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印刷2022/12/29 01:00

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【PR】Brook初のヘッドセット「Brookワイヤレスヘッドセット」は,低遅延ワイヤレスとPCやPS5/4,Switch対応が魅力のお買い得アイテムだ

 「Brook」(ブルーク)というゲーマー向けデバイスブランドをご存じだろうか。ゲームパッドや入力デバイスを,他のゲーム機でも使えるようにする「コンバータ」と呼ばれる製品では,知る人ぞ知るブランドだ。
 そのBrookから,PCやゲーム機に対応するゲーマー向けワイヤレス&ワイヤードヘッドセット「Brookワイヤレスヘッドセット」が登場した。

Brookワイヤレスヘッドセット
メーカー:Brook
問い合わせ先:お問い合わせ
税込価格:1万1500円(※2022年12月29日現在)
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 マルチプラットフォーム対応と低遅延のワイヤレス接続が特徴という本製品の魅力を探ってみよう。

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楽天市場でBrookワイヤレスヘッドセットを購入する

Brook公式WebサイトのBrookワイヤレスヘッドセット製品情報ページ



コンバータで名高い台湾発の人気ブランド


 本題へ入る前に,Brookについて簡単に説明しておこう。
 Brookは,台湾にあるZeroplus Technology(以下,Zeroplus)というメーカーのブランドだ。Zeroplusは,1997年に設立された製造事業者で,ゲームコントローラの製造請負やアミューズメント施設向けの大型ゲーム機の製造,業務用の計測機器などを手がけている。そのノウハウを生かして,独自のゲーマー向けブランドとして展開しているのがBrookというわけだ。

 Brookブランドでは,あるゲーム機(※PCも含む)用のゲームパッドやコントローラ(ジョイスティックやハンドルコントローラ)を,本来なら対応していない他のゲーム機で使えるようにする「スーパーコンバータ」シリーズで,マニアックなゲーマーの間で名高い。

Brook製品の一例。左は,2022年11月末に国内発売となったばかりのPCおよびXbox向けコンバータ「Wingman XB 2 コンバーター」。右は,PlayStation 2のメモリカードスロットに差し込んで,PS5/4やXbox向けなど125種類以上のコントローラを使えるようにするコンバータ「Wingman PS2」だ
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 そのほかにも,ワイヤレスゲームパッドや格闘ゲーム向けのコントロール基盤「Fighting Board」シリーズも展開しており(関連リンク),ゲーム機の入力に関わる様々な製品を手がけている。日本でも知られるプロ格闘ゲーマーのGamerBee氏も,Brook製品を愛用しているユーザーの1人だ。また,「鉄拳」シリーズの強豪プロ選手である韓国のKnee氏も,BrookのFighting Boardシリーズを愛用しているそうだ。
 国内では正式販売されていない製品も少なくないが,ほかのゲーマー向けデバイスメーカーがあまり手がけないタイプの製品もあるので,こだわりの強いゲーマーなら,Brookのラインナップにマッチする製品があるかもしれない。

プロ格闘ゲーマーとして日本でも名高いGamerBee氏(左上)のほか,台湾の格闘ゲーマーであるET氏(右上),Oil King氏(左下),ZJZ氏も,Brook製品を愛用しているという
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 Brookの公式Webサイトには,「The joy of gaming should have no limits」(ゲームを楽しむのに限界はない)といった言葉が掲げられているが,コンバータ類は,プラットフォームやゲーム機の世代といった限界を打ち破る,まさに典型的な製品と言えようか。

 また,Brookのポイントは,国内で正規販売されている製品であれば,1年間の保証が付いている点も挙げられよう。通販サイトで販売されている海外メーカー製品は,まともな保証がついていないものも少なくないが,Brookの正規販売品であれば,トラブル発生時にもきちんと保証が受けられるのはありがたいところだ。


Brookワイヤレスヘッドセットの外観をチェック


 コンバータや入力機器で知られるBrookが初めて手がけたゲーマー向けヘッドセットが,今回紹介するBrookワイヤレスヘッドセットである。まずは外観から見ていこう。

