「2時だとか 1st ワンマンライブ」レポート。“マリカ”で始まり，新曲披露と3D共通衣装で沸いた一夜を振り返る

　2025年6月4日，東京都内の豊洲PITにて，VTuber / バーチャルライバーグループ「にじさんじ」所属ライバーによるバンド「2時だとか」のライブイベントが開催された。本稿では，バンド演奏と歌唱で観客を魅了し，大盛況のうちに幕を閉じた本公演の模様をレポートしていく。

　なお，本ライブの配信視聴チケットは，6月22日23：59まで購入可能で，視聴期間は6月23日23：59までとなっている。以下，ライブ内容のネタバレを含むため，これから視聴を予定している人はご注意いただきたい。

「2時だとか 1st ワンマンライブ」公式サイト

　「2時だとか」とは，不破 湊さん（Gt.），渡会雲雀さん（Vo.），イブラヒムさん（Gt.），ローレン・イロアスさん（Ba.）によるバンドで，過去に実施された「にじさんじフェス2023」や「にじさんじ歌謡祭2024」にも出演している。今回は初のワンマンライブということもあり，どのようなパフォーマンスで魅せてくれるのか，筆者も前々から注目していた。

　開演時間になると，出演者4名の映像がスクリーンに映し出され，いよいよイベントがスタートした。最初はバラエティパートということで，「マリオカート8 デラックス」のゲーム画面がスクリーンに登場。「ようこそお越しくださいました！」「はじまりといえばこれですよね！」と話す4名に，客席は驚きつつも，どこか彼ららしい空気感に包まれ，会場は大いに盛り上がった。


　今回は“CPUつよい”設定で，全6レースの合計ポイントを競う展開に。一番ポイントを多く獲得した人が勝者となるルールが採用された。4人全員が色違いのヨッシーを選び，豊洲PITでのマリカ対決が幕を開ける。

　1コース目は「DKマウンテン」。イブラヒムさんが「DKマウで良いと思う人〜！」と客席に問いかける場面もあり，リアルイベントならではの掛け合いが楽しめた。

　「青甲羅（トゲゾーこうら）来たら教えてー！」「ゲッソーやばすぎる」といった声も飛び交うなか，キラーなどを駆使して4位から1位への見事な逆転を見せたのはイブラヒムさん。会場には大きな歓声が響いた。


　続いてのコースは，観客からの要望が多かった「ベビィパーク」に決定した。運要素の強いこのコースに，出演者たちからは「嘘だろ」「俺やっと1位獲ったのに」といった声が飛び交う。

　シンプルながらもハラハラする展開となったレースを制したのはローレンさん。キノピオ（CPU）と同率順位になってしまった渡会さんがキノピオのモノマネを披露し，序盤からステージ全体が笑いに包まれた。

　その後は，渡会さんがBGMが好きだと語る「ココナッツモール」や「DKスノーボードクロス」「パリプロムナード」などで接戦が続いた。

　そしてラストは，「にじさんじ」らしく再び「ベビィパーク」を選択。2位のイブラヒムさんに1ポイント差で勝利し，優勝を飾ったのは不破さんだった。今年5月に開催された「第7回マリオカートにじさんじ杯」で準優勝した彼の実力が，あらためて証明された。


　4人の円陣に心を動かされたファンも多いなか，いよいよお待ちかねのライブパートが始まった。最初に披露されたのは，「READY STEADY GO」（L'Arc〜en〜Cielカバー）。観客も曲に合わせて拳を掲げるなど，会場内の熱気が一気に高まっていく。

　不破さんのギターソロに加え，イブラヒムさんとローレンさんが曲中に向かい合う場面もあり，1曲目から見応えたっぷりのパフォーマンスだった。


　続いて披露されたのは，「オレンジ」（SPYAIRカバー）。彼らは「にじさんじ歌謡祭2024」でも，同じくSPYAIRの「イマジネーション」をカバーしており，当時のパフォーマンスを思い出したファンも多かっただろう。照明の明暗差が楽曲の雰囲気をいっそう引き立て，ステージ全体を印象的に彩っていた。


　MCではバンドメンバーの紹介に加え，渡会さんがライブ前日に投稿した動画（該当ポスト）についても言及された。この動画は，実はスタジオからのリアルタイム投稿だったことが明かされ，4人がこの日のために一生懸命準備を重ねてきた様子が伝わってくるひと時となった。

　続く楽曲には“とあるテーマ”があるそうで，実際に聴きながら当ててみてほしいとのこと。手拍子やコールといった客席との掛け合いも見られた「いーあるふぁんくらぶ」（みきとPカバー）では，渡会さんと不破さんが曲中に振り付けを披露した。

