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しげるのゲーミング子育て日誌:第8回は「育児友達が欲しすぎる問題」。親になり,“むしろ話題に取り残されたオタク”はどう生きるべきか
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印刷2025/03/15 11:00

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しげるのゲーミング子育て日誌:第8回は「育児友達が欲しすぎる問題」。親になり,“むしろ話題に取り残されたオタク”はどう生きるべきか

画像集 No.004のサムネイル画像 / しげるのゲーミング子育て日誌:第8回は「育児友達が欲しすぎる問題」。親になり,“むしろ話題に取り残されたオタク”はどう生きるべきか

 ゲーマーにしてライターのしげるさんが,頭を悩ませつつも楽しんで子育てに向き合う過程をエッセイにする企画「しげるのゲーミング子育て日誌」。不定期でお子さんの成長とともに起こる悲喜こもごもを連載していきます。

 今回は「育児友達欲しすぎる問題」です。子育てが始まってからオタクコンテンツの流行についていけなくなったというしげるさん。子育てを中心に話題を共有できる友人を求めているといいますが,そこにはさまざまな壁があるようで……。

 ママ友が欲しい。いや,別にママじゃなくてもいいんだけど,育児のことを話せる友達が切実に欲しい。それも,できるだけ近所に住んでいる人がいい。

 先日誕生日を迎え,うちの子供は3歳になった。前回はイヤイヤ期について書いたが,その後我が子は「シン・イヤイヤ期」とでもいうべき状態に突入。保育園に行きたくない,風呂に入りたくない,ご飯も食べたくないし寝たくもない……と本気の駄々を散々こねまくり,二週間ほど嵐のように激烈なイヤイヤを繰り返したのち,現在は多少落ち着いて小康状態となっている。子供って本当に「イヤ〜!」って言うんですね。最初に「イ〜ヤ〜だ〜〜!!」と絶叫しながら床にひっくり返って暴れる子供を見たときは,「これ,ゼミでやった問題だ!」と思ってつい笑ってしまった。笑いごとではなかったですが。

 イヤイヤ期というのは脳の発達にとって必要なプロセスで,内容に差はあれ大体の子供に発生するものだという。こういう「あるある」というか,多かれ少なかれどこの親も経験しているものの,そのディテールがそれぞれの家庭で異なる事象が,子育てにはつきものだ。

 いつ立って歩いたのか,祖父母とはどう付き合っているのか,誕生日プレゼントはどう選んだのか,食事には何を食べさせているか……などなど,似たような課題について各自がそれぞれに取り組んでいるというのが,子育て中の家庭である。そうなってくると欲しくなるのが,同じ境遇で戦っている友人だ。

 子育てのディテールというのは,やってみないとわからなかったことや,知らなかったことの連続である。「こんなにもやらないとわからないものだったのか!」と子供ができた当初はひどく驚かされたし,現在でもほぼ毎日驚いている。やらないと理解できないことばかりなので,子育てをやっている人とやっていない人が子育ての話をするというのは,本質的には不可能だ。

 プレイしていないと拾えないディテールがやたら多く,そして未プレイの人間がそのディテールに気づくことはないので,プレイ中の人間と未プレイの人間に情報差がすさまじいことになる……というのが,子育てというゲームなのである。専用サーバーの中じゃないと,このゲームに関する会話すら成り立たない。

 なので必然的に,子持ちではない友人に子育ての話をするのはほぼ不可能ということになる。ほかの話題について話せればいいのだが,幼児の相手をしている親は可処分時間を子供に吸い取られるので,話題になっているアニメとかゲームとか映画とかには全然追いつけなくなる。よって気心の知れたオタク友達が相手であっても共通の話題がどんどんなくなっていき,気づけば「おれ,何のオタクなんだっけ?」という状態になってしまう。

 多分「結婚して子供を育てて一人前」みたいな価値観が支配していた悪しき昭和の日本なら,置いてけぼりになるのは独身の人だっただろう。が,自分の周りの同年代のオタク友達の中では,子供がいるほうが今や少数派である。

