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Zen 5世代に進化した最大64コアCPU「Ryzen Threadripper 9000」シリーズが発表に
開発コードネーム「Shimada Peak」と呼ばれていた製品で,最新のZen 5アーキテクチャに刷新したThreadripperである。発売時期は2025年6月中とされているが,価格は明らかになっていない。
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HEDT向けのThreadripperは,前世代と同じ最大64コア
Ryzen Threadripperシリーズは,2017年に登場したHEDTおよびワークステーション向けのCPU製品だ。AMDのサーバー向けCPU「EPYC」シリーズの技術を,PCやワークステーションに流用したシリーズで,通常のデスクトップPC向けを超える数のCPUコアやメモリチャンネル,PCI Express 5.0(以下,PCIe)を搭載する点が特徴である。
今回,発表となったHEDT向けのRyzen Threadripper 9000シリーズは,2023年に発売となったZen 4アーキテクチャベースの「Ryzen Threadripper 7000」シリーズの後継となる製品だ。
ラインナップは,24コア,32コア,64コアの3製品で,CPUコア数やL3キャッシュメモリ容量はRyzen Threadripper 7000シリーズと変わらない。
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ワークステーション向けのRyzen Threadripper PROシリーズは,先代から最大96コア192スレッド対応製品がラインナップされていた。そのため,HEDT向けThreadripperにも,96コア版の登場を期待する声はあった。だが,少なくとも,今回は64コア128スレッド対応の「Ryzen Threadripper 9980X」が最上位モデルとなる。
冒頭で触れたとおり,CPUコアはZen 5アーキテクチャに刷新され,前世代に比べて性能向上が期待できる。
とくにZen 5アーキテクチャでは,浮動小数点演算ユニットのデータパスが512bitワイドになり,AVX-512命令は,前世代に比べてスループットが2倍になっている。なので,AVX-512命令を活用するAI処理や科学技術計算,3DレンダリングといったRyzen Threadripperらしい用途では,大幅な性能向上が期待できるだろう。
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なお,HEDT向けRyzen Threadripper 9000シリーズの対応ソケットは前世代と同じ「Socket sTR5」である。まだ詳細な資料が得られていないが,チップセットにも前世代と同じ「AMD TRX50」が用いるので,既存のマザーボードをUEFI(BIOS)アップデートのみで利用できるようだ。
HEDT向けRyzen Threadripper 9000シリーズのメモリチャンネル数やPCIeレーン数も,前世代と変わらない。HEDT版のメモリチャンネル数は4チャンネルで,PCIeレーン数は最大88ということになる。なお,Ryzen Threadripper 7000シリーズはECCメモリ非対応だったが,Ryzen Threadripper 9000シリーズについては今のところ情報がない。
Threadripperシリーズは,一般的なゲームにおいて高性能を発揮するタイプのCPUではないので,ほとんどのゲーマーにとって選択肢になる製品ではないだろう。
ただ,将棋の藤井聡太七冠が愛用するCPUとして知られるように,GPUアクセラレーションになじまない一部の思考ゲームでは無類の強さを発揮する。また,ゲームと同時にCPUエンコードの配信ソフトを実行しているような人にも,処理能力の余裕が出るという点では魅力となるかもしれない。
AMDのRyzen Threadripper製品情報ページ
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Ryzen(Zen 5)
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