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GeForce RTX 5060 vs. Radeon RX 9060 XT。ミドルクラスGPU同士の実力を徹底比較
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印刷2025/06/04 22:00

レビュー

ミドルクラスGPU同士の実力を徹底比較

ASUS PRIME GeForce RTX 5060 8GB GDDR7 OC Edition
Prime Radeon RX 9060 XT 16GB GDDR6 OC Edition

Text by 宮崎真一

 NVIDIAとAMDから,ミドルクラス〜ミドルハイ市場向けのデスクトップPC向けGPUが出そろった。
 まず,2025年5月20日には,NVIDIAから「GeForce RTX 5060」の販売が始まった。RTX 5060はナンバーからも分かるとおり,「GeForce RTX 5060 Ti」(以下,RTX 5060 Ti)の下位に位置するGPUだ。

PRIME GeForce RTX 5060 8GB GDDR7 OC Edition
メーカー:ASUSTeK Computer
メーカー想定売価:6万3980円前後
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 一方のAMDからは,「Radeon RX 9060 XT」(以下,RX 9060 XT)が,世界市場では6月5日に発売となる。はたしてどちらに軍配が挙がるのだろうか。

PRIME GeForce RTX 5060 8GB GDDR7 OC Edition
メーカー:ASUSTeK Computer
メーカー想定売価:未公開
画像ギャラリー No.003のサムネイル画像 / GeForce RTX 5060 vs. Radeon RX 9060 XT。ミドルクラスGPU同士の実力を徹底比較

 今回,RTX 5060搭載カードとして,ASUSTeK Computer(以下,ASUS)の「PRIME GeForce RTX 5060 8GB GDDR7 OC Edition」(以下,PRIME RTX 5060)を,RX 9060 XT搭載カードとして同じくASUSの「PRIME Radeon RX 9060 XT 16GB GDDR6 OC Edition」(以下,PRIME RX 9060 XT)をテストする機会を得たので,早速,それぞれの性能を確かめてみたい。


RTX 5060は,RTX 5060 Tiと同じGB206コアを採用


 まずはそれぞれのGPUの仕様から説明していこう。
 RTX 5060は,GPUコアにRTX 5060 Tiと同じ,Blackwellアーキテクチャに基づく「GB206」を採用している。製造はTSMCの4Nプロセスだ。

 RTX 5060とRTX 5060 Tiとでは,何が異なるのかというと,早い話が「Streaming Multiprocessor」(以下,SM)の数だ。Blackwellアーキテクチャでは,シェーダプロセッサの「CUDA Core」を128基,それにL1キャッシュやテクスチャユニット,レイトレーシング処理を担う「RT Core」を1基,AI処理アクセラレータの「Tensor Core」4基を束ねてSMとしている。
 RTX 5060 TiではSM数が36基だったのに対して,RTX 5060では30基に減らされているのだ。つまり,RTX 5060におけるCUDA Coreの総数は,128×30=3840基となるわけだ。これは,RTX 5060 Tiと比べて約83%ほどの規模だが,前世代に当たる「GeForce RTX 4060」(以下,RTX 4060)比で1.25倍も増えている。

NVIDIAコントロールパネルでPRIME RTX 5060におけるシステム情報を確認したところ
画像ギャラリー No.004のサムネイル画像 / GeForce RTX 5060 vs. Radeon RX 9060 XT。ミドルクラスGPU同士の実力を徹底比較 画像ギャラリー No.005のサムネイル画像 / GeForce RTX 5060 vs. Radeon RX 9060 XT。ミドルクラスGPU同士の実力を徹底比較

 第4世代へと進化したRT Coreは,SM数の4倍なので,RTX 5060では120基を集積している。NVIDIAによると,RTX 5060におけるRT Coreのスループットは約58 TFLOPSで,これはRTX 5060 Tiが約72 TFLOPSだったのに比べると,81%ほどしかない。
 ただ,前世代と比べると,RTX 4060の約1.7倍にまで向上しており,「GeForce RTX 4060 Ti」(以下,RTX 4060 Ti)の約51 TFLOPSを上回っている点は見どころと言えよう。

 AI処理ユニットであるTensor Coreも第5世代となり,RTX 5060における総数は30基で,スループットは614 AI TOPSとなっている。これはRTX 5060 Tiの81%ほどに留まっているものの,RTX 4060からは約2.5倍にまで向上し,RTX 4060 Ti比でも約1.7倍と高い。
 また,RTX 5060もNVIDIA独自の超解像技術の最新版「DLSS 4」に対応しており,複数のフレームを生成できる「Multi Frame Generation」が利用可能だ。