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Brookワイヤレスヘッドセットの製品ボックス(左)と同梱物(右)。専用ポーチのほかに,交換用イヤーパッドが付属している
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 Brookワイヤレスヘッドセットは,ごく一般的なデザインのゲーマー向けヘッドセットだ。詳しくは後段で触れるが,PCやゲーム機との接続には,専用のUSB 2.0ワイヤレスアダプタによるワイヤレス接続か,3極3.5mmミニピンケーブルのアナログワイヤード接続を用いる。Brook公式の対応機種としては,ワイヤレス接続はPC/Mac,PlayStation 5/4,Switch,さらにアナログワイヤード接続でXboxプラットフォームが挙げられていた。アナログ接続では,スマートフォンやタブレット端末など,3極3.5mmミニピンで接続できるなら大抵の機器で使えるはずだ。
 ただアナログ接続は,どちらかと言えばオマケ的な機能であり,マイクが使えなくなる。Brookワイヤレスヘッドセットの能力をフルに生かせるのは,ワイヤレス接続のほうだ。

 ヘッドセット全体はつや消し黒一色となっているが,ヘッドバンドの布部分を紫色の糸で縫い止めてあるので,そこがアクセントになっている。基本的には悪目立ちしない,シンプルなデザインだ。
 本体のサイズは,実測で約174(W)×96(D)×225(H)mmで,実測重量は,ブームマイク込みで約334gだった。

 イヤーキャップ(エンクロージャ)は,イヤーパッド込みで実測約87×103×50mmくらいのサイズで,楕円形のシンプルな形状だ。イヤーキャップ外側は,メッシュ状の金属パネルで覆われており,中にはBrookのシンボルマークであるカメレオンの絵が描かれている。カメレオン部分にはカラーLEDが組み込まれており,時間と共に色が変化していく。とくに,発光パターンや発光色のカスタマイズ機能はない。

首像に装着した様子。ヘッドバンド部分の紫色がアクセントになっている。左右側面のカメレオンが,カラーLEDで光る仕組みだ
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カラーLEDイルミネーションの変化を確認したところ
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 なお,表面がメッシュになっているので,「開放型なのかな?」と思う人がいるかもしれないが,Brookワイヤレスヘッドセットはごく一般的な密閉型ヘッドセットだ。

イヤーパッドを外した状態
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 Brookワイヤレスヘッドセットのイヤーパッドは,表面が音漏れを防ぎやすい合皮製で,スピーカードライバーを覆う部分がストッキングのような布製となっている。イヤーキャップからイヤーパッドを簡単に取り外せる構造となっているので,汗や皮脂などで汚れたときも,簡単に外して洗えるのはうれしいところ。交換用イヤーパッド一式が付属するので,痛んでも交換して長く使えるのも評価できる点だ。
 また,イヤーパッドは十分なサイズがあるので,耳が入りきらないことはあまりないだろう。

イヤーパッドは音が漏れにくい合皮製で,非常に柔らかい(左)。右はイヤーパッドを外した本体側で,いわゆる技適マークや証明番号が印刷されている。スピーカードライバーは50mm径だ
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 金属製のアームは二点止めで,エンクロージャ中央あたりに接続されている。可動範囲は左右と上下で,左右には35度ほど動いて,側頭部にフィットしやすい角度にできる仕組みだ。

 操作ボタンやコネクタ類は左エンクロージャ側面にまとめられている。前方側から見ると,ブームマイク接続用コネクタ,3極3.5mmミニピンアナログ接続端子,充電用のUSB Type-Cポート,電源ボタン,マイクミュートボタン,音量調整ボタンが2つという並びだ。電源ボタンは,長押しで電源をオン/オフするもので,マイクミュートボタンは,付属のUSBワイヤレスアダプタとのペアリングボタンも兼ねている。音量調整ボタンは,PCやゲーム機本体側の音量調整機能とは独立しており,ヘッドセット側で音量を変えてもPCやゲーム機側の音量は変わらない。
 なお,USB Type-Cポートは充電専用で,USBケーブルでPCと接続しても,USB接続はされない。

