「ペルソナ5 スペシャル・ビッグバンド・コンサート」の東京公演レポート。日米の精鋭ミュージシャンが，おなじみの楽曲をジャズアレンジで披露

　アトラスの協力 / 監修のもと，コンサートやライブ，イベントなどの企画制作などを手がけるエニーが企画制作した「ペルソナ5 スペシャル・ビッグバンド・コンサート」が，2025年12月2日から4日まで東京・新宿文化センター 大ホールで，5日に兵庫・神戸国際会館 こくさいホールで開催された。
　このコンサートは，作曲家兼音楽ディレクターのチャーリー・ローゼン氏が率いる「ペルソナ５ スペシャル・ビッグバンド」が，ビッグバンドアレンジが施された「ペルソナ5」シリーズの楽曲を披露するというもの。本稿では，12月4日に東京・新宿文化センター 大ホールにて行われた公演の模様をレポートする。

「ペルソナ5 スペシャル・ビッグバンド・コンサート」
2025年12月4日公演概要

■セットリスト：
00 Overture
01 Wake Up, Get Up, Get Out There
02 Life Will Change
03 Butterfly Kiss
04 Tokyo Daylight
05 全ての人の魂の詩（Aria of the Soul）
06 Beneath the Mask
07 Have a Short Rest
08 Will Power
09 Rivers in the Desert
10 Colors Flying High
11 Tokyo Emergency
12 Break it Down
13 Layer Cake
14 No More What Ifs
15 Life Goes On
16 The Whims of Fate
17 Take Over

アンコール
01 星と僕らと（Hoshi To Bokura To）
02 Last Surprise

■出演（敬称略）：
Conductor：チャーリー・ローゼン
Alto Sax 1：アンドリュー・グールド
Tenor Sax 1：ザック・ジンガ―
Trumpet 1：ブライアン・デイヴィス
Trombone 1：ジミー・オコーネル
Piano/Keyboard：マシュー・ウィタカ―
Bass：ジュリア・アダミー
Drum Set：ジャレッド・ショーニグ
Violin（concert master）：赤星友子

Vocal：Lyn（稲泉りん）
Alto Sax 2：渡邉瑠菜
Tenor Sax 2：陸 悠
Baritone Sax：鈴木 圭
Trumpet 2：エリック・ミヤシロ
Trumpet 3：具志堅創
Trumpet 4：山崎千裕
Trombone 2：中川英二郎
Trombone 3：藤村尚樹
Bass Trombone：小椋 瑞希
Guitar：梶原 順
Violin 1：西原史織
Violin 2：地行美穂
Violin 2：沖増菜摘
Viola：角谷奈緒子
Viola：菊地幹代
Cello：多井智紀
Chorus：マーサ
Chorus：たかはしちひろ

主催：エニー（J:COMグループ）
企画制作：エニー（J:COMグループ）
協力 / 監修：アトラス

　ペルソナ5 スペシャル・ビッグバンドは，本コンサートの指揮 / 編曲 / 音楽ディレクションを手がけているローゼンさんが企画したプロジェクトだ。
　今回の日本公演にあたっては，「ペルソナ5」のボーカル曲でおなじみのシンガーであるLyn氏や，世界的に知られるトランペット奏者であるエリック・ミヤシロ氏を筆頭に，日米の精鋭ミュージシャンがメンバーとして招聘された。

チャーリー・ローゼン氏

Lyn氏

エリック・ミヤシロ氏

　ゲーム好きというローゼン氏は「ペルソナ5」の大ファンとのことで，コンサートのMCでも長時間プレイしていたことを明かした。同タイトルの楽曲についても素晴らしいと絶賛しており，アトラスや作曲家の目黒将司氏に感謝の意を示す一幕もあった。
　実際ローゼン氏は，ビッグバンド・アレンジを施した「Last Surprise」のカバーで，2025年のグラミー賞「ベスト・アレンジメント」にノミネートされた実績を持っている。また，アメリカでも，「ペルソナ5」とその楽曲が高い人気を誇っていると話していた。


　今回のビッグバンド・アレンジについて，ローゼン氏はロック，ジャズ，ファンク，ソウル，ディスコ，ポップといった，さまざまな音楽ジャンルを内包する「ペルソナ5」の楽曲を再現するための最適な手法だと説明。
　確かにコンサートで披露された楽曲の数々は，原曲のメロディや雰囲気をしっかり残しつつ，ジャズやファンク，R＆Bなどのダンサブルな要素がブーストされ，より魅力的に，より聴く側の気分を高揚させる仕上がりとなっており，奏者達も楽しみながら演奏していることを感じ取れた。


　ビッグバンドアレンジ，つまりジャズアレンジということで，各楽曲に用意されたソロパートでは，ミヤシロ氏らそうそうたるミュージシャンのアドリブが次々に披露された。
　圧巻だったのはアンコールの「Last Surprise」で，サックス×2，トロンボーン，ギターが掛け合いで交互にアドリブを演奏。さらにこの楽曲の終盤では，コンサート中終始タイトなリズムでバンドを支えていたジャレッド・ショーニグ氏が爆発的なドラムソロを披露し，会場を大きく沸かせていた。


　コンサート中とくに会場が盛り上がったのは，やはりLyn氏が歌うボーカル曲の数々だ。冒頭の「Wake Up, Get Up, Get Out There」からコンサート本編最後の「Take Over」，そしてアンコールの2曲に至るまで，原曲以上にソウルフルで伸びやかな歌声が会場を魅了した。


　2016年9月のリリース以来，オーケストラやバンドなどさまざまな形式で演奏が披露されてきた「ペルソナ5」シリーズの楽曲。今回のコンサートで，また新たな魅力を発見した人も多いのではないだろうか。
　なお本日（12月5日），「ペルソナ5 スペシャル・ビッグバンド・コンサート」が2026年夏に再演されることが発表された。