「STEINS;GATE RE:BOOT」，牧瀬紅莉栖は9605Pixelの高精細。ボイスも撮り直し，新しいエンディングも追加に［WePlay2025］

　中国のインディーゲームイベント「WePlay Expo 2025」の1日目が開催された2025年11月22日，「STEINS;GATE RE:BOOT」のステージイベントが行われた。
　イベントは，シリーズおなじみの歌手・いとうかなこさんによるライブパフォーマンスからスタートし，会場の熱気が高まったところで，本作のプロデューサー・松原達也氏とシナリオライター・林 直孝氏が登壇し，作品の特徴を紹介した。

いとうかなこさん

左から林 直孝氏，松原達也氏

　STEINS;GATE RE:BOOTは，2009年に発売された人気SFノベルゲーム「STEINS;GATE」をもとに，ほぼすべての素材を一新し，グラフィックスを向上させた作品である。

『STEINS;GATE RE:BOOT』デモプレイムービーより

　まず，キャラクターの立ち絵の解像度が大きく向上している。牧瀬紅莉栖を例にすると，高さ9605Pixelという超高解像度で作成されている。
　実際のゲーム画面では，およそ1000Pixelで表示されるので，その牧瀬紅莉栖を160cmとすると，データは15mくらいの大きさになる計算だ。


　最近の高解像度モニターなどでも，その性能を余すところなく綺麗に表示できるようだ。

　また，背景もリニューアルされている。スライドを見た時，写真を使っているのかと見まがうほど高精細な印象だったが，描き下ろしイラストとのことだ。
　拡大しても，破綻しない精密さが本作の特徴の1つである。


　シナリオについては，2018年に発売された全編フルアニメリメイク「STEINS;GATE ELITE」をベースに，新たなエンディングを1つ追加している。
　詳細については，追って発表される予定だ。

　STEINS;GATE RE:BOOTの制作のきっかけについては，初代「STEINS;GATE」を現代の技術と最新のフォーマットで作り直したいと考えたためだという。


　立ち絵や背景の描き込み量の増加，全ボイスの取り直しなど，妥協せずに作り込みを進めた結果，作り直したいものが次々と増えていき，発売延期につながったことも明かされた。


　牧瀬紅莉栖のボイス収録については，今井麻美さんの演技が，再収録でよりスムーズになっていたという。
　典型的なツンデレと難解理論を語るギャップが魅力のキャラクターを，より深く理解しており，当時と同じセリフを受け取った今井さんは「今なら彼女の言っていることが頭で理解できます」とも言っていたそうだ。

　ほかにも当時のことを振り返る話題もいくつかあった。まず語られたのが，本作のテーマが二者択一の痛みである点だ。
　選ばなかった可能性を知るのは岡部だけ，という構造を軸に，孤独な観測者として運命にあらがう物語を描いている。

　そんな岡部は，中二病を抱えている。中二病的なセリフによる共感性羞恥で，プレイヤーの胸が苦しくなりすぎないバランスが難しかったという。


　当時の開発中は，開発終盤に会社が引っ越しとなる場面もあったそうだ。
　多くのスタッフがいなくなった場所に，STEINS;GATEの開発チームだけが残り，段ボール机の上で徹夜しながら，必死に開発を続けた感じが，作品のタイムマシン開発のシーンに重なったエピソードも語られた。

　STEINS;GATEは，「記憶を消してもう一度遊びたい」といわれることが多い。まだ，作品をプレイしたことのない人に向けては，いろいろな情報を知らない状態で遊んでほしい，と紹介された。

　タイムリープ系が好きな人には，刺さる。もしざっくりとストーリーの内容を説明するなら，過去にメールを送れるDメールや過去に記憶を送れるタイムリープ，そして実際のタイムマシンを駆使して，中二病の主人公が運命にあらがっていく物語だ，と説明すると良いらしい。

　シリーズの今後については，志倉千代丸氏と協力しながら，科学ADVシリーズの別タイトルも並行して進行中だと，明かされた。

　イベントの最後には，いとうかなこさんによる初代オープニング曲「スカイクラッドの観測者」のライブが披露された。
　ライブ終了後，「追加ルートには，新しいエンディング曲もあるので，ぜひ聞いてください」と呼びかけてイベントは締めくくられた。