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今さらですがお砂糖の話をします。「VRChat」で美少女になって,堕ちに堕ちたら恋にも落ちた,そんな実体験の怪文書
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印刷2025/12/30 10:30

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今さらですがお砂糖の話をします。「VRChat」で美少女になって,堕ちに堕ちたら恋にも落ちた,そんな実体験の怪文書

 本当に,本当に今さらなのですが,お砂糖の話をします。

 2024年9月末に遅ればせながら「VRChat」を始め,ハマりにハマって帰ってこられなくなったという話を,2月末にしました。

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 今さら「VRChat」を始めたところ,このVR SNSに生活が乗っ取られ,あっという間に100万円近くを使って,いろいろな買い物をしていた。ヤバイ。これは本当にヤバイ。1人のVRChatterが沼に沈んでいくまで,いったい何があったのかを,ここに残しておこう。

[2025/02/28 08:00]

 それはスタートから1年以上経った今でも変わらず,毎日のようにログインして,この世界にどっぷりと浸かり続けています。生活の一部になるほど魅力的な世界が,ここにはあります。
 出張に行かされて,ホテルで「ぶいちゃやらせろ」と編集長に呪詛を唱えている日は除きますが。許せません。

本稿に適した載せられるような画像がまったくありません……。ですので,関係ないですがポンデロニウム研究所様の「しなの」ちゃんをひたすら掲載します。いつも大変お世話になっております,今もメインアバターです
画像ギャラリー No.001のサムネイル画像 / 今さらですがお砂糖の話をします。「VRChat」で美少女になって,堕ちに堕ちたら恋にも落ちた,そんな実体験の怪文書

 で,ですね。VRChatを続けていれば,必ず耳にする,なんなら直面することもあるのが「お砂糖」――VRChat内での恋愛関係のお話です。はい,ドロドロしてきました。

 もっとも,ネット上での恋愛話なんて珍しいものでもなく。MMORPG黎明期を通ってきた百戦錬磨の4Gamer読者でしたら,いろいろな思い出が頭をよぎると思うのです。
 男女が集まれば色恋の話題はつきもの。

 それで爆散したコミュニティ,見てきましたよね?
 消えた友人,いますよね?
 所属してたギルド,なくなりましたか?

 うう,嫌な記憶が……。

 似たようなお話は,VRChatでもそこらじゅうに転がっているわけです。それはもう,掃いて捨てるほど,ざらに。散々ネタにもされています。
 では,なぜあえてこの記事を書いたかと言えば,急降下で美少女になってしまった私が,VRChatを続けていたらどうなったのか,行き着いた先をお披露目しようかなと。体を張って,赤裸々ドキュメンタリーをネット上に残しますよ。
 いろいろな方向に配慮して書いているつもりですが,多分に私見も含みますので,解釈違いでも怒らないでくださいね。


お砂糖ってなんでしょう


 VRChatterではない方も見ているでしょうし,まずは前提条件としてお砂糖について説明しておきましょう。

 「これ」と決まった定義はありませんが,概ねVRChat上での恋人関係を指す言葉です。
 人によっては,親友ぐらいの感覚で使っていることもありますし,VRChat上での関係で完結している人もいれば,リアルにつなげたい人,実際にリアルでお付き合いしている人もいて,その意味するところはある程度ブレます。一口にお砂糖と言っても,そこに求めているものは人それぞれなのです。
 とはいえ,基本的には「VRChat上のパートナー」をお砂糖と呼ぶと考えて問題ないでしょう。砂糖のように甘い関係的なものを指すわけですね。
 違った感覚で楽しまれている方には申し訳ないですが,私の体験の都合で,本稿では恋愛感情ベースの話として進めていきます。

 ちなみに,お砂糖を解消することを「お塩」と呼びます。いったい,誰が名付けたんでしょうね。

2月の記事で「お砂糖の話とかではないですよ」と前置きしていたのに,本当にすることになるとは。ちなみに,お砂糖できた勢いで書いているわけではないです。できてからかなり時間が経っていて,割と冷静に怪文をしたためています
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 これをただの「ネット上の恋愛」とすると,よくある話で済むのですが,VRChatはそのあたり,少々特殊です。なにが特殊かと言うと,性別の垣根がものすごく薄い。
 VRChatterの多くは,女性アバターを使っている男性です。声でのコミュニケーションが基本となるため,大半の声も男性。もちろん女性プレイヤーも存在しますし,私のように,ボイスチェンジャーで声を変えている男性もいますが,少数派です。日本のプレイヤー層においては,「男性声の女の子」が多い世界だとお考えください。

