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バンダイのボードゲームと言えばコレ! 知恵と勇気と力で立ち向かう「おばけ屋敷ゲーム」 昭和・平成レトロボードゲーム大百科 第6回
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印刷2025/08/16 10:00

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バンダイのボードゲームと言えばコレ! 知恵と勇気と力で立ち向かう「おばけ屋敷ゲーム」 昭和・平成レトロボードゲーム大百科 第6回

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 令和の今,バンダイ(バンダイナムコ)といえば,コンシューマゲームやスマホゲーム,そしてガンプラといったところが思い浮かびますが,筆者が小学生だった昭和50年代のバンダイは「ボ〜ドゲームはバンダイ!」と,テレビCMでボードゲームを積極的に押し出していました。

 そして,当時の友人の多くが持っていた,遊んでいたバンダイのボードゲームが,昭和55年(1980年)に発売された「おばけ屋敷ゲーム」です。

 何度かリニューアルされたほか,ある時期に復刻版が発売されたことからも,バンダイを代表するボードゲームといって間違いないでしょう。どんなゲームなのか,今回の「昭和・平成レトロボードゲーム大百科」で紹介します。


まよけカードとプレイカードで

おばけ屋敷に立ち向かう!


 今回もさっそくパッケージから見ていきましょう。もう侵入者を怖がらせる気満々のリアルタッチのおばけ&妖怪たちに,逃げ惑う腰の引けたゆる〜いタッチの人間たちというなんとも不思議な一枚絵なんですが,このリアルとゆるさのメリハリがなかなか味わい深いです。

迫りくる巨大ガイコツ,から傘おばけ,フランケンシュタインに狼男と,いま見ても迫力満点のパッケージイラスト
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 そして箱を開ければ,そこにはさまざまな妖怪やおばけの知識が記された「おばけ百科」が。この頃のボードゲームには,ボードの裏面にこのような豆知識が記されているものが多いのですが,このおばけ百科は,その中でもかなり情報量多めで,ここでおばけの知識を増やした当時の小学生たちがいたはずです。

ここでしっかりおばけの知識を身につけたうえでゲームに臨めば,より楽しめるという謎の充実感
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 ゲームの目的は,いち早くおばけ屋敷から脱出すること。が,ボードを見れば分かる通り,その道のりにはおばけたちが待ち構える8つの部屋と,ラスボス的な死神が立ち塞がる橋が。

かなり広いおばけ屋敷。日本と西洋,両方の妖怪が登場することもあり,日本風の瓦屋根があるかと思えば,西洋風のレンガ造りの部分もあるという和洋折衷の作り
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 この危機的状況にどう立ち向かうかということで,最初に配られるのが「まよけカード」です。これには「勇気」「知恵」「力」の3種があり,おばけとの対決時には,この内の1枚もしくは2枚を出します。

左から知恵,勇気,力のまよけカード。西洋の儀式を彷彿とさせる美しいデザイン
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 そしてもうひとつランダムで5枚配られるのが「プレイカード」。その中には移動の際に使用する1〜6の「歩行カード」,扉を開けることができる「鍵カード」,渡れない&登れないところにハシゴを掛ける「ハシゴカード」などがあり,毎回自分の手番に最適なカードを1枚出して行動します。なお,1枚出すたびにプレイカードの山から1枚引くので,手元には常に5枚のプレイカードが残ります。

移動系のプレイカードである歩行カード,鍵カード,はしごカード。歩行カードにはなぜか男女2種類の後ろ姿があるが,深い意味はなさそう
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 余談ですが,バンダイの初期ボードゲームは,サイコロやルーレットではなく,このプレイカードを使って移動や行動を行うものが多かったように思います。連載初回で紹介した「立体クレイジークライマー」もそうでしたが,状況に応じて出すカードが選べるので,ルーレットやサイコロによる移動に比べると,必然的に戦略要素が上がり,小学生ながらゲームを通じて考える力が少し上がったような気がしました。


スタートは井戸の底

まずは誰かがハシゴをかけろ!