GPU-ZでRTX 5060の動作クロックを確認したところ
画像ギャラリー No.006のサムネイル画像 / GeForce RTX 5060 vs. Radeon RX 9060 XT。ミドルクラスGPU同士の実力を徹底比較
 RTX 5060のベースクロックは2280MHzで,RTX 5060 Tiから若干低下したものの,RTX 4060よりは高く,RTX 4060 Tiに近い値だ。一方のブーストクロックは2497MHzで,RTX 5060 Tiからは75MHz抑えられている。
 なお,後述するテスト環境において,テスト中の動作クロックを「GPU-Z」(Version 2.66.0)で追ってみたところ,2850MHzまで上昇していることを確認した。同様のテストでRTX 5060 Tiは2767MHzまでしか上がっていなかったので,RTX 5060のほうがブーストクロックは低いものの,動作クロックは伸びやすいと見てよさそうだ。

CUDAの開発キットに付属している「devicequerydrv.exe」の実行結果。L2キャッシュの容量は,「25165824 bytes」=24MBだ
画像ギャラリー No.007のサムネイル画像 / GeForce RTX 5060 vs. Radeon RX 9060 XT。ミドルクラスGPU同士の実力を徹底比較
 RTX 5060 Tiと同じく,RTX 5060もグラフィックスメモリにGDDR7メモリを採用しているものの,メモリ容量は8GBである。また,RTX 5060のメモリインタフェースは128bitで,メモリクロックは28GHz相当,メモリバス帯域幅は448GB/sとなり,いずれもRTX 5060 Tiと同じだ。つまり,メモリ周りの仕様は,RTX 5060 Tiを踏襲していると言っていい。
 ただ,RTX 5060のL2キャッシュ容量は24MBで,RTX 5060 Tiの32MBよりも少ないあたりは,しっかりと差別化を図っている印象だ。

 RTX 5060の「Total Graphics Power」(以下,TGP)は145Wと,RTX 5060 Tiの180Wから35W低いものの,RTX 4060からは30W増加している。ちなみに,今回使用したPRIME RTX 5060の補助電源コネクタは,8ピンタイプが1基のみだった。
 なお,NVIDIAによると,RTX 5060を組み込んだPCを正常に動作させるためには,定格出力550W以上の電源ユニットの使用を推奨するとのこと。RTX 5060は相応に消費電力は低めで,電源ユニットに対するハードルは低そうだ。


RX 9070 XTを半分にしたような規模のRX 9060 XT


 RX 9060 XTは,2025年3月に発売となった「Radeon RX 9070」(以下,RX 9070)の下位に位置付けられるモデルで,GPUコアには「Navi 44」を採用している。
 ダイサイズは199mm2で,「Radeon RX 7600 XT」(以下,RX 7600 XT)の98%ほどの大きさで,そこに約297億個という,RX 7600 XTの倍以上のトランジスタを搭載している計算だ。製造は,TSMCのN4Pプロセスである。

 RX 9070と同様に,RX 9060 XTもRDNA 4アーキテクチャを採用しているため,基本構造は上位モデルと同じだ。
 RDNA 4アーキテクチャでは,AMDが「Stream Processor」(以下,SP)と呼ぶシェーダプロセッサを16基束ねて1基の実行ユニットとしているが,その実行ユニット4基に,AI処理ユニットの「AI Accelerator」を2基,レイトレーシングユニットの「Ray Accelerator」を1基,さらにレジスタファイルやスケジューラ,テクスチャユニットなどをまとめた単位を「Compute Unit」(以下,CU)と呼んでいる。
 そのCUを2つまとめて,AMDは「Dual Compute Unit」と呼んでいるわけだが,Dual Compute Unitを8基(CUでは16基)束ねて「Shader Engines」を構成する。Navi 44は,Shader Enginesを2基備えているため,CUの総数は16×2で32基となり,SPの総数は16×4×32で2048基という計算だ。上位モデルである「Radeon RX 9070 XT」(以下,RX 9070 XT)の,ちょうど半分の規模と言ったところか。

AMD SoftwareでRX 9060 XTのハードウェア仕様を確認したところ
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 RDNA 4では,AI Acceleratorが第2世代へと進化し,上位モデルと同様にFP8フォーマットの処理に対応。さらに,AMD独自の超解像技術「FidelityFX Super Resolution 4」(以下,FSR 4)でAI Acceleratorを使うようになっている。
 RX 9060 XTが備えるAI Acceleratorの数は64基で,これはRX 9070の約57%,RX 9070 XTの半分だ。さらに,Ray Acceleratorは第3世代となり,RX 9060 XTでは32基備えている。

GPU-ZでRX 9060 XTのハードウェア仕様を確認したところ。
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 RX 9060 XTのゲームクロックは,2530MHzで,RX 9070の2070MHzから大きく上昇し,RX 9070 XTをも上回っている。さらにブーストクロックに至っては,3130MHzを誇り,補償範囲内で3GHz超えの動作クロックを実現しているあたりは衝撃的だ。
 テスト中の動作クロックをGPU-Zで追ってみると,RX 9060 XTは3135MHzまで上昇していることを確認した。

