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怒りも喜びも哀しさも全部がぶちこまれた「劇場版総集編ガールズバンドクライ【後編】なぁ、未来。」――トゲトゲのその先へ
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印刷2025/11/17 12:00

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怒りも喜びも哀しさも全部がぶちこまれた「劇場版総集編ガールズバンドクライ【後編】なぁ、未来。」――トゲトゲのその先へ

 2025年11月14日より,全国の劇場で「劇場版総集編ガールズバンドクライ【後編】なぁ、未来。」が公開されている。
 本作は,2024年4月〜6月に放送されたTVアニメ「ガールズバンドクライ」を再編集した2部構成のうち,後半パートにあたる。10月3日に公開された「【前編】 青春狂走曲」の続きとして,TVアニメの後半からラストまでを描いている。

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※以下,本記事には作品のラストまで触れる内容が含まれます。未鑑賞の人はご注意ください。



退路を断ち,音で進む――【後編】の幕開け


 「ガールズバンドクライ」は,家族や友人とうまくいかず居場所をなくした少女たちが,バンド活動を通じて出会い,ぶつかり合いながらも絆を深めていく青春群像劇だ。夢と現実,過去の傷と向き合いながら,それぞれの「生き方」を模索する彼女たちの姿が,痛々しくもまっすぐに描かれていく。

 物語の中心となるのは,主人公の井芹仁菜を中心に結成されたバンド「トゲナシトゲアリ」(以下,トゲトゲ)。劇場版総集編では,そんなトゲトゲの結成から,彼女たちが少しずつ「バンド」として歩んでいく姿が,【前編】【後編】の2部構成で描かれている。

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 【後編】は,トゲトゲが初ライブを終えた直後――TVアニメ第8話のあたりから物語が再開される。ライブで唐突に自分の想いを語り出し,河原木桃香に「予備校をやめる」と宣言した仁菜。帰り道のサービスエリアで2人は口論となり,そのまま別れてしまう。

 気を遣った安和すばるが桃香のもとを訪れ,仁菜の思いの一端を伝える。「本気なら,退路を断って目標を決めなきゃダメだ」という仁菜の言葉は,かつて桃香が所属していた「ダイヤモンドダスト」(以下,ダイダス)で口にしていた台詞とも重なり,強く胸に響く。

 仁菜はライブでの宣言どおり予備校をやめ,父親からの仕送りも断り,預金通帳を返却。手紙も添えて,文字どおり退路を断つ。その決断と行動力には若さゆえの危うさもあるが,だからこそまぶしく,どこか羨ましくも感じさせる。

 喧嘩中の桃香が仁菜をダイダスのライブに連れていく場面では,仁菜がずっと抱えていた想いをぶつけ,涙ながらに「逃げるな」と訴える。
 このあと,ダイダスのメンバーに出くわすが,桃香は仁菜に触発されて一歩を踏み出す。続く軽トラの中でのやりとりも含め,序盤の大きな見どころのひとつだ。

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 2人の関係が落ち着いたあと,これまで深掘りされてこなかった海老塚智ルパのパートへと移る。仁菜がアコースティックギターを練習し,ライブで披露したいと語るなか,智は厳しい言葉をぶつけてしまう。
 なぜ智がそうしたのか。その背景や思いを,最も近くで彼女を見てきたルパが,仁菜やすばるに語る。一方で,ルパは智に対して,仁菜たち3人への自身の想いも伝えていく。

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 このパートでは,はっきりと言葉にしてぶつかり合う仁菜や桃香とは異なり,智とルパの表情や視線,間から読み取れる繊細な感情の機微が丁寧に描かれる。感情のぶつかり合いと,静かな心の動き,両方の描き方にバランスの良さを感じる。

 また,物語がシリアスに傾きすぎないよう,それぞれのキャラクター性をいかしたコメディ要素が絶妙に挟まれているのもポイントだ。特にヘビが苦手な桃香のシーンは,クールな彼女の意外な一面が垣間見え,思わず頬が緩む。

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 「自分たちの音楽で勝負したい」と考えるトゲトゲは、フェスのステージを契約の判断材料として提示される。大きなチャンスを迎えた彼女たちのなかで,桃香は新曲の歌詞を仁菜に託すのだった。

 しかし,仁菜はその歌詞作りに思い悩む。そんななか,彼女からの手紙を読んだ両親が訪れる。顔を合わせようとしない仁菜に,桃香が核心を突いた言葉を投げかけ,仁菜は向き合う決意をする。

 帰郷した仁菜は,父親や校長との対話を通じて,自分が求めるものと周囲の期待のすれ違いに苛立ちを募らせる。姉との会話では,自分の家出後の家族の変化を初めて知り,今まで見えていなかった思いを受け取る。

 仁菜が帰郷してから川崎に戻るまでの場面は,どこを切り取っても彼女の人生における転機となる出来事ばかり。家族との対話を経て,大きな変化を遂げていく仁菜の姿が丁寧に描かれており,物語のなかでも特に重要なパートといえる。

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 そして迎えたフェス当日。トゲトゲはダイダスのステージを目にし,自分たちの気持ちを奮い立たせる。その後披露されるライブシーンは,トゲトゲ,ダイダスともに熱量たっぷりに描かれ,劇場の音響と映像でその迫力が一層増している。

 フェスを経て正式にプロとして契約した彼女たちは,初の曲作りへと挑む。全員が本気で取り組むなか,ダイダスから対バンの申し出が届く。一度は断るものの,最終的に受ける決断を下すトゲトゲ。しかし,この対バンを機に事務所を退所するという決意も固めていた。

 迎えた対バンライブ当日。彼女たちは「何ひとつ後悔はない」と言い切り,堂々と歌い出す。その姿には,これまで積み重ねてきた覚悟と絆が凝縮されている。

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 それぞれの過去と向き合い,ぶつかり合いながら絆を深めていく,そんな“トゲトゲらしさ”が詰まった【後編】。TVアニメ版をすでに見ている人でも,新たな気づきが多くあり,それぞれのセリフやシーンの重みがより強く伝わってくるはずだ。

 再編集作品とはいえ,演出や構成には随所に新しいカットや修正が加えられており,特にライブシーンは,劇場ならではの圧倒的な音響と大画面によって,臨場感たっぷりに体感できる。
 また,【前編】と同様に,オープニング・エンディングはどちらも新曲。音楽面でも見どころならぬ“聴きどころ”が満載だ。

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 本作はTVアニメの視聴者や【前編】の鑑賞者はもちろん,【後編】からの鑑賞でも十分に楽しめる構成になっている。気になっていたけどこれまで観られなかった人や,TVアニメ全13話を追えていない人でも,安心して劇場に足を運んでほしい。

 物語はこの【後編】でひと区切りを迎えるが,同時にここからがトゲトゲの本当のスタートでもある。完全新作映画の制作も決定し,ゲーム「ガールズバンドクライ First Riff」iOS / Android。略称,ガルリフ)も開発中。ぜひあなたも,“始まりの目撃者”になってほしい。

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