 さて,準備が整ったところでいよいよスタート……なんですが,このゲームのスタートはなんと屋敷中央にある底なし井戸から。ふつうのおばけ屋敷だったら入口からソっと入りそうなものなんですが,このゲームは説明書によると,

 なんの呪いか、君はおばけ屋敷にとじこめられてしまった。一刻も早く外の世界に戻らなくてはならない。


 という設定なのです。ちなみにこのゲームのプレイヤー数は2〜6人なので,最悪6人が井戸の底ですし詰め状態に。

 ユニークなのは,まずは「誰か」がプレイカードのハシゴを使って,井戸からの脱出経路を確保する必要があること。ほかのプレイヤーもそれを使えるので,ある意味ここは協力プレイです。

 もし持っていなければ,いらないカードを1枚捨て,新たにカードの山から1枚引きます。ちなみに,ハシゴはここ以外にも2つの地点で必要になり,そのたびに誰かがハシゴをかけることになります。

実際にハシゴをボード上に設置。これで先に進めるようになる
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扉を開けるとそこにはおばけが!?

さぁ,まよけカードで対決だ!


 井戸から出て,足跡マークのマスを4つ進むと,そこには最初の部屋の扉があり,いよいよここからおばけとの対決が始まります。プレイカードの鍵を使って扉を開け,中に入りますが,こちらはハシゴカードのように誰かが開ければいいわけではなく,鍵カード1枚につきプレイヤー1人しか部屋に入ることはできません。オートロックなんでしょうか。

鍵カードを使って入室。このゲームはけっこう鍵不足に見舞われるので,できれば常に1,2枚は持っておきたいところ
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 そして部屋に入ったら,使えるまよけカードの枚数を確認します。ちなみに最初の部屋は2枚出せるので,例えば「知恵と勇気!」といったように,高らかに宣言してカードを出します。そしてみんながそれを確認したら,裏向きに重ねられた「おばけカード」の山の一番上にあるカードをめくって対決です。

 そこには登場したおばけのイラストと説明文,そしてそのおばけの弱点,例えば「このおばけは勇気に負ける」といったことが書かれているので,この場合は,「知恵」と「勇気」のカードを出したプレイヤーの勝利となります。なお,倒したおばけカードはプレイヤーのものとなり,後に効果を発揮します。

おばけとの対決に必勝法なし。直感で挑むしかないので,弱点がふたつあったときはとてもラッキー
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さまざまなおばけ&妖怪が登場

しかし本当に厄介なのは……


 さてここで,おばけカードについて少し説明しておきましょう。このゲームに登場するおばけは40種で,そこには「鬼」や「かっぱ」といった日本古来の妖怪から,「ソンビ」や「ドラキュラ」といった西洋のアンデッドもいたりでなかなかのワールドワイド感。さらに,発売当時の昭和50年代に話題となった都市伝説「口さけ女」や,筆者はこのゲーム以外で見たことがない「吸血ゴキブリ」などもいたりして,なかなかバラエティに富んでいます。

 そんな中で最強最悪のカードが「大魔王」で,これにはまよけカードの「勇気」「知恵」「力」のどれを出しても敗北してしまいます。できれば引きたくないカードですが,そんな絶望的なカードが1枚混じっているところも,このゲームの面白さといえます。

倒したおばけカードはプレイヤーの手に入りますが,唯一倒せない大魔王だけは,誰も手に入れることができません
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 また,おばけカードでありながら,おばけではないものとして登場するのが「ひとだま」「幸運」。ひとだまはある意味,おばけよりもやっかいで,「まよけカードの『力』をとられる」や「右どなりの人とプレイカードを全部とりかえる」といった,いわゆるアクシデントカード的なものとなっています。しかも,これでおばけとの対決が終わったことにはならず,次の手番ではこの不利な状況のまま,もう1度おばけカードを引かされることに。

 逆に「幸運」は「この部屋におばけはいない,この部屋の出口に行ってよい」や「一番前にいる人と同じところまですすめる」といったこのゲーム唯一のラッキーなもの。なお,先ほどのひとだまでまよけカードを失ったプレイヤーも,このカードが出れば返してもらえるので,参加プレイヤーみんなにとって幸運といえるカードです。

ひとだまカードは11枚,幸運カードは7枚なので,確率としてはひとだまを引く可能性の方が高いです
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できることなら行きたくない

“あかずの間”と“たたりの部屋”


 おばけとの対決で勝てばそのまま部屋の出口から出られますが,負けてしまうと,まずおばけカードを1枚失い,さらに部屋によってさまざまなペナルティが与えられます。先ほどの最初の部屋なら「部屋に残って自分の番が来たらもう一度ちょうせん」という比較的ゆるめのものですが,5番目と8番目の部屋がかなりキツい。

 5番目の部屋で負けたら,奥まった場所にある「あかずの間」へ強制移動。この部屋に送られたプレイヤーは自分の意思では動けず,自分以外のプレイヤーが動いたマス目の数だけ移動することになります。歩かされるマス目は全部で13マスですが,13マス目では必ず止まらなくてはならず,次の自分の番でようやく正規ルートに戻れます。ただ,その先には再び5番目の部屋が待ち構えているので,油断は禁物。

