
レビュー
期待のミドルハイ級GPUは前世代からしっかりと性能向上
NVIDIA GeForce RTX 5070 Founders Edition
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RTX 5070のゲームにおける性能はどの程度なのか。NVIDIA純正グラフィックスカード「GeForce RTX 5070 Founders Edition」(以下,RTX 5070 FE)を用いて,早速その実力を確かめてみたい。
SM数が50基のGB205コアを採用するが,RTX 5070は2基を無効化
まずは,RTX 5070のスペックを確認しておこう。冒頭でも述べたとおり,RTX 5070は,Blackwellアーキテクチャに基づくGPUで,GPUコアに「GB205」コアを採用している。GB205コアは,RTX 5070 Tiの「GB203」コアと同じくTSMCの4nm 4Nプロセスで製造されたものだ。ダイサイズは263mm2で,約311億個のトランジスタを搭載するなど,規模はGB203より一回り小さい。
Blackwellでは,シェーダプロセッサである「CUDA Core」を128基と,L1キャッシュメモリやテクスチャユニット,レイトレーシングユニットである「RT Core」を1基,さらにAI処理向けアクセラレータの「Tensor Core」を4基まとめて,1基の「Streaming Multiprocessor」(以下,SM)を構成する。そして,GB205コアでは,SMを10基束ねて1基のミニGPU(GPUクラスタ)「Graphics Processor Cluster」(以下,GPC)を成す。GB205は,5基のGPCを有しているため,SMの総数は10×5で50基となる。つまり,GB205自体のCUDA Core総数は128×50で6400基になる。
しかしRTX 5070は,GB205のフルスペックからSMを2基無効化されたものだ。。そのため,SMの総数は48基となり,CUDA Core数も128×48で6144基となる。これは,RTX 5070 Tiの69%ほどの規模だ。
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Blackwell世代なので,RTX 5070でもRT Coreは第4世代に,Tensor Coreは第5世代にそれぞれ進化した。RT Core数はSM数と同じなので48基となり,公称スループットは93.6 RT TFLOPSである。この数値は,133.2 RT TFLOPSだったRTX 5070 Tiの約70%に留まっているが,RTX 4070 SUPER比では約1.6倍,RTX 4070比では約1.4倍に向上している。
一方,Tensor Core数は,SM数の4倍なので192基となり,その公称スループットは987.8 AI TOPSだ。これは,RTX 5070 Tiの約70%で,RTX 4070 Ti比で約1.7倍,RTX 4070比で約2倍以上に向上した。また,ほかのRTX 50シリーズと同様に,DLSS 4にも対応する。
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なお,後述するテスト環境に置いて,テスト中の動作クロックを「GPU-Z」で追ってみたところ,2505MHzまで上昇しているのを確認した。GPU-Zが動作クロックを正確に追い切れていない可能性もあるが,2512MHzまで上がることはほとんどないのかもしれない。
RTX 5070でも,グラフィックスメモリはGDDR7を採用しており,容量は12GBだ。RTX 4070 SUPERやRTX 4070と同じ容量だが,RTX 4070 Tiが16GBに比べると少ない。また,メモリインタフェースもRTX 4070 SUPERやRTX 4070と同じ192bitだが,メモリクロックは28GHz相当と高速なため,メモリバス帯域幅は672GB/sとなっている。これは,RTX 5070 Tiと比べれば75%の規模だが,RTX 4070 SUPERやRTX 4070に比べれば約1.3倍も高い。
なお,RTX 5070のL2キャッシュ容量は48MBで,RTX 5070 TiやRTX 4080 SUPERと同じだ。ただ,RTX 4070は36MBだったので,約1.3倍に増えている。
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RTX 5070の「Total Graphics Power」(以下,TGP)は250Wで,RTX 5070 Tiの300Wから50W低くなった。ただ,RTX 4070 SUPERが220Wだったのと比べると30W増えている。なお,NVIDIAによると,RTX 5070搭載PCでは定格出力650W以上の電源ユニットの使用を推奨しているとのこと。電源ユニットに対するハードルは,それほど高くない。
上位モデルと同様に,RTX 5070も接続インタフェースはPCI Express 5.0に対応する。
