8100(2)は,アイドル時でも70℃弱あり,ベンチマーク実行中は最大75℃まで上昇した。ただ,温度変化を見ていると,上限に達して性能が制限されたということもなく,負荷に応じて上下している。温度のせいで,性能が抑えられることはなさそうだ。
 また,基板上のセンサーと推測されるWD_BLACK SN8100(1)の温度は,50℃台で推移しており,負荷が生じても変化はごくわずかだった。

 アイドル時には30℃台まで下がるWD_BLACK SN850Xに比べると,さすがにWD_BLACK SN8100は温度が高い。それでも,マザーボード標準のヒートシンクでなんとか対応できる範囲のようだ。温度が気になるようなら,少し大きめのヒートシンクに交換すれば,より安心して運用できるだろう。


性能は優秀だが価格も高い。価格を正当化できる人向けのSSD


 WD_BLACK SN8100はカタログどおりの性能を有しており,PCIe 4.0のSSDと比べて,ゲームのロード時間を秒単位で短縮できることは疑いようがない。一方で,ランダムアクセス性能は,PCIe 4.0の高性能SSDとあまり変わらないことも,導入に当たっては理解しておく必要があるだろう。

 ゲームの起動時間や,プレイ中のロード時間を少しでも短縮したいというゲーマーならば,WD_BLACK SN8100に価値を見いだせるかもしれない,問題は価格だ。
 本稿で試用した2TBモデル同士で比較すると,WD_BLACK SN8100の税込実勢価格が4万5000円前後なのに対して,WD_BLACK SN850Xなら,2万5000円前後で入手できる。2倍とは言わないが,2万円の価格差は大きい。

 ゲーム用PCにかける予算が十分にあり,ストレージも最高の性能が欲しいというゲーマーなら,WD_BLACK SN8100の導入は検討に値する。一方で,予算が限られているなら,2万円の価格差をGPUやCPUに回したほうが,幸せになれそうだ。価格差に見合う価値を感じるかどうかで,評価が分かれるSSDだろう。


SanDiskのWD_BLACK SN8100製品情報ページ


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