 RX 9060 XTでも,AMD独自のキャッシュメモリ技術である「AMD Infinity Cache」が第3世代へと進化している。キャッシュ容量は32MBと,RX 9070 XTやRX 9070の半分だが,前世代のRX 7600 XTと変わらない。

 RX 9060 XTのグラフィックスメモリはGDDR6で,容量は16GBと8GBの2種類がある。メモリインタフェースは128bitで,メモリクロックは20GHz相当なので,メモリ帯域幅は320GB/sとなり,RX 9070 XTやRX 9070の半分しかない。RX 7600 XTは288GB/sであったことを踏まえると,1割強は向上した計算になる。

 RX 9060 XTの消費電力基準である「Total Board Power」は,160Wだ。RX 9070の220Wから60W低く,RX 7600 XT比でも30W低く,「Radeon RX 7600」(以下,RX 7600)をわずかだが下回っている点も注目に値する。
 なお,PRIME RX 9060 XTが備える補助電源コネクタは,8ピン×1で,RX 9060XTを動作させるためにAMDが推奨する電源ユニットの定格出力は,450W以上とかなり小さめだ。

 先ほどのRTX 5060とRX 9060 XTの主な仕様を,RTX 5060 TiとRX 4060 Ti,それにRX 7600 XT,RX 7600とともにまとめたものが表1となる。
 なお,RTX 5060はRTX 5060 Tiと同様に,接続インタフェースはPCI Express 5.0(以下,PCIe 5.0) x8に対応するが,RX 9060 XTはPCIe 5.0 x16動作と異なる点も押さえておきたい。

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PRIME RTX 5060をチェック


 それでは,PRIME RTX 5060とPRIME RX 9060 XTのカードについて見ていこう。

 PRIME RTX 5060の外観は,黒一色でまとめられ,側面にシルバーで記された「ASUS」と「GEFORCE RTX」のロゴが印象的だ。LEDイルミネーションは搭載しておらず,かなり落ち着いた印象のモデルだ。

PRIME RTX 5060の表面(上)と裏面(下)。黒一色でかなり落ち着いた,シンプルなデザインでまとめられている
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 カード長は実測で約265mm(※突起部含まず)で,RTX 5060 Ti搭載カードとして使用したPalit Microsystemsの「GeForce RTX 5060 Ti 16GB Infinity 3」が約290mmだったのと比べると,約25mm短い。
 PRIME RTX 5060の基板自体は168mmほどしかなく,カード後方にGPUクーラーが大きくはみ出た格好だ。重量は実測で約763.7gだった。

裏面には金属製バックプレートが装着されているが,基板が短いのでカード後方は大きく開いており,前面からエアーが抜ける構造となっている
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 GPUクーラーは,2.5スロット占有タイプで,80mm径相当のファンを3基搭載する。

2.5スロット厚のため,2スロット分のブラケットから少しだけはみ出ている
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少し斜めからカードを見ると,ファンのブレードがバリアリングと一体化されている構造なのがよく分かる
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 これらのファンは,ASUSが「Axial-Tech」と称するもので,ブレードとバリアリングが一体化したユニークな形状だ。ASUSによると,Axial-Tech仕様のファンを採用したことで,下向きの空圧が増加し,高い冷却性能と静音性を実現しているとのこと。
 GPUの温度が50℃を切ると,ファンの回転を停止する「0dBテクノロジー」も備える。

 動作クロック設定は,ブーストクロックが2565MHzに引き上げられており,さらに設定アプリケーションである「GPU-Tweak-III」(Version 1.9.5.8)を使用すると,「デフォルト」「OC」「サイレント」の3つの動作モードを選べて,OCモードを選択すると,ブーストクロックは2595MHzまで引き上げられる。

設定アプリケーションのGPU-Tweak-III。3つの動作モードを切り替えることができるほか,各種オーバークロックを試すことも可能だ
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側面に用意されたVBIOS切り替え用ディップスイッチ
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 さらにPRIME RTX 5060では,「Pモード」と「Qモード」の2つのVBIOSを切り換えられる。工場出荷時設定はPモードで,側面にあるディップスイッチで,Qモードに変更可能だ。
 ただ,試しにQモードにしてみたところ,GPU-Zでは動作クロックに変化は見られなかった。ASUSの説明によると,Qモードでは各温度におけるファンの回転数を示したファンカーブの傾斜を緩やかにすることで,より静かに動作させることが可能になっているという。

補助電源コネクタは8ピンが1基のみ
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 補助電源コネクタは8ピンが1基という構成で,基板が短いこともあり,カードの中央寄りに配置されている。

 映像出力インタフェースは,DisplayPort 2.1bを3系統とHDMI 2.1bを1系統装備。あたりは,RTX 5060 Tiとまったく同じだ。

映像出力は,DisplayPortが3つにHDMIがひとつというよく見かける構成。それぞれに端子がしっかりとネジ留めされている点は好感が持てる
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PRIME RX 9060 XTをチェック