 こうした環境だからか,お砂糖になるのは男性プレイヤーと女性プレイヤーとは限りません。「男性声の女の子」同士のお砂糖が成立するのです。ボイチェン勢同士の,見た目も声も女の子だけど中身はどちらも男性なお砂糖,なんて場合もありますし,どちらかがボイチェンという場合もあります。
 バーチャルとはいえ,リアリティのある世界において,外見(アバター)や声を違う性別にできる。その結果,現実以上の多様性をもって恋人関係が成立しやすい環境ができているわけですね。

可愛い女の子アバターも,だいたい声は男性です。体感,女性と私のようなボイチェン勢,自力で出せる“両声類”の男性を合わせても,男性声のほうが多いと思います
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 誤解してほしくないのは,別にお砂糖がいる人ばかりな世界というわけではありません。むしろ,無関係に楽しんでいるプレイヤーのほうが多いでしょうから,ご安心ください。
 ただ,それなりの割合でお砂糖経験のあるプレイヤーが存在するのも事実で,いくつかのアンケートなどを見ていると,概ね2〜3割ぐらいのプレイヤーは経験アリと答えている印象です。
 関心がある,欲しいと思っている人を含めれば,より大きな割合のプレイヤーが無関係ではなくなるでしょう。

 さて,あなたがVRChatを遊んだことがない,あるいは遊んでいてもお砂糖に興味がない場合,こうは思いませんか?
 「いや,リアルで恋人作れよ」って。
 なんなら「バーチャルで恋愛ごっことか気持ち悪いな」とか,「それって何の意味があるの?」とか。

 だって,どうせ作るなら,気持ちを向けるなら,リアルで恋人作ったほうが幸せじゃないですか?
 ネットで仲良くなった人とリアルでもお付き合い,というのなら話は別だけど,ネットだけで恋愛してどうするの?
 むなしくない?
 リアルで作れないからネットで作るってこと?

 そういう,めちゃくちゃ攻撃力の高い刃物のような疑問が浮かんでくると思うのです。
 分かります。分かりますよ,その気持ち。正直,私もそう思っていました。しかし,「そうではない」ことを身をもって知ってしまったから,この記事を書いておりまして……。


本気で美少女やりすぎました


 この話を続けるにあたって,避けては通れないので,自分語りをします。自己紹介です。
 詳しくは2月に掲載した記事をご覧いただければと思いますが,私はVRChatを始めて,最初はあまり興味がなかったのに,いくつかきっかけがあり,美少女として活動することにハマった男性プレイヤーです。

プレイ時間は1年ちょっとで1800時間ほど。V睡(頭に変な機械をつけたままVRChatで眠る行為)はしていないので,純粋なプレイ時間でこれはけっこう遊んでるんじゃないでしょうか
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 多大なコストをかけて環境を整えて,全身が動くフルボディトラッキング(フルトラ)で活動しています。Viveのベースステーション4台を用いた11点トラッキング(Viveトラッカー8個)であり,一番お金がかかる代わりに,一番正確にトラッキングできる(可愛く動ける)環境になります。

 ボイスチェンジャーは最もハードルの高いハードウェアボイチェンで,手間もお金もかかりますし,声も作らないといけませんが,ほぼ遅延なく女声で話せます。

 話し方は女性らしく寄せますし,頻繁に鏡を表示して自分のポーズを確認しながら話すので,割と演じられていると自負しています。
 スカートがめくれないよう,常に姿勢は気にしますし,足も内股に見えるように調整します。人に下着などを見られるのも嫌ですから,スカートを履いてもショートパンツなどでカバーするようにしています(この世界,スカートの中がめちゃくちゃ見えやすいのです)。

 ボイチェンを切ることはなく,基本的に見た目も声も女性。ほかのプレイヤーと比べても,割と本気で美少女をやっている側だと思います。属性としてはお姉さん系,かな?

