連載
おとぎ話×ブラック企業なペーパーRPG「さよならエバーアフター」(ほぼ日 インディーPick Up!)
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おとぎ話の世界は巨大企業に買収され夢や魔法は効率的な労働力へと書き換えられている。
書類の山に埋もれた城でかつての宿敵であるドラゴンのティンダーと背中を合わせ彼は退職届代わりの剣を抜く。
本日はSleepy Castle Studioが手掛ける「さよならエバーアフター」を紹介しよう。本作は資本主義とおとぎ話をテーマにしたRPGだ。プレイヤーは英雄フリントとなり企業の論理に支配された絵本の世界を取り戻す戦いに身を投じる。
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本作は「ペーパーマリオ」シリーズに影響を受けており,紙人形劇のような愛らしい見た目が見どころである一方,そのビジュアルを裏切るシビアな手触りの戦闘が特徴となっている。
通常攻撃やスキルそして防御のすべてにアクションコマンドが組み込まれておりその成功率が勝敗を分けるのだ。
例えば主人公のフリントなら投げた盾が戻る瞬間にボタンを押し,ティンダーならブレスのチャージを最適な瞬間に止める必要がある。
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これらは単なるボーナスではなく成功させて初めて本来のダメージが出る設計となっている。
防御時も同様に相手の予備動作を観察しコンマ数秒の攻防を制さなければならない。HPなどの数値は低く設定されており一度の入力ミスが大きな痛手となるバランスは常に程よい緊張感をプレイヤーに与え続ける。
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またフィールド探索も一筋縄ではいかない。相棒となるティンダーの火炎で障害物を燃やしたり高所にあるスイッチを狙い撃ったりと知恵とギミックを駆使して閉ざされた道を切り開いていく。
物語が進むにつれて行動範囲は広がり,以前は通り過ぎるだけだった場所が新たな道へと変わる。バラバラだったエリアが知識と能力によってつながり,自分だけの地図が埋まっていく過程には,探索型RPG特有の達成感がある。
一撃が重いヒリつく攻防
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本作のHPは序盤で10前後と低く,一度の防御ミスでその3分の1を削られることも珍しくない。この緊張感は攻撃時も同様でタイミング入力に成功して初めて本来のダメージが出るシビアな設計となっている。
攻守において一瞬たりとも気が抜けないが敵の動きを見極め完璧なタイミングでアクションを決める瞬間の心地よさは格別だ。
アクションが苦手な人にはオートガード機能も用意されており誰もがこの緊張感と達成感を味わえるよう配慮されている。
弱点を意識した戦略
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盾を持つ敵には炎を放ち,槍を構える敵には遠距離から攻撃するなど,敵ごとに明確な「正解」の手順が存在する。もし相手の装備を無視して安易に攻撃を仕掛ければ即座に手痛い反撃を受けることになる。
力任せに殴るのではなく相手を観察し適切な解法を導き出す知的な楽しさがここにある。
不本意な相棒との絆
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本来なら戦う運命にあったフリントとティンダーが,共通の敵である「会社」に立ち向かうために手を組む。最初は反発し合いながらも理不尽な労働環境を共に生き抜く中で徐々に奇妙な連帯感が生まれていく。その軽妙な会話の端々に,凸凹コンビならではのユーモアと,徐々に芽生える信頼関係が同居している点は見逃せない。
本作は,「ペーパーマリオ」シリーズへのリスペクトを捧げつつ,独自の歯ごたえあるアクションを追求した一作だ。見た目の愛らしさに油断して挑めば,その骨太な難度に驚かされるだろう。手応えのあるRPGを求めるゲーマーにこそ,この痛快な「退職劇」を体験してほしい。
- 関連タイトル:
さよならエバーアフター(Escape from Ever After)
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