連載
死と隣り合わせの状況下でカニ漁をする「Crabmeat」(ほぼ日 インディーPick Up!)
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少し借金をしただけで市民権を奪われ,この船に送り込まれた。首に埋め込まれた毒のカプセルが,7日後の期限を静かに刻んでいる。
ノルマを満たせなければ,自分だけでなく家族の未来も終わる。
本日は,Nicholas McDonnell氏とMitchell Pasmans氏が手掛ける「Crabmeat」を紹介しよう。
本作は南極海でのカニ漁を題材にした一人称視点のサバイバルホラーゲームだ。プレイヤーは「フュードステート」と呼ばれる国家に借金の罪で市民権を剥奪された囚人となり,7日以内にミナミタラバガニのノルマを達成することを目指す。
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このゲームの特徴は,すべての操作をマウスクリックだけで完結させるポイント&クリック型の操作体系にある。
船橋で舵輪を回し,スロットルレバーを操作して船を進め,ナビ画面でカニの多い海域を選んで移動する。漁場に着いたら錨を下ろし,船尾デッキでカゴに餌の魚を入れ,海に投下。時間が経ったらハープーン銃でラインを引っかけて罠を回収し,仕分け機でミナミタラバガニだけを選り分ける。
この「移動→設置→回収→仕分け」のサイクルを毎日繰り返しながら,クォータの達成を目指すのが基本の流れだ。
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ただし,漁を続けるうちに船内には異変が起き始める。エンジンルームに侵入した巨大なカニや,船体を襲う異形の甲殻類に対し,斧などの近接武器で応戦しなければならない場面も出てくる。荒天や氷山による船体の損傷にも対処が必要で,日を追うごとに状況は厳しくなっていく。
リアルなカニ漁
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カゴに餌を入れて海に投げ込み,しばらくしてから回収に向かい,クレーンで引き上げる。カゴの中にカニがぎっしり詰まっていれば歓声を上げたくなるし,スカスカなら頭を抱える。まさに,ディスカバリーチャンネルの「ベーリング海の一攫千金」でみたカニ漁そのものだ。
さらに回収後には仕分け作業が待っている。タンク側と海側に2つのゲートがあり,ミナミタラバガニだけをタンクに流すのだが,タンク側を開けたまま油断すると魚がビチビチ跳ねながらタンクに落ちてしまう。逆に海側のゲートを開けた瞬間,貴重なカニが逃げていくこともある。
たった一人の船が生む恐怖
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本来ならただのカニ漁シミュレーションで済むはずの内容が,なぜホラーになるのか。その答えはまず「孤独」という点にある。
「ベーリング海の一攫千金」では大勢の船員がいて,キツくても仲間と笑い合っている。だが本作では,薄暗い船内にいるのは自分だけだ。どこかが壊れたら,自分一人で修理に向かうしかない。そしてそこに,巨大ガニの襲撃が加わる。
船内から聞こえる金属音の正体を確かめに行くと,とんでもないサイズのカニがエンジンを叩き壊している。そんな化け物を斧で相手にしなければならない。いつ現れるかわからないこの脅威が,漁の合間にも常に緊張を走らせる。
「Crabmeat」は,カニ漁という題材をホラーに仕立てた風変わりな短編だ。マウス操作だけで船のあらゆるシステムを動かすという独特な手触りと,単調な漁労ループが生む不穏な空気感は,ほかのホラー作品ではなかなか味わえないだろう。
2〜3時間でひと通り遊べるコンパクトな作りながら,ノルマ達成の成否やプレイ中の行動で結末が変わる周回要素もある。「ベーリング海の一攫千金」が好きな人,そしてディストピアものの風刺が好きな人にはぜひ触れてみてほしい一作である。なお,現時点ではゲーム内の言語は英語のみとなっている。
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