　続く「ないものねだり」（KANA-BOONカバー）では，原曲の一部を再現したMVがスクリーンに投影され，見る目が足りないと思ったのは筆者だけではないだろう。


　楽曲終了後には，「豊洲PITに炒飯が届きました〜！」というアナウンスとともに，実際に4人が炒飯を食べる様子も確認できた。水を飲むイブラヒムさんに観客が「水おいしい？」と問いかけた場面では，「このやりとり何度も見てきたけど，自分がやるとは思わなかった」と語っており，リアルライブに出演していることをあらためて実感させるようなやりとりとなった。

　また，先ほど演奏された2曲のテーマが“中華”だったことも明かされ，会場を和ませた。


　炒飯でエネルギーをチャージした4人は，「走れSAKAMOTO」（Vaundyカバー），「Sign」（FLOWカバー）と，人気アニメの主題歌を続けて演奏していった。「7th Trigger」（UVERworldカバー）では，渡会さんが見事な口笛を披露し，観客を次々と魅了していた。


　ここからは，4人がパートをシャッフルしてのパフォーマンスに。スクリーンにはスロット風の映像が映し出され，演出面でも楽しませてくれた。今回ボーカルを務めたのは不破さん。「バクチ・ダンサー」（DOESカバー）を力強く歌い上げた。

　不破さんの歌に合わせて，ギターソロを奏でる渡会さん，同じくギターを担当したローレンさん，そしてベースのイブラヒムさんと，普段とは異なる編成での姿が見られたのもうれしいポイントだった。


　彼らの実力が発揮されたこの新たな試みに，客席からは大きな歓声が上がった。普段とは異なる楽器に挑戦したローレンさんは，「大変だなって……」と，猛練習を重ねたことがうかがえる感想を口にしていた。

　ファンからも好評だったこの企画に「もう1回シャッフルしましょう！」と応じたのは不破さん。再びスロットの映像がスクリーンに映し出されていく。「敗北の少年」（kemuカバー）を歌唱したのはローレンさんで，「まだまだ盛り上がっていけるだろ？」という呼びかけに，会場のボルテージも一段と高まった。

　演奏後には，不破さんが「最後の曲みたいになっていたよ」とコメントし，会場の笑いを誘う場面も。メンバーからも「楽しかった」「難しかった」といった三者三様の感想が寄せられた。


　早くも残り1曲……ということで，「例の“アレ”ですか？」「これはもしや……」と，トークや演奏で特定の楽曲を匂わせる4人。最後に披露されたのは，「2時だとか」初のオリジナル曲「狂騒RIOT（Demo Ver.）」だった。スモーク演出や観客のコールが響き渡り，最後まで熱気に包まれたステージとなった。


　ここで出演者たちはいったん降壇し，ライブは終了……かと思われたが，アンコールに応えて再びステージへ登場。共通衣装をまとい，最後に歌い上げたのは「アカシア」（BUMP OF CHICKENカバー）だった。

　後方スクリーンには，これまでの活動の軌跡が映し出され，その歩みを振り返る演出に。終盤には，渡会さんによる美しいビブラートも響き渡り，彼の歌唱力をあらためて印象づけた。


　本ライブで3D共通衣装が初お披露目となったのはイブラヒムさん。青を基調としたその衣装は，同じく青いギターとの相性も抜群だった。メンバーからは「メチャメチャカッコ良いじゃん」「いつ見れるのかなって思ってた」といった祝福の声が上がり，衣装のこだわりについて尋ねられたイブラヒムさんは，“通常衣装をモチーフとした帯部分”などを挙げていた。

　また，かわいさがプラスされたヘアアレンジでファンを驚かせた渡会さんも，「美容室行ってきた（笑）」と語り，注目を集めていた。


　ライブも終盤に差しかかり，告知コーナーでは1st Singleのリリース（該当ポスト）や，追加ライブグッズの販売（該当ポスト）が発表された。さらに，出演者からも1人ずつ感想が寄せられ，「また2nd（ライブ）やろうね」（不破さん），「皆の応援のおかげでメチャメチャ頑張れた」（渡会さん）といった言葉で，それぞれの想いが語られた。

　そして，「最後は皆も知っているあの曲で……」と歌い上げたのは，「にじさんじフェス2022」のイメージソングとしても知られる「Hurrah!!」。ステージ上からは銀テープも放出され，最後は「ありがとう！」の挨拶で，温かな雰囲気のままライブの幕が下りた。

「2時だとか 1st ワンマンライブ」公式サイト