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[レビュー]GeForce RTX 4070 Tiの実力をPalit製「GeForce RTX 4070 Ti GameRock OC」で検証。前世代を大幅に上回る高性能だが割高さがネックに
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印刷2023/02/09 12:03

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前世代を大幅に上回る高性能だが,割高感は否めない

Palit GeForce RTX 4070 Ti GamingPro OC

Text by 宮崎真一

 販売開始から1か月程度が経ってしまったが,NVIDIAのミドルハイ市場向けGPU「GeForce RTX 4070 Ti」(以下,RTX 4070 Ti)を搭載するPalit Microsystems製「GeForce RTX 4070 Ti GamingPro OC」(以下,RTX 4070 Ti GamingPro OC)を用いて,その実力を検証してみたい。

GeForce RTX 4070 Ti GamingPro OC
メーカー:Palit Microsystems
メーカー想定売価:国内未発売
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 RTX 4070 Tiは,その名のとおり,「GeForce RTX 4080」(以下,RTX 4080)の下位に置かれるモデルだが,はたしてゲーマーにとって魅力的な製品となっているのだろうか?

RTX 4070 Ti GamingPro OCと同梱物。左下はLEDイルミネーション用ケーブルで,右下はPCIe補助電源コネクタの変換ケーブルである
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GPUコアにはAD104を採用。メモリバス帯域幅は約500GB/s程度と狭め


RTX 4070 Tiのブロック図。フルスペックのAD104とCUDA Core数は変わらないものの,ビデオデコーダ「NVDEC」が4基から1基へ減っている
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 西川善司氏の記事で説明しているように,RTX 4070 Tiは,GPUコアに「AD104」を採用したAda Lovelace(以下,Ada)世代のGPUである。RTX 4080の「AD103」コアなどと同様に,NVIDIA向けにカスタマイズしたTSMCの4Nプロセスで製造されている。ダイサイズは295mm2で,これはAD103コアの379mm2と比べて約78%の規模にあたる。前世代の「GeForce RTX 3070 Ti」(以下,RTX 3070 Ti)の「GA104」コアと比べると約75%のサイズに,約358億個のトラジスタ(※RTX 3070 Tiは約174億個)を集積しており,最新プロセスによる微細化の恩恵がよく表れている。

 Adaアーキテクチャでは,シェーダプロセッサである「CUDA Core」を128基と,L1キャッシュメモリやテクスチャユニット,そしてレイトレーシングにおける光線の生成と衝突判定を行う「RT Core」を1基と,行列積和算に特化した「Tensor Core」を4基まとめて「Streaming Multiprocessor」(以下,SM)を構成する。そのSMを12基集めてGPUクラスタ「Graphics Processor Cluster」(以下,GPC)を構成しており,AD104は,全部で5基のGPCを有している。
 そのため,CUDA Coreの総数は128×12×5で7680基となる計算だ。RTX 4080が9728基であったのに比べると,約80%弱の規模に抑えられたわけだが,CUDA Core数だけ見ると,前世代であるRTX 3070 Tiの1.25倍に増えている。そのうえRTX 4080などと同様に,RT Coreは第3世代へ,Tensor Coreは第4世代へと,それぞれ進化した。フレーム生成が特徴的な超解像技術「DLSS 3」も,もちろん利用できる。

NVIDIAコントロールパネルで,RTX 4070 Ti GamingPro OCにおけるRTX 4070 Tiのシステム情報を確認したところ
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 動作クロックは,ベースクロックが2310MHzで,ブーストクロックが2610MHzと,Ada世代のGPUらしく,かなり高いところも大きな特徴だ。ちなみに,後述するテスト環境において,「GPU-Z」(Version 2.52.0)でコアクロックの変動を追ってみたところ,2760MHzまで上昇しているのを確認した。RTX 4080は,同様のテストで2775MHzまで上昇していたので,グラフィックスカードメーカー製独自モデルとFounders Editionという違いはあるものの,動作クロックの最大値に,あまり大きな差異はなさそうだ。

GPU-ZでRTX 4070 Ti GamingPro OCの動作クロック(赤枠内)を確認したところ
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 なお,RTX 4070 Ti GamingPro OCの動作クロック設定だが,製品名からも分かるとおり,メーカーレベルで動作クロックを引き上げたクロックアップモデルである。具体的には,ベースクロックが2310MHzで,ブーストクロックが2760MHzとなっており,ベースはリファレンス仕様と変わらないものの,ブースト時はリファレンスから160MHzも高い。
 なお,メモリクロックは21GHz相当でリファレンスと同じだ。