 同じPRMIEシリーズだけあって,PRIME RX 9060 XTの外観も,PRIME RTX 5060とよく似ている。こちらもLEDイルミネーションはなく,最近のカードとしては控えめな印象だ。

PRIME RX 9060 XTの表面(上)と裏面(下)
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 カード長は実測で約305mm(※突起部含まず)で,PRIME RX 9060 XTのほうが40mmほど長い。RX 7600のリファレンスカードが約203mmだったので,PRIME RX 9060 XTは,かなり長めだ。
 ただ,こちらも基板自体は約174mmほどしかなく,GPUクーラーが約130mmほど,カード後方にはみ出た形となっている。

基板自体は短いため,カード後方で前面のエアーが抜けるように,裏面には大きな開口部が設けられている
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 なお,重量は実測で約828gと,カードサイズが大きくなっていることもあり,PRIME RTX 5060より多少重い。

こちらもファンはブレードとバリアリングが一体化したタイプだ
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 GPUクーラーは,こちらも2.5スロット占有タイプだが,3基あるファンが直径約90mm相当と,一回り大きいものとなっている。こちらのファンも,ブレードとバリアリングが一体化した構造となったAxial-Tech仕様だ。なお,PRIME RX 9060 XTも0dBテクノロジーにより,アイドル時にファンの回転が停止するようになっている。

2スロット仕様のブラケットよりも少し厚めの2.5スロット仕様。ブラケット左のはみ出しも大きめ
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 ブーストクロックが3311MHzに引き上げられたクロックアップモデルで,PRIME RTX 5060と同様に,GPU-Tweak-IIIを使用することで,3つの動作モードに切り替え可能だ。PRIME RX 9060 XTでOCモードを適用したところ,ブーストクロックが40MHz引き上げられた。

 また,PRIME RX 9060 XTも,PモードとQモードという2つのVBIOSを備えており,ディップスイッチで切り替え可能だ。ただ,Qモードに変更しても,GPU-Zで確認した範囲では,動作クロックは変わらなかった。PRIME RX 9060 XTでも,Qモードに変更すると静音性が向上するのだろう。
 補助電源コネクタは,8ピンが1基のみだ。こちらもカード中央付近に実装されていた。

カード裏面のブラケット近くにあったVBIOS切り替え用ディップスイッチ(左)。補助電源コネクタは8ピンを1基備える(右)
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 映像出力インタフェースは,DisplayPort 2.1b×2とHDMI 2.1b×1の3系統を装備する。DisplayPortが2つと少なめだが,コストダウンに加えて,ブラケット周りに余裕ができるといった効果もあるようだ

PRIME RX 9060 XTのブラケット部分
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RTX 5060 Tiおよび前世代との比較を実施


 今回のテストでは,RTX 5060の比較対象として,上位モデルであるRTX 5060 Tiと,置き換え対象となるRTX 4060 Ti,およびRTX 4060を用意した。RX 9060 XTは,RX 7600 XTとRX 7600を用意して,前世代からの性能向上度合いを調べてみる。
 つまり,新世代と前世代のミドルクラスを比較することで,RTX 5060とRX 9060 XTの立ち位置を明確にしようというわけだ。

 なお,PRIME RTX 5060とPRIME RX 9060 XTは,どちらもクロックアップモデルであるため,GPU-Tweak-IIIでブーストクロックをリファレンス仕様まで下げてテストしている。

 使用したグラフィックスドライバは,GeForceシリーズがテスト時点で最新の「GeForce 576.92 Driver」。一方のRadeonシリーズは「25.10.09.01-250514a-415674E-PRESS-AMD-Software-Adrenalin-Edition」というもので,AMDがRX 9060 XTのテスト用としてレビュワー向けに配布したものだ。そのほかのテスト環境は表2のとおり。

表2 テスト環境
CPU Core i9-14900K(P-core 定格クロック3.2GHz,P-core 最大クロック5.6GHz,24C32T,Intel Smart Cache容量36MB)
マザーボード ASRock Z790 Steel Legend Wi-Fi(Intel Z790,BIOS 20.02)
メインメモリ Corsair VENGEANCE RGB DDR5 PC5-48000 DDR5 SDRAM 16GB×2(DDR5-5600の40-40-40-76設定で利用)
グラフィックスカード ASUS PRIME GeForce RTX 5060 8GB GDDR7 OC Edition(GeForce RTX 5060,グラフィックスメモリ容量8GB)
Palit GeForce RTX 5060 Ti Infinity 3 16GB(GeForce RTX 5060 Ti,グラフィックスメモリ容量16GB)
GeForce RTX 4060 Ti Founders Edition(グラフィックスメモリ容量8GB)
MSI GeForce RTX 4060 VENTUS 2X BLACK 8G OC(GeForce RTX 5060,グラフィックスメモリ容量8GB)
ASUS PRIME Radeon RX 9060 XT 16GB GDDR6 OC Edition(Radeon RX 9060 XT,グラフィックスメモリ容量16GB)
PowerColor Hellhound AMD Radeon RX 7600 XT 16GB GDDR6(Radeon RX 7600 XT,グラフィックスメモリ容量16GB)
Radeon RX 7600リファレンスカード(グラフィックスメモリ容量8GB)
ストレージ CFD CSSD-M2M1TEG1VNE(PCIe 3.0 x4,1TB)
電源ユニット CoolerMaster V1200 Platinum(定格1200W)
OS Windows 11 Pro 24H2(Build 26100.3775)
チップセットドライバ Intel チップセットINFユーティリティ 10.1.20020.8623
グラフィックスドライバ GeForce:GeForce 576.52 Driver
Radeon:25.10.09.01-250514a-415674E-PRESS-AMD-Software-Adrenalin-Edition