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 あまりに美少女をやりすぎて,男性への警戒心すら獲得してしまいました。あまり私に近寄ってほしくないな,みたいな。リアルではまったくそんなことはないのですが,VRChatでは男性に若干の苦手意識があり,女性と話すほうが気楽です。ある意味,VRChatにあまり向いていないかもしれません。

 周囲からは「思考が普通に男性」と評されることもあれば,「男性としても女性としても認識できる」「男性なのは知っていても,女性に感じる」,女性からは「(男性に対する)警戒心が湧いてこない」なんて言われたこともあります。
 コミュニティにもよりますが,女性からはそれなりに女性っぽく見られているかなと。実際に女性だと思われて,ボイチェン男性であることを伝えると驚かれることもあります。
 このあたりは,女性に対してのほうが,警戒なく,より女性らしく話せるからかもしれません。男性に対して全力で可愛く演じて,気に入られてしまっても後々困ります(実際に困りました)し,可愛さを褒められるなら,女性からのほうが嬉しい。自分の演じている方向性が,正しく感じられますからね。

 本題のお砂糖に関しては,「男性とお砂糖は絶対に嫌」という姿勢です。なにせ,苦手ですし……。
 お砂糖という文化は,最初は割とバカにしていましたけど,この世界に慣れた頃には,とくに否定はしないけど,どこかで「なんか気持ち悪いなぁ」と思う。いちプレイヤーとして一度ぐらいは経験してみたい気持ちはあるけど,積極的に作る気もない,ぐらいでした。

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 もう少し私の人物像を話しておくと,リアルでの恋愛経験はそれなりにあります。というか,「彼女が欲しいけどできない」という経験は,正直ないです。結婚経験もあります。ただ,離婚も経験しています。
 それなりに,酸いも甘いも知っていて,1人で過ごすことも苦にならないので,「後の人生は,自分の好きなことだけやって楽しく過ごそう!」と開き直っているタイプです。
 まぁ,そうでもないと,美少女になりたいから100万円! とかやっている場合ではないですからね。

 そんな人間なので,自己肯定感は高いですし,リアルアバター(本人)を磨くのにお金や時間を使うタイプでもあります。アバターの衣装を買っていると,「冬服欲しいなぁ」などと,リアルアバター用の服もついポチり始めたり。体型維持のために,日常的に運動していたり。
 リアルでもバーチャルでも自分が好き。なんとなく思い描く「美少女堕ちする人物像」からは,だいぶ離れていそうな気がします。バーチャルで可愛くなりすぎて,リアルの自分が辛い……みたいな気持ちはまったくないです。

 まとめると,「自分が美少女でありたい」が大きなモチベーションであって,人恋しいタイプではない。恋愛に飢えてもいない。リアルもバーチャルも,恋人が欲しいと思ってもいない。
 常に美少女としてプレイしていて,とくに女性には女性らしく接するようにしている。そのくせ,もしお砂糖ができるとしても,相手は女性でなくてはいけない。
 なんというか,極めてお砂糖ができにくそうなプレイヤーです。私自身,できることはないと思っていました。VRChatで恋愛してもなぁ。


VRが持つリアリティってすごいんですよ


 とかなんとか言っても,実際にできてしまったから,この記事があるわけですけどね。

 はい,お砂糖,できました。
 しかも,お相手は女性です。

 もちろん,地声を聞かせたことはありませんし,私は常に美少女。それでも私を選んでくれたことに驚きを隠せません。
 もっと言うと,お砂糖になりたいと言われた経験は何度かあるのですが,男性よりも女性のほうが多いです。なんで!?
 これは私も本当に理由が分からないのですが,本気で美少女をやっていると,何かが刺さるということなのかもしれません。「居心地がいい」とは言っていただけるので,お姉さん属性なのがいいのかも?