 さらに,Palit製の設定ソフトウェア「ThunderMaster」を用いることで,ブーストクロックを−1000〜+1000MHzの範囲で1MHz刻みに増減できるほか,メモリクロックも−2000〜+6000MHzの範囲で2MHz相当刻みに変更することも可能だ。

設定ソフトのThunderMasterには,オーバークロック設定がある
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 グラフィックスメモリには,RTX 4080と同じくGDDR6Xを用いるが,容量は12GBであり,RTX 4080の16GBに比べると75%の規模に減っている。メモリクロックは21GHz相当で,RTX 4080の22.4GHz相当ほどではないものの,比較的高速だ。ただ,メモリインタフェースがRTX 4080の256bitに対して,RTX 4070 Tiは192bitなので,メモリバス帯域幅は504GB/sしかない。これは,RTX 4080の70%程度しかないばかりか,RTX 3070 Tiの608GB/sよりも低い。
 NVIDIAは,容量48MBという比較的大容量のL2キャッシュメモリを搭載したことで補うつもりなのかもしれないが,ゲーム性能に悪影響が出ないかが,注目点のひとつと言っていい。

CUDAの開発キットに付属している「devicequerydrv.exe」の実行結果。L2キャッシュ容量は50331648bytes(=48MB)だ
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 RTX 4070 TiのTGP(Total Graphics Power)は285Wで,RTX 4080の320Wから35W,RTX 3070 Tiの290Wから5W低くなった。ちなみにNVIDIAの説明では,RTX 4070 Tiにおけるゲームプレイ時の平均的な消費電力(Average Gaming Power,AGP)は226Wだそうで,電源ユニットは定格出力700W以上のものを推奨とのこと。

GeForce RTX 40シリーズではお馴染み,2系統の8ピンを16ピンに束ねる付属変換ケーブル
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 なお,今回テストしたRTX 4070 Ti GamingPro OCは,補助電源コネクタとして12VHPWRに対応した16ピンを1基備えており,2系統の8ピンのPCIe補助電源コネクタを1本の16ピンに束ねる変換ケーブルも付属している。

 RTX 4070 Tiの主なスペックを,RTX 4080とRTX 3070 Ti,それに「GeForce RTX 3090」(以下,RTX 3090)とともにまとめたものが表1となる。

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ブーストクロックを160MHz引き上げ。カード長は約330mmとかなり大きい


 それでは,RTX 4070 Ti GamingPro OCについて見ていこう。

RTX 4070 Ti GamingPro OCの前面(上)と背面(下)
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 カード長は,実測で約328mm(※突起部除く)もある。GeForce RTX 4080 Founders Edition(以下,RTX 4080FE)が実測約305mmだったのに比べると,2cmも長い。また,マザーボードに装着すると,垂直方向に21mmほどブラケットからはみ出すほど背が高い点も注意しておきたい。

カード長は実測で330mmほど
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ブラケット方向(写真左)に2cmほどはみ出している
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 ただ,基板自体は172mmほどしかなく,GPUクーラーがカード後方に150mm強もせり出した格好だ。

カードを横から見ると,基板部分が半分程度しかないのが分かる
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カードの後ろ半分は,前面から背面へと空気が抜ける構造になっている
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 なお,重量は実測で約1540gと,サイズの割には,RTX 4080FEほど重くはない。

重量は約1540g。2kg超えのRTX 4080FEに比べればだいぶ軽いが,PCIe x16スロットだけでカードを支えるのは,ちょっと無理があるので,カードホルダー(カードステー)を使おう
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3.1スロット占有タイプのため,実際に装着するには4スロット分のスペースが必要となる
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 GPUクーラーは,3.1スロット占有タイプと,かなり厚みがあるタイプだ。GPUクーラーは,100mm径相当のファンを3基搭載している。
 「GALE HUNTER FAN」と呼ばれる独自デザインのファンは,「Winglet Fantail」と「Gale Talon Fan Blades」という2つの大きな特徴を持ち,前者はブレードのエッジを立たせたウイングレットを採用することでエアフローを集中させることで,流れを阻害する渦の影響を回避できるという。一方の後者は,独特な形状によってエアフローを最適化することで,安定性が向上しているとのこと。