左エンクロージャを拡大したところ。上写真が下側,下写真は後側から見た状態だ。USB Type-Cポートの隣にある電源ボタンは,メディア再生中に押すと再生/一時停止ボタンにもなる
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 先述したとおり,アナログ接続用の端子とケーブルは3極3.5mmミニピンタイプで,マイクの信号は伝送できない。それに加えて,アナログ接続時は音量調整ボタンも使えなくなる。そのため,アナログ接続時はピュアなヘッドフォンとして使うことになる。

 Brookワイヤレスヘッドセットにおけるアナログ接続の利点は,USBワイヤレスアダプタが対応しない機器とも接続できる点と,ヘッドセットのバッテリー残量が足らない状態でも,アナログ接続であれば再生できる点だ。ゲームプレイ中にバッテリーが空になっても,有線でつなげばサウンドを聴けるというのは,いざという時に助かる。

 アームの付け根内側には,小さなドットが5つ並んでいて,ヘッドバンドをどれくらい伸ばしたかの目安になる。ヘッドバンドの可動範囲は,上下に約20mmだった。
 ヘッドバンドの根元内側には,「L/R」を示すマークもあった。もっとも,ボタンやブームマイクがあるのは左エンクロージャだけなので,マークを見なくても左右を間違えることはないだろう。

ヘッドバンドは20mmほど上下に伸び縮みできる。アーム内側には,目盛代わりになるドットが5つ並んでいた
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 ヘッドバンド本体は合皮製で,内側は柔らかいクッション状の素材を合皮で包んだ構造となっている。幅は実測で約47mmほどもあり,使用中にずれたりしない。ただ,やや側圧は強めのほうかもしれない。

合皮製のヘッドバンド。外側の頂部には「Brook」のロゴが彫り込まれている
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 着脱可能なマイクブームは,ツヤ消し黒色で,実測の長さが約187mm(※プラグ部分は除く)で,ブーム部分は曲げて狙ったところにマイクを配置できるタイプのものだ。ブーム径は約5mmである。
 ヘッドセット本体との接続端子は,3極3.5mmミニピン仕様で,根元にはヘッドセット側コネクタのへこみにぴったり入る凸型の突起がある。この突起をヘッドセット側のへこみに合わせれば,取り付ける向きを間違えたり,使用中に外れてしまったりする心配はない。

マイクブーム。端子部分の根元には突起があり,ここをヘッドセット側のへこみにはめ込むとカッチリはまる
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 マイク部分に取り付けられていたポップノイズフィルターは,実測で直径約22×長さ約29mmのスポンジ素材で,これを取り外すとツヤ黒色のマイクが現れる。マイクのサイズは,端子部分を除いて実測約200×12×8mmくらいで,表裏両面に異なる形状の空気孔が開いている。
 Brookワイヤレスヘッドセットのマイクは無指向性で,マイク用ノイズキャンセリング機能は備えていない。Brook側にも確認してみたが,外側の孔は装飾的な意味合いのものとのことだ。

ポップノイズフィルターを外したマイク本体。左が口側で,右が外側だ
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 ブーム部分やポップノイズフィルターは相応のサイズがあるので,マイクが視界に入ると気になる人は,やや下向きにブームを配置するといいだろう。

 付属のUSBワイヤレスアダプタは,プラグ部分込みの長さが実測約53mmのUSBメモリ型だ。PCやゲーム機に接続すると,約42mmほど出っ張る形になる。裏面の根元には,小さな赤いLEDがあり,ヘッドセット本体と接続中は点灯するようになっていた。ただ,裏面なのでつなぐ機器によっては見えないかもしれない。

Brookワイヤレスヘッドセット付属のUSBワイヤレスアダプタ(左)。ヘッドセットと接続した状態では,小さな赤いLEDが点灯する(右)
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 Brookワイヤレスヘッドセットのスペックをにまとめておこう。