赤色の足跡が描かれているのが「あかずの間」。名前の割には普通に出られますが,とにかく無駄に長い
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 さらに恐ろしいのが,8番目の部屋で負けたプレイヤーが幽閉される「たたりの部屋」で,なんと4回休みになります。ボードゲームにおいて1回休みはよくありますが,まさかの4回。途中で何回休んだか分からなくなるのを防ぐためか,1回休むたびに,ひとだまみたいなマスをひとつずつ進むのですが,気が重いです。

 ただ,さすがのバンダイも,この後に再挑戦して,場合によってさらに4回休み……ではプレイヤーの心が折れると思ったのか,対決回避で部屋の出口への移動となっています。

ゲームも終盤に差しかかったところでの4回休みは本当に痛いので,「たたりの部屋」はできるだけ避けたい
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最後の試練「死神の橋」

勝負のカギはおばけカードと特殊プレイカード


 8つすべての部屋を抜けたら,いよいよ最後の試練「死神の橋」です。ここに足を踏み入れた瞬間から,死神のコマがプレイヤーに向かって移動開始。橋は1本道で,死神はすべてのプレイヤーの出したカードの数だけ移動し,橋の端っこまで来たら折り返しそのまま往復を繰り返します。死神は不死身なので倒すことはできず,接触したプレイヤーは橋の手前のマスに戻されて再挑戦となります。

 死神を避けるためには,この橋に設置された3つの隠れ場所がカギとなります。このマスを使ってうまく死神とすれ違い,ゴールまで駆け抜ければ勝利! となるわけですが,これが難しい。というのも,すべてのプレイヤーの移動数が死神の移動に反映されるため,当然ほかのプレイヤーは相手を勝たせまいと移動数を調整して妨害してくるからです。つまり,参加プレイヤーが多ければ多いほど死神が強敵になるシステム。最初は協力で始まったのに……。

迫りくる死神の位置を見計らい,隠れ場所を上手に活用。もっとも死神との距離が離れたタイミングでうまく飛び出せれば勝利は目前だ
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 さすがにこれではゲームが終わりそうにありませんが,ここでようやくこれまで倒したおばけカードが活躍します。そう,接触した際におばけカードを出すことで,1度だけおばけが身代わりとなり,死神と接触してもそのマスに留まることができるのです。あとは2度目の接触の前にゴールまで駆け抜けられれば勝利です!

 そしてもうひとつの攻略法が,プレイカードに含まれる「マッハカード」「ブラックカード」「エクソシストカード」という特殊なカードを活用する方法。紹介が最後になりましたが,以下のプレイカードが1枚ずつ用意されています。

マッハカード
 このカードを出すと1から6の好きな数だけ移動でき,なおかつもう1枚手持ちのカードを出して移動できる

ブラックカード
 このカードを出すと,自分の手番を1回パスできる

エクソシストカード
 このカードを出すと1から6の好きな数だけ移動できる。あるいは手番を1回パスできる。部屋で使う際は,おばけとの対決を回避できる


 これらは特に死神の橋で効果を発揮するので,最後の切り札として使えばプレイヤーを勝利に導いてくれるでしょう。

「死神の橋」で使えば効果的ですが,温存しすぎるよりは,使えるときに使ってしまうのもあり
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 最後の最後まで気が抜けない「おばけ屋敷ゲーム」。運と戦略のバランスがとても良く,長年楽しまれるバンダイらしいボードゲームだと思います。

 なお,筆者が経営している「Book CAFE ヨミヤスミ」のイベント「8時だョ!レトロボードゲーム」でも「おばけ屋敷ゲーム」をプレイできますので,よかったらご参加ください。

■■Book CAFE ヨミヤスミ■■
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京王線の京王多摩川駅から徒歩6分ほどの場所にあるブックカフェ。1980〜90年代の本や雑誌,漫画に加えて,パソコン雑誌やゲームブックなども揃っています。

毎週末開催されるイベント「8時だョ!レトロボードゲーム」では,本連載で紹介したものをはじめとしたレトロボードゲームをプレイできますので,下記のイベントサイトでお申し込みのうえ,ぜひご来店ください。

公式サイト:https://sites.google.com/view/yomiyasumi
公式イベントサイト:https://sites.google.com/view/yomiyasumi-8jidayo
公式X:https://x.com/yomiyasumi


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