連載
悪夢と化した遊園地で妹を探すサバイバルホラー「Carnival Massacre」(ほぼ日 インディーPick Up!)
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錆びついた門をくぐると,そこは現実と妄想の境界が曖昧になった,極彩色の悪夢が支配する場所だった。
歪んだ音楽が鳴り響く中,かつて子供たちを笑顔にしていたはずのマスコットたちが,虚ろな瞳で彼女を出迎える。
本日は,個人開発者Norbert Barranyi氏が手掛ける「Carnival Massacre」を紹介しよう。本作は呪われた遊園地を舞台にしたサバイバルホラーゲームだ。プレイヤーは17歳の少女ハーレイとなり,行方不明の妹クロエを探すため,狂気に満ちた「ペブル・ワンダーランド」の奥深くを目指す。
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本作の特徴は,主人公が手にする「カメラ」を使った独特な立ち回りにある。このカメラは記録を残すためだけのものではない。フラッシュを焚くことで,迫りくる敵を一瞬だけスタンさせ,動きを止めることができるのだ。
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使用回数に制限はないが,一度使うと再使用までにわずかな時間を要する。この一瞬のクールタイムが,プレイヤーに冷静な判断を強いる。敵を怯ませてその隙に横をすり抜けるか,あるいは動きが止まった瞬間に貴重な弾丸を撃ち込むか。
カメラをただの道具としてではなく,生存のための武器として使いこなす必要がある。
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このカメラによる駆け引きを支えるのが,シビアなリソース管理だ。遊園地内で手に入る弾薬や回復薬は極めて少ない。さらに,持ち運べるアイテムの数にも厳しい制限があり,不要なものはセーブ部屋の保管ボックスへ預けなければならない。
どの武器を持ち,何を残すか。限られたスロットの中で最善の装備を整え,謎を解きながらエリアを切り拓いていく。往年の名作たちが持っていた,あの息詰まるような緊張感がここにある。
頼れる相棒はカメラの閃光
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序盤からショットガンなどの銃器は手に入るが,撃ちまくれるほど弾薬が手に入るわけではない。そこで重要になるのが,弾数無限のカメラだ。
敵と遭遇した際,貴重な弾を消費して倒すか,それともフラッシュで怯ませてその脇をすり抜けるか。あるいは確実に銃弾を当てるための足止めとして使うか。単に逃げるためだけではない,弾薬節約のための「攻めのカメラ運用」が攻略の鍵を握る。
金か命か,究極のリソース選択
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本作において「コイン」はただの通貨ではない。アイテムショップでの買い物に使うだけでなく,ゲームの進行状況を記録する「セーブ」にもこのコインが必要となる。
強力な武器や回復薬を買えば生存率は上がるが,その分だけセーブできる回数は減る。倒れればやり直しとなる緊張感の中で,手持ちの金貨を消費して安心を買うか,リスクを背負って装備を整えるか。プレイヤーは常に天秤にかけられる。
粗い画質が映し出す真の恐怖
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あえて解像度を落とした粗いグラフィックと,視界を制限する固定カメラの相性が抜群に良い。画面の端,荒い粒子の向こう側に何かがいるかもしれないという疑念が,プレイヤーの想像力を悪い方向へ刺激する。
敵もゾンビのような分かりやすい怪物ではなく,ピエロや着ぐるみといった本来は陽気な存在だ。それらが無機質な表情で迫ってくる様は,生理的な嫌悪感と根源的な恐怖を呼び起こす。
「Carnival Massacre」は,不便さを恐怖の演出として見事に昇華させた作品だ。3時間ほどでクリアできるコンパクトな内容ながら,その密度は濃く,常に死と隣り合わせの緊張感を味わえる。
現代の親切なゲームデザインに物足りなさを感じている人や,かつてラジコン操作で洋館を彷徨った記憶を持つすべての人に,この悪夢の入場券を渡したい。
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