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新作アニメにも期待大! 「キャッツ❤︎アイ」のボードゲームは,大小2枚のボードを行き来する豪華仕様 昭和・平成レトロボードゲーム大百科 第4回
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北条 司氏の漫画「キャッツ❤︎アイ」の完全新作アニメが,9月にディズニープラスで配信されるそうです(関連記事)。
北条先生といえば「シティーハンター」,という方が多いとは思うんですが,筆者の場合は,小学生の時に週刊少年ジャンプで連載が始まった「キャッツ❤︎アイ」なワケですよ!
なんだかよく分からないのですが,いやおそらく動きやすさを追求した結果だと思うんですが,怪盗三姉妹がレオタード姿でお宝を盗むシーンに,当時の小学生はかなり脳を焼かれたと思います。
漫画は大ヒットしてアニメ化もされ,気がつけばボードゲームも登場。それが今回の「昭和・平成レトロボードゲーム大百科」で紹介する,エポック社の「キャッツ❤︎アイ 最後のビッグ・ゲーム」です。発売時期は不明なのですが,おそらく昭和59年〜60年(1984年〜1985年)頃だと思われます。
原作を知らない方のために,ちょっとだけ物語を紹介しておきましょう。主人公は,泪(るい),瞳,愛の来生三姉妹。ふだんは喫茶店「キャッツ・アイ」を営む彼女たちですが,実は行方不明の父を探していて,その手がかりとなる美術品(ハインツコレクション)を狙う怪盗「キャッツ・アイ」でもあった! ……みたいなお話です。
ということで,まずは今回もパッケージから見ていきますが,主人公の来生三姉妹の中でも特に中心となる来生 瞳の横顔が大きく描かれた,とにかくセクシーなものになっています。このボードゲームの対象年齢は「9歳〜大人向」となっていますが,9歳の誕生日にこれを親にお願いしたら果たして買ってくれたか……? 却下されそうな気がしないでもないですが,箱絵のセクシーさだけでなく,ゲーム内容の方も原作の世界観を見事に表現した秀逸なものとなっていますので,詳しく紹介していきましょう。
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舞台は喫茶店から世界の美術館・博物館,
そして最後は南大西洋の海底へ
さてこのゲーム,「最後のビッグ・ゲーム」というだけあって,かなり壮大な設定です。まず,喫茶店内での情報収集から始まり,つづいてメインとなる世界の美術館・博物館でのハインツコレクション集め(盗み),そしてラストは南大西洋でのアフロディーテ像引き揚げ(サルベージ)と,大きく分けて3つの場面から構成されており,大小2枚のゲームボードを行き来しながら進める仕様となっています。
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なお,プレイヤーはそれぞれが怪盗「キャッツ・アイ」となり,これら3つのパートを順にクリアしていって,30日以内にアフロディーテ像をいち早く引き揚げたものが勝者となります。
喫茶「キャッツ・アイ」店内で情報を集めろ!
ということで,まずはファーストゲーム,喫茶「キャッツ・アイ」店内からスタート。開始にあたり,プレイヤーには「キャッツ・アイ予告リスト」(キャッツカード)が配られます。そこにはそれぞれ今回盗まなくてはならない6点の絵画のリストが書かれているので,その情報収集が目的となります。
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それにしても,喫茶店が舞台のボードゲームというだけですでに斬新。なぜこの場面がチョイスされているかですが,原作漫画では,キャッツ特捜班の刑事たちが,この店で来生三姉妹にうっかり警備情報を漏らすのがお約束だったからです。
ここでは1〜6までのルーレットを使い,すごろく形式で各席を周り,そのマス目に応じたキャラのマスから情報を得ていきます。瞳と恋仲なのに正体に気づけない「俊夫」や,落ち着きがない指揮官「課長」のマスでは,展示室の警備情報がダダ漏れに。一方で,唯一の敏腕刑事「浅谷」のマスでは1回休みとなるので,このあたりは原作をよく再現しています。
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また「泪」「瞳」「愛」のマスでは,「手口カード」という,次のメインゲームの舞台,美術館・博物館で有利になるカードを入手できます。さらに三姉妹のサポート役「永石」のマスでは,世界へ飛び立つための航空カードを入手できます。
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ということで,まずはこのループ状の店内を何周かして,必要なカード,情報を集めます。それがある程度揃ったところで,メインゲームである世界の美術館・博物館へ。
前述したように,タイムリミットは30日間ですが,そのカウントはファーストゲームから始まっていて,コマの移動で使用するルーレットで「6」が出るたびに1日が経過します。情報収集の切り上げタイミングはこの日付も考慮しておく必要があります。
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キャッツカードの予告リストにある
ハインツコレクションを盗み出せ!
さてここからは,大英博物館やルーブル美術館,ニューヨーク近代美術館,オーストラリア博物館での美術品回収に挑むわけですが,まずは世界地図でどの都市に向かうかを決めます。
ファーストゲームで得た情報,手口カード,そして予告リストを考慮してターゲットのある美術館や博物館へ。なお,海外への移動には,先ほど紹介した別ボードに描かれている世界地図を使用します。ファーストゲームで入手した航空カードを出し,この地図に描かれた航空ルートを進み,目的の都市に移動。そして,都市に到着したらメインのゲームボードに戻って,ターゲットのハインツコレクションを盗むミッションのスタートです。
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まずは空港で乗り物カードをランダムでゲット。「オートバイ」「ジープ」「ポルシェ」「ヘリコプター」の4種があって,順に移動時のルーレットの目が+1,+2,+3,×2される効果があります。それに乗って美術館・博物館の外周を移動し,「侵入カードめくる」マスに止まれれば,そこから館内に潜入。この潜入マスはどの建物にも4つあり,最後のマスは強制ストップとなっていますが,できれば早い段階で止まって,建物に侵入したいところです。
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4種類の警備システムを突破せよ!