ファンを拡大して見ると,ブレードのエッジが立った飛行機の翼端板のような形状をしているのが分かる
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 付属アプリケーションの「ThunderMaster」を使えば,クーラー両端の2基と中央の1基のファン制御を,それぞれ個別に設定可能だ。工場出荷時設定は「自動」で,GPUの温度が60℃以下になるとファンの回転を停止する「0-dB TECH」と呼ばれる機能も用意されている。手動設定では,回転数を30〜100%の範囲で1%刻みに指定できるほか,GPUの温度と回転数の関係を示したファンカーブから,任意の温度における回転数を自由に変更することも可能だ。

ThunderMasterでは,左の設定で両端の2基,右の設定で中央の1基のファン回転数を個別に設定できる
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 GPUクーラーの側面には,LEDがあり,発光色や発光パターンはThunderMasterから設定できる。ユニークなのは,補助電源コネクタのすぐ横にLEDイルミネーション用の端子が用意されており,対応デバイスを接続することで,そのデバイスを含めて,ThunderMasterから一括制御が行えることだ。ThunderMasterで細かく設定しなくても,対応デバイスを接続するだけで簡単にイルミネーションを同期させる「ONE TWO SYNC」という機能も備えるそうだ。

ThunderMasterでは,9種類の発光パターンを利用できる
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 ちなみに,Palitでは,ユーザーがGeForce RTX 40 GamingProシリーズのGPUクーラーのカバー部分を3Dプリンタ等で制作することで,外観を自由にカスタマイズできる「Maker」という取り組みも行っている。自分でカバーを制作,あるいは調達する必要があるものの,PCを独自のグラフィックスカードでデコりたいという人は,やってみるのも面白そうだ。


 グラフィックスカードの基板に関する詳しい説明はないが,電源部にはDr.MOSを採用しているとのこと。また,GPUクーラーの隙間から覗き込んで確認したところ,GPUクーラーにはヒートパイプを8本使用しているようだ。

カードを横から見たところ。放熱フィンは前後に分かれた2ブロック構成で,その間をヒートパイプで結んでいる構造なのが分かる。奥側放熱フィンの下には,補強用の金属製プレートが装着されているのも見て取れよう
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クーラーより低い位置にある12VHPWR対応の16ピン補助電源コネクタ(中央)。左に見えるのはLEDイルミネーション用ケーブルのコネクタだ
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 補助電源コネクタは,12VHPWRに対応した16ピンコネクタを1基,カードの背の部分に備える。先述したとおり,基板自体は短いため,補助電源コネクタがカードのほぼ中央に実装されているのが特徴的だ。

 映像出力インタフェースは,DisplayPort 1.4出力を3つと,HDMI 2.1出力を1つ装備しており,このあたりはRTX 4080FEと変わらない。

ブラケットには,DisplayPortが3つにHDMIが1つ並んでおり,最近のグラフィックスカードではよく見かける構成だ
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上位モデルおよび前世代との比較を実施

動作クロックはリファレンス相当でテスト


 それでは,テスト環境について話を移そう。
 今回の比較対象には,RTX 4080,RTX 3090,RTX 3070 Tiを用意した。上位モデルとの差を見つつ,前世代からの伸びを確認しようというわけだ。なお,RTX 4070 Ti GamingPro OCは,先述のとおりクロックアップモデルであるため,ThunderMasterを用いてブーストクロックをリファレンスまで下げている。文中およびグラフ中では,RTX 4070 Tiと表記することをお断りしておく。

