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「TwitchCon 2025」開催。10周年を迎えた記念イベントで「デュアルフォーマット配信」や「オートクリップ機能」などをアナウンス
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印刷2025/10/20 18:06

イベント

「TwitchCon 2025」開催。10周年を迎えた記念イベントで「デュアルフォーマット配信」や「オートクリップ機能」などをアナウンス

 ライブストリーミング配信プラットフォーム「Twitch」のコミュニティイベントとして今年で10周年を迎えた「TwitchCon」が,アメリカ現地時間の2025年10月17日から19日にかけて,カリフォルニア州サンディエゴにあるサンディエゴ・コンベンションセンター(San Diego Convention Center)にて開催された。
 オープニング基調講演では,プラットフォームに関する多くの新発表が行われ,その中には「デュアルフォーマット配信」「AIグラスでの配信」「オートクリップ機能」,そしてすでに議論を呼んでいる「有償の代表者をモデレーターとして特別な役職を持たせる」という新制度などがアナウンスされている。
 業界関係者やコンテンツクリエイター,そしてファンら2万3000人が集まり,熱狂に包まれる中,4Gamerも招待される形で現地取材を行ってきたので紹介しておこう。

カリフォルニア随一のリゾート都市,サンディエゴのコンベンションセンターでTwitchConが開催された
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 多くのゲーマーにはお馴染みであろうTwitchは,2011年にライブストリーミングを行うJustin.tvからゲームに特化したプラットフォームとして派生する形で立ち上がったサービスだ。2014年8月にAmazonに買収される形で多くのファンに定着。現在では,1日あたりの総計で220万人というユーザーが,毎日8万件を超えるというストリーマー(ライブ配信者)たちのコンテンツを視聴し,ゲーム以外にも音楽やライフスタイルなど様々なコンテンツを楽しめるようになっている。

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 筆者は10年前,カリフォルニア州のサンフランシスコにて開催された第1回に興味本位で参加し,その様子を連載の「Access Accepted第474回:ゲーム実況という新たなカルチャー」(関連記事)でまとめたことがある。
 そこでは「手作り感のあるイベント」と評していたが,この10年の間にライブストリーミングを取り巻く環境,つまり消費者動向の変化だけでなく広告媒体としてのビジネスモデルも確立したことで,イベントそのものも大きく成熟したのを感じた。

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 筆者は,「旅するゲームジャーナリスト」を名乗ろうかと思うほど,コロナ禍が明けてからは海外に出張して各地のゲームイベントを見て回っているが,TwitchConはそうしたゲームイベントの中でも非常に独特な雰囲気を作り上げている。
 コンベンションセンターを大きな1つのバスケットに見立てると,ゲームやeスポーツ,コンテンツクリエイター向けのギアやソフトウェアの紹介,さらにゲームだけでなくコスメやアートなど,個別のフルーツが盛られているように幅広いジャンルのブースやイベントが展開し,参加者は自分たちの趣味に合わせて楽しんでいる。

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 しかも,Twitchとメーカー,Twitchとストリーマー,メーカーとストリーマー,さらにはストリーマーとコミュニティがそれぞれに関係を構築しており,1つの巨大なエコシステムを背景とする一体感が感じられるのだ。
 コンベンションセンター内外であろうが,エキスポフロアであろうが,ライブストリーミングしている人たちが行き交い,あちらこちらで手を振ったりハグしたり,楽しそうに談笑している姿が見られる。
 その距離の近さは,これまで筆者が参加したことのあるゲームイベントやファンミーティングにはないもので,この大きなコミュニティがTwitchの原動力の1つになっているのは間違いないだろう。


モバイルや配信形式の強化


オープニングセレモニーに登壇したTwitchのCEO,ダン・クランシー(Dan Clancy)氏。本誌ではインタビューも行っているので,後日紹介したい
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 Twitchは,今年初めに開催されたTwitchCon Europe(オランダ)にて,「デュアルフォーマット配信」外部リンク)という新しい機能をアナウンスしている。
 これは,縦型と横型の両方のフォーマットで同時にライブ配信できるようにする機能であり,PCでライブ配信していた通常スクリーンのゲームのマッチや紹介から,その隣に縦に置いた携帯電話を使っての自分のクロースアップによるトークを瞬時に切り替えたり同時に配信したりするサービスだ。
 すでに8月からαテストが実施されており,今週(10月第4週)から多くのストリーマーを使ったβ版へと移行することがアナウンスされた。