 テスト内容は,4Gamerのベンチマークレギュレーション30に準拠。ただし,次期レギュレーションを先取りする形で,「Call of Duty: Modern Warfare III」に代えて「Call of Duty: Black Ops 6」(以下,CoD:BO6)を,「バイオハザード RE:4」に代えて「モンスターハンターワイルズ ベンチマーク」(以下,モンハンワイルズ ベンチ)を導入した。
 また「Fortnite」も,使用するグラフィックスAPIをDirectX 11からDirectX 12に変更している。
 それぞれの具体的なテスト方法は以下のとおり。

●CoD:BO6
  1. 「極限プリセット」を適用
  2. 「アップスケーリング/シャープニング」は,GeForceシリーズは「NVIDIA DLSS」,RX 9060 XTは「AMD FSR 4」,RX 7600 XT/7600は「AMD FSR 3」に指定。フレーム生成はどちらも未使用
  3. ゲーム付属のベンチマークモードを実行。実行後に表示される平均フレームレートと1パーセンタイルフレームレートを結果として採用する

●モンハンワイルズ ベンチ
  1. 今回のテストでは,RTX 5060で「ウルトラプリセット」を使用すると,ベンチマークが途中で落ちる不具合が起きた。そこで,今回に限り「高プリセット」で統一している
  2. GeForceシリーズは「NVIDIA DLSS」を,Radeonシリーズは,「アップスケーリング(超解像技術)」で「AMD FSR」をそれぞれ使用する。フレーム生成はどちらも「OFF」とした。また,レイトレーシングの項目を,どちらも「高」に変更している
  3. 同ベンチではスコアと平均フレームレートしか得られないため,別途フレームレート計測ツール「CapFrameX」(Version 1.7.4)を併用して,ベンチマーク実行中の1パーセンタイルフレームレートを計測している

●Fortnite
 グラフィックスAPIをDirectX 12に変更。それ以外の設定やテスト内容はベンチマークレギュレーション30と同じ。

 なお,ゲームの解像度は,NVIDIAがRTX 5060について,1080pにおける高フレームレートでのプレイを想定していることに加えて,AMDがRX 9060 XTについて1440pおよび1080pで,描画負荷の高い設定でのゲームプレイを想定しているため,2560×1440ドットを中心に,1920×1080ドットと3840×2140ドットの3つを選択した。


RTX 5060はRTX 5060 Tiの9割前後の性能。RX 9060 XTはRTX 5060 Tiを超える場面も


 それではお待ちかね。3DMarkの結果から順に見ていこう。DirectX 11世代のテストであるFire Strikeの総合スコアをまとめたものがグラフ1だ。

画像ギャラリー No.027のサムネイル画像 / GeForce RTX 5060 vs. Radeon RX 9060 XT。ミドルクラスGPU同士の実力を徹底比較

 RTX 5060のスコアは,RTX 5060 Tiの90〜96%程度といったところで,大きくは離されていない印象だ。前世代比では,RTX 4060に28〜45%程度の差を付け,RTX 4060 Tiをも11〜15%程度超えてみせた点は立派である。
 また,RX 9060 XTはRX 7600 XTからスコアを12〜26%程度伸ばし,RTX 5060といい勝負を演じている点は評価できよう。

 DirectX 12のテストとなる「Time Spy」の結果(グラフ2)を見てみよう。

画像ギャラリー No.028のサムネイル画像 / GeForce RTX 5060 vs. Radeon RX 9060 XT。ミドルクラスGPU同士の実力を徹底比較

 ここでもRTX 5060は,RTX 5060 Tiの90%前後の性能を示しており,RTX 4060 Tiを3〜5%程度上回っている。
 注目したいのはRX 9060 XTで,RTX 5060 Tiに3%前後の差を付けて,今回のTime Spyで最も高い結果を残した。

