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クジラの気持ちに寄り添い,侵略しない街づくりを。宇宙探索&シティビルダー「Beyond These Stars」ハンズオフレポート[gamescom]
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本作は、星々を巡りながら宇宙クジラの背中に街を作り出し,惑星の自然や原住民である宇宙人たちと共存の道を考えながら,宇宙クジラの上でかつての文明を再建する。
そんな本作を紹介してくれたのは,Managing DirectorのAnna Barham氏とCreative DirectorのSam Barham氏。彼らが語るゲームのコンセプトは,数あるシティビルダーの中でもひときわユニークなものであった。
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クジラの背で宇宙を移動する,侵略しないシティビルダー
「Beyond These Stars」の舞台は,宇宙を飛ぶ巨大なクジラ「Kewa」(キーワ)の背中。プレイヤーはその上に都市を発展させながら,銀河を旅していく。
大きな特徴は2つ。ひとつは,Kewaが知性を持つ存在であること。単なる乗り物やペットではなく,意思を持ち,会話を通じて関係を築いていくパートナーだ。
もうひとつは,非暴力的なゲームデザイン。他者の領土や資源を奪ったり,戦争を仕掛けたりすることはなく,かつて失った文明を再び取り戻すことに焦点が置かれている。
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印象的だったのは,開発者たちが「侵略」を強く意識していた点だ。
ニュージーランド出身である彼らは,自国が植民地主義の歴史を経験したことを背景に,「領土を奪うゲームデザインを避けたい」と語っていた。これは従来の4Xゲーム(探索・拡張・開発・殲滅)とは異なるアプローチであり,侵略という「過去の過ちを繰り返さない」という強い意志を反映した設計だ。
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銀河を進む中で,プレイヤーは古代の衛星や謎の遺物,さらにはエイリアン種族と遭遇する。彼らはサブクエストやリプレイ性の要素を提供し,選択次第でプレイスタイルが変化する。エイリアンは4〜5種類存在し,それぞれに独自の目的があるという。
惑星に降下して前哨基地を築くことも可能だ。その星や土地を奪うのではなく,現在の惑星の環境に合わせ,生態系を守りながら必要な分だけその資源をいただくという感覚だ。
惑星ごとに環境や資源が異なり,羊の毛で防寒具を作るといった要素が探索範囲の拡大につながっていく。資源はすべて「物理的オブジェクト」として扱われ,輸送システムをどう設計するかが鍵となる。
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興味深いのは,航路の最終決定権がKewaにある点だ。
例えば,プレイヤーが危険地帯を迂回するコースを指定しても,もしKewaが空腹であれば危険な小惑星に突っ込んでいってしまう(Kewaは小惑星を食べる)。また,都市の公害はKewaの健康に悪影響を及ぼし,Kewaとの対話の中で「苦痛」を訴えることもある。こうしたやり取りによって関係性が変化し,物語が紡がれていくのだ。
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クジラの背中に街を作り,生活する。このユーモアのあるアイデアの着想は,2016年にニュージーランド・ダニーデンで開催された「冬至カーニバル」に参加したときに得たという。
街を練り歩いたランタンのひとつに「摩天楼を背負ったクジラ」があり,それがとても印象的だったそうだ。ゲーム的には「The Settlers」や「Anno」シリーズからの影響が大きいと話していた。
大きな生き物の背中で都市建設をするゲームというと「The Wandering Village」があり,実際に比較されることも多いそうだが,「知性を持つクジラと会話できる」という点で独自性を打ち出している。
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とても印象的だったのが,リソース管理の奥深さと同時に,Kewaとの関係や惑星での開拓の仕組みがプレイ全体に影響を及ぼす“共生感”だ。
相手を思い,むやみに搾取しない。その姿勢は自然と共に暮らす「里山」のような営みにも通じる。
Balancing Monkey Gamesは以前にも,星の環境を考えながら文明を再興する街づくりゲーム「Before We Leave」を手がけており,「Beyond These Stars」は,その考えとゲーム性をさらに大きなスケールで発展させた作品にも感じた。
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そんな「Beyond These Stars」のデモ版はSteamで配信中だ。日本語にも対応しており,チュートリアルも備えているため,シティビルダー初心者でも安心して楽しめるだろう。
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「Beyond These Stars」公式サイト
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