家庭用ゲーム機「PC-FX」が30周年！　ローンチタイトルの「バトルヒート」「TEAM INNOCENT」「卒業II FX Neo Generation」を懐かしむ

　家庭用ゲーム機の「PC-FX」が，2024年12月23日に30周年を迎えた。PlayStationやセガサターンと同じ年に発売された「PC-FX」は，日本電気ホームエレクトロニクス（現：NECホームエレクトロニクス）が，「PCエンジン」シリーズの後継機として，ハドソンと共同開発したものだ。

PC-FX

　当時としては珍しい，縦型タワータイプの外見で，ゲームソフトの媒体に，PCエンジンのCD-ROM²と同じCD-ROMを採用。拡張性を高めるため，いくつかのスロットも用意されていた。

拡張スロットは，本体の前面と背面，底面にひとつずつ

こちらは，PCエンジンとCD-ROM²が一体化した，PCエンジンDUO-R

　動画再生に強く，発売されたゲームには“なめらかで美しく動くアニメーション”を売りにしていたものも多かった記憶がある。ただ3DCG機能は弱く，それが原因でハード戦争に負けたと言われることもあるようだ。

　家庭用ゲーム機としてはかなりマイナー寄りの「PC-FX」だが，ネットで調べたところ発売されたソフトは62本とのこと。これまたマイナーな「3DO REAL」ですら300本を超えているようなので，その少なさにいまさらながら驚いてしまった。

　とはいえ，読者の中には「PC-FX」に思い入れがある人もいるだろう。筆者もその一人で，「女神天国II」をひたすらに遊んでいた時期もあった。

ゲームジャンルは戦略シミュレーション。女神側とヤミメガ側で目的は違うのだが，どちらでプレイする場合でも信者を多く集める必要がある。信者のタイプは「インテリ」「マッチョ」「ノーマル」「アブノーマル」「ナンパ」「フレッシュ」の6種類で，“誘惑”や戦闘での勝利によって増やせる。また女神は着せ替えが可能となっており，各信者の好みの服を着ていると，獲得数が増えたりした

　ほかには，どのソフトを持っていたのかと思い立ち，家の納戸を漁ったところ，動くかわからない本体と12本のソフトを発見。なかには，ローンチタイトルである「バトルヒート」「TEAM INNOCENT」「卒業II FX Neo Generation」もあったので，錆びついた記憶を頼りに，どんなゲームであったかを紹介したい。

バトルヒート

　どことなく“世紀末救世主伝説”を思わせる「バトルヒート」は，ハドソンから発売された。ジャンルは対戦型格闘ゲームなのだが，感覚的には攻守交代制のターンバトルに近い。
　攻撃側が技を選んだあと，制限時間内に受ける側が反撃や防御，回避などを選択。うまく返すことができれば，受け手側が攻撃に転じる形だ。

通常攻撃のほか，コマンド入力が必要な必殺技もある

　動作のすべてがアニメーションで描かれていることが特徴で，ド派手なアクションシーンは見ていておもしろい。ただ攻略パターンが少ないので，飽きは早かったかも。
　筆者は，TVアニメのようなオープニング（曲：Ever Lasting Dance）と，エンディング（曲：逢いたい君がいない）がお気に入りで，プレイはしなくともたびたびゲームを起動していた。

操作できるキャラクターは反乱軍と帝国軍に分かれており，全部で8人

TEAM INNOCENT -The Point of No Return-

　遺伝子操作によって創られた3人の少女が主人公の「TEAM INNOCENT」は，ハドソンが発売したアドベンチャーゲーム。3Dで描かれたフィールドを，2Dのスプライトで表示されたキャラクターを操作して探索するタイプで，攻撃アクションが必要な戦闘も発生する。


　特殊機関「TEAM INNOCENT」に所属する「沙姫」「リリス」「エリアル」のうち，現場に出るのは沙姫のみ。情報収集や指示を担当するリリスと，メカニカル的なサポートを担当するエリアルは，後方から支援してくれるといった設定だ。


　ゲームシステムはオードソックスだが，物語が良かった記憶がある。とある科学者が，禁忌である人類の遺伝子操作によって創り出した彼女たち。幼いころ，GCPO（銀河中央警察機構）によって救出されたのち，GCPOの司令官が設立した「TEAM INNOCENT」に所属することに。ゲーム中では，彼女たちの生まれの謎についても描かれていた（はず）。

取説は，設定資料集が充実

卒業II FX -Neo Generation-

　育成シミュレーション「卒業II FX -Neo Generation-」は，1994年5月にジャパンホームビデオ（JHV）が発売した，PC用ソフト「卒業II -Neo Generation-」の移植作。「PC-FX」版は，日本電気ホームエレクトロニクスからの発売だ。「卒業」シリーズは名前を聞いたことがあるものの，どうしてか本作を含めプレイした記憶があまりない。


　ゲームは，私立清華女子高等学校の教師となって，5人の生徒を無事に卒業させることが目的だ。生徒たちは自主的に課題を進めていくが，問題も多いので，必要に応じてスケジュールを変更していく……と説明書には書いてある。


　キャラクターデザインは，漫画家やイラストレーターとして活躍している，こばやしひよこさん。「同級生」や「下級生」シリーズと混同していて，なんとなくエッチなゲームのイメージがあったのだが，至って健全な作品であった。姉妹作に，アイドルを育てる「誕生 -Debut-」がある。

登場する生徒たち

　約30年振りに引っ張り出してきた「PC-FX」のローンチタイトルは，いまでもプレイできるほどに状態が良かった。年末年始を利用してコントローラを探し出し，さらに本体をチェック。動くようなら久々に遊んでみようと思う。

　なおローンチタイトル以外で所持しているタイトルは下記の通り。あと50本買えば「PC-FX」のソフトをコンプできるようなので，挑戦してみるのもありかも。

・「キュティーハニー FX」
・「ミラークルム -ザ・ラスト・レベレーション-」
・「お嬢様捜査網」
・「女神天国II」
・「同級生2」
・「ドラゴンナイト4」
・「きゃんきゃんバニーエクストラDX」
・「Pia♥キャロットへようこそ!!」
・「ブルーブレイカー 〜剣よりも微笑みを〜」