 使用したドライバソフトは「GeForce 528.02 Driver」で,これはテスト時点での最新バージョンだ。それ以外のテスト環境は表2のとおり。

表2 テスト環境
CPU Ryzen 9 5950X(16C32T,定格クロック3.4GHz,最大クロック4.9GHz,共有L3キャッシュ容量64MB)
マザーボード MSI MEG X570 ACE(AMD X570,BIOS 7C35v1D2)
メインメモリ G.Skill F4-3200C16D-16GIS PC4-25600 DDR4 SDRAM 8GB×2(DDR4-3200の16-16-16-36設定で利用)
グラフィックスカード Palit Microsystems GeForce RTX 4070 Ti GamingPro OC(グラフィックスメモリ容量12GB)
GeForce RTX 4080 Founders Edition(グラフィックスメモリ容量16GB)
Palit Microsystems GeForce RTX 3090 GamingPro OC(GeForce RTX 3090,グラフィックスメモリ容量24GB)
GeForce RTX 3070 Ti Founders Edition(グラフィックスメモリ容量8GB)
ストレージ Samsung Electronics SSD 850 EVO(MZ-75E500,500GB)
電源ユニット Corsair CMPSU-1200AX(定格1200W)
OS 64bit版Windows 11 Pro(22H2,Build 22621.1105)
チップセットドライバ AMD Chipset Drivers 4.11.15.342
グラフィックスドライバ GeForce:GeForce 528.02 Driver

 テスト内容は,4Gamerのベンチマークレギュレーション26.0に準拠。それに加えて,「3DMark」(Version 2.25.8056)において,レイトレーシングの性能を見る「Port Royal」と「DirectX Raytracing feature test」,DLSS性能をテストする「DLSS feature test」を追加した。
 解像度を選択できるDLSS feature testでは,3840×2160ドットと2560×1440ドットを選択し,DLSS modeは「Quality」に設定して実行している。なお,RTX 4070 TiとRTX 4080は「DLSS 3」を,RTX 3090とRTX 3070 Tiは「DLSS 2」を用いていることに注意してほしい。
 そのほかのテスト解像度は,いつもどおり3840×2160ドット,2560×1440ドット,1920×1080ドットの3種類を選んだ。


RTX 4080の8割前後の性能。メモリバス帯域幅の狭さが大きな懸念点


 それでは,3DMarkから順に結果を見ていこう。
 Fire Strikeの総合スコアをまとめたものがグラフ1となる。

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 Fire Strike“無印”は,CPUが足かせとなってスコアが頭打ちしつつあるが,それ以外を見ると,RTX 4070 TiのスコアはRTX 4080比で77〜80%程度といったところ。前世代との比較では,同様にFire Strike“無印”で,RTX 3070 Tiに43〜44%程度もの大差を付けたばかりか,RTX 3090を8〜11%程度も上回っているあたりは,特筆すべきポイントと言えよう。

 グラフ2は,総合スコアから「Graphics score」を抜き出したものだ。

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 ここでは,CPU性能の影響がなくなるためか,RTX 4070 Tiのスコアは,RTX 4080の76〜86%程度に落ち着いている。RTX 3070 Tiに比べると37〜46%もの性能向上を果たしており,RTX 3090との比較デモ8〜13%程度上回っている点は要注目だ。

 グラフ3は,GPUとCPU両方の性能が効いてくる「Combined test」の結果をまとめたものだ。

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 ここでは再びCPU性能が足かせとなるため,Fire Strike“無印”でスコアの頭打ちが見られる。それ以外に注目すると,RTX 4070 TiはRTX 4080の75〜80%程度で,RTX 3090を超える性能を発揮しており,大勢は総合スコアなどと似た傾向だ。

 続いては,DirectX 12世代のテストである「Time Spy」の結果を見ていこう。まずは総合スコアをまとめたグラフ4からだ。

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 RTX 4070 TiのスコアはRTX 4080の81〜86%程度と,Fire Strikeよりは差が若干縮まっている。また,RTX 3070 Tiとの差は40〜41%程度,RTX 3090との差は12〜15%程度で,Time SpyはRTX 4070 Tiがスコアを伸ばす傾向にあるようだ。

 次のグラフ5はTime SpyのGPUテスト結果をまとめたものだ。

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 ここでは,RTX 4070 TiとRTX 4080との差が25〜30%程度に広がる一方で,RTX 3070 Tiに対し50〜54%程度,RTX 3090に対し14〜20%程度の差を付けるなど,前世代との比較で差を伸ばしている点は興味深い。

 もうひとつのDirectX 12のテストとなる「Speed Way」の結果をグラフ6に示す。

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 RTX 4070 Tiは,RTX 4080の約75%に位置しており,RTX 3070 Tiに約46%,RTX 3090に対しても7%の差をつけている。同じDirectX 12を用いているTime Spyよりも,Fire Strikeと似た傾向だ。