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 このデュアルフォーマットは,当初はOBSとAitum Verticalのプラグイン形式であったものが,より多くのストリーマーも無理なく対応できるよう,今後はStreamlabs,Streamrun,StreamElementsも対象にするという。現在,40%のTwitchユーザーはモバイルで視聴し,新規ユーザーの75%はモバイルでアクセスしているという傾向からも,モバイルプラットフォームでの配信が重要視されているのがわかる。


Meta AIグラスのサポート


 Metaとの提携も正式にアナウンスされており,ARグラスを使ったハンズフリーのライブ配信も近日中には可能になる。こちらは数か月以内に再度アナウンスされるようで,Twitchの次期モバイルアップデートで実装するという。
 モバイルソフトウェアの向上とともに外国語の自動翻訳機能なども実装した映像をストリーミングできるようになると思われ,トラベル系ストリーマーに利用されることになるかもしれない。

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エンゲージメントを高める「自動クリップ」


 視聴者が以前の配信で見逃したかもしれない最高の瞬間を再び視聴できるよう,「自動クリップ」という新機能を開発中だ。この機能は,AIと配信中のさまざまなシグナルを活用し,配信中の最高の瞬間に基づいてクリップを自動的に作成する。
 例えば,新しい動画の冒頭で,「前回から続き」というような冒頭でキャッチーな短いクリップを用意するのは,コンテンツクリエイターにとっては視聴者のエンゲージメントを高めるうえで非常に重要なフィーチャーの1つと言える。これまでの利用は編集を専門とする映像チームがいるような人気ストリーマーが中心で,一人ですべてをこなす中小のストリーマーは時間を割くのは難しかった。

 現在クリップ機能を使っているのは4人に1人のストリーマーだそうだが,何も話していないシーンや動きのない部分を自動でカットし,AIが「盛り上がり」や「楽しい会話」などの瞬間を理解することで,最適なクリップを作成してくれるようになるという。
 より多くのコンテンツクリエイターが利用することにより機械学習の精度も上がり,多くの人がクリップ動画を利用できる。自分でクリップを作りたい人には自動化をオフにするとことも可能で,デフォルトのフィーチャーになる模様だ。


ウォッチストリーク(連続視聴記録)


 すでに数年前から幾つかのチャンネルで限定的に実験運用されてきた「ウォッチストリーク」とは,視聴者が特定のチャンネルをどれだけ連続でリアルタイムに視聴しているのかをトラックし,それによってリワードを与えやすくするというものだ。自分のタグの隣にマークが表示されることにより,流れるチャットでも目立ちやすくなるため,ストリーマーからも見逃されにくくなる。
 これまでは,「ストリーマーの急な都合などで配信時間が変更されると,見逃してしまって記録が失われる」というような声もあったため,配信終了から24時間以内にクリップ・ストーリー/VODを視聴すれば記録は維持できるというという緩い設計に変えられたようだ。上記の自動クリップ機能も,ウォッチストリークと連携することでファンとストリーマーのつながりを高めることを可能にするだろう。


Coストリーミング


 今年後半に利用可能になるフィーチャーとして,「Coストリーミング」もアナウンスされた。これは,人気のストリーマーが別のストリーマーを支援する目的などで複数のチャンネルで同時に配信を行った際に,その合計視聴者数を表示できるようになるというもの。
 ストリーマーは自身の配信を「Coストリーム可能(Co-Streamable)」に設定して他の配信者を誘い,イベント開催者は「ミラー配信」への参加許可を出すという流れになるという。このアップデートにより,Twitch上で開催されるユーザーイベントの実際のリーチ(到達数)を明確にし,実数を可視化することができるようになるというわけだ。


ストリーマーの収益支援


 ストリーマーが自分のコミュニティと楽しみながら収益を得やすい環境を整えるため,Twitchでは新たなシステムが試行錯誤されているが,6月のロッテルダムでのイベントでデモが公開された「コンボ」は,視聴者がワンタップで「笑う馬」や「踊る恐竜」といったアニメーションを発動できるというもの。視聴者が力を合わせてビッツでチャンネルを支援し,配信で盛り上がる瞬間を作り出す演出の1つであるという。

