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3DO用RPG「ドラえもん 友情伝説ザ・ドラえもんズ」の制作秘話を,ドラえもんズのデザインを担当した漫画家が明かす
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同作は国民的漫画「ドラえもん」を題材としたRPGである。22世紀からやってきた猫型ロボットのドラえもんが,学園時代の親友である「ドラ・ザ・キッド」「王ドラ」「ドラリーニョ」「ドラニコフ」「エル・マタドーラ」「ドラメッド三世」たちとの友情を取り戻すべく冒険に出るという内容だ。
親友たちはドラえもんと同じ猫型ロボットである。ドラ・ザ・キッドはガンマン,王ドラはカンフーの達人,ドラリーニョはサッカーが得意でドラニコフは満月で狼に変身,闘牛士で昼寝好きのエル・マタドーラに魔術道具を使うドラメッド三世と,それぞれが個性的な能力を持つ。
そんなザ・ドラえもんズだが,ゲーム版の担当編集者が構想していたのは,ドラえもんとは異なる形のロボットたちであったという。そこにドラえもんの生みの親である藤子・F・不二雄氏が「同じ形でいいのでは?」と提案したことにより,田中氏が民族衣装の書籍を参考に親友たちのデザインを作り,現在の形になったそうだ。
ザ・ドラえもんズはゲーム出演のあと,「ザ・ドラえもんズ」や「ザ・ドラえもんズ スペシャル」などの漫画や映画,TVスペシャルにも登場し,好評を博している。スポーツ紙に取り上げられたことで漫画の連載が決定し,田中氏は「ザ・ドラえもんズ」を執筆することになったのだという。
ドラえもんが1人いるだけであれだけ楽しいのに,個性的な仲間が6人も出てくるのだからワクワクしないわけがない。しかも彼らはドラえもんと同じ猫型ロボットなのだから,ファンであれば初めて見た瞬間に親しみを抱くのではないだろうか。
デザインの時点で「同じ形でいいのでは?」と提案した藤子・F・不二雄氏の慧眼と,衣装をアレンジした田中氏のデザインセンスが光っている。1995年のRPG制作の内幕が,30年を経て当事者から明らかになったというわけで,ゲーム史的にも重要な証言といえるだろう。
田中氏のXアカウントでは,氏が手掛けた「ドラえもん攻略法」「ガンヘッド優勝法」「魔界塔士Sa・Ga完全必勝」「PCエンジン ビックリマンワールドひみつ攻略法」「パズルボーイ マル秘(原文では〇囲みに秘)攻略テクニック」「カトちゃんケンちゃん爆笑攻略法」「まんが版ファミコン新ゲーム情報」「完全征服フラッピー」といった生原稿の写真もポストされている。
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田中氏のポスト(リンク)より,「ドラえもん攻略法」 |
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田中氏のポスト(リンク)より,「ガンヘッド優勝法」 |
「魔界塔士Sa・Ga完全必勝」では,今やRPGを遊ぶ常識である「町の人の会話をメモすること」が必勝法の一つとして挙げられているなど,当時の時代が伺える。
また,主人公に攻略法を教えるために,「PCエンジンの中に住んでいる」川田名人が出現したり,「パズルボーイ」を制作した「アトラスマン」が主人公たちに難関面で挑戦してきたりするなど,個性的なキャラクターたちの活躍が楽しい。
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田中氏のポスト(リンク)より,「魔界塔士Sa・Ga完全必勝」 |
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田中氏のポスト(リンク)より,「PCエンジン ビックリマンワールドひみつ攻略法」 |
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田中氏のポスト(リンク)より,「パズルボーイ マル秘(原文では〇囲みに秘)攻略テクニック」 |
現在のゲーム漫画は原作のストーリーを再現したり,スピンオフとしてキャラクター性を追求するものが主流となっている。それだけに,ゲームを遊ぶ少年を主人公に据え,前述したようなキャラクターたちがワイワイとプレイする様子が懐かしく,皆でテレビの前に集まっていた“あの頃”の記憶も蘇ってくる。田中氏の伸び伸びとした筆致も美しいし,画面写真を入れるスペースが空白になっているあたりからは制作現場の様子が想像でき,見ているだけでも楽しくなってくるのだ。
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田中氏のポスト(リンク)より,「カトちゃんケンちゃん爆笑攻略法」 |
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田中氏のポスト(リンク)より,「まんが版ファミコン新ゲーム情報」 |
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田中氏のポスト(リンク)より,「完全征服フラッピー」 |
先日も,名作2Dアクションゲーム「メタルスラッグ3」に携わったakio氏が,未使用のアイデアについて当時のスケッチとともに語っている(関連記事)。ゲームの歴史を正しく捉えるために,こうした発信が増えることを期待したい。
田中道明氏のXアカウント「フジコ日記のタナカくん」
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