 リアルタイムレイトレーシングの性能を計るPort Royalの結果がグラフ7だ。

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 RTX 4070 Tiは,RTX 4080の約78%となり,これまでのテスト結果を踏襲した形だ。RTX 3070 Tiとの差が約59%に達しており,RTX 3090との差も約12%程度ある。レイトレーシングを用いるSpeed Wayよりも差を広げているあたりは,RT Coreの進歩を実感できる。

 レイトレーシング性能を測るもうひとつのテスト,DirectX Raytracing feature testの結果がグラフ8だ。

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 ここでもRTX 4070 Tiの第3世代となったRT Coreが真価を発揮している。RTX 4070 Tiは,RTX 3090に約23%の差を付けており,RTX 3070 Tiに対しては,ほぼ倍の性能を叩き出している。RTX 4080比では,これまでの大勢とあまり変わらない点を見ても,第3世代RT Coreの恩恵を大きく享受した格好だ。

 続いて,DLSSの性能を見るNVIDIA DLSS feature testの結果がグラフ9となる。

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 DLSS on時の結果を見ると,RTX 4070 TiはRTX 3090に68〜74%程度,RTX 3070 Tiには129〜147%程度もの差を付けており,威勢のいい数値が並ぶ。
 DLSS onによりDLSS offの状態からどの程度フレームレートが向上しているかを計算すると,RTX 3090は63〜80%程度,RTX 3070 Tiは71〜87%程度であるの対して,RTX 4070 Tiは151〜196%程度も伸びていた。このあたりは,DLSS 2に留まる前世代に対して,DLSS 3に対応するRTX 4070 Tiは,フレーム生成で一気にフレームレートが伸びたと理解するのが妥当だろう。

 では,実際のゲームではどうなのだろうか。「Marvel's Spider-Man Miles Morales」(グラフ10〜12)の結果から見ていこう。

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 1920×1080ドットは,CPUがボトルネックとなってスコアが丸まりつつある。そこでそれ以外の解像度を見ていくと,RTX 4070 Tiの平均フレームレートは,RTX 4080の76〜92%程度に納まった。RTX 3090に対しては,安定して5〜6%程度上回っている点は評価できよう。
 一方,最小フレームレートに注目すると,RTX 4070 TiはRTX 3090に勝ったり負けたりで有意な差をつけていない。このあたりは,テスト方法が実際のゲームをプレイする必要があるため,フレームレートにバラツキが生じているのが原因ではないだろうか。

 続いて,「モンスターハンターライズ:サンブレイク」の結果がグラフ13〜15となる。

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 ここでもCPUが足かせとなり,平均フレームレートは175fps前後で頭打ちになるようで,その影響は1920×1080ドットだけでなく,2560×1440ドットでも表れている。そのため,3840×2160ドットを中心に見ていくと,RTX 4070 Tiの平均フレームレートはRTX 4080の約76%で,これまでのテストと似た結果を示している。
 ただ,RTX 3070 Tiには約29%もの差を付けてはいるが,RTX 3090には2%ほど届いていない。2560×1440ドット以下では,RTX 4070 TiがRTX 3090を上回っているのに,3840×2160ドットでは逆転されたのは,危惧したRTX 4070 Tiのメモリバス帯域幅の狭さが露呈したと思われる。最小フレームレートも,平均フレームレートと似た傾向を示しており,RTX 4070 TiはRTX 4080の約77%の性能を発揮しながら,4K解像度になるとRTX 3090に肩を並べるのがやっと,といった印象だ。

 グラフ16〜18は,「Call of Duty: Modern Warfare II」(※グラフ内ではCoD MW2と表記)の結果だ。

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 RTX 4070 Tiの平均フレームレートは,比較的優秀で,RTX 4080の81〜85%程度まで差を詰めている。RTX 3070 Tiにも50〜52%程度の差を付けるばかりか,RTX 3090に対しても17〜21%程度という大きな差を付けている点は要注目だ。
 その傾向は最小フレームレートでも同じなのだが,RTX 4070 Tiは,RTX 3090に1920×1080ドットで20fps以上の開きを見せており,ゲームの体感でも大きな差を感じるレベルであることを特筆しておきたい。