ようやく館内に潜入。ここでまた1枚,今度は「潜入カード」を引きます。ここまで読み進めた方ならうすうす感じているかもしれませんが,このゲーム,とにかくカードの種類が多い。制作者のこだわりとも受け取れますが,それにしてもちょっと多すぎ……。ですがこれこそが昭和のレトロボードゲーム。ちょっと詰め込み過ぎぐらいなところが,いまどきのスマートなボードゲームにはない,昭和らしい偏ったバランスを感じて愛おしいです。
ちょっと話がそれましたが,この潜入カードの内容によっては警備システムが甘くなったり,警備が強化されたり,さらには展示している絵画が入れ替えられたりなどの状況変化があるので油断できません。が,とにかく目的の絵がある展示室へ。
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ここからは警備システムの突破です。盗むべきコレクションカードの上には必ず「警備チップ」が1枚載っていて,盗む段階でオープンします。そこにはそれぞれ,「赤外線の部屋」「催眠ガスの部屋」「針が飛び出す部屋」「時限ロックドアの部屋」という,キャッツ・アイを読んだことがあれば,1度は目にしたことがあるトラップが。さすがに1個1個紹介していくと長くなりすぎるので割愛しますが,それぞれルーレットと勘を駆使してクリアできるミニゲームとなっています。失敗しても再挑戦可能で,最終的には必ず成功するため,いかに短時間でクリアできるかの勝負です。
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なお,予告リストにはターゲットとなる作品が6点書かれていますが,ゲームクリアに最低限必要なのは,アフロディーテ関連の絵が1点と,そのほかにハインツコレクションが2点以上となります。
またその肝心なアフロディーテの絵ですが,最初の段階では展示されていません。カレンダーの日付が9,11,13,15日を迎えた際に,ルーレットの目によってランダムで4枚,各美術館,博物館に追加されていきます。4枚の絵のどれを盗むかによって,ラストゲームの難度が変わってくるので,ここもまた状況判断が重要になってきます。
そんな感じで,運が良ければ1つの美術館でクリアに必要な3枚の絵画が揃うかもしれませんが,場合によっては世界地図でさらに別な都市へ飛び,そこでターゲットの絵画を盗み出して条件をクリアすることになります。そしていよいよラストゲーム!
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海底X地点,沈没船の中に眠る
アフロディーテを引き上げろ!
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とはいえ,ラストのわりにはシンプルで,基本的には1本道のすごろく形式で進むのですが海上,海底流,サメの群れ,沈没船という4つの関門が用意されています。突破にはルーレットを3回まわして,条件以上の数字を出す必要があります。
この条件の数字は,先に進むにつれて大きくなりますが,盗んだ絵の枚数とアフロディーテのどの絵を盗んだかによって補正がかかります。簡単にいうと,絵を多く盗んだ人ほど突破する数字の条件がゆるくなります。また,アフロディーテの絵は1つの関門を無条件でクリアできますが,絵が展示室に追加された日が遅いものほど,条件が厳しい最後の関門を無条件でクリアできるように設定されているため,ここで最後の大逆転が狙えるかもしれません。
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4つの関門を突破し,いち早くアフロディーテを引き上げたプレイヤーが,この「最後のビッグゲーム」の勝者となります。が,最初に書いた通り,30日以内に達成できなかった場合はノーゲームとなり,これまでの苦労がすべて水の泡に。
なので,情報収集(ファーストゲーム),絵画収奪(メインゲーム),アフロディーテ像引き上げ(ラストゲーム)のそれぞれにかける日数を見極めることが大切です。ルーレットによる運要素も大きいですが,ほかのプレイヤーの進行状況も逐一チェックしつつ,勝利を掴みましょう。
凝りに凝ったシステムで怪盗気分が味わえる,「キャッツ❤︎アイ 最後のビッグ・ゲーム」。冒頭ではディズニープラスで配信予定のアニメに触れましたが,ほかにも「ルパン三世」とのコラボアニメや,フランスで製作された実写ドラマがAmazon Prime Videoで配信されるなど,「キャッツ❤︎アイ」にはここ数年また注目が集まっているようです。よかったらこのボードゲームもプレイしてみませんか。当カフェ「Book CAFE ヨミヤスミ」が開催するイベントでプレイできますので,よかったらご来店ください。
■■Book CAFE ヨミヤスミ■■
京王線の京王多摩川駅から徒歩6分ほどの場所にあるブックカフェ。1980〜90年代の本や雑誌,漫画に加えて,パソコン雑誌やゲームブックなども揃っています。
毎週末開催されるイベント「8時だョ!レトロボードゲーム」では,本連載で紹介したものをはじめとしたレトロボードをプレイできますので,下記のイベントサイトでお申し込みのうえ,ぜひご来店ください。
公式サイト:https://sites.google.com/view/yomiyasumi
公式イベントサイト:https://sites.google.com/view/yomiyasumi-8jidayo
公式X:https://x.com/yomiyasumi
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