そんなRTX 5070のスペックを,上位モデルのRTX 5070 Tiと,従来製品のRTX 4070 SUPERおよびRTX 4070と合わせて表1にまとめた。
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FEのデザインは上位モデルを踏襲。サイズはRTX 4070 SUPER FEとほぼ同じ
それではRTX 5070 FEのカードそのものを見ていこう。
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外観は全体的に黒っぽく,フレームがカード中央でX字にクロスするデザイン。「GeForce RTX 5090 Founders Edition」(以下,RTX 5090 FE)や「GeForce RTX 5080 Founders Edition」(以下,RTX 5080 FE)の意匠を踏襲していると言っていい。
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カード長は実測で約243mm(※突起部除く)。RTX 4070 SUPER Founders Edition(以下,RTX 4070 FE)が約242mmだったので,ほぼ同じサイズと言っていい。なお,RTX 5090 FEが約305mmだったのと比べると,60mm以上短くなっている。
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重量は実測で約1106gで,約1023gだったRTX 4080 SUPER FEと同程度だ。ただ,RTX 5080 FEと比べても約647g軽い。
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基板自体は約165mmしかないようで,カード後方は最近のGeForceシリーズではよく見かけるエアーが表面から裏面へと抜ける構造だ。
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GPUクーラーは2スロット占有タイプで,90mm径相当のファンを2基備えている。これらのファンは,バリアリングとブレードが一体化したもので,この構造はRTX 4070 SUPER FEなどと同じだ。また,GPUの負荷が低い,いわゆるアイドル時にはファンの回転を停止する機能も用意されている。
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映像出力インタフェースは,DisplayPort 2.1bを3系統と,HDMI 2.1bを1系統装備する。このあたりはRTX 5090 FEやRTX 4070 SUPER FEなどと同じだ。ただ,RTX 5090 FEやRTX 5080 FEとは異なり,ブラケットに排気孔が設けられていた。
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RTX 5070 TiおよびRTX 4070 SUPER,それにRTX 4070との比較を実施
今回のテスト環境は,比較対象としてRTX 5070 TiとRTX 4070 SUPER,RTX 4070を用意した。つまり,上位モデルとの差を見つつ,前世代からの進化を確認しようというわけだ。
使用したグラフィックスドライバは,「GeForce 572.50 Driver」で,RTX 5070のレビュワー向けにNVIDIAが配布したものである。NVIDIAがRTX 5070 Tiの発売に合わせてリリースしたドライバが「GeForce 572.47 Driver」だったので,これはそのRTX 5070対応版という位置付けと捉えてよいだろう。
ただNVIDIAは,2025年2月28日にモンスターハンターワイルズに対応した「GeForce 572.60 Driver」をリリースしたので,572.50には,572.60の機能が含まれていないようだ。それ以外のテスト環境は表2のとおり。
CPU | Core i9-14900K(P-core 定格クロック3.2GHz, |
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マザーボード | ASRock Z790 Steel Legend Wi-Fi |
メインメモリ | Corsair VENGEANCE RGB DDR5 |
グラフィックスカード | GeForce RTX 5070 Founders Edition |
GAINWARD GeForce RTX 5070 Ti Phoenix |
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GeForce RTX 4070 SUPER Founders Edition |
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GeForce RTX 4070 Founders Edition |
