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個人で運営型のスマホゲームを手がける3名による座談会をレポート。その魅力や興味のある人へのアドバイスなどが語られた[IDC2025]
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運営型のスマホゲームというと,大きな資本を投入して,大人数のチームで運営されているというイメージが強いと思う。しかし,本セッションに登壇したせっき〜氏,アズマゴロー氏,ぶる〜氏は,個人開発者でありながら,運営型のスマホゲームのサービスを行っている。
セッションの冒頭では,3名の簡単な自己紹介に加えて,それぞれが現在サービスを提供しているスマホゲームが紹介された。
せっき〜氏が運営する「錬魂のレナフィーネ」は2年4か月,アズマゴロー氏の「放置系ハクスラモンスターズ」は5年5か月,ぶる〜氏の「エレクトリアコード」は5年8か月にわたってサービスが続けられている。1周年を迎えることなく閉じてしまうタイトルも少なくないことを考えると,長期にわたって運営されていると言えるだろう。
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セッションでは,3名があらかじめスライドで用意した質問に答える形式で進められた。ここからは質問とそれぞれの回答の内容をお伝えしよう。
・質問1:運営型でやろうと思ったきっかけは?
これについて,ぶる〜氏は,「自分でエディットしたうちの子と半永久的にイチャイチャできるゲームを作りたいと思ったから」と回答した。
また,運営型のスマホゲームをプレイしているときに,「自分だったらこうするのに」「なぜ自分の理想とするゲームがないのだろう」とモヤモヤすることが多かったそうで,それならば小規模でもいいので,理想の運営型スマホゲームを作ろうと思い立ったという。
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アズマゴロー氏は,当初は予告した日にゲームをリリースするのに精一杯で,もともと運営型でやる予定はなかったそうだ。その後プレイヤーが増え,お金を払わせてほしいという要望があったことから,定期的にイベントを追加すると運営型へ移行していったそうだ。
もともとゲーム会社に勤めていたせっき〜氏は,インディーゲームを作りたいと思い独立。その後ゲームアプリをリリースし評判は上々だったものの,それだけの収益では生活ができなかったそうだ。
悩んだせっき〜氏は,ぶる〜氏に相談したところ,小規模で行う運営型のスマホゲームの存在を知り,「錬魂のレナフィーネ」の開発をスタートしたという。
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・質問2:個人で運営型,ぶっちゃけ可能なの?
ずばり本セッションのテーマとなる質問ついてせっき〜氏は,「最初は命を削りながらやっていたので,結構しんどかった」と明かす。しかし,無理をしないベストな運用方法を見出してからは,負担が減ったそうだ。
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例えば,企業が運営するスマホゲームは,実装の数か月前から季節イベントを作るが,「錬魂のレナフィーネ」は実装月にイベントを考えている。そのため,バレンタインイベントのテキストを発注した際には,「2月にバレンタインイベントのテキストを書いたのは初めてです」とライターから言われたという。
ちなみに「錬魂のレナフィーネ」のコアメンバーは,シナリオ担当とエンジニアの2名だそうで,サービス開始初期はピックアップガチャを手動で更新していたという。さすがに現在はスケジュールを立てて,その通りに回る仕組みを作っているそうだが,それくらいの手作り感でも初期は運用できていたとせっき〜氏は明かしていた。
アズマゴロー氏は,個人で運営型は可能だとしつつ,ひとりでは限界があるので,省略化する工夫が必要だと述べる。
「放置系ハクスラモンスターズ」は,プログラミングやシステムの組み込みはアズマゴロー氏が,イラストや音楽は外注や販売されている素材を使って制作されている。イベントについても,一般的なスマホゲームで見られる期間限定のものを毎月やるのではなく,恒常のイベントを追加していくほうが無理なくやれるのではないかという。
