連載
カギ棒で跳び,地下廃墟を脱出する不思議な雰囲気のADV「Hypogea」(ほぼ日 インディーPick Up!)
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ここはどこなのか
自分が何者なのか
記憶はない
手には一本の「カギ棒」
眼前に広がるのは
機械たちがうごめく巨大な地下構造物の廃墟だ
彼はただ
この不思議な深淵からの脱出を目指し
一歩を踏み出す
本日紹介する「Hypogea」は,プレイヤーが杖を持ったロボットとなり,謎めいた地下施設からの脱出を目指す3Dプラットフォーマーである。本作の核となるのは,主人公が持つ「カギ棒」を使った移動アクションだ。この杖を使い,棒高跳びのように高くジャンプしたり,特定のポイントに引っ掛けてスイングしたりすることで,通常のジャンプでは届かない足場へと渡り歩いていく。
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探索の道中には,さまざまな仕掛けやパズルが待ち受けている。装置を修復して新たな道を開くなど,カギ棒のアクションを応用して進む場面も多い。また,敵対的な機械生命体との戦闘も発生する。戦闘はスタミナ制を採用しており,カギ棒での攻撃やジャンプにはリソース管理が必要だ。敵の動きをよく観察し,慎重に立ち回ることが求められる。
カギ棒に命をかける移動アクション
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本作の根幹を成すのは「カギ棒」による独特の移動方法だ。プレイヤーはこれを用い,棒高跳びのように高く跳び上がり,あるいはフックのように使ってスイングし,広大な立体空間を移動する。単なるジャンプとは異なる,このゲームならではの操作感覚が,探索そのものの楽しさを生み出しているといえる。
環境が語る言葉のない物語
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このゲームには,明確な台詞やテキストによる説明が存在しない。主人公が何者で,この世界がどうなっているのかは,出会う他のロボットたちの身振りや,廃墟となった環境の様子,無言の演出からプレイヤー自身が感じ取り,想像していくしかない。この「体験型」の物語の提示方法が,深い没入感を与えている。
懐かしさと凝縮された探索/p>
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ビジュアルは,2000年代初期の3Dゲームを思わせる,どこか懐かしさを感じるスタイルで作られている。ゲーム全体のプレイ時間も30分から1時間程度と非常にコンパクトだ。しかし,その短い時間の中に,探索,アクション,そして謎解きがシンプルながらもしっかりと詰め込まれており,密度の高い体験が可能となっている。
「カギ棒」による独特の移動アクション,言葉に頼らず環境で物語る手法,そしてレトロな雰囲気。これらが短時間の中に凝縮されているのが本作「Hypogea」だ。複雑なシステムや長い物語を求める人には向かないかもしれないが,ユニークな操作感の3Dプラットフォーマーや,雰囲気ある世界をじっくりと探索する体験を好む人にとって,記憶に残る一本となるだろう。
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