表1 Brookワイヤレスヘッドセットの主なスペック
基本仕様 ワイヤレスおよびアナログ有線接続対応,密閉型エンクロージャ採用
サラウンド 非対応(※ソフトウェアによる)
実測本体サイズ 約174(W)×96(D)×225(H)mm
実測本体重量 約334g
接続インタフェース USB Type-A(USBワイヤレスアダプタ),3極3.5mmミニピンヘッドフォン入力,3極3.5mmミニピンマイク接続
搭載ボタン/スイッチ 電源ボタン,マイクミュートボタン,音量調整ボタン
主な付属品 マイクブーム,USBワイヤレスアダプタ,USB Type-A to Type-C充電ケーブル,3極3.5mmミニピンアナログ接続ケーブル,ポーチ
バッテリー駆動時間 最大10〜12時間
保証期間 1年間
価格 1万1500円(税込,Amazon.co.jp)
ヘッドフォン部
周波数特性 20Hz〜20kHz(※ワイヤレス接続時),15Hz〜23kHz(※ワイヤード接続時)
インピーダンス 32Ω±15%
出力音圧レベル 110±3dB
スピーカードライバー 50mm径 ネオジムドライバー
マイク部
方式 未公開
周波数特性 100Hz〜10kHz
感度 −42dB
インピーダンス 未公開
S/N比 未公開
指向性 無指向性
ノイズキャンセリング機能 非搭載


ワイヤレス接続に特別なソフトウェアは不要


 先述したとおりBrookワイヤレスヘッドセットは,PCやMac,PS5/4,Switchで,付属のUSBワイヤレスアダプタによるワイヤレス接続を行えるのが特徴だ。
 ゲーマー向けワイヤレスヘッドセットには,「フル機能を発揮できるのはPCと組み合わせて特別な設定ソフトを使ったときだけ」という製品が多い。その点,Brookワイヤレスヘッドセットは,使用時に特別なソフトウェアは必要ないので,分かりやすいのが利点である。

 実際に,USBワイヤレスアダプタをWindows 11搭載PCに接続してみると,とくに何もしなくても「汎用USBオーディオ」として認識され,すぐにサウンドを聞けるようになった。

BrookワイヤレスヘッドセットのUSBワイヤレスアダプタを,Windows 11の設定アプリで,システム→サウンド→プロパティを見たところ。USB接続のスピーカーとして認識されている
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Windows 11設定アプリでシステム→サウンド→サウンドの詳細設定とたどり,旧型のサウンドプロパティを開いた状態(左)。スピーカーの「Wireless Audio」という名前で登録されていた。Wireless Audioを右クリックして,メニューから「スピーカーの設定」を選んだ状態が右のダイアログだ。ステレオスピーカーの設定となっている
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 ヘッドフォン側だけでなく,マイクも正常に認識されていた。1ch,つまりモノラル入力で量子化ビット数は16bit,サンプリングレートは16kHzと,オーソドックスなゲーマー向けヘッドセットのマイクといった仕様である。

マイクのプロパティを確認したところ。マイクの仕様がグレーアウトした部分に書かれている
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Windows 11の設定アプリからWireless Audioを選び,「空間オーディオ」で確認すると,Windows 11組み込みのバーチャルサラウンドサウンド機能などを選択できる
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 特別なソフトウェアは何も使わないので,バーチャルサラウンドサウンド再生機能もない。「Dolby Atmos for Headphones」のような市販のバーチャルサラウンドサウンド対応ソフトウェアを導入したり,Windows 11/10組み込みのバーチャルサラウンドサウンド機能「Windows Sonic for Headphones」を使えば,Brookワイヤレスヘッドセットでサラウンドサウンドを楽しむことも可能だ。

 PS5/4やSwitchにも接続してみたが,何の問題もなくUSBワイヤレスアダプタ経由でBrookワイヤレスヘッドセットを利用できた。PS5なら,3Dオーディオの再生も可能だ。あまりに簡単なので拍子抜けするほどである。この手軽さはいい。