 Time Spyより新しいDirectX 12テストである「Steel Nomad」の結果が,グラフ3だ。

画像ギャラリー No.029のサムネイル画像 / GeForce RTX 5060 vs. Radeon RX 9060 XT。ミドルクラスGPU同士の実力を徹底比較

 ここでもRX 9060 XTは優秀で,RX 7600 XTからスコアを約57%ほど伸ばし,RTX 5060 Tiにも約6%ほどの差を付けた。一方,RTX 5060は,RTX 5060 Tiの約92%程度だが,RTX 4060は約41%ほど上回っている。

 グラフ4は,レイトレーシングを含む高負荷DirectX 12テスト「Speed Way」の結果だ。

画像ギャラリー No.030のサムネイル画像 / GeForce RTX 5060 vs. Radeon RX 9060 XT。ミドルクラスGPU同士の実力を徹底比較

 Time SpyやSteel Nomadとは異なり,RX 9060 XTの結果が奮わない。RX 9060 XTは,RX 7600 XTを約43%引き離しているものの,RTX 4060 Tiに対しても,約9%ほど届いていない。一方のRTX 5060は,RTX 5060 Tiの約88%の性能を発揮しており,RTX 4060 Tiにも約8%ほどの差を付けている。

 レイトレーシングに特化したテストであるPort Royalの結果がグラフ5だ。

画像ギャラリー No.031のサムネイル画像 / GeForce RTX 5060 vs. Radeon RX 9060 XT。ミドルクラスGPU同士の実力を徹底比較

 RTX 5060のスコアは,RTX 5060 Tiの約88%と,これまでの傾向を踏襲している。RTX 4060には約44%,RTX 4060 Tiにも約6%ほど,それぞれ差を付けており,新世代GPUらしい性能を見せた格好だ。一方のRX 9060 XTは,RX 7600から約65%,RX 7600 XTから約59%ほど,スコアを伸ばしており,RTX 5060 Tiに迫っている点は好印象だ。

 実際のゲームではどうなのだろうか。グラフ6〜8は,CoD:BO6の結果となる。

画像ギャラリー No.032のサムネイル画像 / GeForce RTX 5060 vs. Radeon RX 9060 XT。ミドルクラスGPU同士の実力を徹底比較
画像ギャラリー No.033のサムネイル画像 / GeForce RTX 5060 vs. Radeon RX 9060 XT。ミドルクラスGPU同士の実力を徹底比較
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 CoD:BO6は,Radeonシリーズへの最適化が進んでいることもあり,RX 9060 XTが威勢のいい結果を残している。RX 9060 XTの平均フレームレートは,RX 7600 XTに27〜29%程度の差を付け,RTX 5060 Tiも27〜34%程度引き離している点は評価できる。
 RX 9060 XTは,1パーセンタイルフレームレートでも格の違いを見せつけており,CoD:BO6における性能は優秀だ。
 一方,RTX 5060の平均フレームレートは,RTX 5060 Tiの94〜97%程度で,3DMarkよりも差は縮まっている。また,RTX 4060 Tiに対しては,ほぼ横並びの結果だが,1パーセンタイルフレームレートを見ると,RTX 5060のほうが若干低い。

 グラフ9は,モンハンワイルズ ベンチのスコアをまとめたものだ。

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 ここでのRTX 5060のスコアは,RTX 5060 Tiの89〜93%程度といったところ。RTX 4060 Tiに対しても,3〜5%程度上回っている。
 一方,RX 9060 XTは,RX 7600 XTから36〜42%程度スコアを伸ばし,2560×1440ドット以下の解像度であれば,RTX 5060 Tiを超えて見せた。カプコンが示す指標では,スコア2万以上が最高評価であり,RTX 5060とRX 9060 XTは,どちらも2560×1440ドット以下の解像度であればそれを上回っているわけだ。

 グラフ10〜12は,モンハンワイルズ ベンチにおける平均フレームレートと1パーセンタイルフレームレートの結果となる。

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 平均フレームレートは,スコアを踏襲したものとなっているが,1パーセンタイルフレームレートに着目すると,RTX 5060は,2560×1440ドットでも平均40fps以上の性能を発揮している。
 RX 9060 XTに至っては,今回の7製品で唯一,1920×1080ドットで1パーセンタイルフレームレートが60fpsを超えた。モンハンワイルズの快適性ではRX 9060 XTに軍配が挙がりそうだ。

 Fortniteの結果を,グラフ13〜15に示す。

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 RTX 5060の平均フレームレートは,2560×1440ドット以下の解像度であればRTX 5060 Tiの89〜92%程度の結果を記録しており,RTX 4060 Tiをわずかではあるが上回っている。しかし,3840×2160ドットになると,RTX 5060 Tiの約27%まで,性能が大きく落ち込んでしまっている。このあたりは,グラフィックスメモリ容量が8GBである点は足を引っ張った形だ。
 そうなると,なぜグラフィックスメモリ容量が同じ8GBのRTX 4060より低いのかが気になるところだが,先のモンハンワイルズ ベンチでの不具合を踏まえると,メモリ容量を超えた場合の動作に,何かしら問題がありそうだ。
 一方,RX 9060 XTの平均フレームレートは,RX 7600 XTに48〜65%程度の差を付け,1920×1080ドットでは頭ひとつ抜きんでている。1パーセンタイルフレームレートも,RX 9060 XTは1920×1080ドットで60fpsを超えており,かなり快適にFortniteをプレイできるのは間違いない。