 これが「既婚・子持ちの人間とそれ以外の人間とで話が通じなくなるやつか〜」と思いつつ,世間の動きに取り残されたような気分になり,「なんか新しいアーマードコアって面白いらしいね……やってないし,やる時間も余裕もなさそうだけど……」と周回遅れの相槌を打つ。それが今の自分である。アーマード・コア,ゲーム本編では遊んでないのに,バンダイのプラモデルだけは買ってるんですよ。先日も再販になってたライガーテイルを買いました。書いてて悲しくなってきた。

画像集 No.002のサムネイル画像 / しげるのゲーミング子育て日誌:第8回は「育児友達が欲しすぎる問題」。親になり,“むしろ話題に取り残されたオタク”はどう生きるべきか
プラモだけはあるんです

 という状況を解決してくれるのが,同じような状況で戦っている友人だろう。子育てという同じゲームをプレイしているんだから,まず話題には困らない。というか,子供には話題製造機みたいなところがあるので,基本的に大体の親は自分の子供の話をしたくてたまらない状態にある。

 だが,聞いてもいないのに一方的に自分の子供の話ばっかりしてくる人間はひたすらウザい存在だろうということはわかっているので,普段は喉の奥にしまっている。しかし相手にも子供がいるのなら話は別だ。双方が灰になるまで自分の子供の話をしまくっても,お互い様なのでちっとも心が痛まない。ああ,したい……うちの娘が保育園に全然行かなくなっちゃったけど,なぜか最近持ち直して普通に行っているというどうでもよすぎる話を……したい……!

 さらにいえば,子育てというゲームで重要になってくるのが情報,それもクチコミによる生の情報である。もちろん,インターネットを漁れば子育てに関する情報は山ほど出てくる。むしろ,ちょっと情報過多なくらいだ。

 しかし,子育ては居住地を舞台にしたオープンワールドゲームみたいなところがあり,ネット上の一般論とは別に「地元の生の情報」があるとないとでは難度が大きく変わってくる。マップとは別に「ここに行くと何かあるらしい」という住民の情報が必要になるわけだ。

 ここでいう「地元の生の情報」というのは,具体的には「空いててオムツ交換が楽なショッピングモール」とか「子供と一緒に入れる近所の飲食店」とか「評判のいい保育園」とか「今度の連休に安く時間を潰せるスポット」とかである。こういったきめの細かい情報をネットで探すのは,案外限界がある。Googleマップのクチコミも当てにならない時があるし,そういったソースに比べると,実際に行ってみた人間の感想はやはり強い。

 「あそこのモール,休日でも空いてて子供歩かせてもけっこう楽ですよ」みたいな話から次の休みの動きが決まるわけで,これはもうほとんどNPCとの会話でクエストが始まる「スカイリム」みたいな感じである。

 というわけで,近所の子育て仲間がほしい〜情報交換したい〜とは思いつつ,今のところこれがあんまりうまくいっていない。「公園デビュー」的なイベントも特にないまま,娘はスルッと3歳になってしまった。保育園では意外に同じ園に子供を通わせている親同士の交流などもなく,すでに入園から1年が経過しようとしている。近所の親御さんたちと,世間話とかをするタイミングがないのだ。

 ほかのプレイヤーとの会話がないのだからクエストも発生せず,ワンオペで子供の面倒を見るときには似たようなところをウロウロすることになる。いや,「スカイリム」ならクエストやらずにウロウロするだけでも楽しいですけどね……。

 それと同時に,常々「難しいな……」と思っていることが,自分が男親である点だ。思い返せば,自分が平日の午前中に子供を連れて児童館に行っていた時期のほうが,子供を保育園に行かせている今よりも地元の親御さんたちとの接点はあった。それなりに会話もしていたし,保育園に関する情報交換もしていた。しかし,それ以上仲良くなるのがめっちゃくちゃに難しいのである。

 考えてもみてほしい。児童館でちょっと一緒になって世間話をする間柄になったからといって,子連れの父親が同じく子連れの母親に連絡先を聞いたり,ランチを一緒に食べに行ったりできるだろうか。ちょっと無理じゃないですか? 

