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マダミス関連のトレンドを総ざらい。「ゲームマーケット2025秋」で見つけた新作をピックアップして紹介
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ゲームマーケットにおいて,初めてマーダーミステリーが出展されたのは2019年春のこと。それから6年半が経過し,いまや謎解きやテーブルトークRPGなどと並ぶ一大ジャンルへと成長し,特設ブースとしてマーダーミステリーブースが設置されるまでとなった。
今回のゲームマーケットでは,マーダーミステリーの関連ブースだけで60程度あり,約60点ほどの新作と,約140点にも及ぶ旧作が一堂に会していた。個人サークルのみならず,グループSNEやADICE,タンブルウィードといった企業も精力的に新作を発表しており,かなり健全なエコシステムが完成しているように感じられた。
過去最多の出展数となったマーダーミステリーブース
ゲームマーケットとStudio OZONの共同出展であるマーダーミステリーブースには,過去最多となる150以上のタイトルが出展。王道の推理モノに感動モノ,物語体験を重視したストーリープレイングなどジャンルもさまざまで,プレイ人数も1人用から6人以上で遊べるものまで,幅広い作品が取り揃えられていた。
さらにブースでは,人気アニメ「進撃の巨人」がマーダーミステリー化が発表されていたほか,全3部構成の体験型ミステリー「残花」の第1弾「残花 -prequel-」のパスコード無料配布,会場でしか遊べないリアル体験ミステリー「Unfinished Trace 〜消えた作家が遺したもの〜」なども開催され,来場者を楽しませていた。
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Studio OZON代表で,マーダーミステリーブースの責任者でもある久保よしや氏によれば,これだけの作品数が揃えられたのは,これまで積み重ねの結果だという。売上を数字でアピールしたり,草の根でのファンの働きかけが身を結び,10点20点と扱うタイトル数が増やしてきた。
ブースを訪れるファンの属性も,最新作を買い求めるコア層から,ふらっと立ち寄ったカジュアル層までさまざまだ。これまでのゲームマーケットでは昼過ぎがピークだった客足も,今回は夕方まで混雑が続く盛況ぶりで,手応えを感じているとのことだった。
マーダーミステリーブースを訪れさえすれば,ほとんどのタイトルが手に入るという体制は今後も続けていきたいそうで,今後はどういったタイトルが並ぶのか,事前に情報を公開していく取り組みを強化していきたいとも話していた。
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新たな取り組みを続ける老舗・グループSNE
マーダーミステリーの老舗メーカーの一つであるグループSNEブースでは,気鋭の推理作家である織守きょうや氏がゲームデザインを手がけた「死の館に探偵二人」,ミニシリーズ3部作の第一弾「Re:ゴーストマーダー第1部 犯人不在のハウダニット」が先行発売されていた。
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またマーダーミステリーそのものではないものの,マーダーミステリーやストーリープレイングのゲームマスターとなったプレイヤーが,オリジナルタイトルの説明を行うパーティカードゲーム「マダミス/ストプレで泣かせたいGMのゲーム」が,イベント限定で登場。“ゲームの説明するゲーム”というメタな構造のゲームが成立すること自体,この遊びが一つジャンルとして確立し,広く市民権を得た証左といえるのではないだろうか。
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また同社のタイトルはパッケージ販売が中心ではあるものの,オンライン販売や店舗公演型にも魅力を感じており,今後はそれぞれの形態に合わせたタイトルも出していきたいと考えているという。事実,今回のゲームマーケットの直前には,初の店舗公演型作品「雪郷連環殺人事件」が発表され,ライセンス販売がスタートしている。今後さまざまな場所で遊べるようになるようなので,こちらも楽しみにしておこう。
マダミス作家向けのミニコミ誌「ジマーマ」が新創刊
日本マーダーミステリー作家協会によるミニコミ誌「ジマーマ」の創刊号が,今回のゲームマーケットで発売された。
マダミス作家とマダミスファンに向けた同書には,マーダーミステリーの作り方や分析,制作論といった記事が掲載されていて,ゲーム制作に役立つ実践的なノウハウが詰め込まれた一冊となっている。
日本マーダーミステリー作家協会の共同代表である九尾まどか氏に話を聞いてみると,2025年10月に設立1周年を迎えた同協会は,すでに会員数が100名を超えており,毎日のように制作ノウハウの共有する勉強会がオンラインで開かれているという。またお花見や怪談百物語といった会員同士の交流イベントも,定期的に開催しているとのことだった。
氏は今後もマダミス作家をサポートする活動を続けていくとのこと。同協会が今後もクリエイター同士の交流やノウハウ共有の場として機能していくのであれば,ちょうどデジタルゲームにおけるCEDEC(開発者カンファレンス)やIGDA(ゲーム開発者協会)のような業界団体としての役目を果たしていくのかもしれない。
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さてここからは,会場内で気になった作品やブースを,筆者の独断と偏見でいくつか紹介していこう。
これミス マダミス大賞を受賞した「雛に杓子は殺せない」
「これミス マーダーミステリー大賞」のオンライン部門で大賞を受賞した「雛に杓子は殺せない」がマーダーミステリーブースで先行販売されていた。
これからミステリーの「MYSTERY CUBE BOX」シリーズ第2弾としてリリースされた同作は,2024年に話題になったオンライン作品「透きとおる青の証明」や,第3回新作マーダーミステリー大賞のグループSNE賞受賞作「ペンタグラムの境域」を制作した綾部ヒサト氏の最新作だ。
