
企画記事
なんでも食べちゃうドラゴン娘は,世界を救う英雄となるか?「DRAPLINE」は,気軽に遊べて周回が楽しい“育成RPG”としてオススメの作品だ
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DRAPLINEは,なんでも食べちゃうドラゴン娘を育成する“育成ローグライト”を謳う作品だ。アーリーアクセス開始からすぐに話題となり,記事掲載時点でレビューは非常に好評(レビュー数470件)に達している。
果たして,本作の魅力はどこにあるのか。さっそくアーリーアクセス版(ver.0.5.0)を遊んでみたので,基本的なシステムやゲームの進行を紹介しながら,どんな楽しさが詰まった作品なのかをお伝えしていこう。
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高速で多彩なパターンを楽しめる
ビルド構築と周回が楽しい育成RPG
物語の舞台となるのは,擬人化されたモンスターたちが生活するファンタジー世界。そこに住む一般住民である主人公は,ふとしたきっかけで“竜の少女”と出会うことになる。
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なんやかんやで主人公が保護することになった少女は,とんでもない悪食だった。食料はもちろん,岩や木材,ときには建物まで食べてしまう。少女は単なる竜族の子ではなく,巨大な災厄に対抗するために星が生み出した子供「神竜」だったのだ。
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幼い神竜が出現したということは,星に災厄が迫っているということ。かくして主人公は,1年後に迫るという“世界の破滅”を防ぐため,神竜を一人前に育て上げる大役を任されるのだった。
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育成は4月の第1週からはじまり,プレイヤーは週ごとに行動を選択していく。一定期間ごとに「災竜」を名乗るボスが出現するので,それまでにステータスを向上させたり,バトル用のスキルを習得したりしなければいけない。
そのために一番重要になるのが,神竜に与える「食事」だ。神竜はとんでもない大喰らいなので,週ごとに大量の食費が必要になる。しかも,食事の内容によって上昇するステータスの種類,上昇量が変化するため,安い食事ばかりを与え続けるわけにはいかない。
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お金を確保する手段といえば,もちろん労働だ。街には複数の仕事場があり,それぞれに働き手を求めている。うまく働いた神竜はバトルスキルをひらめく(ランダムな3択から1つを獲得)ことがあるので,ガンガン働いて能力を伸ばしていこう。
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戦闘はシンプルなターン制のコマンド式で,敵をすべて撃退すれば勝利となる。アクティブスキル(バトルコマンド)はいくつ習得していても5種類までしか持ち込めないので,出現する敵の性質に合わせて組み合わせを考えよう。
必殺技として「ブレス」があり,敵全体に極大ダメージを叩き込めるが,発動には“BP”を最大まで溜める必要がある。それまでに体力やバフ / デバフを調整し,ここぞというタイミングでブレスを叩き込むのだ。
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ひとまず2〜3周ほど遊んでみて,ゲーム全体の難度はかなり優しめに感じられた。プレイヤーの選択がネガティブな方向に転がることが少なく,またゲームシステム側からのサポートも手厚いので,スキルのシナジーを考慮してビルドを組みさえすれば攻略は難しくない。
ボスに敗北しても自由にリトライできるので,いわゆる“詰み”な状況に陥りさえしなければ,クリア自体はわりと簡単にできるだろう。たとえゲームオーバーになっても,進行状況に応じて獲得できるポイントを使って「周回ボーナス」をアンロックすれば,難度を緩和しつつ最初からゲームを開始できる。
出現するボスは毎回変化するが,イベントをスキップすれば高速でゲームを進められるので,基本的な流れさえ分かってしまえば状況を戻すまでに時間はかからない。難度の面で壁を感じた人は,早めに周回ボーナスを得て再挑戦するのも悪くないだろう。
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“育成ローグライト”と銘打たれている本作だが,ジャンル的な特徴としては,ランダム性のある一部の要素と周回プレイを前提とした設計が中心で,いわゆるパーマデス(リトライ不可)のような厳格な仕様は採用されていない。そのため,従来のローグライトを想像してプレイすると少し印象が異なるかもしれない。
しかし,それがむしろ本作ならではのゲームの特徴を生んでいると感じる。周回を前提としたテンポ感のおかげで,育成系のゲームにありがちな「1プレイが長く,パターンを把握しづらい」といった悩みがぐっと軽減されており,気軽に繰り返し楽しめる点は本作の大きな強みだ。
プレイのテンポは非常に快適で,ランダムな選択肢をどう選ぶかという駆け引きの要素には奥深さがあり,ストーリー展開にも納得感がある。ローグ系の“シビアさ”というよりは,ランダム性やスピード感といった特徴をうまく取り入れ,遊びやすさに重きを置いた作りになっているように感じた。
