連載
“自分の鳴き声”があちこちで響き渡る動物園経営ゲーム「MyVoiceZoo」(ほぼ日 インディーPick Up!)
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檻の中にいる彼らは,じっとこちらの口元を見つめている。難しい経営知識も,壮大なドラマも必要ない。ただマイクを握り,彼らに命を吹き込むのだ。
さあ,あなたの喉から飛び出す音で,静まり返ったこの場所を喧騒の渦に変えてしまおう。
本日は,TRUSOが手掛ける「MyVoiceZoo」を紹介しよう。本作は動物園経営を題材にした放置系シミュレーションゲームだ。プレイヤーは園長となり,殺風景な動物園を自分だけの愉快な楽園へと変貌させていくことを目指す。
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このゲームの特徴は,動物の鳴き声をすべてプレイヤー自身の「声」でまかなう点にある。
ゲームの流れはシンプルだ。まずはリストから動物を選んで購入し,園に迎え入れる。そこで初めてマイクの出番となる。録音した音声はその動物のボイスとして定着し,彼らが鳴くたびにチャリンチャリンと園の収益が発生する仕組みだ。稼いだ資金で新たな動物をアンロックし,また声を吹き込む。この循環を繰り返し,園を拡大していくのが基本となる。
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ユニークなのは,プレイヤー自身が園内を歩き回れる点だ。散歩していると,先ほど自分が吹き込んだ声がそこかしこから聞こえてくる。さらに,基本的には録音した「生声」がそのまま再生されるが,「風の丘」や「こだまの洞窟」といった特定のエリアを開放して動物を配置すれば,ピッチ変更や反響といった環境効果が付与される。
ただ漫然と広げるだけでなく,どこに誰を配置し,どのような響きを作るかという,音響監督のような視点も楽しめる作りになっている。
そのまま流れる「生声」の破壊力
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本作には,声を自動で動物らしく加工する便利な機能などない。マイクに入力したあなたの声が,一切のオブラートなしに再生される。ライオンの勇ましい姿から,自分の普段通りの気の抜けた声が聞こえてくるギャップは,何とも言えないおかしみがある。気合を入れて演じるもよし,あえて棒読みで吹き込むもよし。ビジュアルと音声のシュールな不一致を楽しむのが,本作の醍醐味だ。
「キャンプ」が生むカオスな合唱
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ゲームを進めると「キャンプ」という施設が購入可能になる。ここには複数の動物を配置でき,特定のルールに従って鳴き声を上げさせることができる。「森の合唱キャンプ」では全員が一斉に叫び,「雪山合唱キャンプ」ではランダムな順序で声を上げる。リズムも調和も無視したその不協和音は,もはや前衛音楽の域。意図的に会話のようなセリフを録音して,漫才のような掛け合いを作ってみるのも一興だろう。
最高のコミュニケーションツール
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自分ひとりで楽しむのも良いが,誰かと一緒に遊ぶことで真価を発揮する。「ちょっとこの動物の声やってみてよ」とマイクを渡し,友人の声で動物園が埋まっていく様子を眺めるのは格別の娯楽だ。
また,小さな子どもの声を録音してみるのもいい。舌足らずな声で鳴く動物たちは,とても愛らしく見えるはずだ。友人の家族と集まって互いの「声の動物園」を見せ合えば,間違いなく盛り上がるだろう。
「MyVoiceZoo」は,純度の高い「音遊び」のおもちゃだ。真面目な攻略など投げ捨てて,思いつく限りの自由な声を吹き込めばいい。最後にひとつ,個人的な提案をしたい。もし身近に小さなお子さんがいるなら,ぜひ彼らの声を録音して保存しておいてほしい。数年後,成長した彼らに「昔の君の声で鳴く動物園」を遊ばせてみるのだ。本作は笑えるゲームであると同時に,声の記憶を閉じ込めるデジタルなタイムカプセルにもなり得るだろう。
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