 グラフ16〜18は,「Starfield」の結果だ。

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 Starfieldでも,RX 9060 XTが優秀で,2560×1440ドット以下の解像度であればトップの座に君臨した。とくに1920×1080ドットでは,1パーセンタイルフレームレートが60fpsを上回り,2560×1440ドットでも平均フレームレートが60fpsに達している点は評価できよう。
 一方,RTX 5060の平均フレームレートは,RTX 5060 Tiの89〜94%程度だが,RTX 4060 Tiには5〜9%程度の差を付けられた。RTX 5060の1パーセンタイルフレームレートは,平均フレームレートと似た傾向で,やはりRTX 4060 Tiには遅れをとっている。

 グラフ19は,「ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー ベンチマーク」(以下,FFXIV黄金のレガシー ベンチ)の総合スコアをまとめたものだ。

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 RTX 5060は,RTX 5060 Tiの93〜95%程度で,RTX 4060 Tiには3〜17%程度の差を付けた。とくに3840×2160ドットでの差は顕著で,RTX 5060が持つ前世代に対するメモリ周りのアドバンテージが奏功した形だ。
 一方,RX 9060 XTは,RX 7600 XTを20〜28%程度上回り,RTX 4060 Tiとはいい勝負を演じている。ただ,同ベンチマークはGeForceシリーズへの最適化が進んでおり,Radeonシリーズはスコアが奮わない傾向にある。それを考慮すると,RX 9060 XTは,かなり善戦していると言っていい。
 スクウェア・エニックスが示す指標では,スコアが1万5000以上で最高評価とされており,それを踏まえると,RTX 5060とRX 9060 XTは,最高画質でも1920×1080ドットなら快適にプレイできそうだ。

 FFXIV黄金のレガシー ベンチにおける平均フレームレートと最小フレームレートをまとめたものが,グラフ20〜22だ。

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 平均フレームレートは,総合スコアを踏襲しているが,1920×1080ドットであれば,RTX 5060は150fpsに達しており,RX 9060 XTもそれに準じた結果を残している。なお,最小フレームレートは,CPU性能の影響が色濃くなるのだが,RTX 5060は,2560×1440ドットで60fpsを超えてみせた点は注目に値する。

 グラフ23〜25には,「F1 24」の結果をまとめている。

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 RTX 5060の平均フレームレートは,RTX 5060 Tiの64〜88%程度で,3840×2160ドットにおいて,メモリ周りの弱さが露呈したようだ。また,RTX 4060に最大約25%の差を付けた一方で,RTX 4060 Tiには9〜29%程度も離されてしまっている。
 一方,RX 9060 XTは,RTX 5060 Tiに対して4〜11%程度の差を付けた点は立派だ。とくに,最小フレームレートを見ると,RX 9060 XTだけが2560×1440ドットで60fpsを超えている点は,素直に称賛したい。

 「Cities: Skylines II」の結果が,グラフ26〜28だ。

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 RTX 5060の平均フレームレートは,RTX 5060 Tiの87〜90%程度で,RTX 4060 Tiを7〜12%程度上回ってみせた。レギュレーションでは,平均25fps以上を合格点としているが,RTX 5060は3840×2160ドットでもそれを満たしている。
 一方のRX 9060 XTは,RX 7600 XTより39〜55%程度も高く,RTX 5060 Tiを上回っている。1パーセンタイルフレームレートを見ても,2560×1440ドット以下の解像度で安定して30fpsを上回っているので,RX 9060 XTの性能は優秀だ。


RTX 5060の消費電力は150Wほど,RX 9060 XTは180W弱


 さて,RTX 5060のTGPはRTX 5060 Tiから下がり,RX 9060 XTもRTX 7600 XTからTBPが低くなっている。では,それぞれの実際の消費電力はどの程度なのだろうか。

 NVIDIA製の消費電力計測ツール「PCAT」(Power Capture Analysis Tool)を用いて,グラフィックスカード自体の消費電力を計測してみよう。今回の計測も,3DMarkのTime Spyにおいて,消費電力が高くなる傾向がでたGraphics test 2の実行中に行っている。
 消費電力の計測結果をグラフ29に示そう。

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 RTX 4060がほかよりも大幅に低いのを除くと,RTX 5060は150W前後で推移しているようだ。一方のRX 9060 XTは,RX 7600 XTより消費電力は抑えているようだが,RTX 5060 Tiと同程度といったところか。