ぶる〜氏も同じく「企業と同じことをやるのは難しい」と語る。サーバーに関してもなるべく使わないようし,運用コストを下げることで,大きな売り上げが立たなくてもサービスを続けることができると明かしていた。
またアズマゴロー氏と同様に,期間限定のイベントを追加し続けるのは難しいので,恒常コンテンツをスルメゲーのように遊べるような体制にしたうえで,追加の恒常コンテンツに新鮮味や季節感を出してプレイヤーを楽しませると,勝率が高いのではないかと話していた。
・質問3:運営型の良かったこと,その魅力
これについて,ぶる〜氏は「プレイヤーが楽しんでくれる姿を見ることが嬉しい」と語る。定期的なコンテンツの更新をするため,そのたびに喜んでもらえるし,熱心なプレイヤーからはアップデートを熱望する声も寄せられる。そうした声を受けると運営をしていて良かったと感じるそうだ。
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アズマゴロー氏は,途中までしか作り切れていなくてもサービスできるところを挙げた。例えば,買い切り型のRPGを作る場合は,最後まで作り切ってからリリースする必要があるが,RPGを最後まで作り切るのはなかなか難しい。運営型の場合は,途中まで作った状態でリリースし,プレイヤーの反応を見ながら続きを作れることが,自分に合っていると語った。また,定期的に収入が入ってくるため,生活面においても良かったと述べていた。
せっき〜氏は,プレイヤーと一緒にゲームを作っていくという面が運営型の魅力であると語る。買い切り型タイトルでもプレイヤーの意見を聞きながら作っていく面はあるが,運営型は,それとは比にならないくらい一緒に作り上げている感覚があるそうだ。
「錬魂のレナフィーネ」もリリース前の開発側の予想とはまったく違う方向に進化していて,せっき〜氏自身も楽しみながらゲームを作れていると明かしていた。
そのほかにも運営型スマホゲームのメリットとして,「基本プレイ無料なので,手に取ってもらいやすい」「無課金プレイヤーも広告を見てもらうことで収入を得られる」「広告を自分たちで流して,直接スマホゲームプレイヤーにアプローチできる」という3点が挙げられていた。
・質問4:運営型をやってみて,大変だったこと
せっき〜氏は,「プレイヤーがめちゃめちゃ熱心に遊んでくれたこと」を大変だったこととして挙げた。せっき〜氏が「1か月分くらい遊べるコンテンツ」として実装したものが,1週間程度でやりつくされてしまったこともあるそうだ。夢中になって遊んでくれるのは嬉しいことであるとしつつも,リリース当初は大変だったと語っていた。
また,長期運営を続けると初心者から上級者までさまざまなプレイヤーが混在することになるため,アップデートをどのプレイヤーに合わせるのかということを毎回悩みながら作っていることも述べていた。
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ぶる〜氏もせっき〜氏同様に,こちらの想定以上の速度でコンテンツが消化される点は大変だと語る。運営型のゲームは「自分の想像している3倍はコンテンツを用意しろ」と言われるものの,ぶる〜氏も3倍用意したつもりのコンテンツが,2週間で遊び尽くされることがあったと明かしていた。
「エレクトリアコード」は,リリースして2週間はアップデートのために馬車馬のように働き大変だったというが,やった分だけプレイヤーが喜んでくれるので,楽しいものだったとぶる〜氏は振り返っていた。
また,季節もののアップデートについても,長く運営を続ければ続けるだけ,季節もののネタがなくなっていくため,毎回絞り出すのに苦労しているそうだ。
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アズマゴロー氏は,「不具合の対応」が大変であると語る。運営型は定期的に更新を挟むので,不具合が起こる確率が買い切りよりも高い。
一度不具合を出してしまうと,その対応に追われることもあるそうで,その後のコンテンツの開発が遅れてしまうことがある点は,なかなか大変だと述べていた。
個人の開発だとどうしてもゲーム内容を仕上げるので手いっぱいになりがちだが,こうした不具合が出ることを想定し,プレイヤーへの補填やメンテナンスの仕組みを入れる必要があると,アズマゴロー氏は振り返っていた。