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ストレージ | CFD CDDS-M2M1TEG1VNE (NVMe,1TB) |
電源ユニット | CoolerMaster V1200 Platinum(定格1200W) |
OS | Windows 11 Pro 24H2 |
チップセットドライバ | Intel チップセットINFユーティリティ |
グラフィックスドライバ | GeForce:GeForce |
テスト内容は,4Gamerのベンチマークレギュレーション30に準拠。ただ,次期レギュレーションを先取りする形で,「バイオハザード RE:4」に代えて「モンスターハンターワイルズ ベンチマーク」(以下,モンハンワイルズ ベンチ)を用意。「Fortnite」も,使用するグラフィックスAPIをDirectX 11からDirectX 12に変更している。
モンハンワイルズベンチに関しては,RTX 5070 Tiのテストと同様に,「ウルトラプリセット」を指定。フレーム生成は「OFF」のままにする一方で,レイトレーシングの項目を「高」に変更している。また,同ベンチではスコアと平均フレームレートしか得られないため,別途「CapFrameX」(Version 1.7.4)を併用して,ベンチマーク実行中の1パーセンタイルフレームレートを計測している。
Fortniteは,グラフィックスAPIを変更しただけで,設定やテスト内容は従来と同じだ。
さらに,RTX 5070のDLSS 4性能をチェックするため,「NVIDIA DLSS feature test」と「Cyberpunk 2077」のテストを追加している。
「3DMark」では,NVIDIA DLSS feature testにおいて「DLSSバージョン」から「DLSS 4」が選択できる。そこで今回のテストでは,「Super Resolution」で「Quality」に指定したうえで,DLSSバージョンを「DLSS 4」または「DLSS 3」に設定したうえで,「Frame generation」の項目で「2x/3x/4x」に変更してテストしている。
一方,Cyberpunk 2077は,パッチ2.21でDLSS 4に対応したので,描画負荷が最も大きい「Ray Tracing: Overdrive」プリセットを選択したうえで,「DLSS Super Resolution」を「Quality」に指定。DLSS Multi Frame Generationの設定を適宜変更しながら,ゲームに用意されたベンチマークモードを実行している。
なお,ゲームの解像度は,いつもどおり3840×2160ドット,2560×1440ドット,1920×1080ドットの3つを選択している。
RTX 5070 Tiの8割前後で,RTX 4070 SUPERと同等かそれ以上の性能
それでは,3DMarkの結果から順に見ていこう。Fire Strikeの総合スコアをまとめたものがグラフ1となる。
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RTX 5070のスコアは,RTX 5070 Tiの92〜96%程度で,若干ではあるが,すべての解像度でRTX 4070 SUPERを上回っている点は評価できよう。RTX 4070に対しても7〜35%程度の差を付け,しっかりと世代の進化を見せつけている。
次に,DirectX 12のテストとなる「Time Spy」の結果となるグラフ2を見てみよう。
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描画負荷が高まるためか,上位モデルとの格差が顕著となり,RTX 5070はRTX 5070 Tiの77〜81%程度に留まっている。とはいえ,RTX 4070 SUPERに対して5〜6%程度超えてみせた点は立派で,RTX 4070との差も21〜23%程度開いている。
グラフ3の新世代のDirectX 12テストである「Steel Nomad」でも,RTX 5070は前世代に対して優位に立っている。
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RTX 5070のスコアは,RTX 5070 Tiの約72%しか出ていないが,わずかではあるがRTX 4070 SUPERを上回り,RTX 4070に約22%の差を付けた。このあたりは先のTime Spyと似た傾向だ。
グラフ4の「Speed Way」でも,各GPUの位置付けは変わらない。
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RTX 5070は,RTX 5070 Tiの約72%に留まるが,RTX 4070 SUPERには約5%,RTX 4070に約22%,それぞれ差を付けており,その傾向はSteel Nomadとよく似た結果となっている。
Port Royalの結果(グラフ5)でも傾向はほとんど同じだ。