PS4にBrookワイヤレスヘッドセットのUSBワイヤレスアダプタをつないだ状態。入力/出力機器が「USBヘッドセット(Wireless Audio)」になっている
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PS5にBrookワイヤレスヘッドセットのUSBワイヤレスアダプタをつないだ状態。音声出力(左),マイク(右)のどちらも「USBヘッドセット(Wireless Audio)」になっている。なお,3Dオーディオの設定は,個人によって聞こえ方が異なるので,ユーザー自身で行う必要がある
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 USBワイヤレスアダプタを使いたい機器につなげるだけで,どの機器でも簡単にワイヤレスでつながってゲームサウンドを楽しめるのは,Brookワイヤレスヘッドセットの大きな利点と言えよう。


Brookワイヤレスヘッドセットの遅延はどれくらいあるのか


 それでは,Brookワイヤレスヘッドセットのテストを進めていこう。
 ゲーマー向けワイヤレスヘッドセットを選ぶときに気になるのが,ワイヤレス伝送にともなう遅延の大小だ。高価なハイエンドヘッドセットであれば,ほぼ遅延のないワイヤレス伝送を実現していることもあるが,比較的安価な製品やBluetoothヘッドセットでは,遅延がそれなりに大きいこともある。
 Brookは,本製品のワイヤレス伝送遅延が20ms(ミリ秒)未満であるとアピールしているが,実際はどうなのか検証してみよう。

Muse Dashの偏位調整画面
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 今回は,Steamで販売されているリズムアクションゲーム「Muse Dash」を用いた。本作には,入力やサウンドの遅延によるタイミングのずれを調整するために「偏位調整」という機能がある。この機能は,一定のタイミングでゲームが鳴らす音に合わせてキーやボタンを押すと,押されたタイミングで黄色いラインがハイライト表示されるので,画面中央の線を左右に動かして黄色いラインと合うように調整すると,音の遅延に合わせてタイミングが調整できるというものだ。ただ今回は,キーやボタンの操作は行わない。

 調整を一切していない状態では,中央にある縦線を黄色いラインが横切った瞬間に,ゲーム側は音声の出力処理を行う。しかし,実際にヘッドセットやスピーカーから音声が出力されるまでの遅延は,機器によってまちまちだ。つまり,偏位調整の画面と実際にヘッドセットから出力される音声をひとまとめに動画で撮影して,黄色いラインが縦線を横切ってから音声の波形が流れてくるまでの時間を計れば,大雑把だが遅延を計測できるというわけだ。
 テストに用いた機材は,筆者が普段使用しているASUSTeK Computer製のゲーマー向けノートPC「ROG Zephyrus G14 GA401QM」(以下,Zephyrus G14)で,Brookワイヤレスヘッドセットはワイヤレス接続と,付属ケーブルによるアナログ接続,そして比較対象としてZephyrus G14の内蔵スピーカーによるサウンド出力も計測した。これにより,ワイヤレス接続の遅延がアナログ接続や内蔵スピーカーの遅延よりも大きいのかを見極めようというわけだ。

 なおテスト時は,Brookワイヤレスヘッドセットがワイヤレス接続に使う2.4GHz帯の周波数を他の機器が使うことで邪魔をしないように,ノートPC自体や室内にあるスマートフォン,タブレット端末などの無線LANやBluetoothは,すべてオフにした状態で行った。
 動画撮影はスマートフォン「Galaxy S22 Ultra」で行い,1080p/60fpsで録画している。録画フレームレートはもっと高いほうが計測に向くのだが,本機のスローモーション撮影では,音声を同時に録れないのでやむを得ない。録画時間は約15秒間で,そこから6回分の計測を行って平均値を出すことにした。
 結果は表2のとおりだ。

表2 Brookワイヤレスヘッドセットの遅延計測結果
Brook Wireless Headset
:ワイヤレス
Brook Wireless Headset
:アナログ
ノートPCのスピーカー
100ms 160ms 100ms