 次に「Fortnite」の結果をグラフ19〜21に示す。

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 1920×1080ドットは,CPUがボトルネックとなって平均フレームレートは丸まりつつある。それを踏まえて,RTX 4070 Tiの平均フレームレートを見ていくと,RTX 4080とは5〜26%程度の差が付いた。RTX 3070 Tiに対しては24〜25%程度も引き離している一方で,RTX 3090には,3840×2160ドットで若干だが逆転を許している。このあたりも,RTX 4070 Tiのメモリバス帯域幅の狭さが足を引っ張ったのではないか。
 最小フレームレートでは,1920×1080ドットではRTX 4080の頭打ちが近いためか安定していないものの,それ以外は平均フレームレートの傾向を踏襲している。ただ,3840×2160ドットの最小フレームレートで,RTX 4070 TiがRTX 3090を上回っている点は評価できよう。

 グラフ22〜24は,「God of War」の結果をまとめたものだ。

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 RTX 4070 Tiの平均フレームレートは,RTX 4080の77〜84%程度といったところ。RTX 3070 Tiには33〜35%程度の差を付けているものの,RTX 3090には3840×2160ドットで肩を並べられてしまっている。やはり,メモリバス帯域幅の狭さがRTX 4070 Tiでは大きなボトルネックとなっており,高解像度でのゲーム性能に一抹の不安が残りそうだ。
 それは,最小フレームレートを見るとより顕著で,RTX 4070 Tiは,1920×1080ドットこそRTX 3090に約9%の差を付けるものの,解像度が高まると逆転を許しており,その差を広げられてしまっている。とくに,3840×2160ドットでは約10fps強の開きが付き,RTX 3070 Tiをも下回っている点は残念だ。

 グラフ25は「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク」(以下,FFXIV暁月のフィナーレ ベンチ)の総合スコアをまとめたものだ。

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 RTX 4070 TiはRTX 4080に8〜23%程度離されているものの,RTX 3070 Tiには14〜27%程度と,安定した差を付けている。だが,RTX 3090比に着目すると,1920×1080ドットで約7%ほどあった差は,解像度が高くなるにつれて縮まり,3840×2160ドットでは約2%ほどしかない。やはり,RTX 4070 Tiは,ゲーム性能においてメモリバス周りが弱点と言っていい。

 そんなFFXIV暁月のフィナーレ ベンチにおける平均フレームレートと最小フレームレートをまとめたものがグラフ26〜28だ。

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 平均フレームレートは,おおむね総合スコアを踏襲した形なっているが,最小フレームレートはCPU性能の影響が強く表れるため,あまり有意な差は得られない。そんな状況でもRTX 4070 Tiは,3840×2160ドットで常時60fpsを超えており,RTX 3070 Tiと大きな差異を見せ付けているのがポイントだ。

 グラフ29〜31には,「F1 22」の結果をまとめてた。

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 F1 22でも平均フレームレートは,CPUのボトルネックにより,1920×1080ドットは150fpsあたりで結果が丸まりつつある。それ以外の解像度を見ていくと,RTX 4070 TiはRTX 4080の78〜83%程度に位置していた。RTX 3070 Tiには50〜51%程度の差を付け,RTX 3090にも約10%の差を安定してつけており,Marvel's Spider-Man Miles Moralesなどと似た傾向だ。最小フレームレートも,平均フレームレートの傾向を踏襲しており,F1 22ではメモリバス帯域幅の狭さがあまり問題にならないようだ。


消費電力は260Wほどとかなり低め

GPUクーラーは冷却性能と静音性ともに良好


 先述したように,RTX 4070 TiのTGPは285Wで,RTX 4080から35W,RTX 3070 Tiよりも5Wだけだが低い値となった。では,実際の消費電力はどの程度なのだろうか。

 今回もNVIDIAが開発した消費電力計測ツール「PCAT」(Power Capture Analysis Tool)を用いて,グラフィックスカード自体の消費電力を計測してみたい。なお,今回も3DMarkのTime Spyにおいて,Graphics test 2実行中の結果を示している。その結果をグラフ32に示そう。

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 これを見ると,RTX 4070 Tiの消費電力は,最も低い位置で推移しているのが確認できる。TGPどおりに,RTX 4070 Tiの消費電力が最も低いようにも見えるが,どうなのだろうか。
 そこで,グラフ32の測定結果から,分かりやすくなるように中央値と最大値を求めたものがグラフ33となる。