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RTX 5070のスコアは,RTX 5070 Tiの約73%しか発揮できていないものの,RTX 4070 SUPERを約6%上回り,RTX 4070を約23%ほど引き離している。
グラフ6,7は,NVIDIA DLSS feature testの結果だが,RTX 5070もMulti Frame Generationの恩恵は大きく,フレームレートが大きく伸びている。なお,RTX 4070 SUPERとRTX 4070は,DLSS 4に対応しないので,DLSS 4のスコアはない。
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NVIDIA DLSS feature testの結果から,Multi Frame Generationでどれだけフレームレートが上昇したかを計算してみよう。RTX 5070は,補間フレームが1枚の「2x」で2.6〜3.1倍程度で,これは2.5〜3.1倍程度のRTX 5070 Tiとほとんど同じだ。これが補間フレーム2枚の「3x」だと3.6〜4.6倍に,3枚の「4x」では4.6〜5.9倍にフレームレートを伸ばしている。向上率はRTX 5070 Tiと同程度で,DLSS 4の効果は,RTX 5070 Tiとほとんど同じと言えよう。
実際のゲームではどうなのだろうか。グラフ8〜10は,「Call of Duty: Modern Warfare III」(以下,CoD:MW3)の結果となる。
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RTX 5070の平均フレームレートは,RTX 5070 Tiの80〜86%程度で,3DMarkよりは差が縮まっている。また,RTX 4070 SUPERとの差は最大でも1fps程度と,ほぼ同等なレベル。
一方,RTX 5070の1パーセンタイルフレームレートは,RTX 5070 Tiの76〜86%程度と,平均フレームレートより差が広がっている。RTX 4070 SUPERとはいい勝負を演じた。
グラフ11は,モンハンワイルズ ベンチのスコアをまとめたものだ。
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カプコンは,モンハンワイルズ ベンチの指標でスコア2万以上を最高評価としている。RTX 5070は,RTX 5070 Tiの85〜95%に留まり,3840×2160ドットで最高評価の基準を下回っている点は残念だ。とはいえ,RTX 4070 SUPERには3〜5%程度の差を付け,2560×1440ドットで以下であれば,2万を大きく超えている点は評価できる。
グラフ12〜14は,モンハンワイルズ ベンチにおける平均フレームレートと1パーセンタイルフレームレートの結果となる。
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平均フレームレートは,スコアと似た傾向だが,RTX 5070は2560×1440ドット以下であれば,60fpsを上回っている点は注目に値する。1パーセンタイルフレームレートは,CPU性能の影響が大きくなるためか差が付きにくくなっている。それでもRTX 5070は,RTX 4070 SUPERに2〜6%程度としっかり差を付けているあたりは好印象だ。
Fortniteの結果をグラフ15〜17に示す。
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RTX 5070の平均フレームレートは,RTX 5070 Tiの73〜85%程度で,RTX 4070 SUPERにほぼ肩を並べる性能を見せた。RTX 5070の1パーセンタイルフレームレートも,RTX 5070 Tiの74〜88%程度で,RTX 4070 SUPERとほぼ横並びの結果を残している。
グラフ18〜20が「Starfield」の結果だ。
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RTX 5070の平均フレームレートは,RTX 5070 Tiの81〜87%程度だが,RTX 4070 SUPERには最大約3%と,若干届いていない。ただ,実フレームレートでの差は2.2fpsしかないので,横並びと言ってしまってもよいだろう。1パーセンタイルフレームレートも平均フレームレートと同じ傾向で,RTX 5070はRTX 4070 SUPERと同程度の性能を記録している。
グラフ21は,「ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー ベンチマーク」(以下,FFXIV黄金のレガシー ベンチ)の総合スコアをまとめたものだ。