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 お砂糖になった方とは,何かきっかけがあったというよりは,毎日のように2人で話していたら,なんとなくお互いその気になっていました。とくにお砂糖を求めていたわけでもないのに,「この人がいいな」になっていたのです。
 私はリアルの恋愛すら「もういいかな」と思っていた身ですから,自分がまだ恋愛感情を持てることにかなり驚きました。

 なぜそうなったのかを自分なりに分析すると,大きな要因はVRChatならではの距離感と,会う頻度だと思います。
 VRChatという世界は,確かにバーチャルですけど,リアリティのある場所でもあります。具体的に言うと,仮想空間内の物理的な距離(って言うのも変ですけど)から得られる感覚は,現実のそれと大差ありません。つまり,親しい相手とは,親しい物理的な距離感で過ごせるわけです。
 ネット恋愛との大きな差だと感じるのがこの部分で,距離による実在感,特別感が強いんですよね。

 そして,VRChatで親しい相手というのは,毎日のように会うことになります。現実だと,社会人ならプライベートで月1,2回会う程度でも,相当に仲良しな相手だと思うのですが,ネットの付き合いのVRChatは,その比ではありません。個人的な体感ですが,現実で3か月かけて高まる好感度が,VRChatなら1か月みたいなスピードです。
 そんななか,気に入った相手が,実在感を持って,毎日,側にいる。正気でいられないのは,私のせいではないでしょう。

 あとは,独占欲でしょうか。毎日一緒に過ごしてる相手が,誰かのお砂糖になりました,なんて聞きたくないわけでして。楽しい毎日が終わっちゃいますからね。続けたいと思ったら,「この人がいいな」になりますよ。

バーチャルとはいえ,毎日のように“話す”ではなく“会う”と自然に書けるぐらいには,会っている感覚,実在している感覚が強いです
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 そんなこんなで,冷めた目で見ていたはずのお砂糖ですが,火がついてしまいました。
 「お砂糖作って何の意味があるの?」という質問に対しては,もう即答しましょう。意味,あります。多幸感,半端ないです。

 一番嬉しいのは,やっぱり恋人としての距離感で過ごせることですね。物理的な距離を感じられるということは,当然,個人個人のパーソナルスペースがあるわけでして,その中に入れてもらえる,入って来てほしい相手というのは,それはもう愛しい。

 VRChatterでない人からすると,「でも,いくら近くても触れないじゃん」と思うかもしれませんが,それはあまり関係がありません。
 もちろん,触れるものなら,触れたほうが楽しいです。VRChatterには,仮想空間で触られると,実際に触られたと錯覚する現象である「VR感度」(V感)をお持ちの方がいらっしゃいます。この強弱や感じられる場所は人それぞれですが,お砂糖と過ごすことにおいて,V感はあったほうがおそらく楽しめるのでしょう。
 ただ,私はまったくV感を持っていません。それでも,くっついていたり触られたりしたら嬉しいもので,バーチャルにおける恋愛関係において,物理的な感触は重要ではないのです。幸福感は,視覚的な刺激だけで十分に得られるんですね。

 一方で,視覚の重要性は現実以上に高いので,鏡の前で話をして自分たちの姿を見るといった,現実ではやらない行為でカバーすることはあります。そもそも,触られていることが見えないと,何も分かりませんからね。

 ともかく,バーチャルであってもVRを用いれば,恋人同士のイチャイチャ感というのは存分に堪能できるものです。


いつ,どこからハマるか分かりませんよ


 この記事は,お砂糖自慢がしたいわけでも,お砂糖という文化を推奨したいわけでもありません。
 一切関わらずにプレイできるなら,そのほうが平和だと思いますし。

 ここで一番お伝えしたいことは「あなたも突然こうなるかもしれないから,あまりバカにしないほうがいいかもしれませんよ」です。

 私だって,1年ちょっと前はこんなことになると思っていませんでしたからね。VRChatにそもそも興味を持っていませんでしたし,大金かけて美少女ごっこに全力出すとか予想しようがありませんし,ましてやVRChat上での恋愛なんて,鼻で笑っていました。
 それが,今やこれですよ。何が起きるか分かりません。

 そして,そうした熱量を生み出すだけの楽しさが,VRChatにはあります。
 傍から見たら,夜な夜な変な機械を頭につけて,虚空に向かって手を伸ばしているおかしな人たちなんですけど,そこで生まれる感情は本物なのです。リアリティがあるものではなく,リアルな気持ちそのもの。
 恋愛感情なんて,一度走り出したら止まろうと思って止まれるものでもありませんからね。
 ……そのぶん,いろいろなトラブルも発生しますけど。それだけ本気ということなのです。

 冷めた目で見ていると,いつのまにか底なし沼に片足突っ込んでいるかもしれません。ですので,「こういう世界もあるんだな」と思っておいていただけると幸いです。

 私はもう,顔まで全部沈みました。

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