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 また,同じイベントではストリーマーが独自のプロモーションを行えるようになっており,Twitchではサブスクマラソンや記念日,ランダムイベントなどが盛り上がりを見せているという。
 8月に開催された「SUBtember」(https://blog.twitch.tv/en/2025/08/12/subtember-2025/)のようなイベントが成功したことで,ストリーマーがコミュニティへの報酬を増やしながら,より多くの収益を獲得できる機会が可視化されている。中規模のストリーマーであれば,独自主催するプロモーション期間中のギフト収入が平均30〜45%増加し,最大で250%にも達するケースもあったという。

 さらに,ストリーマーはクリエイターダッシュボードから直接スポンサーを獲得できるようにアップデートされており,スポンサーシップのタブにはクリエイターのプロフィールが表示されるようになったことで,そのコンテンツやコミュニティの規模などの情報がわかりやすく表示され,スポンサーにも伝達しやすくなったとのこと。
 このシステムは,今後数か月以内に,アフィリエイトで収益化しているストリーマーを含むクリエイター全員に向けて導入される予定だ。


安全性&モデレーション


 Twitchは,配信者と視聴者の安全性を確保し,信頼できるつながりを構築することを重要視しているが,ストリーマーが利用停止を受けた場合に,アカウント情報の確認のためだけであってもTwitchにログインできなくなってしまうことは不満の原因になってきたという。
 そのため,今後はTwitchへのアクセスを完全にブロックするのではなく,深刻度の低い違反については,ルールに違反した行為に利用停止措置を適用するように,コミュニティガイドラインの違反に対するペナルティ措置を改善するための作業を行っている。
 つまり,配信で深刻度の低い違反を行った場合は,一時的に配信を停止される可能性はあるが,チャットをしたり,他のストリーマーの配信を視聴したりすることは可能になるとのことで,ルールに違反した行為に対してのみアカウント停止措置を適用する方針に変更させるというわけだ。

 また,クリエイターが成長するにつれて,チャンネル運営のあらゆる責任を管理するのは困難になるため,2つの新しい役割が導入される。1つ目は「エージェント」「マネージャー」,その他の「代理人」というカテゴリーで,ユーザーはアナリティクスと収益やオーディエンスの統計データを含む財務情報,スポンサーシップの機会に関する最新情報を確認できる。
 もう1つは「モデレーター責任者(リードモデレーター)」で,他のモデレーターを追加したり削除したりするという権限を担い,ストリーマーの日々のモデレーション管理の負担を軽減することを目的に配属できる。このシステムは11月中にもアップデートが行われるという。

 今回のTwitchCon 2025では,人気ストリーマーの女性が握手会(実際は挨拶会というべきもの)にて男性ファンからいきなりハグされるという事件が起きており,すでにイベント参加のセキュリティが強化されている。次回からはさらに厳格になりそうというのは残念なところであろう。


TwitchCon 2025パートナー企業の発表まとめ


Streamlabs
「Stream Shift」ツール発表 
モバイルからPCへのライブ配信をシームレスに切り替える新機能(Tubboの発想から誕生)。

Quantic Dream
新作「Spellcaster Chronicles」のライブショーケース
世界初の実機プレイ披露,クリエイター向けプログラム,ロードマップ発表を実施。

Toyota
「Toyota GRIP」映画トレイラー公開
一般公開前にTwitchCon会場限定で初上映。

Netmarble
「Solo Leveling: ARISE OVERDRIVE」試遊版の初公開
待望のアクションゲームを来場者限定で体験可能。

Embark Studios
「ARC Raiders」Server Slam開催
10月17〜19日に開催されたサーバーテストを,TwitchCon期間中にも限定テスト実施。

Krafton
「PUBG」新PvEアーケードモード体験 
「スキビディ・トイレ」などの敵と戦うカオスなモード,10月末に正式リリース予定。 

e.l.f. Cosmetics
Twitch × Amazonとの新提携発表 
配信中にそのまま商品購入が可能な「ストリーム内ショッピング機能」を初実装。
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    アトラクション/参加型イベント

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