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スクウェア・エニックスが示す指標では,スコア1万5000以上で最高評価とされているが,RTX 5070は,2560×1440ドット以下の解像度でそれを満たしている。ただ,3840×2160ドットにおけるRTX 5070のスコアは,RTX 5070 Tiの79%程度だ。RTX 5070 Tiが最高評価の1万5000に迫っているのと比べると,4K解像度におけるRTX 5070の性能は,どうしても見劣りする。しかし,その3840×2160ドットで,RTX 5070はRTX 4070 SUPERを約12%も引き離しており,前世代に対して高解像度における性能が優位性になっていることが,結果から読み取れる。
そんなFFXIV黄金のレガシー ベンチにおける平均フレームレートと最小フレームレートをまとめたものが,グラフ22〜24だ。
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平均フレームレートは総合スコアを踏襲したものとなっており,RTX 5070は2560×1440ドットで約155fpsと,良好な結果を残している。一方,最小フレームレートはCPU性能の影響が大きくなるため,低解像度では差があまり付いていない。そこで3840×2160ドットの結果に注目すると,RTX 5070は,RTX 5070 Tiに約25%離されながらも,RTX 4070 SUPERに約20%の差を付けている点は評価できよう。
グラフ25〜27には,「F1 24」の結果をまとめている。
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RTX 5070の平均フレームレートは,RTX 5070 Tiの77〜83%程度で,RTX 4070 SUPERと同程度と,大勢はこれまでと同じだ。とくにRTX 5070の最小フレームレートは,RTX 4070 SUPERと最大でも0.5fpsしか変わっておらず,性能はほぼ同程度と言っていい。
「Cities: Skylines II」の結果が,グラフ28〜30となる。
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RTX 5070の平均フレームレートはRTX 5070 Tiの85〜92%程度。RTX 4070 SUPERとの差は1〜6%程度で,RTX 4070 SUPERを若干上回る位置に収まっている。その傾向は,1パーセンタイルフレームレートでも同じで,RTX 5070はRTX 5070 Tiの73〜94%程度と上位モデルとの差を見せつけられるが,RTX 4070 SUPERと同等以上の性能を発揮している。
グラフ31〜33が,Cyberpunk 2077の結果だ。RTX 5070におけるDLSS 4を使用したマルチフレーム生成の効果を確認していく。なお,文中とグラフ中ともに,DLSS Multi Frame Generationのフレーム生成倍率を,「RTX 5070 Ti FG 4x」といった具合に,FGの後ろに数字で示している。
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RTX 5070の平均フレームレートは,フレーム生成オフと比べてFG 2xで1.8〜1.9倍程度,FC 3xで2.6〜2.7倍程度,FG 4xで3.3〜3.4倍程度と,それぞれ伸びている。RTX 5070 Tiの平均フレームレートも同様の計算をすると,順に1.7〜1.8倍程度,2.5〜2.6倍程度,3.2〜3.3倍程度なので,RTX 5070と伸び率はほとんど変わらない。つまり,Cyberpunk 2077におけるDLSS Multi Frame Generationの恩恵は,上位モデルと同じと言っていい。また,RTX 5070の最小フレームレートも,マルチフレーム生成でしっかりと向上をはたしており,その恩恵は大きい。
RTX 5070の消費電力は250Wくらい。RTX 4070 SUPERからは増加
さて,先述したとおりRTX 5070のTGPは250Wと,RTX 5070 Tiから低減した一方で,RTX 4070はもとよりRTX 4070 SUPERからも増えてしまっている。では,実際の消費電力はどの程度なのだろか。
今回はNVIDIAが開発した消費電力計測ツール「PCAT」(Power Capture Analysis Tool)を用いて,グラフィックスカード自体の消費電力を計測してみたい。今回の計測も,3DMarkのTime Spy Extremeにおいて,消費電力が高くなる傾向がでたGraphics test 2の実行中に行った。
その結果をグラフ34に示そう。
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グラフを見ると,RTX 5070 Tiが突出して高く,次がRTX 5070で,RTX 4070 SUPERとRTX 4070が低い値で推移しているのが見て取れる。やはり,RTX 4070 SUPERから,消費電力が増えていることは間違いなさそうだ。
そこで,グラフ34の測定結果から,分かりやすくなるように中央値を求め,最大値と合わせてまとめたものがグラフ35となる。