 しかし,母親同士だとなんとなくそういうことが可能になる。現に,児童館を出たお母さんたちが連れ立って近所の商業施設に行き,芝生の上にレジャーシートをひいて楽しそうにご飯を食べているところを,自分は何度も見かけた。子供を遊ばせておきつつ世間話をしたり愚痴を言い合ったりしていて,あれは大変羨ましかった。

 では,父親同士で仲良くすればいいじゃないか……という話になりそうだが,これはこれで難しい。確かに,児童館とか子供向けの施設とかショッピングモールのキッズスペースとかで,父親の姿は見かける。抱っこ紐をつけて子供をぶら下げているお父さんも,最近は別に珍しくない。しかし,「お互いに世間話をする程度には顔馴染み」という頻度で,同じ父親とエンカウントすることがないのである。

 確かに,児童館でもほかの父親の姿を見かけることはあった。しかし,「児童館にお父さんが現れる」というのは,一種のレアイベントである。なんらかの事情で今日はお父さんが連れてきたんだな……というだけであり,翌日はまた母親が子供を連れてくる形に戻っている。これでは,会話どころか顔すら頭に残らない。父親は,そもそも育児の現場でのエンカウント率が低いのだ。

 エンカウント率が低いということは,常にほとんど初対面の状態ということである。そこにいきなり馴れ馴れしく話しかけるのは難しいし,多分話しかけたところで会話は全然続かないだろう。現実は,NPCが勝手にペラペラ喋ってくれるゲーム内とは違うのである。

画像集 No.001のサムネイル画像 / しげるのゲーミング子育て日誌:第8回は「育児友達が欲しすぎる問題」。親になり,“むしろ話題に取り残されたオタク”はどう生きるべきか
スカイリムならするする会話できるのに

 自分も改めて「『子供を連れている』ということしか共通項のない男性と他愛のない世間話をしろ」と言われたら,相手のテンションとか気分とか立場とかを探りつつ,会話しても大丈夫そうな話題を考えつつ喋る感じになるだろう。想像するだけでも面倒くさい。

 当然,相手が誰でもそういった気遣いは必要なのだが,自分の経験上では,程度に差はあれ父親のほうが話しかけるハードルが高く感じる場面が多かった。世間話どころか,「おはようございます」すら若干言いづらい感じがする人がけっこういたのである。

 というのも,子連れで児童館などに遊びに来ている父親は,(自分の主観かもしれないですが)なんとなくムスッとしている感じがある。なぜか声も小さいし,子供とワイワイやってる感じではないことも多い。大抵ポツンと一人で子供の相手をしているか,そもそもほかの家族と一緒に来ているかというパーティ構成なので,スッと話しかけに行きづらい。

 それに比べると母親の集団は知らないうちにまとまって世間話に興じていたりするので,割って入っていけそうな話題が聞こえてきたときにスッと会話に入れてもらえるシチュエーションが多かった。会話に入ってこられて嫌がられたこともないと思うし,すんなり受け入れてもらえた気がする。

 という感じで,そもそも子連れで児童館などに一人でプラッとあらわれる父親というのは絶対数が少ないし,出現したとしても「話しかけてくれるな」という雰囲気が漂っていることが多く,これでは友達付き合いどころではない。ヘラヘラフラフラしてて口数の多いお父さんというのは,案外現場にいないものなのである。映画「来る」の妻夫木 聡みたいな父親()は,けっこうなレアケースだと思う。いやほんと,あの映画に出てきた最悪イクメンサークルでもいいから,仲間に入れてほしいんですよ!

※映画「来る」の妻夫木 聡……「イクメン」を自称してせっせと育児ブログを更新し,外面は愛想のいいお父さんながら,実際の子育ての作業は妻任せな上に不倫までしていたというすごいキャラクター。

 というわけで,育児仲間と接点を持つ試みは現状ちっともうまくいっていない。できれば本当に「スカイリム」みたいな,会話の中でクエストが発生していくような子育てをしたいけれど,男親というのは育児の最前線ではまだまだ浮く。そんな中で「友達になってよ!」というのは,やっぱり困難なのである。

 こんな状況なので,もし情報交換の相手になってやってもいいという育児中のゲーマー諸氏がいらしたら,X(旧Twitter)の自分のアカウントまでご連絡いただきたい。話を聞かせてください! 主にトイレトレーニングのことを!


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