いわゆるローグライトと呼ばれるゲームを想定してプレイすると,少し肩透かしに感じるかもしれない。しかし,そうした決まった物差しで評価するのではなく,「周回が楽しい育成RPG」として向き合ってみると本作ならではの魅力がしっかり見えてくる。ジャンルの枠にとらわれず,まずは気軽に楽しむことをオススメしたい。
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神竜は文字通り“なんでも”食べる
木々や建物,果てには住民まで……
ここまでで紹介したとおり,本作には「育成」「アドベンチャー」「バトル」と複数のシステムがあり,要素自体はそれなりに多い。しかし,遊んでいて煩雑さを感じる部分はほとんどなかった。本作では各種要素を相互につなぎ合わせることで,それらをシンプルな形で表現しているのだ。
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たとえば,食事にはレアリティの概念があり,週ごとに3択の中から1つを選ぶ必要がある。内容はランダムなのだが,対応する仕事場で十分な信用を獲得していれば,対応する食事のレアリティが上昇しやすくなる。
スキルに関しても同様で,仕事場によってひらめきやすいスキルの方向性が変化する。つまり,「仕事場を選ぶ」という1つのアクションを毎日繰り返すだけで,だんだんと神竜が求めるビルドへと近付いていく仕組みになっているのだ。
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言ってしまえば,プレイヤーのすることは週ごとに「食事の選択」と「仕事の選択」だけのシンプルなものなのだが,それぞれの要素が何かしらの“ほかの要素”とキッチリとつながっている。そのうえで,ステータスや効果はシンプルに整理されているので,成長の実感を強く感じられる構造になっている。
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こうした育成要素は,ストーリー演出にもうまく組み込まれている。その中でもピリッとした感覚を味わえたのが,仕事中や仕事後に発生する“つまみ食い”だ。
たまに神竜は「これ食べていい?」と聞いてくる。これを許すとステータスが上がり,たしなめると(仕事中なら)仕事場の好感度が上昇する仕組みだ。神竜には「WILD」と「RULE」という性格の指標があり,こうした判断で性格が変化することもある。
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言葉にすればかわいいものだが,神竜が食べようするものには物理的にも倫理的にもヤバいものが含まれる。恐怖を感じるような提案がなされるとBGMがピタッと止まり,その瞬間までの明るい雰囲気がシャットアウトされ,緊張が走る。
しかも,神竜自身はそれらを区別せず,普段通りの顔で提案してくる。育て親である主人公が“食事”として見られることはないが,育成中の神竜がいかに恐ろしいものなのかは十分に理解できるだろう。
親交を深めた住民を指して「これ食べていい?」と真顔で聞かれたとき,本作が“単なる育成ゲーム”ではないことを実感させられた。果たして,この無邪気で恐ろしい神竜を育てた先には何が待っているのか……それはぜひ,自分の目で確かめてほしい。
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全体を通して見ると,DRAPLINEはコンパクトながら丁寧に作り込まれた作品で,随所にこだわりと完成度の高さが感じられる。育成の仕組みは「プリンセスメーカー」や「モンスターファーム」に近いものを感じたが,それらの要素を分解して本作ならではの形へと再構築されており,遊んでいて気持ちの良いゲームになっていた。
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現状ではメインシナリオの難度が低く,有効なビルドの自由度にも多少気になる部分はあるものの,アーリーアクセスが始まった直後のゲームだと思うとそのクオリティは驚かされる。Steamストアページでは体験版も公開されているので,興味を持った人はまずそちらをダウンロードして遊んでみよう。
今後は正式リリースに向けて開発が行われ,2025年末〜2026年夏まで段階的にコンテンツが追加されるとのこと。このあたりの情報は,Steamのページや開発者のカナヲ氏のX(@kanawo_tu0)などでチェックしよう。
現在実装されているシナリオもエンディングまで到達可能なので,今のうちに遊んでおいて,新要素が追加され次第周回をするのがオススメ。神龍はもちろん,ゲームそのものの成長も楽しく追いかけたい作品だ。
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カナヲ(照八木とまこ)氏のXアカウント
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- プレイ人数:1人
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- ライター:蒼之スギウラ
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