 「Brookの公称値より大きいじゃないか」と思うかもしれないが,これはワイヤレス伝送だけの遅延ではなく,PC内部での遅延も含めた数字になるためである。重要なのは,Brookワイヤレスヘッドセットのワイヤレス伝送は,PC内蔵スピーカーと遅延が変わらないという点だ。もちろん,もっとフレームレートの高い撮影で検証すれば,60分の1秒(=16.7ms)以下で差が付いたかもしれないが,その差を耳で聞き分けるのは,ほぼ不可能だろう。
 Brookワイヤレスヘッドセットのワイヤレス接続は,非常に低遅延でゲームプレイを阻害することはない,と明言できる。

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 肝心の音質はどうだろう。
 正直に言うと,実際に聞く前はBrookワイヤレスヘッドセットの音質にあまり期待はしていなかった。しかし,ゲームや音楽を再生してみると,意外なほど(失礼)ちゃんとした音で聞こえる。
 一昔前のゲーマー向けヘッドセットでは,足音や銃声などを聞き取りやすくするために,極端に高音域を強調したものもあった。あるいは,サウンドの迫力を重視して,低音域を極端に強調するようなヘッドフォン/ヘッドセットもある。Brookワイヤレスヘッドセットは,そのような極端な味付けをしないナチュラルな音声を出力してくれるのだ。そのおかげで,ゲームのプレイだけでなく,音楽や動画再生に使っても問題ない。
 ゲームサウンド以外では使い物にならないという心配は,Brookワイヤレスヘッドセットに限ってはないと言えよう。

 ゲームにおいて重要な,音の定位感はどうか。
 まず,筆者が普段プレイしているMMORPG「エルダー・スクロールズ・オンライン」で試してみた。まず,鍛冶屋が金床を叩いて鋭い金属音が響く場所に立ち,キャラクターの向きを変えて定位がどう変わるかを試してみたが,金属音が響いてくる方向は,きちんと把握できる。大量の敵が次々と出現する「ダークアンカー」にも挑戦してみたが,視野の外に出現した敵が発する音の方向も聞き取れて,普段使いのヘッドフォンと比べても,聞き分けやすさで劣ることはない。

 さらに,「Call of Duty: Modern Warfare II」や,「Grand Theft Auto V」でも試してみたが,銃声や爆発音,NPCの叫び声なども,音がどこから来るのかを正しく聞き分けられた。

 筆者が普段使いしているヘッドフォンは,4万円近い高価なオーディオ用なので,音の解像感や定位の鋭さではさすがに及ばない。とはいえ,Brookワイヤレスヘッドセットは,ゲーム用途では十分な音質を実現しているし,何かをしながら音楽を聞く程度なら,長時間使っていても聴き疲れはしなかった。オーディオマニアならともかく,ゲーマーならBrookワイヤレスヘッドセットの品質に不満を抱くことはあまりないだろう。


1万円台前半で買えるワイヤレスヘッドセットとしてはお買い得


 まとめに入ろう。
 Brookワイヤレスヘッドセットは,Brookがアピールしているとおり,複数のPCやゲーム機で1台のワイヤレスヘッドセットを使い回したいという人に適した製品だ。動作に特別なソフトウェアが必要ないので,USBワイヤレスアダプタを機器に差し込んでからヘッドセットの電源を入れれば,難しいことをしなくてもすぐに使えるようになる。PC周辺機器の扱いに慣れていない人でも,簡単に扱えるだろう。

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 特徴である遅延の少なさも,簡易な計測ではPC内蔵スピーカーと変わらない程度の低遅延で,これまた謳い文句にいつわりなしだ。価格からすれば音質も良好で,ゲーム用途が主とはいえ,音楽でも動画でも満足のいくサウンドを響かせてくれるだろう。
 1万円強という価格の製品としては優秀なヘッドセットであり,「新しくゲーマー向けヘッドセットを買いたいけれど,高価なハイエンド製品には手がでない」という悩めるゲーマーにとって,Brookワイヤレスヘッドセットは検討する価値のある選択肢となるはずだ。

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