そのほかには長期休みがあるとアップデートを用意しなければならないため,休みが近づくたびに憂鬱になること,病気にかかるとアップデートをお休みする必要があること,下手に大作ゲームにハマってしまうと開発が止まるため,大作ゲームを喜々としてできないことなども大変な点として挙げられていた。
・質問5:運営型をやってみたいと思った人に,一言
運営型のスマホゲームを個人でやっている人が少ないため,そもそも選択肢にすら入ってないことがあるとし,この講演を聞いて「これくらいだったら自分でもできそう」と後に続いてくれると嬉しいと,ぶる〜氏は語った。
運営型ゲームには向いている人と向いていない人がいると語るのはアズマゴロー氏。普段からスマホゲームを遊んでいて,マネタイズの勘どころやプレイヤーと運営の温度感が分かっている人は向いているが,普段スマホゲームをやらない人はかなり大変なのではないかと述べていた。
また運営型のゲームは,Discordサーバーとの相性が良く,プレイヤー同士のコミュニケーションの場になったり,ベテランが新規プレイヤーに攻略情報を教える場になったりするので,興味のある人は検討してほしいとも語っていた。
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せっき〜氏は,「運営型をやってみたい人は,ぜひ師匠をつけてほしい」と語る。運営型のゲームは独特で分からないことも多いので,取っ掛かりの部分を教えてもらえると非常に助かるし,いざ困ったときに相談できる人がいることは心強いからだ。せっき〜氏自身は,ぶる〜氏とアズマゴロー氏が師匠にあたり,非常に感謝しているそう。
バランス調整についても言及があった。特にキャラクターの弱体化は,非常に嫌がられる傾向が強いので,極力やらないほうがいいという。「プレイヤーとしては,自分の好きなキャラクターが弱くなるというのは,納得はできても悲しいこと」とぶる〜氏は語っていた。
・質問EX:こだわりやアピールポイント
ここまでのセッションは思いのほかスムーズに進み時間が余りそうだったため,それぞれが自身のゲームでこだわっている点やアピールポイントというテーマで追加のトークが披露された。
アズマゴロー氏は,「放置系ハクスラモンスターズ」のこだわりポイントとして,期間限定ダンジョンを作っていないことを挙げた。
スマホゲームでは珍しくない期間限定ダンジョンだが,これについてアズマゴロー氏は「遊ばされている感がある」と感じていたそう。そのため,「放置系ハクスラモンスターズ」では,訪れる期間によって,周回の効率を上げるようなことはあるものの,それ以外の期間でも挑戦自体はできるようにしているそうだ。
せっき〜氏は,インディーなため,有料アイテムがほかのゲームより安いことをアピールポイントとして挙げた。これは特に資金が必要なシステム開発や緊急対応などをすべてひとりでやっているからこそ実現できている。ここを外注にすると難しいので,プログラミングやシステム開発はできたほうがいいとアズマゴロー氏は指摘していた。
実際に個人で運営型をやっている人は,プログラミングやシステム開発などすべて1人でやっているケースが多いそうだ。
大手の運営型ゲームは,サーバー維持費とコンテンツの作成費で毎月膨大なコストがかかっているため,収益を得ることが前提になる。しかしインディーゲームは,収益性は低いが,維持コストも低いため,自分のやりたいことやプレイヤーが喜んでくれるものを提供しやすいのではないかと,インディーならではのメリットが語られていた。
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セッションは,それぞれの登壇者が運営型スマホゲームの未来や今後の展望を語り,締めくくられた。
ぶる〜氏は,現状スマホゲーム自体がネガティブに捉えられることが多いことに触れ,運営型,買い切り型それぞれに良さがあると語る。
そして,運営型のゲームが再評価される日が来てもいいのではないかと語りつつ,インディーの運営型ゲームがその未来を切り開いていくのも面白いのではないかと,展望を語っていた。
アズマゴロー氏は,熱意があってスマホゲームが好きという人はぜひチャレンジしてほしいと語りつつ,困ったことがあれば相談に乗りますと述べていた。
せっき〜氏はスマホゲームの運営は楽しいので,興味を持ってもらえると嬉しいと語り,今後は「錬魂のレナフィーネ」を運営しつつ,ほかのインディー作家さんとスマホゲームを作るという計画も進めていきたいと今後の目標を語っていた。
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