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RTX 5070の中央値は254.2Wと,TGPに近い値を示している。RTX 5070 Tiから50W以上も低くなった一方で,RTX 4070 SUPERから40W以上,RTX 4070からは50W以上も消費電力が増加している。RTX 5070の最大値を見ても,300Wには達していないが,RTX 4070 SUPERからは40W以上増えており,前世代に比べると消費電力が増えているのは明らかだ。
次に,ログの取得が可能なワットチェッカー「Watts up? PRO」を用いて,システム全体の最大消費電力を計測した結果も見てみよう。
テストにあたっては,Windowsの電源プランを「バランス」に設定。さらに,ゲーム用途を想定し,無操作時にもディスプレイ出力が無効化されないよう指定したうえで,各アプリケーションベンチマークを実行したとき,最も高い消費電力値を記録した時点をタイトルごとの実行時,OSの起動後30分放置した時点を「アイドル時」としている。
その結果がグラフ36だ。
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ピーク値をスコアとして採用するため,差がどうしても開いてしまう傾向がある。それを踏まえて結果を見ていくと,RTX 5070は,RTX 5070 Tiから35〜88W程度低い。その一方で,RTX 4070 SUPERとは,あまり差が付いていない。これは,実際のゲームプレイやベンチマークによるバラつきによるものだろうが,カード単体の測定結果ほど,RTX 4070 SUPERから増えているように見えない点は気を付けておきたい。
GPU-Zを用いて計測したGPU温度も確認しておきたい。温度約24℃の室内で,テストシステムをPCケースに組み込まず,いわゆるバラックに置いた状態から,3DMarkの30分間連続実行時を「高負荷時」として,アイドル時ともども,GPU-Zから温度を取得することにした。
GPUによって,温度センサーの位置や取得方法が異なっていることは想像に難くなく,またそれぞれファンの制御方法が違うため,同列に並べての評価にあまり意味はない。
それを踏まえた結果はグラフ37のとおり。
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RTX 5070は,高負荷時でも80℃に達していない点は好感が持てる。ただ,カードメーカー独自の大型GPUクーラー搭載品であるRTX 5070 Tiに比べると,やはり冷却性能は劣るようだ。
最後に,騒音計を使って,それぞれの動作音を比較してみたい。今回は,室内の音が41.2dBAの環境で,グラフィックスカードに正対する形で50cm離したところに騒音計を置いて,動作音を計測した。ここでもバラック状態でテストを行っているので,実際にケースに組み込んだ状態よりも動作音は大きくなることを断っておく。なお,アイドル時と高負荷時は,GPU温度を測定した条件と同じだ。結果はグラフ38となる。
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アイドル時は,すべてのGPUでファンの回転が停止するため,揃った結果になっている。RTX 5070の高負荷時は50dBA弱と,RTX 5070 Tiに大きく離される結果となった。やはり静音性の面でも,大型GPUクーラーには分があると言わざるを得ない。ただ,RTX 4070 SUPERやRTX 4070との差はあまりなく,静音性については前世代と同程度と,言っていいだろう。
DLSS 4とレイトレーシングの性能向上に価値を見出せるかどうかで評価は分かれる
テスト結果からRTX 5070の性能について総括すると,RTX 4070 SUPERの性能に,DLSS 4およびレイトレーシング性能の向上を加えたものという評価でいいだろう。RTX 4070からはしっかり性能向上を果たしており,RTX 4070 SUPERを超えた場面が多かった点も好感が持てる。
RTX 5070は,NVIDIAの想定価格が10万8800円からとなっており,初登場時,10万円を切る価格で販売された製品もあるRTX 4070 SUPERよりは,少し割高感がある。当時とは為替相場や物価が異なるので同列に評価はできないものの,ゲーム側の対応が必要なDLSS 4とレイトレーシング性能向上以外は,現時点でのRTX 5070には目新しさがない点も事実。そのため,これらの要素が,RTX 5070の評価の分かれ目になると言っていい。
これはRTX 5070 Tiにも言えたことだが,やはり新世代を感じさせるインパクトが欲しかったと言うのは贅沢だろうか。
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NVIDIAのGeForce RTX 5070シリーズ製品情報ページ
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