雪で閉ざされた不香村を訪れた民族学研究サークルの5人が殺人事件に巻き込まれるという内容とのことで,シンプルな導入ながらも面白いギミックを備えた一作になっているという。事前に行われた先行体験会では,初心者からベテランまでの全員が面白いと太鼓判を押した完成度とのことなので,今回購入できなかった人も,12月上旬の一般販売を楽しみにしておこう。
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謎解き×マーダーミステリー「REDRUM06 臨界館遊戯」
謎解き団体のタンブルウィードは,同社のマーダーミステリーレーベル・REDRUMの第6弾「REDRUM06 臨界館遊戯」をリリースした。
2023年春に発売された「REDRUM01 泉涌館の変転」でマーダーミステリージャンルに参入したタンブルウィードは,それ以降のゲームマーケットで毎回新作を発表し,精力的に活動を行っている。
今回の「REDRUM06 臨界館遊戯」は,謎解き×マーダーミステリーを強く押し出したタイトルで,謎解きと交渉の2章仕立てになっているという。対立する2つの組織から選ばれた人間が館の謎解きゲームに招かれ,そこでの結末が世界情勢に大きく影響するという筋書きで,謎解きの部分はタンブルウィードのナゾクリエイターが監修しているとのこと。
これまでの「REDRUM」シリーズの謎解きはあくまでおまけ要素に止まっていて,大きくフィーチャーされてはいなかった。謎解き団体が満を持してリリースするナゾトキに期待したいところだ。
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専門店・NAGAKUTSUのクリエイター陣による「雪月花」
大阪のマーダーミステリー専門店NAGAKUTSUが制作した「雪月花」は,3人の探偵がそれぞれの異能を使って事件を解決する推理体験型ゲームだ。雪の章,月の章,花の章の3章構成で,2人用ながらプレイ時間が6時間を超えるという大型タイトルとなっている。
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また「雪月花」の作者であり,NAGAKUTSUのオーナーでもあるイバラユーギ氏は個人でもブースを構えており,そちらではスマホゲーム「IdentityV 第五人格」を題材としたマーダーミステリー「Relive mystery」シリーズも販売されていた。キャラクターになりきりながら議論や謎解きを行う“読み合わせ”重視のタイトルとのことで,「エマ&レオ」や「エミール&エダ」など,原作のキャラクターを2人ずつフィーチャーした4タイトルがすでに発売されている。
今後も継続してリリース予定とのことなので,「IdentityV 第五人格」のファンはこちらも期待しておこう。
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老舗サークル・セカンドステラの新作が登場
マーダーミステリー黎明期から活動している老舗サークル・セカンドステラからは,最新作「死神のマネーゲーム」がリリースされていた。ロンドンの富裕層が集う高級クラブで,クラブ主催者の遺体が発見されるところから始まる筋書きで,まさにマーダーミステリーの王道と呼べるタイトルとなっている。
セカンドステラは日本初のオンラインマーダーミステリー「亡霊島殺人事件」で知られる最古参のクリエイター集団だ。現在も精力的に活動して,定期的に新作をリリースしている。
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韓国発のファンタジーマダミス「ヒーラーの死」
韓国のマーダーミステリーサークル,EVENT HORIZONが制作した「ヒーラーの死」の日本語版が,SEOWOL Boardgamesブースで販売されていた。
魔王を討伐するため魔王城を目指した6人の勇者たちが,決戦前夜にヒーラーの骸を発見するという導入のタイトルで,その名のとおりファンタジーもののマーダーミステリーである。
ブースのスタッフの話によると,韓国ではマーダーミステリーがまだメジャーではないそうで,今回のゲームマーケットには日本のマダミスファンに自作を紹介すべく,韓国から来日したとのこと。翻訳も作者が自前で行ったそうで,かなりの熱量が感じるタイトルである。
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大河ゆの氏の新作「白い箱」
シナリオライター大河ゆの氏によるマーダーミステリーを多く手がけているクラリウムは,氏の新作「白い箱」を大きくフィーチャーしたブースを構えていた。
同作は出ることができない閉鎖空間の中で発見された死体をめぐって物語が進行するGMレスのマーダーミステリーだ。
大河氏はこのほかにも,「深夜0時のスペルビア」「ノノノノのノノノの」といったタイトルで知られており,ブースではこれらの既刊も購入できた。またマーダーミステリーブースで展開されていたADICEの体験型ミステリー「残花」シリーズも手がけるなど,マルチに活動しているクリエイターでもある。
ブースで話を聞いてみると,氏は登場人物一人ひとりを深く描くことにこだわっているそうで,キャラクター全員が主人公であるマーダーミステリーは,そうした氏の趣向にピッタリのジャンルとのことだった。
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AI生成でオリジナルのマダミスが作れる「みんマナ!」
最後に生成AIを活用したマーダーミステリーアプリ「みんマナ!」が,ペーパーツールズブースに出展されていたので紹介しておこう。
「みんマナ!」はプレイ時間や人数,テーマ,男女比といった条件を入力すると,それに沿ったマーダーミステリーをAIが自動生成してくれるというWebサービスだ。テーマは学園ものやファンタジー,都市伝説などあらかじめ用意されたものだけでなく,自由記入で設定することもできるという。
生成されるシナリオのクオリティが気になるところだが,ペーパーツールズのスタッフに話を聞いてみたところ,名作とは言わないまでも,ちゃんと遊べるものが完成するとのことだった。また今後のAIの進化によって,生成されるシナリオの質の向上も期待できるという。
現在はβサービス中で,無料体験が可能とのことなので,気になる人は以下のリンクからアクセスしてみるといいだろう。
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