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 RTX 4070 Tiの中央値は260W弱で,RTX 4080から約38Wほども低くなっている。RTX 3070 Tiと比べても約24W低く,RTX 3090からは,なんと90W近くも消費電力を抑えることができている点は素直に称賛したい。
 ただし最大値を見ると,RTX 4070 TiはRTX 4080にあと約8W程度のところにまで迫っており,RTX 3070 Tiよりも約5Wほど高くなった。つまりRTX 4070 Tiは,全体的に消費電力は抑えめだが,瞬間的に跳ねる場合があることは要注意だ。

 ログの取得が可能なワットチェッカー「Watts up? PRO」を用いたシステム全体の最大消費電力も計測してみた。
 テストにあたっては,Windowsの電源プランを「バランス」に設定。さらに,ゲーム用途を想定し,無操作時にもディスプレイ出力が無効化されないよう指定したうえで,各アプリケーションベンチマークを実行したとき,最も高い消費電力値を記録した時点をタイトルごとの実行時,OSの起動後30分放置した時点を「アイドル時」としている。その結果がグラフ34だ。

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 ここではピーク値を結果として採用するため,差が広がる傾向が出てしまうのだが,RTX 4070 TiはRTX 4080から30〜81W,RTX 3070 Tiよりも32〜79Wほど消費電力が低かった。とくに,RTX 3090から109〜160Wも低い点は評価でき,RTX 4070 Tiの消費電力はかなり抑えられている。

 最後に,GPU-Zを用いて計測したGPU温度も確認しておきたい。ここでは,温度約24℃の室内で,テストシステムをPCケースに組み込まず,いわゆるバラックに置いた状態から,3DMarkの30分間連続実行時を「高負荷時」として,アイドル時ともども,GPU-Zから温度を取得することにした。
 GPUによって,温度センサーの位置や取得方法が異なるもので,またそれぞれファンの制御方法も違うため,同列に並べての評価にあまり意味はない。それを踏まえた結果は,グラフ35となる。

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 RTX 4070 Tiは,高負荷時でも60℃台までしか上がっていない。消費電力が低いおかげでもあるが,RTX 4070 Ti GamingPro OCのGPUクーラーの冷却性能はかなり優秀だ。

 なお,筆者の主観であることを断ったうで,RTX 4070 Ti GamingPro OCの動作音について述べると,RTX 4080と大差ない印象だ。GPUクーラーを巨大化させることで,ファンの回転数を抑えても十分な冷却性能が得られ,その結果,静音性が向上しているということなのだろう。


順当な立ち位置ではあるが弱点もあり

RTX 3070 Tiの後継モデルとしては高過ぎる


 以上のテスト結果から明らかなように,RTX 4070 Tiは,RTX 4080の8割程度と,下位モデルらしく順当な位置に収まっている。多くの場面でRTX 3090を上回る性能を発揮しており,消費電力が抑えられている点も評価できよう。
 その一方で,大容量のL2キャッシュが効いてこないゲームもあり,そうしたゲームの場合は,メモリ帯域幅の狭さによって3840×2160ドットでRTX 3090に及ばないことがあるのは気になるところだ。「新世代のミドルハイクラスGPUなのだから,どんなゲームでも4K解像度かつ最高画質で快適にプレイできる」ことをRTX 4070 Tiに期待するのは,ちょっと荷が重いかもしれない。

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 だが,RTX 4070 Tiにおける最大のネックは,実勢価格の高さにある。RTX 4070 Ti GamingPro OCは,まだ国内では発売されていない。しかし,クロックアップされていない姉妹モデル「GeForce RTX 4070 Ti GamingPro」のドスパラにおける税込販売価格が12万8700円であるのを考慮すると,それよりも少し高くなるのは確実だろう。他社製のRTX 4070 Ti搭載カードも,13万円台〜15万円前後だ。RTX 3070 Tiが8〜10万円程度であるのに比べて5万円も高価なのは,後継モデルとしては差がありすぎる。
 「手の届きやすい価格帯のRTX 40シリーズ上位モデル」として,RTX 4070 Tiに期待した人もいたと思うが,この価格帯では,とても手が届きやすいとは言えない。相応に高性能なGPUではあるのだが,13〜15万円も払うのであれば,もう少し高いレベルを実現してほしかったというのが,正直なところではないだろうか。

PalitのRTX 4070 Ti GamingPro OC製品情報ページ

NVIDIAのRTX 4070 Ti製品情報ページ


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