 グラフ29の測定結果から,分かりやすくなるように中央値を求め,最大値と合わせてまとめたものがグラフ30だ。

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 RTX 5060の中央値は約150Wで,RTX 5060 Tiから25Wほど低く,RTX 4060 Tiを若干下回っている。一方のRX 9060 XTの中央値は180W弱で,RX 7600 XTから20W弱低くなり,RTX 5060 Tiに近い結果となっている。

 さらに,ログの取得が可能なワットチェッカー「Watts up? PRO」を用いて,システム全体の最大消費電力を計測した結果から推測してみよう。
 テストにあたっては,Windowsの電源プランを「バランス」に設定。さらに,ゲーム用途を想定し,無操作時にもディスプレイ出力が無効化されないよう指定したうえで,各アプリケーションベンチマークを実行したとき,最も高い消費電力値を記録した時点をタイトルごとの実行時,OSの起動後30分放置した時点を「アイドル時」としている。
 その結果がグラフ31だ。

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 ピーク値を結果として採用するため,差は顕著になりやすい。それを踏まえて見ていくと,各テスト実行時におけるRTX 5060の消費電力は,RTX 5060 Tiから14〜40W程度低く,RTX 4060 Tiからも最大約11W低い結果になった。
 一方,RX 9060 XTの消費電力は,RX 7600から5〜22W程度低く,RTX 5060 Tiを下回る傾向が見て取れる。

 GPU-Zを用いて計測したGPU温度も確認しておきたい。温度約24℃の室内で,テストシステムをPCケースに組み込まず,いわゆるバラックに置いた状態から,3DMarkの30分間連続実行時を「高負荷時」として,アイドル時ともども,GPU-Zから温度を取得することにした。
 GPUによって,温度センサーの位置や取得方法が異なっているうえ,それぞれファンの制御方法が違うため,異なる製品を同列に並べての評価は,あくまでも参考程度と理解してほしい。それを踏まえた結果はグラフ32のとおり。

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 RTX 5060は,高負荷時でも70℃を下回り,GPUクーラーの冷却性能は問題なしだ。さらにRX 9060 XTは,高負荷時でも60℃と輪をかけて低く,こちらもGPUクーラーの冷却性能は申し分のない内容だ。

 最後に,騒音計を使って,それぞれの動作音を比較してみたい。今回は,室内の音が41.2dBAの環境で,グラフィックスカードに正対する形で50cm離したところに騒音計を置いて,動作音を計測した。
 バラック状態でテストを行っているので,実際にケースに組み込んだ状態よりも動作音は大きくなることを断っておく。なお,アイドル時と高負荷時は,GPU温度を測定した条件と同じだ。結果はグラフ33となる。

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 高負荷時に着目すると,RTX 5060とRX 9060 XTは,どちらも約44dBAと,似通った結果だ。どちらも同じPRIMEシリーズであるため,GPUクーラーの静音性も近いものがあるのだろう。


RTX 5060の弱点はメモリ容量。RX 9060 XTは価格次第で存在感を放つ


PRIME RTX 5060の製品ボックス
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 まとめに入ろう。
 RTX 5060の税込店頭価格は,5万3000〜5万6000円程度である。性能面で,前世代のRTX 4060 Tiといい勝負を演じていることを踏まえると,6万3000〜7万円程度で販売されていたRTX 4060 Tiよりも,RTX 5060のほうがお買い得感があると言っていい。

 しかし,RTX 5060のグラフィックスメモリ容量が8GBである点に懸念を抱く人は少なくないはずだ。解像度や描画オプションを高めると,グラフィックスメモリの使用量は大きく増えるので,ここがRTX 5060のウィークポイントとも言える。
 一方で,RTX 5060はDLSS 4のマルチフレーム生成を利用できるので,対応ゲームであれば,魅力的な存在だろう。RTX 4060 TiやRTX 4060から買い替えるようなGPUではないが,「GeForce RTX 2060」シリーズや「GeForce RTX 3060」シリーズからのアップグレードパスとしての存在意義が大きい。

PRIME RX 9060 XTの製品ボックス
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 一方,RX 9060 XTの国内向け価格は,本稿執筆時点で明らかになっていない。米国でのメーカー想定売価は349ドル(税別,約5万円)だそうなので,RTX 5060 Tiよりも若干安い位置づけだ。
 実際に販売されるカードは,ご祝儀価格もあるので,しばらくは高値となるだろう。だが,価格がこなれてくれば,ミドルクラス市場向けGPUとして,RTX 9060 XTはかなり魅力的な存在になり得る。とくに,前世代からの伸びが大きいうえに,多くのゲームでRTX 5060 Tiを超えている点は,ゲーマーにとって魅力的に見えるだろう。

 NVIDIAとAMDのGPUがミドルクラス市場向けにそろい踏みしたことで,ゲーマーに多くの選択肢が生まれることは素直に歓迎したい。

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