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[gamescom]子供と家族でプレイ。フィギュアを使って操作するタブレットゲーム「ONiRi Island」とは
それでもなお,スマートフォン(正確に言えばタッチパネル)を使った新しいインタフェースのゲームを作ろうとする人がいなくなったわけではない。その興味深いチャレンジ作品がgamescomのIndie Arenaにも展示されていたので,レポートしよう。
フィギュアで操作するタブレットゲーム
「ONiRi island」と名付けられたこの作品は,タブレット専用のゲームとなる(iOS/Android)。2人プレイのCo-opゲームで,プレイヤーの対象年齢は6歳〜10歳およびその親。ゲームというよりは,子供向けのインタラクティブ・トイという側面が強い。
プレイヤーは双子のMinaとTimのいずれかになって,不気味な事件が起きているONiRi島を探索していく。プレイヤーは相互に協力することで,発生している問題を解決したり,あるいはONiRi島の住人(動物)たちから話を聞いたりする。
本作が最も特徴的なのは,画面をタッチするのではなく,水平に置いたタブレットの上にフィギュアを置いてプレイするという点だ。フィギュアの底には小さな突起がついており,これによって「どのフィギュアがどこに置かれているか」を検知する仕組みとなっている。
2つのフィギュアを同じ方向(右隅とか左隅とか)に置くと,画面はそちらの方向にスクロールしていく。マップの中にはアイテムが落ちていることもあって,それらはドラッグ&ドロップで拾うことが可能だ。アイテムを使う場合も,使いたい場所に向けてドラッグ&ドロップで統一されている。
またマップ上にはさまざまな動物キャラクターが配置されており,セリフアイコンがある場合は,それに触れることで話を聞くこともできる。
写真では少し分かりにくいが,画面中央やや左下にナイフが落ちている。実際の画面で見るとかなりコントラストがはっきりしているので,見落としにくい |
画面下方向に2つのフィギュアを置くと,下方向に向けてスクロールしていく。 |
実のところ「ドラッグ&ドロップでアイテムが拾える」というのは,直感的とは言いがたいところはあった(教えられないと気づきにくい)。ただ本作は子供だけでプレイするのではなく,親子でプレイすることを前提にしているということなので,親が理解していればそれで大丈夫という考え方もある。
物語はピーターパンに登場するロストボーイズをモチーフとして,それを現代的に再解釈したものだという。この物語もまた,子供が一人で遊んで楽しんだり理解したりするというよりは,親が一緒に遊んで子供に教えることを前提とした構成になっているそうだ。
ブラッシュアップの余地は大きいが,可能性も大きい
デベロッパであるTOURMALINE StudioのCo-Founder/Creative DirectorであるMarion Bareil氏 |
その「引っ掛かり」として上ではドラッグ&ドロップのUIを指摘したが,スマートフォンゲームに古来からつきまとう「指が置かれている場所は,画面も塞がれてしまう」という問題は,やはり本作においても避け得ぬ課題となっている。簡単にいえば,フィギュアの下に潜り込んだ情報が,必要以上に「気になる」のだ。
これは実に面白いもので,「フィギュアで中途半端に隠されている」ことによって,逆に注意がそちらに集中してしまう。結果,どうしてもフィギュアを画面から離し,下に何があるのかを確認したくなる。おそらくこのことは,プレイヤーが子供であればより一層頻繁に起こるのではないだろうか。
隠れてしまったテキストが非常に気になる |
とはいえ,このようにフィギュアを実際にタッチパネル上に置いてゲームをプレイするという方式には,まだまだ可能性も眠っていれば,探索する余地もあるように感じた。物理的なグッズをゲームに取り込む手法としても,応用範囲が広い技術であるように思える。
「ONiRi island」は2017年にKickstarterでのクラウドファンディングキャンペーンを開始するとのこと。ゲームUIにしてもまだまだ発展途上ということで,今後のブラッシュアップに大いに期待したい。
「ONiRi island」公式サイト
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